ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

L・I・A 第13話

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第13話 サザエさんとは言わせない・前編

仗助はまだ高校生であったが、魔法学院の教室は大学の講義室のイメージが似合う造りだと思った。
それが石で出来ている。いつか学校の世界史で習った中世の生活様式にますます当てはまる。
教卓が一番下の所に位置し、そこから半円状の階段式に席が続く。仗助とルイズが中に入ると先にやって来た生徒達が一斉に振り向き、そしてクスクスと笑い始める。
明らかな嘲笑の笑みだ。
曲がりなりにも普通ではない成りをしている仗助であり、人に注目されるのは慣れている。いささか居心地が悪いものではあったが。
見渡せば先ほどのキュルケもいる。周りを男子が取り囲んでいた。
なるほど、イチコロと言うのは言葉通りである。
まぁ、あのプロポーションでは無理もない。仗助だって華奢な女性よりは肉付きのあるグラマーな女性に魅力を感じる。
皆何処に行っても男と言うのは同じ様なものなのだろうか?
皆、使い魔を連れていた。
キュルケのサラマンダーをはじめとして、カラスや猫、蛇といったノーマルな生き物から、ゲームによく出てくるバジリスクやスキュアなどのファンタジーな生物もいた。
やがて奥の扉が開き教師が入ってくる。担当のミセス・シュヴルーズだ。
「(グレート。ますますファンタジーじゃあねェーかよー、まるでハリー・ポッターのキャラじゃあねェか)」
ちなみに仗助はゲームはした事はあっても本の方はあまり読んでいなかったりする。
「こんにちは皆さん。私、授業を担当する『赤土』のシュヴルーズです。一年間よろしくお願いします」
それで、毎年春の使い魔召喚は楽しみだと言った後、ぐるっと皆を見回す。
「あらあら、皆さん無事に成功しているようですね。このシュヴルーズ、嬉しいですわ。毎年使い魔達を見れるのが楽しみなのですよ」
そして視線がルイズの所で止まる。
「まぁ、ミス・ヴァリエール。貴女は変わった使い魔を召喚したのですね」
その瞬間、教室内がどっと湧く。
「ルイズ!『サモン・サーヴァント』に失敗したからってその辺の平民連れてくるなよッ!!」

笑いに包まれる教室、無論ルイズも食って掛かる。
見苦しい罵り合いを止めたのはミス・シュヴルーズだった。マリコルヌとかマリコルヌとかマリコルヌの口に赤土を突っ込んだのだ。
曰く「お友達を罵るのはいけません」だそうだ。
「(自分で振っといてそりゃあ~ねェんじゃあねェーのかー?)」

当たり前だが、初めて見る魔法の授業と言うのは仗助にとって新鮮だった。
土の魔法で建物やモノを作る。なんと便利な事かと思った。聞けば土の他にも火、水、風、そして失われた虚無の全てで5つの属性があるそうだ。グレート。
「ミス・ヴァリエール!授業中に私語は慎みなさい!」
「すみません・・・」
どうやらあれこれと聞いたせいで彼女が咎められた様だ。悪ィな、と仗助は呟いた。
「そうですね、なら貴女には前に出てやってもらいましょうか?」
その言葉に場が一瞬凍った。今しがたやっていた『錬金』をやれと言うことだ。
ミス・シュヴルーズは石を真鍮に変えていたが、生徒には危険なモノなのか?
「み、ミセス・シュヴルーズ・・・・」
そこにキュルケが進言する
「ルイズにやらせるのはやめたほうがいいかと・・・」
周りも無言の肯定を顔に現している。
「何故ですか?彼女は努力家と聞いていますが?」
どうやらミセス・シュヴルーズは分かっていないようだった。そして仗助も分かっていなかった、
「や、やりますッ!」
ルイズはルイズでむきになり、目が血走っている。つかつかと教室の前へと歩いていった。

「さぁ、変えたいと思う金属を自分の中で強く思い浮かべるのですよ」
ミセス・シュヴルーズは前に出たルイズを指導している。
結果・・・・・

ドッギャァァァァァン!!!

大・爆・発ッ!
突如石が爆発し、破片を撒き散らすッ!
煙は部屋中を包み、まさに阿鼻叫喚の地獄と化す。
驚いたカラスがマリコルヌの頭を穿ち、部屋に突っ込んだ大蛇がマリコルヌに噛みつき、バジリスクがマリコルヌにタックルし、マンティコアがマリコルヌにさらにもう一発。キュルケのサラマンダーがマリコルヌの全身を焼き尽くす。
「ラッキー!?俺のらっ・・・ってあれ?マリコルヌ?」
「バジリスクが!・・・・・マリコルヌ?」
「マリコルヌ?・・・・」
煙が晴れかかり、皆がある1人の生徒に注目する。
「「「「マリコルヌッ!!」」」」
マリコルヌ・・・・全身火傷、裂傷、擦過傷、爆風による打撲傷及び、左上腕・右手甲部開放骨折
再起不能(リタイア)。治療に莫大な金額を要するも、後日仗助の(隠密での)治療により完治。精神的ダメージはトニオが担当。目下、香草等の食材を研究中・・・・・


ルイズと仗助以外誰も居ない教室。あの後ルイズは部屋の片付けを命じられた。
魔法行使を禁じての。とはいっても彼女には『使えない』ので無意味な言葉であったが・・・・

床を掃き、ガラスを付け替え、破損部分を修理する。
この程度、仗助の『クレイジー・ダイヤモンド』なら容易い事だが、わざわざ手札を見せることもないし、なにより『責任をとる』と言う意味で彼女の為にもならない。
そこで仗助は自らの手で手伝っていた。途中、ルイズの理不尽な理屈が飛び出したが、そこはガン見で黙らせた。こういうのは甘やかすと良くない。
基本的な常識を持ち合わせていた仗助であった。
「ふゥーー」
最後のガラス戸をはめ、全て完了する。見るとルイズは俯き加減だ。
「そんなによォーーー、気にしなくてもいいと思うゼェーー?誰にだって失敗はあるッスからね」
「・・・・・・・そうね」
まだ足りないか?
「しっかしまぁ~恐れ入ったゼェーーー魔法てのはよォーーー。アレなら優れた武器になるんじゃあねェーーーのか?グレートな爆発だったゼェーーー」
彼なりの励ましであった。彼女が『ゼロ』と呼ばれる所以が分かった。
しかし、あのような形で失敗となるのなら、逆に強力な武器として機能するだろう。欠点を長所として昇華させるのだ。
人生どんな危険があるか分からない。こんな魔法の発達した世界であれば尚更の事だろう。
「・・・・さい」
しかしルイズはそう思わなかった。
長年に渡って抱いていたトラウマはそうそうポジティブに改め考えられるモノではないし、なにより彼女には『誇り・プライド』があった。

「あ?」
「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいッ!アンタも私を馬鹿にするのねッ!?」
「ンな事一言も・・・・」
「いいわッ!アンタがその気なら、ずっとずっとずっとずーーーーーッとご飯抜きなんだからッ!」
そう言って去ってしまった
聞くと無意味そうなこの言葉、実は絶大な効果を発揮する。
今朝の時はある意味『特別』だった仗助の食事が目を引いたために、トニオのあの行動に繋がった。説教をして仗助にも同じものを食べさせるように言った。
しかし、貴族の食事が一食分だけ抜かされるとなると、逆に溶け込んでしまう。たった一食分のキャンセルなど誰も気にかけない。
トニオだって料理を捌いている以上、ずっと仗助を気にかけている余裕もない。
「グレート・・・なんてこった」
アイツやりやがった。俺を飢え死にさせる気かッ!?「ふぅ~~~」
たかると言うのはポリシーじゃあないがこの際致し方がない。
「厨房で何かもらうか」
仗助は食堂へと足を運ぶのであった・・・・・

To Be Continued・・・・・

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