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そういえば教室の場所を聞くのを忘れていた。 どうやって教室を探すか。むやみに散策しても見つからないだろうし、遅れたらルイズが何を言い出すか。 しかしそんな悩みは、校舎にはいるなりあっさりと解決した。 廊下には人、人、人。軽く40人ぐらいはいる。どうやら何かあって、ここまで難を逃れてきたらしい。 時折聞こえてくる会話内容から、教室で爆発があり、ここまで逃れてきたこと。そして今、ルイズと、その使い魔が罰掃除をしているということを、僕は知った。 使い魔というのは才人の事だろう。罰掃除と言うからには、ルイズがこの騒ぎに何らかの原因を担っているのは間違いない。僕はそのとばっちりを受けたと言うことだ。 生徒達の様子から、まだ爆発して、それほど時間は経っていないらしい。教室も解ったことだし、急ぐ必要もないだろう。 僕はゆっくり歩いていくことにした。 いざ教室についてみると、中は凄い惨状を呈していた。 教室は一般的な大学の講義室のような造りをしているのだろうが、教室全体が煤汚れており、石っころが机や、壁にまでめり込んでいる。 教壇の辺りでは、才人とルイズが雑巾とちりとりを片手に、石っころを取り除きながら、煤汚れを拭き取っていた。 よく見るとルイズは机しか拭いていない。床などは全部才人がやる羽目になっているらしい。 と、机を拭いていたルイズが顔を上げる。僕が入ってきたことに気がついたようだ。 「遅いわよ、下僕! ほら、早く煤落とすの手伝って!」 どうしてこう、わざわざ勘に障る言い方をするのか。 僕は抗議もかねて、ルイズが渡そうとしている雑巾を無視し、教室中央にあったバケツから、新しい雑巾を一つふんだくり、才人の方へと向かった。 ルイズがなにやら言いたそうに、眉間にシワを寄せてこちらを見る。大方そこを全部任して、自分は休憩するつもりだったのだろう。そうはいかない。 僕が才人と一緒に床を拭き始めると、ルイズは諦めたように、机磨きを再開した。罰掃除という名目上、無理には押しつけられない様だ。 「しかし、何でこんな事になったんです?」 僕は才人に、ルイズには聞こえないよう小声で、どうしてこんな事になったのかを訪ねた。 不満げに床を拭いていた才人は手を止め、口元をにやりと歪ませ、喜々として語り出した。 「ルイズの二つ名……ゼロのルイズって言うんだけど、何でだと思う?」 何故だろう。胸がゼロだからか? 確かに干しぶどうみたいな申し訳程度の胸だが。 いや、胸から離れろ。 「魔法成功確立ゼロだからだとさ。何をやっても爆発するんだと。これも『錬金』とやらの失敗でなったんだぜ?」 才人の声がだんだんと大きくなっていく。色々溜まっているのだろう。しかし、ルイズに聞かれたらどうするつもりだ。 「錬金! あ、ボカーン! 錬金! あ、ボカーン! 失敗です! ゼロだけに失敗であります!」 既に声はかなり大きくなっていた。間違いなく、ルイズに聞こえているであろう。 どうして虎の尾を踏むようなまねをするのか。ルイズの方を見ると、机に突っ伏してプルプルと震えている。 手遅れかも知れないが、僕は才人に釘を刺す。 「才人、せめてもう少し小さな声で……」 しかし弱点を見つけて浮かれている才人は、声が大きくなっている事にも気がつかず、続ける。 「ルイルイルイズはダメルイズ~ 魔法が出来ない魔法使い~ でも大丈夫! だって、女の子だもん…… なんてな。ぶわっはっはっはっはっ……」 「当て身」 僕は才人の首筋を叩いて、強制的に黙らせることにした。このまま放っておいたら、僕まで何をさせられるか… もう一度、ルイズを見る。一見平静を装って、机拭きを続けているが、その表情には影が出来ている。 既に手遅れだったようだ。 危険な雰囲気だったが、ともあれ掃除は何事もなく、お昼には終わらせることが出来た。 用具を片づけ、何度か、訳が分からないといった感じで首筋をさすっている才人と、終始うつむいたままのルイズと共に教室を後にする。 「……さっきからずっと首筋がいてぇんだよなぁ。気がついたら、床で寝そべってたし。花京院、何かしらねえ?」 「いえ……」 ルイズはさっきから、一言も喋っていない。僕もいささかバツが悪いので、殆ど喋っていない。 重苦しい雰囲気が漂う。だが、元凶である才人はというと、まるで空気を読まず、一人で色々喋っていた。 ルイズの肩がプルプルと震えている。しかし才人はお構いなしにまだ喋る。 「胸もゼロ! 魔法の才能もゼロ! ゼロゼロゼロ、ゼロのルイズ~」 才人は一度、調子に乗り始めたら中々空気を読まず、一度痛い目を見ないと、いや、痛い目を見ても懲りないということは、既に熟知したつもりだったが、ここまでとは。本当にわからん奴だなッ! 僕はもう、言いたいだけ言わせておくことにした。今更黙らせても、もう手遅れだろう。 途中で僕は屯所へと戻るため、才人達と別れた。才人と違い、衛兵ということになっている僕は、食事は貴族達の後で、屯所で食べるからだ。 「じゃあ、後でな~」 「……ええ」 相変わらずルイズは何も言わなかった。 屯所に向かうため、中庭に続く広場を通る。昨日、ここで僕たちは召喚されたんだな。 お昼までは時間がある。何となく、僕はここを散策したくなった。 まだ所々、芝がはげ上がっていたり、土が盛り上がっていたりと、昨日暴れた痕跡が残っているものの、殆ど元の状態に戻っていた。 昨日逃げた時点では、かなり派手に荒れていたはずなのだが。それを半日とちょっとで、ここまで直せるものなのか。 「ン?」 芝がはげ上がった所に、きらりと光るものを見る。 近くによって確認すると、紫色の小ビンだった。 僕はそれをぱっと手に取る。 「香水か」 香りからいって、これは体臭を消すためのものと云うよりは、格調高い、女性の魅力を引き立てるようなタイプのものだな。 軽く振ってみる。中には液体が入ったままだ。捨てていったものではないらしい。 おそらく昨日暴れた時に、誰かが落としていったのだろう。 「後で、ルイズにでも聞いてみましょうか」 僕はそれを、屯所の外にかけておいた学ランの右ポケットに入れ、屯所の扉を開いた。 扉を開くと、ペイジさん、ジョーンズさんの他に、二人、僕の知らない人間がいた。 顔に半分だけマスクをつけた男と、顔の左側をまるまる覆うような眼帯をつけた男だ。 「おう新入り。初めてだな。俺の名はプラント」 「ボーンナム」 「花京院典明です。宜しくお願いします」 ペイジさんの話によると、四人併せて血管針カルテットなどと呼ばれているとのこと。理由は本人達も良く知らないらしい。 「さて、後はメイドが食事持ってきてくれるのを待つだけだな」 「そういや、今日は貴族共が中庭でティータイムしてるんだったな」 椅子に座って、メイドが来るのを待つ。 暫くして、こちらに近づいてくる足音が近づいてきた。 コンコンと、二回、ノックの音がした。 新入りということで、僕が扉を開ける。 「お食事をお持ちしました」 そこには、今日、僕にこの屯所の場所を教えてくれたシエスタと、何故か才人がいた。 「何故、才人がここにいるんです」 「いや、それがな……」 「なるほど……」 あの後、ルイズにゼロといった回数だけ御飯抜きを宣告され、空腹でふらふらさまよっていた所を、シエスタに呼びとめられ、厨房で賄い食をごちそうになり、そのお礼にと手伝いをしているらしい。 ちなみに僕が知っているだけでも40回は言っていた。ご愁傷様だ。 「しかし、良くその程度で済みましたね」 「ハァ、嫌みなんていわなきゃ良かったよ」 話している間に、今、ここにいる全員分のシチューとパンが並べられていた。 シエスタは一度、こちらに礼をしてから部屋から出ていった。才人も後に続く。 と、そうだ。 ルイズの近くにいた才人なら、さっきの小ビンのこと、何か解るかも知れない。 「才人、僕の学ランのポケットに小ビンが入っている。さっき広場で拾ったんだが、誰のか解らないんだ。おそらく貴族の誰かのだとは思うんだが。何か心当たりは無いか?」 「え、小ビン? ……そういや、広場で何かを探している奴がいたな」 「なら丁度いい。その人に返しておいてくれないか?」 「構わねぇけど……」 「なら、頼んだぞ」 才人もそういって、部屋から出ていった。 意外と早く持ち主が見つかったな。 「新入り、用事は済んだか? 早く飯にするぞ。……俺の名はペイジ」 「ジョーンズ」ビン 「プラント」ビン 「ボーンナム」ビビン 「「「「頂きます!」」」」パバ――ッ 「……頂きます」 実に斬新な食事の挨拶だ。ついていけそうにない。 To be contenued…… ----
そういえば教室の場所を聞くのを忘れていた。 どうやって教室を探すか。むやみに散策しても見つからないだろうし、遅れたらルイズが何を言い出すか。 しかしそんな悩みは、校舎にはいるなりあっさりと解決した。 廊下には人、人、人。軽く40人ぐらいはいる。どうやら何かあって、ここまで難を逃れてきたらしい。 時折聞こえてくる会話内容から、教室で爆発があり、ここまで逃れてきたこと。そして今、ルイズと、その使い魔が罰掃除をしているということを、僕は知った。 使い魔というのは才人の事だろう。罰掃除と言うからには、ルイズがこの騒ぎに何らかの原因を担っているのは間違いない。僕はそのとばっちりを受けたと言うことだ。 生徒達の様子から、まだ爆発して、それほど時間は経っていないらしい。教室も解ったことだし、急ぐ必要もないだろう。 僕はゆっくり歩いていくことにした。 いざ教室についてみると、中は凄い惨状を呈していた。 教室は一般的な大学の講義室のような造りをしているのだろうが、教室全体が煤汚れており、石っころが机や、壁にまでめり込んでいる。 教壇の辺りでは、才人とルイズが雑巾とちりとりを片手に、石っころを取り除きながら、煤汚れを拭き取っていた。 よく見るとルイズは机しか拭いていない。床などは全部才人がやる羽目になっているらしい。 と、机を拭いていたルイズが顔を上げる。僕が入ってきたことに気がついたようだ。 「遅いわよ、下僕! ほら、早く煤落とすの手伝って!」 どうしてこう、わざわざ勘に障る言い方をするのか。 僕は抗議もかねて、ルイズが渡そうとしている雑巾を無視し、教室中央にあったバケツから、新しい雑巾を一つふんだくり、才人の方へと向かった。 ルイズがなにやら言いたそうに、眉間にシワを寄せてこちらを見る。大方そこを全部任して、自分は休憩するつもりだったのだろう。そうはいかない。 僕が才人と一緒に床を拭き始めると、ルイズは諦めたように、机磨きを再開した。罰掃除という名目上、無理には押しつけられない様だ。 「しかし、何でこんな事になったんです?」 僕は才人に、ルイズには聞こえないよう小声で、どうしてこんな事になったのかを訪ねた。 不満げに床を拭いていた才人は手を止め、口元をにやりと歪ませ、喜々として語り出した。 「ルイズの二つ名……ゼロのルイズって言うんだけど、何でだと思う?」 何故だろう。胸がゼロだからか? 確かに干しぶどうみたいな申し訳程度の胸だが。 いや、胸から離れろ。 「魔法成功確率ゼロだからだとさ。何をやっても爆発するんだと。これも『錬金』とやらの失敗でなったんだぜ?」 才人の声がだんだんと大きくなっていく。色々溜まっているのだろう。しかし、ルイズに聞かれたらどうするつもりだ。 「錬金! あ、ボカーン! 錬金! あ、ボカーン! 失敗です! ゼロだけに失敗であります!」 既に声はかなり大きくなっていた。間違いなく、ルイズに聞こえているであろう。 どうして虎の尾を踏むようなまねをするのか。ルイズの方を見ると、机に突っ伏してプルプルと震えている。 手遅れかも知れないが、僕は才人に釘を刺す。 「才人、せめてもう少し小さな声で……」 しかし弱点を見つけて浮かれている才人は、声が大きくなっている事にも気がつかず、続ける。 「ルイルイルイズはダメルイズ~ 魔法が出来ない魔法使い~ でも大丈夫! だって、女の子だもん…… なんてな。ぶわっはっはっはっはっ……」 「当て身」 僕は才人の首筋を叩いて、強制的に黙らせることにした。このまま放っておいたら、僕まで何をさせられるか… もう一度、ルイズを見る。一見平静を装って、机拭きを続けているが、その表情には影が出来ている。 既に手遅れだったようだ。 危険な雰囲気だったが、ともあれ掃除は何事もなく、お昼には終わらせることが出来た。 用具を片づけ、何度か、訳が分からないといった感じで首筋をさすっている才人と、終始うつむいたままのルイズと共に教室を後にする。 「……さっきからずっと首筋がいてぇんだよなぁ。気がついたら、床で寝そべってたし。花京院、何かしらねえ?」 「いえ……」 ルイズはさっきから、一言も喋っていない。僕もいささかバツが悪いので、殆ど喋っていない。 重苦しい雰囲気が漂う。だが、元凶である才人はというと、まるで空気を読まず、一人で色々喋っていた。 ルイズの肩がプルプルと震えている。しかし才人はお構いなしにまだ喋る。 「胸もゼロ! 魔法の才能もゼロ! ゼロゼロゼロ、ゼロのルイズ~」 才人は一度、調子に乗り始めたら中々空気を読まず、一度痛い目を見ないと、いや、痛い目を見ても懲りないということは、既に熟知したつもりだったが、ここまでとは。本当にわからん奴だなッ! 僕はもう、言いたいだけ言わせておくことにした。今更黙らせても、もう手遅れだろう。 途中で僕は屯所へと戻るため、才人達と別れた。才人と違い、衛兵ということになっている僕は、食事は貴族達の後で、屯所で食べるからだ。 「じゃあ、後でな~」 「……ええ」 相変わらずルイズは何も言わなかった。 屯所に向かうため、中庭に続く広場を通る。昨日、ここで僕たちは召喚されたんだな。 お昼までは時間がある。何となく、僕はここを散策したくなった。 まだ所々、芝がはげ上がっていたり、土が盛り上がっていたりと、昨日暴れた痕跡が残っているものの、殆ど元の状態に戻っていた。 昨日逃げた時点では、かなり派手に荒れていたはずなのだが。それを半日とちょっとで、ここまで直せるものなのか。 「ン?」 芝がはげ上がった所に、きらりと光るものを見る。 近くによって確認すると、紫色の小ビンだった。 僕はそれをぱっと手に取る。 「香水か」 香りからいって、これは体臭を消すためのものと云うよりは、格調高い、女性の魅力を引き立てるようなタイプのものだな。 軽く振ってみる。中には液体が入ったままだ。捨てていったものではないらしい。 おそらく昨日暴れた時に、誰かが落としていったのだろう。 「後で、ルイズにでも聞いてみましょうか」 僕はそれを、屯所の外にかけておいた学ランの右ポケットに入れ、屯所の扉を開いた。 扉を開くと、ペイジさん、ジョーンズさんの他に、二人、僕の知らない人間がいた。 顔に半分だけマスクをつけた男と、顔の左側をまるまる覆うような眼帯をつけた男だ。 「おう新入り。初めてだな。俺の名はプラント」 「ボーンナム」 「花京院典明です。宜しくお願いします」 ペイジさんの話によると、四人併せて血管針カルテットなどと呼ばれているとのこと。理由は本人達も良く知らないらしい。 「さて、後はメイドが食事持ってきてくれるのを待つだけだな」 「そういや、今日は貴族共が中庭でティータイムしてるんだったな」 椅子に座って、メイドが来るのを待つ。 暫くして、こちらに近づいてくる足音が近づいてきた。 コンコンと、二回、ノックの音がした。 新入りということで、僕が扉を開ける。 「お食事をお持ちしました」 そこには、今日、僕にこの屯所の場所を教えてくれたシエスタと、何故か才人がいた。 「何故、才人がここにいるんです」 「いや、それがな……」 「なるほど……」 あの後、ルイズにゼロといった回数だけ御飯抜きを宣告され、空腹でふらふらさまよっていた所を、シエスタに呼びとめられ、厨房で賄い食をごちそうになり、そのお礼にと手伝いをしているらしい。 ちなみに僕が知っているだけでも40回は言っていた。ご愁傷様だ。 「しかし、良くその程度で済みましたね」 「ハァ、嫌みなんていわなきゃ良かったよ」 話している間に、今、ここにいる全員分のシチューとパンが並べられていた。 シエスタは一度、こちらに礼をしてから部屋から出ていった。才人も後に続く。 と、そうだ。 ルイズの近くにいた才人なら、さっきの小ビンのこと、何か解るかも知れない。 「才人、僕の学ランのポケットに小ビンが入っている。さっき広場で拾ったんだが、誰のか解らないんだ。おそらく貴族の誰かのだとは思うんだが。何か心当たりは無いか?」 「え、小ビン? ……そういや、広場で何かを探している奴がいたな」 「なら丁度いい。その人に返しておいてくれないか?」 「構わねぇけど……」 「なら、頼んだぞ」 才人もそういって、部屋から出ていった。 意外と早く持ち主が見つかったな。 「新入り、用事は済んだか? 早く飯にするぞ。……俺の名はペイジ」 「ジョーンズ」ビン 「プラント」ビン 「ボーンナム」ビビン 「「「「頂きます!」」」」パバ――ッ 「……頂きます」 実に斬新な食事の挨拶だ。ついていけそうにない。 To be contenued…… ----

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