ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

白銀と亀の使い魔-16

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「相棒…ちっと飲み過ぎじゃねえか…?」
「何言ってんだよデルデル君よぉ~せっかく酒貰ってんだぜ?飲まなきゃ勿体ねーだろぉ~?」
舞踏会はアルヴィーズの食堂の上の階のホールで行われた。
貴族ではないポルナレフはバルコニーで食事することを特別に許され、食事とワインをいくらか与えられたのでデルフ相手に飲んでいた。
ベロベロに酔ってそのテンションは完全に20代に戻っていた。

(相棒って酔うともはや普段の面影もくそもないな……)
酔う前は亀からテーブルと椅子を取り出し、「双つの月を眺めながら飲むのもまた一興だな…」と感傷に浸って誰も近寄れない雰囲気だったのだが、
酔いだすと亀から自分を取り出すや否や、「気分いいから歌でも歌え」と言ってきた。「相棒、そりゃやだよ。だって俺剣だし。」と拒否すると、「何だてめえわぁ~?買ってやった恩を忘れたか、この駄剣がッ!」と怒鳴られた。
で、その後散々愚痴を聞かされた(「ジョルノやミスタが亀ナレフって呼んでくんだよぉ~何とか言ってやってよぉ~」だとか「あの糞ガキ、マジ今度針串刺ししたいんだが、ばれない方法ないか?」とか。つかジョルノとミスタって誰だよ。)

正直言って酔った相棒はうざかった。いきなり泣くわキレるわで相手するのが面倒だった。
ちらりと会場を見るが見覚えのある二人の娘っ子はそれぞれ男の相手をしたり、料理と格闘していて忙しそうで、助けてくれそうになかった。
そうしている間にも相棒は亀から次々にワインを取り出した。つかそのワインどうしたんだ?
「厨房から盗って来た。」
そうですか。
「ところでデルデル君よぉ~今、俺のことうざい、て考えただろぉ~?」
はい。
「そんなことないぜ相棒。」
「そーかそーか。って騙されるかコラァッ!」
蹴り飛ばされた。この酔っ払いめ。つかデルデル君って何だよ。
その時、相棒の主人の娘っ子が会場に入って来た。そこそこ綺麗な為りをしている娘っ子を見て何人かの男が群がってダンスを申し込んたが、娘っ子はそれらを断り俺達の方に来た。
「ほー、馬子にも衣装か。」
率直な感想を言ったら
「煩い」
一蹴された。ひでえ。
「どーしたんだ嬢ちゃんよぉ?お前もキュルケみたいに踊ってこいよ。俺ぁデルフと飲んでっから。」
離してください。
「相手がいないのよ。」
ナイス!見直したぜ娘っ子!
「そーか?なら相手してやってもいいぜ。こー見えてもダンスはいくらかやってたんだ。」
ディスコでな、と相棒は付け加えた。ディスコって何だ?

「…あんた酔ってる?」
そこに気付くな!娘っ子ォッ!
「ハッハッハ。」
笑うな、笑うなァァァ
「…ま、いいわ。なら一緒に踊って下さる?」
「喜んで。」
相棒は娘っ子に連れられて中に入っていった。曲が始まり、二人は優雅に踊りだした。
その身長差から、ぱっと見て父親と娘が踊ってる様にしか見えない。だが、こんな不思議な光景は初めてだった。
「こいつはおでれーた!ご主人様と踊る使い魔なんざ初めてだ!」
俺が思わずそう叫んだ時、ホールの端で二人を睨み付けてるメイドの娘を見つけた。
もし視線で人が殺せるなら相棒死んでるだろうな、と思えるくらい、やばい目だった。
やがて曲が終わり、相棒が戻って来た。酔いがいくらか醒めたらしく、多少テンションも落ち着いていた。
「ダンスは疲れるな、デルフ。身長差の影響が予想外にな…」
「俺は酔っ払ってたお前に疲れた。」
「マジか。すまなかったな。」
相棒は笑いながらワインをグラスに注いだ。そこへ
「ポルナレフさ~ん。」
さっきのメイドがやってきた。逃げた方がいいぞ、相棒。
「ん?何だシエスタ?」
「仕事も一段落ついたんで、ご一緒させて貰ってもいいですか?」
メイドがニコッと笑う。俺はその笑顔の裏にあるどす黒い顔がうっすらと見えた気がした。こりゃ嫉妬だな。

相棒がちらっと中に目をやってから
「別に構わない。」
と答えた。
「それじゃあ失礼します♪」
相棒は亀から椅子とグラスを新たに取り出し、メイドに渡した。つーかなんで亀に色々入れてんだ。
「一応念のために」
そうですか。
メイドは相棒とテーブルを挟んで反対に腰掛けると、相棒に話しかけた。
「ポルナレフさんってここに来る前何をしてらしたんですか?」
それは聞いてなかったな。つーか鞘から出してすらくれなかったからなんだが…
「え、あ…んー…騎士…『ナイト』…とでも言っておくかな?」
相棒は曖昧に答えた。
「へー!だからダンスが上手かったんですか?」
相棒はビクリとした。そうだよ、ずっと見られてたんだぜ。相棒…。
「そーですよねー。ナイトなら綺麗な貴婦人を守るのが役目ですよねー」
メイドはワインを呷った。みるみる顔が赤くなっていく。反対に相棒はどんどん青ざめていく。
「ポルナレフさんはやっぱりミス・ヴァリエールの側が合ってますよねー。何と言っても『ナイト』と『御主人様』ですもんねー。聞いてますかー?」
相棒…同情するが助けられん…助けようとしたら手に鱗が刺さるような気がする…手なんか無いけど。

「そ、そこまで言わなくてもいいだろ、シエスタ。私だってあれは酔った勢いで…」
相棒がそう言うとメイドはズイッと前に乗り出した。その手にはワインが握りしめられている。
「飲め。」
「何ィッ?」
「飲めと言ってんだ!この…」
メイドは思いっきり息を吸い込み…
「ド低脳がァーッ!」
そう叫ぶと相棒の胸ぐらを掴み、口にワインを流し込んだ。
「おぶぇ…!がぼ…がぼ…!」
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
合掌。いや、手なんか無いけど。
メイドはワインをボトルの半分程飲まされピクピク痙攣しだした相棒を見て、人が見ていない(いや俺が見てるけど)事を改めて確認すると、顔を赤らめつつ相棒の唇に自分の唇を近づけていった。


…ここから先は語りたくないし、思い出したくもない。
メイドの唇と相棒の唇が触れた瞬間、娘っ子がメイドに飛び膝蹴りを喰らわせ、そこからバルコニーを完全に破壊するような惨事に至ったなんて思い出したくない…絶対に…


To Be Continued...

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