ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

仮面のルイズ-1

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匿名ユーザー

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この、トリスティンの魔法学院には、ゼロと呼ばれるメイジが居た。
魔法成功率ゼロ、それが彼女のあだ名の理由だった。
メイジは、ある時期になると使い魔を召喚し、一人前のメイジとしての第一歩を踏み出す。
言い換えれば、使い魔の居ないメイジは、見習いのメイジなのだ。

ゼロとあだ名される女性、ルイズは、使い魔を召喚するサモン・サーヴァントの儀式に失敗し、同級生からの失笑を買い、失意のまま寮の自室にこもっていた。
いや、正確には失敗したわけではない。
失敗したと申告してしまったのだ。

ルイズはベッドの中で、奇妙な石の仮面を撫でた。
サモン・サーヴァント時、爆風と共に現れた仮面。
ルイズは爆発の土煙が晴れないうちにそれを拾い、懐にしまい込んだ。
幸い誰にも見られなかったようで」、コルベール先生が儀式を続けるように促す。
しかし、今度は爆発すら起こらない。
背後からヤジが飛ぶ、ゼロのルイズ、やはり失敗かと。

ルイズは二度目以降のサモン・サーヴァントが起こらないのを見て、ああ、この石仮面が私の使い魔なのかと、心の中で呆れていた。
そして『使い魔はこの仮面です』と申告するのを止め『失敗しました』と申告したのだ。

こんな仮面など壊れてしまえばいいと思った。
使い魔が死ねば再度サモン・サーヴァントができるのだから。
ハンマーでも用いて破壊してしまえばいい、そう思ったのだ。

ルイズはこの仮面を壊す前に、ふと思い立って、仮面を被ってみることにした。
何の変哲もない仮面だ、被ってみてもなんの反応もない。
もしこれがマジックアイテムだったら…
そんな想像をして、すぐにその考えを否定した。
これがマジックアイテムなら、もう何か反応があって然るべきだろう、やはりこの仮面はただの仮面なのか…ルイズは落胆する気も起きずに、薄くヒビの入った石仮面の表面を撫でた。

そして、薄く微妙にとがったヒビが、ガラスで手を切るように、紙をなぞって指を切るように、ルイズの指を薄く裂いた。

「!」
痛い、と思う暇もなかった。
ビシビシビシビシ
石の仮面から嫌な音が響き、次の瞬間
バシッ!
 ドスドスドスドスドスドスドスドスッ!
石仮面から突き出た、骨のような棘が、ルイズの頭を突き刺し、脳内がスパークした。



間に何秒かあっただろうか、ハッと我に返ったルイズは、誰が見ても即死だと思うほどの棘が刺さったのをものともせず、石仮面を力づくで床にたたきつけた。
ばちっ、と、とても石が砕ける音とは思えない音で仮面が砕け、その破片が部屋の扉の蝶番をを破壊した。
ギィィィーと音を立て、扉が倒れる。
ルイズの部屋の前を通りかかったキュルケは、倒れた扉を見て驚いた。
「ちょっとヴァリエール、あんたねえ、部屋で何やってるのよ、破片がこっちまで飛んできて危ないじゃない」
キュルケがルイズの部屋を覗くと、ルイズは地面に石仮面を投げつけた姿のまま、首だけをキュルケに向けてぼうっとしていた。
「…つぇ るぷ…すとー?」
「何やってんの?あんた」
キュルケはルイズの足下の床が砕けているのに気づいたが、いつもの失敗だろうと勝手に納得した。
ルイズの部屋は爆発の破片が飛び散り、カーテンが破けて酷い有様だった、キュルケは自分の事を棚上げしてルイズの部屋の惨状に呆れた。
「部屋で魔法の練習をするのはいいけど、せめてあたしの部屋まで壊さないで欲しいわね」
いつものように憎まれ口をたたき、ルイズをからかおうとしたキュルケだったが、今回はいつもと調子が違った。

キュルケに近寄り、ルイズはおもむろにキュルケに抱きついた。
「………ちょ、ちょっと、ヴァリエール」
ルイズは眠そうな目つきのまま、キュルケを見上げた。
そして、「ハァァァァア」と、とても甘く切ない息を吐いた。
それを嗅いだキュルケの意識が、少しぼやける。
最初は違和感だけだったが、いつの間にかキュルケの意識は宙に浮いたような感覚に包まれていた。
男性に抱かれてもこうはならない、身体の力が抜け、宙に浮くような怠惰の快感がキュルケを襲う。
そしてルイズは赤子のように、母親にじゃれつこうとする赤子のような笑顔を浮かべて、口を開いた。
「カハァアアアアアアア…」
褐色の肌、燃えるような髪、そして豊満な身体。
ルイズは純粋に、それを「欲しい」と思った。

私はキュルケが好き? 好き!だって、とても可愛いし、とても美味しそう…

そこまで考えて、ルイズの動きが止まる。
これじゃあまるで吸血鬼じゃないか、私はメイジ、そして貴族だ。
ルイズはキュルケから離れ、ベッドに腰掛けて、ふぅとため息をついた。
「あれ?」
我に返ったキュルケが惚けた表情を浮かべる。
「大丈夫よツェルプストー、ちょっと失敗しただけだから」
ルイズがそう言うと、キュルケは自分が何をしにルイズの部屋に入ったかを思い出した。
「あ、ああ、そうね…って失敗するなら尚更部屋でやっちゃ危ないわよ!」
「ふふっ、ごめんなさい、ところでツェルプストー」
「な、何よ」
「心配してくれるのね?貴女って、可愛いわ…」
キュルケは驚き、そして、慌てた。
「ななななな何言ってるのよ!」
「冗談よ、でも、貴女でも慌てるのね。…やっぱり、可愛い」
「あ、あたしにそっちの趣味は無いわよ」
流石にもう慣れたのか、キュルケはヤレヤレと言った態度でルイズの部屋から出て行った。


ルイズは倒れた扉をはめ込み、テーブルの端を引きちぎってくさびの代わりとした。
とりあえず扉を閉めることが出来たので、ルイズは服を脱ぎ、そして全裸になった。
(ツェルプストー、綺麗だったなあ…)
そう考えながら自分の喉に指を突っ込む、指はずぶりと皮を貫通し肉を貫通し、筋肉の感触を脳に伝えた。
(あの豊満な胸、かわいい、噛みちぎってあげようかな)
喉に突っ込んだ指をナイフに見立て、そのまま無造作に胸の前まで引いた。
(ちぃ姉さまが動物を飼うのが分かる…取るに足らない生き物って、とても可愛いんだ…)
喉から胸までが、醜く引き裂かれたに見えたが、流れる血は皮膚に吸収され、めくれ上がった皮膚とちぎれた肉は瞬時に再生し、傷一つ残らなかった。
(ツェルプストーの胸…)
ルイズは自分の腕に噛みつき、チューチューと血を吸った。
そのままベッドに入り、すぐにルイズは眠ってしまった。
夢の中ではキュルケをはじめとする生徒達の身体に噛みつき、とてもご満悦だった。

ルイズは、赤子が母親の乳にしゃぶりつくように、朝まで自分の腕から血を吸い続けていた。腕を朝までしゃぶっていた。



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