秋森良樹編 第四話『ずっとそばにいてくれたキミ』(6)

 清々しい朝、学校生活の始まり。
 春の暖かな日差しで温もりはじめる教室で、
柔らかな表情のままに硬直する先生を見つめる。教壇に立ち、
挨拶のためにゆらりと立ち上がろうとする生徒を見る瞳には穏やかな光が宿り、
フレームレスの眼鏡越しでも、教師としての彼女の気合というべきものが伺えた。
ごく淡い桃色のルージュが引かれた唇は薄く微笑んでいて、端正な美人顔ゆえに、
ともすれば冷たく感じられてしまう表情に、愛らしい色を添えている。
「姉さん……やっぱり綺麗だ……」
 鼓動が早まる。教師と生徒って関係のせいで公には出来ないものの、
この人は間違いなく俺の恋人で、『姉』だ。
気の無い表情で儀礼的に立ち上がったまま、さまざまに硬直している、
クラスメートたちの憧れの的が、俺の物なんだ。その事に強い優越感を覚える。
 俺は先生にすがりつくように抱きつくと、強張った肉棒を
クリームイエローのタイトスカートにマーキングするように擦り付ける。
布のざらついた質感が裏筋と鈴口を刺激して、俺はうめいた。
動きを大きくすると逸物を握る手に塗れた布があたり、
かなりの量の先走りが姉さんのスカートを汚しているのが分かると、
芯にある熱がさらに高まっていくようだった。
 興奮に任せて唇を奪ってしまいたかったが、悲しいかな、
俺と姉さんの身長差はかなり大きい。背伸びをしたって、
姉さんが体を少しかがめてくれなければ届かないのは、
先日姉さんを相手に童貞を喪失した翌日に実証済みだ。
 別に、教卓に上るなり姉さんを押し倒してしまえば問題は無いのだけど、
今は散々に刺激されて、登校してからずっと暴走寸前に追い込まれているムスコを
楽にしてやるのが先だ。キスなんて、いつでも出来るしな。


 俺はサオを握りこむと激しくしごきたてる。亀頭が手の動きに合わせて揺さぶられ、
ムチムチとしたタイトスカートにこすれて、さらなる刺激を生んだ。
逸物全体がマヒするように痺れが走り、無感覚に熱さが満ちていく。
 仕上げとばかりに姉さんの脇から豊かな乳房に顔をうずめ、
布越しの柔らかさと一緒にコロン混じりの芳香を受け止める。
硬い感じがするのに中はすごく柔らかくて、キリッとしているのにどこか甘い。
どこまでが体臭でどこまでが香水かは分からないけど、
とても姉さんらしい匂いだった。
「くうっ……」
 一段と大きくなった手の中の震えを我慢することなく、俺は昂ぶりを放出する。
スカートに押し付けた肉棒が手の中でビクビクと震えて、
ポンプのように生臭い液体を押し出していく。
 放出が終わり、握った人差し指がいやにネト付くことに気づく。
「うわ……」
 顔を離し、二重の意味で声をあげる。
 服にまとわりつく精液は一回の射精としては膨大で、
姉さんの細い腰のくびれからスカートの裾にかけて、水風船をぶつけたかのように
精液がびっちょりとこびり付いている。亮介に見せられた、
汁男優を使ったぶっかけ系AVの一シーンのようだ。当然、その多すぎる精液は
布地を伝って逸物と一緒に押し付けていた、俺の手にも垂れかかっていた。
「なんか、飲むたびに量が増えてないか?」
 特性精力剤の効果に半ば呆れつつ、汚れた手と白濁の玉が膨れあがっている鈴口を
黒タイツに擦り付ける。うっすらと透ける艶やかなストッキングに白が乗り、
薄く延ばされて吸い込まれると、そこだけが色違いの黒になった。
「……これも、けっこう気持ちいいな」
 亀頭の先っぽを筆にして精液をこすり付けると、
スカートとはまた違った滑らかさが伝わってくる。女の子のきめ細かな肌とは
また少し違う気持ちよさに、このままこすり続けてイってしまいたくなった。
「けど……そいつはもったいないよな?」


 少しずり上がったスカートから覗く、ストッキングを留めている金具に視線を送る。
俺は直立している姉さんを正面に向かせると、屈み込んでタイトスカートの前に手をかけ、
一息にたくし上げた。
 そこに出現した白と黒のコントラストに呼吸を忘れる。
「うわ、エロ……」
 目を引くのは、細身ながらレースで装飾されたガーターと、
ストッキングに挟まれた逆U字の中心、ほぼ全体が透けているパンティだ。
 遠目で見た時よりも小さく見える黒いそれは浅い作りで、
へそから下が思った以上に開いている。急角度のV字を作る正面は、
その布の両端からフルバックのヒップに繋がる間が紐になっていて、
いっそう下着の小ささを強調しているようだ。その上、一つだけ逆三角の窓が
小さく開いているのだからたまらない。シースルー部分からは
丁寧に刈り込まれた陰毛が、パンティとはまた別の黒さを持って
なだらかに丘を覆っているのが良く見える。その中で小さく盛り上がる
クリトリスのふくらみに色濃い布地が引っ張られ、うっすらとした縦筋が中央を割っていた。
 さらに視線を下げれば、恥丘を持ち上げたように丸い生地の奥に、
ひっそりとその存在を主張する尻肉の盛り上がりが見える。太ももと陰部で作られた
その隙間に指を差し込めば、かすかに湿った空気と、止まった時間の中では
ほとんど感じられないはずの熱が封じ込められているのが分かった。
その熱気の中心にある物をあの夜の記憶と共に思い出して、痛いほど張り詰めた逸物が、
姉さんの脛を先走りで汚していた。
「はぁ……」
 そのままこすり付けて二発目を放ちたくなる衝動を抑え、深く呼吸をする。
 このままもう一度イってしまうのも良いのだけど、それはなんだか惜しい気がする。
出来ればこのまま、姉さんを押し倒して存分に膣(なか)に出して、
クラスメートに「姉さんは俺んだっ!」と主張してみたい。……時間が止まってるから、
そのどっちも不可能/無意味なのは重々承知だけど……。時間の止め直しで
俺と姉さんだけが動けるようにすればいいんだけど、そうなると秘密道具の説明とか、
色々面倒な事になりそうだ。



 わずかに盛り上がる雛尖を指先でこね回しながら、
微笑を浮かべたまま固まる姉さんを見上げる。元々綺麗で可愛いこの女教師は、
凍った時間の中では、愛らしい本当の人形のようだった。
「うう……」
 切ない肉棒をこする。溢れる先走りを撒き散らすたび、恋人への愛しさが、
次第に強い肉欲へとシフトしていく。『恋人だからHしたい』のではなく、
『気持ちよくなりたいからHしたい』に意識がズレていく。
 精力剤の影響もあるのかも知れない。俺の頭はいつしか、
どうすればこのまま姉さんを犯せるかという事に全力で回転を始めていた。
このまま姉さんの体だけでも自由に動かせれば……。
 ……ん? 人形? 動かす?

 ――ぴっかーん!!

 俺の頭に『ひらめきランプ』が点灯するっ! そうだよ、『人形』が相手なら、
この方法があったっ!! 俺は良い思いつきに、早速『スペアポケット』に手を差し入れる。
「たのむぞ、『ロボッター』!」
 小さな丸い玉を、姉さんの首筋に取り付ける。
 『ロボッター』は本でも机でも、自分で動く能力のない物をロボット化して
自立行動能力を与える秘密道具だ。姉さんは人間だけど、この時間が止まった世界では
『精巧に出来た人形』とそれほど変わりはないハズ。上手くいけば、
このまま姉さんが動けるようになるだろう。そしてその先も……。
「姉さん、俺にキスして?」
 俺は期待に胸と股間をはちきれんばかりにさせて命令を出す。
「……」
 微笑みを浮かべて硬直していた姉さんが、無言のままに瞳を閉じて俺に口付けをした。
「……よっしゃぁ!」
 ちょん、と触れるだけのバードキス。でも、すぐに元の姿勢と表情に戻った姉さんに、
俺は思いっきりガッツポーズをきめた。



 俺は姉さんを床に寝かせ、向こう側が見えるほどに透けている黒いパンティを
右の足首に引っ掛けさせて大きく足を開かせた。両手を中心にある肉の花びらに添え、
限界まで割り開かせる。もちろん、下にある小さなすぼまりも全部丸見えだ。
 そんな恥ずかしいはずのポーズも、ロボットとなっている姉さんの表情は、
命令がなければ微笑んだまま変わらない。あの夜俺に抱かれようと、
下着姿を見せるだけでも顔を真っ赤にして、
大人の余裕なんて欠片も感じられないほど恥らっていた清純な姉さんとは、
すさまじいまでのギャップだった。
 イメクラかなにかで『女教師プレイ』を頼むと、こんな感じなんだろうか?
けれど、ここはそのためのプレイルームなんかではなく、本当の教室だ。
周りを見渡せば、ほんの一週間ほど前から級友となった男女が
ぼんやりと視線を正面(俺たち)に向けている。小さなころから繰り返されてきた、
嫌な一日の始まりを告げるルーチンワークのため無気力な瞳が、
俺たちの行為を非難しているように感じられた。そう思うと男の視線は嫉妬の、
女の視線は嫌悪や侮蔑に見えてくるから不思議だ。
 ありもしない無言の圧力に、萎えそうになる。
「……悪いな。先生は俺のだ」
 朝の挨拶直前に時間を止められ、何も認識できないギャラリーに宣言する。
独占欲に突き動かされた言葉だったけれど、口にした事で無言の重圧が
あきらめや黙認に変わった気がした。
「しっかり見てろよ。先生が本当に俺の物だって証明してやるから」
 気圧された気持ちを再度盛り上げ、余計な事を考えないよう周囲を意識の外に置く。
視界と頭の中を『俺を誘惑している淫乱女教師』で埋め尽くし、
脳内で誘惑の台詞をアテレコする。
 ……よし、気力全開、精力無限大!
「では早速……」
 俺は制服のポケットに予備の『タンマウォッチ』がある事を確認すると、
ローションを取り寄せて逸物とヴァギナにたっぷりと垂らす。



 止まった時間の中では、女のアソコは閉じきったままであまり開かない。
なら、ロボット化して自分で開くようにしたらどうか――。
「入り口、ちゃんと緩めておいてくれよ」
 もう一度命令して、奥が見える膣口に肉槍を押し当てる。ローションを馴染ませる様に、
数度逸物を入り口にすりつけ、そのまま体重をかける。
「む」
 ぬるん、と上滑りして裏筋がクリトリスにこすられる。
 ……いかんいかん。興奮しすぎて入れ方を間違えたらしい。よく思い出せ。
あの日挿れた時は、もっと角度が深かったはず……。
 俺は体を起こすと、逸物を少し下向きにしてあてがい直す。再び体重をかけ……
 ぬるん、ずが。
「Я〇☆%Ш▼!!」
 声にならない悲鳴を上げて転げまわる。
 角度を調整したはずの逸物はまたしても上滑りし、今度は臀部に向かって滑り落ちた。
しかも体重がかかっていた物だから先端が床を直撃、剛直が無理な方向にゆがんだ上に、
ワックスか何かのバリにそこが擦られてしまったんだ……。

「挿入は無理かぁ……」
 『お医者さんカバン』による治療を行い、シックスナインの体勢で寝転がったまま、
ローションが塗られただけの姉さんの秘部を目の前にしてつぶやく。
 後になって調べてれば、ヴァギナや膣は締める事は出来ても、意識的に広げる事は
出来ないらしい。せいぜいが力を抜いて筋肉を緩める程度だ。それでも止まった時間の中で
硬直した肉体では、非処女であっても挿入を許せるほどには緩まないようだ。
「ちぇっ」
 悔しさに舌打ちし、人指し指一本だけならなんとか入る秘洞をかき回す。
ここに挿入出来るとしたら、よっぽどの短小くらいなものだろう。
「はぁ……」
 予想外の状況と結末、そして下半身から送り込まれてくる快感にため息をつく。
頭を持ち上げて下半身に目をやれば、上から釣り下がった双丘の谷間の向こうで、
傷ついた俺の肉棒に沿って上下に動く、姉さんのアゴがあった。


 治療後、まだ芯の方に鈍痛のような物が残っていた俺は、ロボット化した姉さんに
舐めて癒すように命じたのだ。その際、せっかくだからとばかりに
服を大きく着崩れさせた。
 レモン色のスカートを腰までたくし上げ、勝手に降りてこないよう、
ベルトに挟みこんで留める。上半身もスカートと同色の上着を剥ぎ取り、
シャツをこれまた腰の近くまで押し下げて胸を露出させた。
透けるのを嫌がったのか、下半身と違って清楚でシンプルな白いブラは脱がせて、
今俺の枕になっている。
 『ロボッター』の判断能力は優秀で、最初はいろんな意味で萎えた肉棒とふぐりを
包み込むように口に含み、口腔全体で暖めながら狭いスペースの中で
舌によるソフトな愛撫を開始した。滾った肉棒へのフェラチオとは違うもどかしい刺激に、
脱力と奇妙な興奮を覚え、痛みを忘れた逸物がすぐに隆起を開始した。
膨張に合わせて姉さんは頭を上げて行き、完全勃起した逸物を口から外すと
竿に頬ずりするように顔を寄せ、ちろちろと舌先で胴回り全体を舐め回しはじめた。
その際、裏筋やカリ首などには絶対に舌を伸ばさなかった。命令が『治療』だったからだろう。
顔を動かすたびに先端に触れる、意図しない姉さんの髪の毛による不定期な刺激と、
一定以上は絶対に与えられない快楽に、命令を『奉仕』に切り替えたのはすぐの事だった。
「はぁ……っ!」
 白磁に二本、サスペンダーが走る尻を鷲掴みにして快感に耐える。
 フィニッシュを命じられ速度を大幅に増した上下運動。
その動きとはまるで関係ないかのように舌先がブレもなく、口の中から切り離された、
まったく別の生き物のように亀頭を這い回る。『ロボッター』が機械的に、
首と舌の動きを分けて制御しているのだろう。中と外がまったく同期していないという
未知の衝撃に悶絶する。きっと、海千山千のソープ嬢やAV女優だって、
こんなとんでもない事はできないに違いない。
 しかも、俺は表情を変えるようには一度も命令していない。したがって、
今の姉さんは時間が止められた時と同じく、柔らかな微笑を浮かべたままだ。
 これほどまでにすさまじいテクニックを披露しながら、
なんて事のないように微笑み続ける女教師。言うなれば、天性の才能を持って
性技の真髄を極めた、まさに『性職者』だ。

 そして変わらない綺麗で愛らしい微笑みは、奉仕を悦びとし、
相手の昂ぶりがそのまま自分の快感へと繋がった、恍惚の笑みとも見えるだろう。
 顔の見えないシックスナイン状態にしてしまった事を僅かに後悔する。
そんな後悔も、あっという間に股間から流れ込む衝撃に跳ね飛ばされて見えなくなった。
 唇が胴回りを強く締め付けて一人でオナニーしている様な速度で扱きたているのに、
舌は先っぽを咥えて静止している時のように丹念に亀頭と鈴口を舐め上げ、
回り込んで裏筋を刺激する。飲み込まれた逸物は上蓋と内向きにへこんだ頬にも
同時にすりあげられ、どこが気持ちいいか、なんて問題じゃない。
あまりにも圧倒的な快感に意識が飲まれ、ペニスに全ての神経が集まり、
俺自身が弄ばれるペニスだけになったような錯覚さえも覚えた。
 最高だった。限界だった。
「うあぁぁぁぁっ!」
 悲鳴と共に射精する。勢いよく噴出す精液に乗って、
俺の全てが……魂までも撃ち出されていくような、嵐のような衝撃。
「ぁぁぁぁぁぁぁあ!」
 本流が止まらない。姉さんが吸いだしているのだろうか? 尿道をすさまじい勢いで
白濁が流れ上がり、内壁で精子の粒がぶつかり合い、固まり、蛇行し暴走しながらも
一直線に出口に向かって吹き上がっていく感覚に襲われる。
「ぉおぉぁぁぁぁぁぁ!」
 俺は獣のような吼え声を上げながら、無意識の内に腰を突き上げていた。
精力剤の効果で巨大な精液タンクと大口径の精液鉄砲を手に入れたというのに、
たった一度の射精で、溜まっている全てが細いストローを通して
無理やり吸い上げていくような、長い長い……時間の感覚さえもなくなるような、
熱さだけがやけにはっきりと認識できる、苦痛のような快感。気持ちよい事以外、
何も分からなくなる。

 俺が人としての意識を取り戻した時、最初に感じたのは全身を覆う疲労だった。
何度か瞬きをして視界をはっきりさせると、姉さんは相変わらず俺の上で
大股を広げて覆いかぶさり、半立ちの逸物に口で緩やかな刺激を与えている事が分かった。
「……気絶、してた?」


 答えはない。あるのは静止した教室で固められたクラスメートたちの存在と、
下半身で鳴る、猫がミルクを舐めるような音だけだ。
 口元に違和感を覚え、手の甲でこする。べったりと透明な粘液が着いた。
俺は気づかないうちに涎をたらしていたらしい。
 手と頬の不快感をようやくにして気づくと、同時に、フェラチオの刺激が
はっきりと分かるようになる。視線を再びおろせば、
意識が飛ぶほど大量の射精をしてオーバーヒートしていたハズの逸物が、
再び弾丸の装填を終えたと言わんばかりに隆々とそびえ立っていた。
「節操ねーな、おい」
 苦笑をして、枕にしていた姉さんのブラで顔と手の汚れを落とす。出来たシミは、
あとで何か秘密道具を使って消す事にしよう。
 唾液に汚れた純白のブラを脇に投げ捨てる。勢いがついたそれは、短い距離を滑って
学生机のパイプ脚にぶつかった。なんとはなしに視線を上にたどると、
ミニスカートに包まれた生足、そして正面を向いたまま固定された女子の姿があった。
「……『ロボッター』、まだ数あったよな」
 思わず口にした言葉に呆れ、苦笑する。

 ――俺は、本当に節操がない。

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最終更新:2007年05月20日 17:56