ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第五話 ついてない男

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匿名ユーザー

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メローネは思った。自分に平穏はあるのかと。
そして思った。平穏とは一体何かと。
部屋でパソゲーをしているときか?
『息子』が暗殺完了するのを待っているときか?
それともルイズの召使いをしているとき?
シエスタと話をしているときか?
タバサと一緒に本を読んでいるときか?
ギーシュの惚気話を聞いているときか?
少なくとも・・・
「今は平穏じゃあないな・・・。」
空中で揺れながら、メローネは呟いた。

新ゼロの変態第五話 ついてない男

彼の一日は平穏に終わるはずだった。
朝早起きして、ルイズの面倒をみる。
厨房に行って飯を食べる。
部屋に戻って刀の手入れをする。タバサからもらったのは特に念入りに。
「おい、同志デルフ。この刀の名前だがな、タバタンがくれたって事で雪風てのはどうだ?」
「いいんじゃあねえの?それより相棒、俺を使ってくれよ。」
「お前さびてるし、オレ両手剣嫌い。」
その後広場で剣とテニヌの修行をする。
修行といっても剣の方はるろ剣を見ながら技を真似するだけだが。やったことあるだろう?
「ふぅ。さすがガンダールヴ。九頭竜閃まではできたぞ。次は縮地だな。」
「相棒、破壊力には自信があるぜ?だから使ってよ。」
「ふむ。ガッツやクレアも使っているしな。でもかっこいい技がないから嫌だ。」
「ひでぇ!!魔神剣とか虎牙破斬とか「別に刀でもできる。」
その後はテニヌの修行である。メローネが使えなければ意味がない。
「相棒、オレ即戦力だよ?そこら辺の雑魚にはオレで十分だって。だからお願いします。」
「FEやってたら雑魚に大剣兵やられたぞ?」
『はいそこ喋るな。もっとオーラ的な物を集中させて。』
ここまでは全てが順調だった。

修行に区切りをつけて図書館へ行く。タバサはいない。
「おい、そこの変態!おうちでご主人様のパンツでも・・・」カチャ
「あ~?なんか文句でもあんのかコラ。脳みそぶちまける覚悟あんならゆうてみぃ。」
「ご・・・ごゆっくり~。」
勉強もかねて本を読む。
「この『巨大で奇怪な魔獣略して怪獣図鑑』は為になるな。
 文字の勉強にもなるし知識も増えるし、一石二鳥だな。」
ここまでは全くの平穏。
しかし、その平穏が失われたのは次の瞬間であった。
タバサが入ってきたのである。
「お、タバタン。・・・なんでルイズ達もいるんだ・・・?」
するとタバサがメローネにチョークスリーパーをかまして一言。
「確保。この絞まり具合。あと2分で文字通り彼はスリーパー(眠る者)となる」
「え、ちょっと、何?何すんの?ちょ・・・ちょ待てよ!
 な、なにをするきさまらー!」
こうして気絶した彼は連れて行かれた。合唱。

「つまりこういう事か?『オレは二人の意地の張り合いに巻き込まれた。』」
「Exactly(その通りでございます。)」
「そーなのかー。・・・泣いていい?」
気絶したメローネが目を覚ますとあたりはすっかり暗くなっていた。
事の次第はこうである。
キュルケがメローネに無限刃をプレゼントしようとした。無論、ルイズが止める。
そのまま二人はエスカレート。室内でドンパチ始めようとしたのでタバサが止めた。
(中略)して現在に至る。
「ルールは簡単!あのロープを魔法で切った方の勝ち!勝った方の武器をメローネが使う!
 もう一度説明する?」
「   はい     
 ニフいいえ」
「イヤオレはタバタンのくれた刀使うから!心配しなくても全部もらうから!だから降ろせェェ!」
ロープで亀甲縛りにされ、シルフィードに吊されているメローネが叫ぶ。
「先手は譲ってあげるわ。せめてものハンデよ。」
「上等。吼え面かいても知らないから。」
タバサがロープを揺らす。狙いをつけにくくするためだ。
「ちょ・・・おま・・・やめて。オエェ、気持ち悪い・・・。」
酔っているメローネに構わず、ルイズは呪文を詠唱する。
彼女のシュミレーションでは火の玉がロープを焼き切るはずだったが・・・

ドガァァン!!

「オェェ・・・揺れが激しくなった・・・気持ち悪ぅ・・・」
メローネの後ろの壁が爆発しただけであった。
「ふっふっふ。爆風でロープを切るつもりだったのかしら?貧弱貧弱ゥ!
 見せてあげるわ!本物のメイジというものを!!」
キュルケが放った火球は正確にロープを焼き切った。
「・・・何この浮遊感。気持ちわるぅ・・・」
三半規管の弱いメローネが地面に激突する寸前、タバサが『レビテーション』で止めた。
「私の勝ちね、『ゼロ』!そうやってしょぼくれて見ているがいいわ!
 メローネが私の無限刃を使っている所をねェ!」
そのとき轟音が鳴り響いた。

「何事!?何事!?」
巨大なゴーレムが塔の壁を破壊していたのである!
「ちょ・・・お前ら逃げんな!オレを連れてけェェェ!!」
メローネは現在進行形で亀甲縛りである。
その時ゴーレムの肩に黒ローブの人物が乗り込んだ。
「あんなでかいゴーレムを作れるなんて・・・」
「まさかッ!『土くれ』のフーケ!!」
ゴーレムが動き始めた!
「ギャァァァ!!でかいのがこっち来る!土製だけにジ・アースか?」
メローネが踏みつぶされそうになった瞬間、シルフィードが潜り込んで救出した。
「グラッツェ、タバタン。それにしてもあのジ・アースは・・・?」
去っていくゴーレムを眺めながら、シルフィードは着地した。
「メローネ!良かった・・・」
「良かったじゃあねぇ!!・・・おい、あそこには何があるんだ?」
「・・・確か、宝物庫。」
「確定。あれは『土くれ』。」
またしても大変なことが起きた。メローネは
(もうトラブルはこりごりだってのに・・・。)
と思っていた。亀甲縛りで。

翌日、学院は大変なことになっていた。
『破壊の杖、確かに領収いたしました。土くれのフーケ』
宝物庫の壁にこう書かれていた。よって犯人は土くれのフーケ。証明完了。
「・・・で、発見者は?」
「この三人です。」
事情聴取の為、ルイズ達は学院長室に来ていた。メローネは使い魔なので数に入ってはいない。
ちなみにメローネは我関せずといった態度で、責任をなすりつけあっている教師達を見ていた。
「・・・ところで、ミス・ロングビルはどこかの?」
「そういや見てないな。・・・セクハラなら机の上の玲とハルナにするんだな。」
「違うわ!アレだよ・・・ほら、人質に取られていたりしたら大変じゃん?」
「ご心配には及びません。」
いつの間にかオスマンの後ろにロングビルが立っていた。
「うわっ!楓かね君は・・・」
「遅れて申し訳ございません。土くれのフーケの調査をしていましたもので。」
「優秀だなオイ。で、どうだったんだ?」
「はい、フーケの目撃情報がありました。」
「「「「な、なんだってー!!」」」」
「ふうん。詳しく頼む。」
要は、夜中に物音が→外にゴーレムが→準備を整えて後を追う
→であった人に聞き込み→ある小屋にフーケが入ったのをみた農夫発見
→大急ぎで期間→今に至る。ということである。

「そうか。・・・で、そこはここからどれくらいかね?」
「徒歩で半日、馬ならば4時間といったところです。」
「すぐに王宮に報告しましょう!」
「阿呆!自分で自分のケツも拭けんようでどうする!!それにそんな事してたら
 フーケどころか昼寝している亀もゲルマニアに逃げてくわ!!」
コルベールを一喝するとオスマンはこう告げた。
「と、いうわけで捜索隊を結成する。我こそはと言う者は杖を掲げよ!」
しかしというかやはりというか、誰も杖を挙げない。
「どうした!名を挙げようという猛者はおらんのか!みごと捕らえた者には儂からも
 陸上防衛隊まおちゃん全巻出すぞ!どうした!?」
「爺さん、それ厄介払いしたいだけじゃあねぇか。いっとくが金はかえさんぞ。」
そう突っ込むとメローネは出口へ向かった。
「どうしたんですか、メローネ君?」
「準備だ。」
メローネがそう呟いて退室するのと、ルイズが杖を掲げたのは同時だった

「・・・そーなのかー。タバタンはやっぱり凄かったんだね。」
「・・・あんた、私の話復唱してみなさい。」
「タバタンは『シュバリエ』の称号を持っててディ・モールト(とても)強いんだろう?
 で、心優しいタバタンは無謀なお前らに『心配』と言ってついて来たというわけ・・・そうだろ?」
「・・・一応正解にしといてあげるわ。」
フーケの隠れ家へ向かう馬車の中。ルイズは話も聞かずに退室したメローネに、
ルイズ達三人が捜索隊に志願し、ロングビルがついてきたた経緯を説明した。
ちなみにメローネはフル装備である。
デルフ?そこに転がってるヤツのこと?
「ところでミス・ロングビル。なぜ御者なんて?付き人にやらせればいいじゃあありませんか。」
自ら御者を買って出たロングビルにキュルケが尋ねる。
「いいのです。私は貴族の名を無くした者ですから。」
「え? だって、あなたはオールド・オスマンの秘書なのでしょ?」
「ええ。でも、オールド・オスマンは貴族や平民だという事にあまりこだわらないお方ですから。」
「差しつかえなかったら事情をお聞かせ願いたいわ。」
そう言うキュルケをルイズが止める。
「よしなさいよ。あんたの国じゃあどうだか知らないけど、ここトリステインでは
 昔のことを根掘り葉掘り聞くなんて恥ずべき事よ。」
ドサァァア!!
「大変!メローネが落ちたわ!!」
「いや、飛び降りたのよ!でもなんで?」
「危機回避。」

「・・・で、あれがフーケの隠れ家か。」
「はい、情報によれば。」
「あのボロ屋の中に『破壊の杖』とやらがあるのか?」
「ディアボロさん、お久しぶりね。」
「そんなことより、どうするのよ・・・。フーケがあらわれるまで待つ?」
「いや、オレが杖を取りに行く。サポートには・・・
 ディアボロともう一人ほしい。」
そういってタバサに目配せするメローネ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」キュピーン
何かを感じたようにタバサはキュルケをちら見する。
「・・・!・・・(コクリ」
キュルケも同様にルイズを見た。
「私が行く。」
タバサが言うと
「じゃあ私が。」「ここはわたしが。」
ルイズとキュルケが続け、ロングビルの方を見る。じっと見つめる。
「・・・・・・・・・・・・じゃあ私が。」
「「「どうぞどうぞ」」」
ロングビルが空気を読める人間で助かったと、メローネは思った。

パソコンを持って平然と小屋に近づくメローネ。
その後にロングビルとディアボロが続く。
「小屋に入るのはオレとミス・・・えーーっと・・・」
「ロングビルです。」
「ミス・ロングビルだ。ボス、あんたは『エピタフ』で見張りを。」
「わかった。」
いきなりドアを蹴り壊すメローネ。中には誰もいない。
「・・・留守か。」
そしてメローネは箱に入っている『破壊の杖』らしき物を見つけた。
「・・・やはり、な。」
それはどう見てもラケットであった。しかし体に変化はないし、声も聞こえない。
「それが・・・『破壊の杖』・・・」
「そのようだ。だけどこりゃ只のラケットだ。何かが乗り移ってるかと思ったが・・・ハズレだ。
 それにこれだけじゃあ何の役にも立たん。」
「そうですか・・・それでは戻りましょう。」
「ちょっと待った。」
ロングビルを呼び止めるメローネ。
「なぁ・・・。少しオレが言う質問を考えてくれんか?」

「あんたは・・・なんでフーケがこんな所に大事なモンを置いてたと思う?」
「さぁ・・・。おそらく使い方が解らなかったんじゃあないでしょうか?
 使えない物を大事に取っておく理由もありませんし。」
「そうだな。で、あんたは使い方が解らない物を手に入れたらどうする?
 オレだったら・・・使い方を知ってそうな人に聞く。」
「はぁ。」
「これの使い方を知ってそうなのは学院の教師だ。だからフーケはそいつらをおびき寄せて
 見つけてもらうためにこんな所に『破壊の杖』を置いておいた。どう思う?えーーーっと・・・」
「ロングビルです。・・・仰りたい意味が理解できませんが・・・」
「思い出した!あんたの名はフーケだ!あってるよな、『土くれ』のフーケさんよ!!
 もっと格好良く言ってやろうか?フーケ・ザ・ランプオブアースさんよ!!」


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