ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

いただきマサクゥル

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匿名ユーザー

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ゴーリ、ゴーリ。
ゴーリ、ゴーリ。
規則正しい低音のリズムがトリステイン魔法学院の厨房中に響き渡る。
シエスタと承太郎が二人で何やら料理を作っている最中らしい。
ゴーリ、ゴーリ。
ゴーリ、ゴーリ。
「ジョータローさん、随分スリコギの使い方が手慣れてるんですね…意外です」
「スリコギを使うのはこれが初めてだが…どうやらガンダールウ"の力の所為らしいな。よくわからねーがスリコギを握った瞬間、扱い方が言葉でなく心で理解出来たぜ…」
ゴーリ、ゴーリ。
ゴーリ、ゴーリ。
そう!奇音の正体は何かを擦り潰す音ッ!その擦り鉢と擦りこぎの間に生じる真空状態の圧倒的破壊空間はまさにキューピー的クッキングの小宇宙!!
しかし彼等は一体何を調理しているのか?

…話は数時間前に遡る(回想)
…何やら、シエスタがタルブの村に帰省した折、家族からその地でしか栽培されていない珍しい穀物と豆を分けてもらったらしい。
「“モチゴメ”と“アズキ”っていうんですよ。今日はこれを使ってお祖父ちゃんの故郷に伝わるお菓子“オハギ”を作って皆様に振る舞わさせていただこうと思います」
「本当かいシエスタ!そいつぁ午後のお茶会が楽しみだ。なぁジョータロー?」
「おはぎ…だと?」

┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛┣゛
ただならぬ気配が辺りを充満する。
「…ジ、ジョータロー?どうしたんだい血相を変えて?」
「やれやれ…1オハギストとして手を貸さねー訳には……いかねーぜ。シエスタ、俺もおはぎ作りを手伝うぜ」

(回想終了)
…つまりはこういう訳だったのだ。
アズキを選り分けながらジョータローは『海洋学者の次におはぎ刑事になるのが夢だ』とも語っていた。
彼をここまで熱くさせるとは、ますます“オハギ”とやらの味に期待が高まってくる。
しかし、先程から物騒な会話が聞こえて来るのは気の所為だろうか。

ボソ…「半殺しにしようか」「いや皆殺しも捨てがたい」…ボソ、ボソ……。
いや、やはり幻聴や空耳等ではないらしい。
もしかするオハギとは『ンまぁ~いっ!!』と叫んで歯やハラワタを吹っ飛ばして食べる料理なのだろうか…。はたまた、中心に針が埋め込んであってその斬新な歯触りを楽しむ新感覚和スイーツ…。

悶々と悩んでいると、モチゴメにアズキを塗りたくるジョータローとバッチリ目が合った。あ、ジョータローが今、ニヤリと邪悪に笑った気がする。
なんというマサクゥル…背筋がゾッとしてきた、この料理は間違いなくホウ酸ダンゴ\(^o^)/
心なしDIOギーシュと番鳥ギーシュの気配もしてきたぞ!慎みたまえ!君達は今、黄金ギーシュの前に居るのだ!冗談じゃない、僕は部屋に戻らせてもらうぞ!

厨房の出口に向かおうとした瞬間、肩を掴まれた。
「待たせたなギーシュ…。おはぎが完成したぜ。自信作だ、ジャイアンシチューの1000倍は上手いぜ」
「ジョータロー、ゼロに1000をかけてもゼロはゼロのままだよ」
僕が情けなく反論したその時、「あらぁ?ルイズ、ギーシュがゼロ、ゼロと貴女の事を噂してらっしゃるわよ」
「うっさいわねキュルケ!ギーシュ、あんたも自重しなさい!」
…ああ、キュルケとルイズだ。
「早く、試食する」
すぐ先のテーブルではいつの間に居たのかタバサがオハギと食器をセッティングしていた。…ああ、もう逃げ場はない。

僕は諦めて皆と一緒に席に着く。
各々好きなだけオハギを取り分け、始祖ブリミルに食前の祈りを捧げ、そして声を合わせて…
「「「「いただきマサクゥル!!!(完食、お残しは許しまへんでー的な意味で)」」」」
えぇーい、ままよ!僕はやけになって一番でかいオハギを手掴みで口に放り込む。…モグ、…モグ。
「あれ…?美味しいぞ」
僕が想像してた悲惨な味や毒の気配は全くないぞ。

「本当ね、外のアズキはサックリ上品に甘くて中のモチゴメはモッチリ弾力があって…ボーノ(美味しい)!流石あたしのダーリンね!」
「あによ、思ったより上出来じゃない、ジョータローってば見掛けによらず案外器用なのね。」
「雄山も月まで吹っ飛ぶ、この衝撃」
皆の賛美をうけてシエスタとジョータローは満更でもなさそうだった。
「で、でもおかしいぞ辻褄が合わないッ!」「辻褄が合わねーのはおめーの言動だ、ギーシュ。一体どうした」僕はここぞとばかりに疑問を吐き出す。

「さっき二人はオハギを作りながら皆殺しだの半殺しだの呟いてたから、僕はてっきりオハギってのは呪いのマジックフードか何かだと…違うのかい?」
言い切った次の瞬間、辺りは爆笑に包まれる。
「ギーシュ、あんたバカぁ?ダーリンとシエスタがあたし達に毒を盛る理由がないじゃない」
「頭脳がマヌケってやつね」
「うわぁギーシュのおつむの中すごくスカスカなりぃ」
棒読みはやめてくれタバサ。泣きたくなる。

ジョータローは帽子の位置を直しながら『やれやれだぜ』と溜め息を吐く。
「ギーシュ、何か勘違いしている様だが…その半殺し云々はモチのつき具合の話だ」
クスクスと微笑しながらシエスタがジョータローの後を続ける。
「モチを完全についたものを皆殺し(ボタモチ)、モチゴメの食感を残した状態のものを半殺し(オハギ)と呼ぶんですよ。」
「そうだったのか。なるほど…」
「アナル・ホールド…」
タバサ、ちょっと自重したまえ。
「ようし、毒がないと解ったらからにはバンバン食べるぞ!シエスタ、そこの草餅も取ってくれたまえ!」
「あ、あたしにも一つ」
「私にもちょうだい」
「俺も一つもらうとするか…ところでシエスタ、お前いつの間に草餅なんか作ったんだ」
草餅にかぶりつきつつジョータローが尋ねる。
「え?この草餅ジョータローさんが作ったんじゃないんですか?」

その返事を聞くのと、悲鳴をあげて皆の意識が途切れるのはほぼ同時だった。
「奴隷!鉄!見えない!終わったよ……(食中毒的な意味で)」
「ギニャアァ!」
「ヤッダーバァァァ!」
「ゴルバチョフッ!」
「み、皆様どうなされたのですか!?」
慌ててゆさゆさとルイズ達の肩をゆするシエスタ。
その横で紅茶を啜るのは、唯一意識が有るタバサ。
「ハシバミ草餅は、とても美味しいのに。不思議」
シエスタが恐る恐る尋ねる。
「あ…もしかしてこの草餅を作られたのはミス.タバサ…」
タバサはそれには答えない。
「今回のハシバミ草餅は時代を先取りしすぎて皆の舌はついてこれなかった。無念。」次こそは、必ず、…そう呟くとタバサは風の様に去っていった。


ジョータロー:再起不能
ルイズ:再起不能
キュルケ:再起不能
ギーシュ:再起不能
タバサ:ハシバミ草餅を食べ過ぎて2キロ太るが三日で元に戻る。再起可能。
シエスタ:お茶会の後始末に一苦労。再起可能。


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