アルザスの新酒(季節限定) 

マニアック度★☆☆☆☆
これがダメって人、いるんでしょうか
行きにくさ★☆☆☆☆
南部の観光地はワイン街道上にありますから

アルザスでは、秋になると新酒(vin nouveau)が出回ります。


ボジョレーヌーヴォー解禁の1ヶ月ほど前には市場から姿を消してしまうそのお酒は、「新酒」とは言うものの、ボジョレーとは似て非なるもの。その年に仕込まれ、発酵・熟成の済んだボジョレーヌーヴォーとは全く異なるワインとは一体何か・・・ドイツやオーストリアに住む方はピンと来たかもしれませんが、まさにそれ。その正体は、かの地でも飲まれる発酵途中のワイン。ドイツの影響を色濃く残すアルザスらしい代物です。

スーパーでも売られてはいますが、いち早く売り出すのも、最後の最後まで扱っているのも、生産者であるワイン農家。新酒の季節にワイン街道を車で走ると、「vin nouveau」と書かれた看板を見かけるはずです。



農家ではどこも1リットルいくらの量り売り。持ち込んだりその場で買った容器に、大きな樽から欲しい分だけ移しかえてもらいます。

スーパー販売品。瓶を横にすると中身ダダ漏れ


さしずめ「炭酸白ぶどうジュース ちょっとアルコール入り」といった風情のこの新酒は、刻一刻と発酵が進んで炭酸ガスを発生し続けるため、いかなる場合も栓をすることは出来ません。蓋をしないか、さもなくば蓋に穴を開けてから渡されます。

スーパーで売られている瓶入りの新酒も、普通のワイン同様上部にシール(=納税証明)が貼られているのでわかりにくいですが、こちらもコルク栓はありません。レジで何かまくし立てられたら、それは「これは栓をしてないから、横にしちゃダメよ」ってこと。

もし偶々9月半ばから10月にアルザスを訪れることがあれば、季節モノでもありますし、是非味わっていただきたい代物です。

おまけの二言
○アルコール度の低いものを探す方法
この新酒は、発酵が進むほどにアルコール度が上がり、甘さも控えめになります。


農家ではほぼ例外なく試飲させてもらえるので、購入前に甘さやアルコール度を知ることが出来ますが、農家の新酒は発酵が進んでいてアルコール度が高めの傾向があります。
程よく発酵が進んだ農家購入品

なので、「季節モノなら是非試してみたいんだけど、アルコールはほんっと弱くて苦手」と仰る方は、農家ではなくスーパーを当たってみてください。


スーパーの方が概ねアルコール度が低めなのですが、これは時間と共に発酵が進む「ナマモノ」なだけに確実ではありません。ただ、発酵の進み具合は泡と澱(と透明度)である程度推測することが出来ますので、スーパーで瓶をよーく観察してみてください。


発酵は、最初はゆっくり進み、次第に激しくなっていきます。それに伴って、発生する炭酸ガスの泡の量も変化していきます。最初はゆっくり、そして次第に激しく発泡しはじめ、それからまたゆっくりになり、最後はほとんど発泡しなくなります。

また、発酵すると澱が発生します。発生した澱が炭酸の泡に舞い上げられて液が濁るので、液の濁り具合でも発酵の進み具合が読み取れます。ただし、底に澱が溜まっている場合もあるので、底の澱と濁り具合をあわせて見る必要があります。


1. 発泡なし。液も透明
2. 発泡がゆるやかで、液が透明(注いでしばらく経ったコーラ程度の発泡。但し泡は小さめ)
3. 発泡がそこそこ激しく、液が透明(注いだ直後コーラ並に発泡)
4. 発泡がそこそこ激しく、液が若干濁っている
5. 発泡がゆるやかだが、液が濁っている(又は、濁度は低いが底に澱が沈んでいる)
6. 発泡はほとんどしていない。液は透明だが、底に澱が溜まっている

この順番でアルコール度が上がっていきます。農家で買えるのは大体5~6、スーパーは1~4です。弱い方は、まず2あたりを試してみてください。


購入したものの、ちょっとアルコール度が低いと感じた場合は、室温でそのまま放置すれば自然に発酵が進みます。逆にアルコール度をこれ以上上げたくない場合は、発酵が進まないよう冷蔵庫で保管してください。もちろん蓋は厳禁です。



あと、未確認ですが、放置しても発酵がほとんど進まないものがあります。普通は一瓶2ユーロ強で売られていますが、価格が2ユーロ以下でかつ内容物の状態が1に該当するようなら、それは放置しても発酵が進まないものの可能性があります。


○関税の落とし穴
お酒ですから税務申告の対象になります。750mlx3を超える量を携えてスイスなどへ入国する場合はご注意下さい。


Vin Nouveau
9月半ば~10月のワイン街道、スーパー、レストランで味わえます