ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

サーヴァント・スミス-3

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破片を集める音がやかましく響く
ルイズは殆ど働いていない。ナランチャだけが掃除をしているといってもいい
パパッと破片を集めては、一ヶ所に捨てる。
窓のガラスを取り替える。
単純な作業の繰り返し。それがとても辛い事である事。
ナランチャはそれを痛感しつつ、掃除を続けていた

「オイ、お前もやれってー」

「使い魔が主人に口答えしないの。やれといったらやるのが常識よ」

危うくエアロスミスを動かしそうになるがぐっと堪える。
生きて居る事が幸せだ。一応恩人なのだ。
フーゴと同じだ、拾ってもらったのだ、自分は
それに飯抜きは困る。切実な願いだ
埃が舞い、鼻がむず痒くなる。すん、と鼻を鳴らす。
身を翻し、ルイズに慰めの言葉をかけようとした

「……魔法が使えないから、ゼロのルイズ、なんだよな」

「………」

静寂が痛い。
静寂と言う名の牙が首を食いちぎっていく。まだあの鮫のスタンドはトラウマである。
主が死んだらいきなり発動したスタンドも恐かった。
耐えかねたナランチャが二の句を述べる

「でもよォ、爆発も魔法じゃねェ?ただの失敗、とはおもわねーぜ」

慰めるつもりで言った言葉だった。それが何故か、火に油を注ぐ結果となる。

「下手な慰めね。ナランチャ、あんた一週間飯抜き、それじゃ」

「うおおぃ!ちょっとまった、俺は悪口を言ったんじゃないし、褒めただけだって……おーい!」

彼の優しさは仇となった。ルイズの性格をもっと把握し、考えるべきだったのだ
――彼女は決して素直ではない――
そしてまた、『勢いで八つ当たりしちゃった(はーと)』と言う名の必殺の一撃に屈する事となったのだ
とぼとぼ。その効果音は背後霊のようにナランチャの後を付いて行く
飯抜き。きつい、きつ過ぎる。下手に少量の食料を食べた所為か、より一層空腹感が増す
食料の当ても無く、深く落ち込んでいるナランチャに、救いの手が差し伸べられた

「あ、ナランチャさん、どうしたんですか?」

シエスタだ。ナランチャは一応、今起こったことをありのまま話した

「ああ……うん、まあ、それで飯抜きってさ。なんでだろうね?」

「そうなんですか?余り物でよければ、差し上げますけど」

ナランチャの目の前には明らかに女神が存在していた。
スタンドも月までブッ飛ぶこの優しさ。

着いたのは厨房の裏側。忙しそうに働く『平民』の人達が見える。その様子には好意を持てる面もある、寧ろ、今の自分と近いものを感じた
しばらくそれを見つめていると、シエスタが器を運んでくる。

「余り物で作ったんですが、シチューです」

言われるより先に、掻き込むナランチャ。あっという間に平らげた。ほぼ飲んでいるのと変わらなかっただろう
空を仰いで「ふう」と息をつくと、シエスタに礼を言う
その後は雑談に時間を投じた
俺は17歳で子供じゃないとか
シエスタと同じ年齢だとか
ルイズは俺より年下だとか
俺の下はスタンドだとか
誰の身長が低いだとコラだとか
誰の身長がコロコロ変わるだとコラだとか
殆どが年に関するものだった。若干身長。

「あ、そうだなァ。何か手伝いたいんだけど」

「え!?い、いいですよ。気持ちだけで……」

「命を救われたようなもんだからさ」

ルイズの立場は。

「……じゃあ、デザートを運ぶのを手伝ってください」

ルイズには日常の手伝いで十分。毎日やるのだから。
だが、扱いの違いが、この『進んで手伝う』と『ほぼ強制的で仕方なく』の差に現れているのだろう
シエスタにデザートの乗ったトレイを渡され、意気揚々と『仕事場』へ向かった

相変わらず、貴族が豪華な食事をほおばっている。デザートを運ぶ時間とあって、食事の済んだ者も多い。
デザートを目に付く者から順々に配っていく
ルイズに命じられた教室の掃除より、よっぽどやりがいのある仕事である
周りの貴族が変な目で見ているのが気になるが。

一通りデザートを配り終え、補充へ向かおうとしたとき、何かを踏んづけた。
潰した感覚が来るにもかかわらず、聞こえる音はガラスが割れた時に出す「パリン」と言う音
しかも、その拍子に転び、後ろにいた貴族の頭にトレイが直撃。クリティカルヒット。
追い討ちといわんばかりに、滑るようにトレイが貴族の背中に直撃。これまたクリティカル。「ギーシュ!?」と言う声も聞こえた
トドメといわんばかりにナランチャ自身の頭も背中にクリティカルヒット。
合計3ヒット。もうやめてとっくにギーシュのライフはゼロよ。

椅子から倒れる貴族の青年。
起き上がる刹那、目があった。
だが、すぐにその青年、ギーシュは目を凝らし、向こう側を確認
次に聞こえてきたのは、叫びだった

「ああッ!モンモランシーの香水がッ……とぉ!?」

思わず声に出したのだろうか。言い終わった後、無理やり訂正しようとして舌を噛んだようだ。
おかしな点は、痛がるであろうに、それよりも優先して自分の口を塞いだ事。
そこを不自然に感じたナランチャ
友人と見える青年たちは、いきなり騒ぎ出した

「へえ?モンモランシーの香水」

「つまり、ギーシュはモンモランシーと付き合っているんだな」

どうやら彼は女性と付き合っているようだ
それだけのことなのに、ギーシュは汗をだらだらかきながらオドオドしている。
だが、あれよあれよという間に2人の女に取り囲まれ、オラオラ無駄無駄される羽目になった。
時が止まった気がした。ギーシュだけ。
失言だったらしい。

「ち、違うんだ、モンモランシー、ケティ……」

断末魔のように呟くギーシュは、いきなりこっちを向くと、スタッと立ち上がった
そして胸倉を掴み、こう言う

「君が……君が彼女の香水を踏みつけた所為でこうなったんだぞ」

「黙れド低能」

元祖ド低能にド低能といわれるギーシュ。

「……」

「二股かけたお前が悪いだろ?」

ナランチャの言葉を覆す事が出来ないのは事実である
珍しく頭を使って正論で返していた。当たり前の反論と思うかもしれないが、彼にとってはこれでも頭を使ったうちに入るのである
当然、今一瞬『裏ンチャ』の姿が垣間見えた
それを聞いた友人が、ギーシュを攻め立てる

「平民に正論で押し通されてどうすんだよ、ギーシュ!」

「テメー頭脳がマヌケか?二股かけてなけりゃ……こうはなってねーぜッ!」

友人はケラケラ笑っている
ギーシュの顔には悔しさと憤怒が入り混じり、なんとも複雑な表情が作り出されていた
何してんだコイツ、とナランチャが様子を見ていると、唐突に指を突きつけられた

「決闘だ、平民」

「……いいけどさ。なんと言うかそのォ、理由が不純すぎねェ?」

「そんなことはどうでもいい、ヴェストリの広場へ来い」

「いいのかよ」

ギーシュはそれだけ言って去っていった。
その後姿をナランチャはげんなりとした視線で見つめる。
背後からルイズが迫ってきて、ナランチャの顔を強引にこっちへ引っ張った
頬がびよーんとゴムのように伸びる

「アンタ勝手に何してんのよ!貴族に平民が勝てるわけ無いでしょ!」

「いたたた。勝負は何時も50%ってな。やってみないとわからないだろ?」

飄々とした様子で言い放つナランチャにイラついたか、さっきよりも強い口調でルイズは止めに入る
シエスタも騒動に気づき、ナランチャにやめるよう促しているが、断固として謝る様子はない

「やってみなくてもわかるわよ!今すぐ謝って来て!」

「じゃあシエスタ、行って来るぜ」

「き、危険ですよ、謝ってダメなら逃げてください!」

「スルーするなーッ!」


To Be continued ...

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