ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

白銀と亀の使い魔-15

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匿名ユーザー

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ポルナレフがルイズを助ける少し前のこと。
「いいか、よく聞け。フーケが出て来たのはチャンスだ。今なら奴を倒せるかもしれん。」
ポルナレフはシルフィードの上で二人に話し出した。「確かに出て来たのはいいけど、あたし達の魔法じゃきっと効かないわよ?」
「お前達の魔法じゃあ無い。あくまで可能性の話だが…」
タバサが持っていた破壊の杖を指差した。
「その破壊の杖ならあのゴーレムを一発で破壊できるかもしれない。そして俺はその使い方を知っている。」
二人は驚いて、顔を見合わせた。破壊の杖を初めて見たばかりのそれもメイジではないはずのポルナレフが「使える」と言い出したのだ。
「だが、使うにはあそこにルイズがいると危険だし、距離と時間が必要だ。」
だからフーケの動きをしばらく止めてくれ、とポルナレフは頼んだ。
「ダーリンの頼みなら断る理由は無くてよ!それにルイズばかりかっこよくさせとくのも釈だし。」
「…(コクリ)」
キュルケとタバサは快く承知した。
ポルナレフはそれじゃあ頼んだ、とだけ言うと亀と破壊の杖を持って飛び降りた。


「はん!何わざわざ『土』は切れないなんて教えてんだい!これであんたの勝ち目は無くなったよ!」
フーケはゴーレムの腕を鉄に変えずにポルナレフに向かって撃った。
ポルナレフはルイズを抱えて急いで避けると、そのまま背中を向けて逃げ出した。
「逃がさないよ!」
フーケはゴーレムで後ろから追おうとしたが、
「ファイア・ボール!」
キュルケ達に邪魔された。「うざったい虫だね!」
空から来る二人の魔法に足止めを喰らうフーケ。ちらりとポルナレフの方を見ると、いつの間にか大分距離が開いていた。
ヤバイと思ったが、はたと気付いた。何故ポルナレフは破壊の杖を持って来たのだ?ルイズを助けるだけならば邪魔以外のなんでも…
そしてフーケはニィっと口を歪めた。
(こいつは『当たり』だったようだね…。まあ、ゴーレムは犠牲になるかもしれないけど…)
フーケはそう考えると今度は『わざと』じりじり後退していくような振りをした。

ポルナレフはフーケのゴーレムからある程度距離を取るとルイズを亀の中に入れ、破壊の杖を構えた。
「こんなものには頼りたくないんだがな…生憎チャリオッツじゃああいつには分が悪すぎる。」
ポルナレフはそうぶつぶつ言いながら慣れた手つきで破壊の杖の安全ピンを抜きとり(めんどくさいので省略)安全装置を外した。弾数は一発。失敗は許されない。
「タバサ!準備は出来た!すぐにゴーレムから離れろッ!」
ポルナレフがそう叫ぶとタバサは急いでシルフィードを上昇させた。
それを確認すると、ゴーレムに狙いを定めポルナレフはトリガーを引いた。
しゅっぽっと栓抜きのような音がして羽がついた大きな弾が白煙を引きながら飛び出した。
その弾がゴーレムの身体にのめり込んだ瞬間、その衝撃で信管が作動、弾頭は爆発し、ゴーレムを吹っ飛ばした。
だがその爆風の中、三人共気付かなかった。フーケが砕け散っていくゴーレムの残骸と共に落ちていく最中、笑っていたことに。

「後はこの土の中からフーケを探し出したらようやく終わりね。」
「…」
ポルナレフ、キュルケ、タバサの三人はゴーレムの残骸もとい土の山の前で立ちすくんでいた。ちなみに破壊の杖はすぐ近くの地面に置いてある。(ルイズはまだ亀の中で気絶している。)
正直言ってこの中から探し出すなんて面倒である。
「それにしてもダーリン。何で破壊の杖の使い方を知ってたの?」
「ノーコメントだ。」
「…ずるい」
三人がそんなやり取りを交わしている所に
「皆さんすいません。遅くなってしまって…てこの土の山は!?まさかフーケが…」
ロングビルが森の中から現れた。
「ああ、フーケが襲って来た。罠だったみたいだが俺がその破壊の杖で奴を倒し…「そこまでだよ。全員動くな。」!?」
ロングビルがポルナレフの言葉を遮った。その手には破壊の杖。
「ミ、ミス・ロングビル?」
キュルケがまさか、という顔をした。
「その通り。あたしが『土くれ』のフーケさ。
すまなかったねミスタ・ポルナレフ。あんたのお陰で全ては上手くいったよ。本当に感謝しているよ。」
フーケが嫌味ったらしく言った。
「成る程、やはりあれは嘘だったか。しかし、感謝しているならその破壊の杖を下ろしてもらいたいものだな…」
ポルナレフは静かに言った。
「駄目駄目。だってあたしの正体ばれてるのにここで逃がしたらあたしが大変な目に会うからね。
あんた達には残念だけど、これで死んでもらうよ。」
フーケがそう言って、破壊の杖の照準をポルナレフに合わせようとした時、ポルナレフはクククと笑い出した。

「?何笑ってんだい?」
「さっさと魔法で俺達を始末すればいいのに、貴様が無駄口叩いているのが面白くてな…しかもそれはな、」
ドサッ
ポルナレフがそこまで言った時、いきなりフーケが倒れた。首の付け根に丸い凹みが出来ている。
「単発式…てもう聞いてないか。」

ポルナレフはロングビルが自分がフーケと明かした時、既にチャリオッツの剣針を飛ばしていた。
直接やらなかったのはフーケの位置までチャリオッツが届かなかったからだ。そして剣針は森の木々に反射し、見事フーケの首に命中したのだ。


「まさかミス・ロングビルがフーケだったとはのう…」
四人の報告を受けたオスマンは多少残念そうに言った。オスマンいわく、酒場で給仕をしていた彼女の尻を故意に触ったのだが怒らなかった、という理由だけでスカウトしたらしい。
その場にいたコルベール含む五人全員「死ねばいいのに」と思ったのは言うまでもないが、コルベールとポルナレフの親父二人はまあ、色々あったので少し同情した。
とりあえず体裁だけ整えてからオスマンはルイズとキュルケにシュヴァリエ、タバサには精霊勲章を申請しておくと言った。
その言葉に三人は誇らしげに礼をしたが、ルイズはあることに気付いた。
「オールド・オスマン。ポルナレフには何も無いのですか?」
「残念じゃが、彼は貴族では無いのでな…」
「そんな…」
1番手柄を立てたと言えるポルナレフには貴族では無いというだけで何も無いのか、ルイズはその理不尽に憤慨したが、ポルナレフはその肩を叩いて、
「俺は別に何もいらない。色々訳ありでな…」
と言った。
その言葉にルイズは渋々頷いた。

「それはそうと今夜は『フリッグの舞踏会』じゃ。この通り『破壊の杖』は戻ってきたし、予定通り執り行う。
今日の舞踏会の主役は君達じゃ。用意してきたまえ。せいぜい着飾ってくるのじゃぞ。」
三人が礼をしドアに向かったがポルナレフは行こうとしなかった。
「ポルナレフ?」
「先に行ってろ。こいつらと話がある。」
ルイズは納得いかなかったが、渋々出て行った。
「何か、私に聞きたいことがお有りの様じゃな…言ってごらんなさい。
出来るだけ力になろう。君に爵位は…ああ、要らないんじゃったな。まあ、せめてもの御礼じゃ。」
「聞きたいことは二つある。一つはこのルーンだ。薄々気付いていたが、このルーンは剣やナイフを持つと何故か反応する…これは何だ?」
「うむ…それは伝説の使い魔の印じゃ。」
「伝説の使い魔?」
「さよう。始祖ブリミルの使い魔でガンダールヴと言う。彼の者はありとあらゆる武器を使いこなした、と言い伝えられておる。
コルベールの仮説じゃったがどうやら本物らしいな。」

「なるほど…だから破壊の杖も扱えたのか。しかし何故あの小娘が俺達をそのような使い魔として召喚したのだ?」
「すまんが、そればかりは分からん。」
「…まあ、いい。それよりだ。あの破壊の杖はどうやって手に入れた?あれは俺がいた世界の武器だ。この世界の技術で作れるはずがない。」
「君がいた世界…ああ、君が言ってた召喚される前の魔法が無い世界か…まあ、話すと長いのじゃが…」
オスマンが言うにはその昔ワイバーンに襲われ危機に陥った所を破壊の杖の持ち主に助けられたらしい。
「その男は?」
「死んだよ。酷い怪我を負っていてな…『元の世界に帰りたい』とベッドで言っていたよ。
彼は破壊の杖を二本持っていてな、それで彼の墓に彼が使った方を埋め、もう一本は宝物庫にしまったのじゃ。」
「そいつが来た方法なんかは聞いてないのか?」
「聞いたのじゃが、本人も分からんと言っておった。すまんな、力になれなくて。」
オスマンがすまなさそうに頭を下げた。
「別に構わない。ただ、俺や亀の様に来た奴がいる…それさえ分かればな…」
ポルナレフは立ち上がると一礼してから退室していった。


To Be Continued...

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