アルザスに残る中世のお城~Haut-Koenigsbourg 

マニアック度★★☆☆☆
行きにくさ★★★★★
ツアーか車でないと無理

アルザスには、城跡が数多く存在します。
「城」とは言っても、ロワール川沿いの古城群のようないわゆる「居城」ではありません。




東にライン川、西にヴォージュ山脈を配するアルザス地方は、東からの侵略に対する防衛という点では最適の地理条件を備えていると言えます。そのため、見晴らしの良い高台に防衛拠点としての「山城」がいくつも造られ、その城の数だけ戦争が繰り返されてきました。(歴史についてきちんと調べ上げたわけではないので、嘘かもしれないですごめんなさい)



しかしながら、そのほぼ全てが遅くともフランス革命頃までに落城または放棄されています。そして、その後も管理されること無く時と共に朽ち果てていきました。城跡の中には、屋根と床・天井が落ちて外壁だけしか残っていないものも少なくありません。

そのような中で唯一城としての体裁を保っているのが、アルザス中部セレスタSelestatの近くにあるHaut-Koenigsbourg城です。




Haut-Koenigsbourg城の建造は古く、1100年代中盤には既にその名が出てくるものの、正確なことはわかっていません。そして1600年代半ばに落城し、そのまま放置されたため、この城も他の例に漏れずかなりの部分が一度崩壊しています。

にも関わらず、他の城と違って見学に耐えうる内容となっているのは、修復が行われたからです。19世紀末にアルザスがドイツ領となった際、当時のドイツ皇帝がHaut-Koenigsbourg城創設者の末裔であったことから、皇帝が大々的な修復を指示。湯水の如く金を注ぎ込んでこの城を修復させたのです(末裔云々のくだりは、どこかで読んだと思ったのですが、出典元が見つかりませんので誤認かもしれません)


とはいえ、資料が少なかったこともあって、「在りし日の姿を忠実に再現」というわけには行かなかったようです。
この部屋は、二階が存在した痕跡があります

その代わり、修復を請け負った建築家が中世や城塞に深い興味を抱いていた人物だったとかで、最終的には「このあたりで15~16世紀頃にみられた城塞建築」という意味では所によって本物と見紛うほど見事なものになったという事です。

城内には、修復と並行して集められたの家具や武器が展示されています。ただし、これらは城が現役であった時代のものであって(一部レプリカ)、実際にこの城で使われていたものではありません


また、見学ルートの最後の方には修復関連の展示もあり、修復前の廃墟と化した城の写真も見ることが出来ます。



私の知る限り、有料で公開されているアルザスの城は他に二つあります。ただ、一つはまともに残っているのが城壁だけといった風で(Hohlandsbourg Colmar近郊。行ってないので詳細は不明)、もう一つは岩盤を基礎に使った大きな城ですが、特に上部は風化が激しく、原型を留めていませんFleckenstein ドイツ国境に近いアルザス北部。見応えという点では、Haut-Koenigsbourgが文句なしに一番でしょう。


おまけの一言
天気の良い日は、数十キロ先のライン川まで見渡せます。
もし晴天なら、陽射しの弱い午前の方がオススメです。


Chateau du Haut-Koenigsbourg
chât Haut Koenigsbourg
67600 ORSCHWILLER
tel : 03 88 82 45 82 
※タウンページで調べるとここがヒットするものの、
地図上の位置が明らかに違うので、事務所かもしれません。


Haut-Koenigsbourg城HP(英・仏・独語)
日本語の解説(リーフレット)あり
城内の解説板はフランス語。

アクセス

A35の17番出口からD424を経由してD159(Kintzheim方面)へ。
そのまま看板に従って山を登る。

舗装道が楕円を描くようにして城をぐるりと囲んでおり、この道の脇に路駐スペースが用意されています。楕円の両端で高低差があり、最も低いところがD159に繋がっていて、一番高いところには城への入り口があります。駐車場もあるにはあるんですが、城の入り口から遠く、そこまでの道も平坦ではないことから、駐車するなら城の入り口近くが一番楽です。

公共交通機関
旅行会社のバスツアーに組み込まれている場合もあるが、路線バスはない
※ColmarからHaut Koenigsbourg行きのバスが出ていますが(バス会社はTrace)、これはHaut Koenigsbourg城行きではありません。

※自転車アタック組もそこそこ見かけますので、Tour de Franceを地で行く自転車好きの方なら自転車もオススメです。


廃墟となっている城は、例外なく見晴らしのいい場所に建っていて、多少は山道を自力で登らねばならないのでハイキングにはもってこいです。どんな城がどこにあるかは、このあたりが参考になります(仏語のみ)。

最終更新:2008年01月07日 20:28