ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

喫煙! 煙草王誕生!

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喫煙! 煙草王誕生!

「おお、ジョータロー君! 例の物が完成しましたぞ!
 授業後、ちょっと教室に残ってくれますかな」
ある日、コルベールが授業開始前、承太郎にそう言った。
すると承太郎は珍しく嬉しそうに唇の端を上げ、無言でうなずく。
その様子を見て、ルイズは教室の後ろにいる承太郎を指を振って読んだ。
「……ちょっと、ミスタ・コルベールがあんたに何の用なの?」
「……たいした事じゃねえ、気にするな」
「気になるわよ。あんたは私の使い魔なんだから、変な事をされちゃ……」
「おめーに迷惑はかけねえ、安心しな。それと授業中は静かにするもんだぜ」
承太郎の口調が柔らかかった。
クールなのは相変わらずだが、ちょっとだけ『ハイ!』ってやつになってる感じ。
(いったい何があるんだろう)
ルイズは好奇心を押さえられず、授業に身が入らなかった。

そして授業後、みんなが教室から出て行ったが、何人かの生徒が残った。
「おや? ジョータロー君には残るよう言ったが、他の生徒達は何か用かね?」
コルベールは教室を見回す。承太郎の他に、ルイズ、キュルケ、タバサがいた。
「ダーリンだけ残して何をするのか興味あったんですもの。ねえ、タバサ」
「…………」
キュルケは承太郎が気になって残ったらしい。
タバサは、ずっと本を読んでいる。キュルケにつき合わされてるだけらしい。
そしてルイズは。
「ジョータローは私の使い魔なんだから、変な事しないように監視しないといけないの」
てな感じである。

「まあいい。ジョータロー君、頼まれていた物が無事完成した。
 すでに私も一度試しているが、なかなか上出来だと思うよ!」
「ほう、そいつは楽しみだぜ。さっそく見せてくれ」
そしてコルベールは大仰に小さなスティック状の物を掲げた。
ルイズ、キュルケ、そしてタバサもそれを見る。

「紙タバコ~!」(ドラ○もん調に)

ルイズ、キュルケ、沈黙。
タバサ、読書再開。
承太郎、無言。
コルベール、誇らしげ。
「ジョジョジョ、ジョータロー! 何なのよこれは!」
真っ先に沈黙を破ったのはルイズだった。
あの紙タバコには見覚えが、というか苦い思い出がある。
承太郎はというと、紙タバコを受け取ってルイズに振り向く。
「見て解らねーのか? ……タバコだぜ」
「そ、それは知ってるわよ! あんたの国のパイプでしょ?
 どうしてそんな物をミスタ・コルベールが……」
「おめーのおかげでパイプはある事が解ったからな。
 この前オールド・オスマンに会った時、紙タバコを見せて訊いてみた。
 パイプが作れるなら俺の国の紙タバコも作れるんじゃないかってな。
 そうしたら……ミスタ・コルベールなら作れるかもしれない……と。
 おかげでこれからはみみっちく残りの本数を気にせず、毎日好きなだけ吸えるぜ」
ルイズは生徒にあるまじき目つきでコルベールを睨んだ。
だがコルベールは楽しげだ。
「パイプより小さく、軽く、手軽に吸える。
 いやあ、ジョータロー君の国は色々な物が発展しているようだ。興味があるよ」
「ミスタ・コルベール……タバコをもっと作る事は可能か?」
「うーん、私一人では作れる量も時間も限られていて、材料費もかかるしなぁ……」

「ミスタ・コルベール!」
ルイズが叫ぶ。タバサ以外の面々がルイズを見た。
「こんな不健康なパイプを教師が作るなんてどうかしてます!
 ジョータローも、煙たいから部屋で吸わないでって言ったでしょ?
 なのにこれから毎日好きなだけ吸うだなんて……どういうつもり!」
「……安心しな、タバコを吸う時は部屋から出てやる」
それを聞いてキュルケがニンマリと笑う。
「あら、その時はぜひ私の部屋にどうぞ。歓迎するわ」
「キュルケ! あああ、あんた、どういうつもりよ!?」
「どういうって、ダーリンがくつろいで一服できる場所を提供するだけよ。
 ルイズったら、パイプが駄目だなんて……子供ねぇ。
 いい事? パイプは大人のたしなみよ」
「で、でも、身体に悪いし、背だって伸びなくなるわ!」
「ダーリンはもう十分背が高いわ。
 むしろ、煙を吸って自分の胸が育たなくなるんじゃないかって不安なんじゃなくて?」
「なななななな何ですってー!?」
ルイズとキュルケがギャアギャアと喧嘩を始める。
それを無視して承太郎はさっそくコルベール作の紙タバコに火を点けた。
「どうかね、ジョータロー君」
「……悪くねーぜ。できれば金を払いてーとこだが、ルイズは許してくれそーにねぇな」
と承太郎が言うや、喧嘩をしていたキュルケが承太郎に抱きついてくる。
「任せてダーリン! ツェルプストー家が全面バックアップして、
 紙タバコの大量生産をして上げるわ! 人も工場も材料もすべて任せてちょうだい!」
「……さすがに工場で生産されちゃあ、吸いきれねーが……」
「商売になる」
ボソリ、とタバサが呟いた。
なるほど、とルイズ以外がうなずいた。

後日、コルベールとツェルプストー家が協力してタバコ工場を経営。
コルベールは紙タバコの作り方を職人達に教え、
ツェルプストー家は人件費や材料費を全面負担。
そしてトリステインとゲルマニア両国で発売開始。
パイプより小さくて軽いため携帯が楽で、味や香りも上々。売り上げも上々。

こうしてジャン・コルベールは『煙草王』としてハルケギニアの歴史に名を刻まれる。
そしてツェルプストー家はその後もコルベールと協力し様々な商品を開発。
その名声はゲルマニアだけではなくハルケギニア全体に及んだ。

そしてこの物語の裏に隠された秘密……。
『紙タバコ』の理論を持ち込んだのは、ヴァリエール家の使い魔である、という事実。
これによりヴァルエーリ家とツェルプストー家の仲が、
さらに悪くなったとかならなかったとか。

『煙草王誕生!』
歌 :ジャン・コルベール
作詞:キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー
作曲:タバサ

   コココッ コココッ コルベールー!
   コココッ ココココッ コルベールー!

   吸えよ 小さな紙ターバコー
   赤い炎に 白きスモーク
   光り輝くハゲ頭 タバコの歴史築くたーめー
   今こそ喫煙だ!
   人の心の安らぎ作る タバコお安いですよ

   カカカッ カカカッ 紙タバコー!
   カカカッ カカカカッ 紙タバコー!
   ファイヤーボール承認だ!
   今だ! 大人のたしなみだ!
   喫煙最高!
   ツェルプストー・サラマンダー!(煙草の銘柄)

   タバコ! 煙! 喫煙! コールベール!
   誕生! ツルピーカー ハゲてるおじさま
   われらの煙草王!
   コッコッコッコッ コールーベーエールー!

これは、タバコ業界に革命を起こしたメイジ達の物語である!

スターダストファミリアー外伝 完

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