ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第2章 ゼロのルイズッ! 中編

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第2章 中編


「……50Mプールぐらいあんじゃねぇか?ここ。」

トリステイン魔法学院の食堂は(ry   …とにかく広くて豪華です。
この学院では、マントで学年分けしてるみたいだ……。
一年生は ”marrone”(伊:茶色の)    二年生は ”nero” (伊:黒い)   三年生は ”viola”(伊:紫色の)
一年生より、三年生の方が凄い魔法とか使えるのか?
食堂には生徒以外にも教師が朝食をとりに来ていた。
(教師か…。 それこそ”凄いヤツ”がいてもおかしくないな)
キョロキョロと辺りを見渡していると、ルイズが講釈し始めた。
「どう? 凄いでしょ。」
「あぁ。とても豪華だし、人もいっぱいいるな。」
得意げにふふんと鼻を鳴らし、話を続けるルイズ。
「トリステイン魔法学院が教えるのは、魔法だけじゃないのよ」
「魔法だけじゃない?」
「メイジはほぼ貴族なの。貴族たるべき教育を、存分に受けるのよ」
食事も”貴族らしく”ってことらしい。 マナーは勿論、質と量も。
ほんとは、この食堂へは『平民』は一生入れないらしい。
それはそれは。とあいまいな返事を返しつつ、ルイズのため椅子を引く。
桃色がかったブロンド娘は気品良く、椅子に腰掛ける。
「隣に座っても?」
こちらもマナーとして一応御主人様にお伺いを立てる。
「残念でした。 あんたは…」
そこまで言って、ルイズは固まってしまった。
どうした? スタンド攻撃でもされたか? オラオラですか? 無駄無駄ですか?
「……」
「もしかして…」
「……」
「オレの分、準備していない?」
「…Yes!Yes!Yes!……(OH MY GOD!)……」



「………(ドジこいたーッ! 昨日厨房に言い忘れてた! とっておきの作戦があったのに!こいつはいかーん! チクショー!!)」
「……それはねぇよ。 ルイズ…」
「き、貴族でも、極々稀にミスはするものよ!」
「………」
今度は使い魔が黙る。何か訴えるかのような目つきでルイズを見つめる。
「……な、何よ?」
「―――ミスより」
「は?」
「ミスよりキスがいいな……」
「…なッ!!」
今度はルイズが赤くなる。それにして感情の起伏が激しい娘だ。
「御主人様より、『ごめんねのキス』を頂ければ幸いです…」
仰々しくお辞儀をして、ゆっくりと頭を上げる。
…ヤバイ。 肩を小刻みに震わせている。 キレるな。これ。
調子に乗るんじゃあない!とテーブルにあったフルーツを投げつけられる。
貴族のマナーは一体何処へ……。
「『食べ物を粗末にしちゃいけません!』って、危ないっ!」
至近距離である。いくら少女の力でも痛い。
特に落とさないように、掌で受けるから痺れる痺れる。
数個投げると、ルイズは椅子に座りなおし、そっぽをむいたまま告げる。
「……そ、それでも食べてなさい!」
「……キスは?」
今度は燭台を投げようとするルイズを見て諦めた。

…朝は『濃い目のエスプレッソに、砂糖をたっぷり入れたヤツ』って決めてんだがなぁ……。
怒るルイズから逃げるため、食堂の壁際まで逃げてきていた。
でもエスプレッソどころか、コーヒー自体あるかどうか……。
パスタやピッツァは? そもそもトマトはあんのか? …すげー不安だ。
朝食は軽めに済ませる性質(たち)のスクアーロは、フルーツと思わしきものに噛り付く。
リンゴだよな?… こっちは…どう見てもオレンジ……。
元の世界とほとんど似ているが、なんとなく違う気がするフルーツを味わう。
味は悪くない。というか美味い。……良かった。これで食事は期待できる。
この味が”美味い”という感覚ならば、料理も高水準だろう。
しかし、これはあくまでも貴族用だ。
使い魔でしかも平民(とされている)の自分の食事はどうだろう?
朝はともかく、昼食や夕食が貧しいものであったら……。
「かなりヤバイな…(自制が利くかどうか… きっと暴れるね…)」
交渉なり、実力行使なりで、どうにかしなくては……。
ルイズと交渉するか…? だめだろうな… きっと…。
窃盗・恐喝でもするか…? …それじゃ、ただのチンピラだ。 …最終手段だな…。
もっと、楽で確実で。できれば美味いものを…。

一年生の女子生徒が数人、こちらを”ちらちら”見ているのに気づく。
笑顔で手を振る。 あ… 貴族様だから、怒るか無視する?
(あれ… 笑ってる… というか、喜んでる?)
以外にも邪険にするでもなく、キャッ!キャッ!とはしゃぎながら食堂を出て行った。
少しだけ気分が和んだ。
なるほど。どこの世界でも”乙女は乙女”なのか。
ついで(…といっては失礼だが)に、料理を運ぶメイド達にも手を振る。
一人一人、目が合った順に手を振る。 
流石に仕事中であるし、目の前で貴族様の給仕をしているからか、表情や仕草に変化は無い。
そりゃそうだ。と割り切ろうと思った時、一人の黒髪のメイドが横を通る。
(この子には、最初の方で手を振ったな… 黒髪か… うん!”ディ・モールト”可愛い!)
通り過ぎると思った時、目の前で立ち止まり、感謝の意を述べきた。
「御心遣い、ありがとうございます。 貴方様も、お仕事頑張ってくださいね」
…マジで? この世界の女性は優しいなー。 …たとえ社交辞令だとしても。
コチラコソ、アリガトウ。キミモガンバテネ。 ……何故かカタコトでお礼を返す。
メイドは微笑を湛えたまま、礼をして厨房の方に下がっていく。
なるほど、貴族相手(オレは違うが)には笑顔と礼儀が基本てか?
感心しながら、メイドが下がっていった厨房の方をぼーっと見る。……厨房?

―――厨房関係者を味方につける?
余った食材なら、少しぐらい分けてくれるだろうし、さらに料理できるやつなら申し分ない。
良し。決定。後で厨房に行こう。
とりあえず、行けば何とかなるだろう!
気づくと、昨日は何も食べていなかったせいか、果物を残さず全て食べていた。
遠くにいる御主人様も、どうやら食事を終えたようだ。
さあ、御主人様の元へ馳せ参じますか―――。

「…意外と順応してるなぁ。オレ。」

自分の適応能力の異様な高さを感心しながら、うんと背伸びをした。
なんだかんだで、朝飯抜きにせず、
ちゃんと自分に果物を(投げつけて)与えたくれた
(すこ~しだけ)優しい御主人様に
(すこ~しだけ)感謝しながら
ルイズの元へ歩き出す―――。

「…あんた、一年生とかメイドに『手』振ってたでしょ? 笑顔で。」
「え? あ、あれは…。 挨拶です。挨拶。」
「今日から三日間、ご飯抜き。」
「……飛びてー」
前言撤回! 全然優しくない!
…早く食料事情を何とかしなければ……。

―――今晩当たり襲いかかろうか?

……なんとも不穏当なことを考える鮫であった。



「The Story of the "Clash and Zero"」

第2章 ゼロのルイズッ! 中編終了


To Be Continued ==>

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