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秋森良樹編 第四話『ずっとそばにいてくれたキミ』(2)

「そうそう、知ってる? 今日から体操服、ブルマになっちゃったんだよ」
 校門を過ぎたあたりで、美久がぽややんとした声で言った。
「へぇ、そうなのか」
 体育会系の部活の掛け声を聞きながら、俺は無関心を装って答える。
なにしろ、あのほのかなエロさと健康的な生足が見たくて、そう仕向けたのは俺だ。
興味があると知られて変態扱いはされたくない。
 表情に出さないように別の事を考えつづける俺を、美久はじっと見詰める。
「……嬉しい?」
 口の端に微妙な笑みを浮かべて確信したような視線に、俺は内心でため息をついた。
やはり、誤魔化す事は不可能なようだ。
「まぁ、嬉しいっちゃあ嬉しいが……女って、あれ嫌いじゃないのか?
だから廃止になったんだろ?」
 バレるついでに聞いてみる。美久は「んー」と視線をあげた。
「嫌いな子も多いかな。動いてるとパンツはみ出るし、おしりの形丸分かりだし、
男子の視線が足の付け根ばっかり集中するし。
 良樹も中学のとき、そういう所ばっかり見てたでしょ?」
「い、いや、そんな事はないぞ」
 ちらりと動いた目線に慌てる。そんな俺の態度に、美久はクスクスと口に手を当てる。
「ウソついてもダメだよ~。女の子って、そういう所敏感だからすぐに分かるの」
「そうなのか?」
「うん。ほら、雨降って一緒に体育館でバスケしてた時とか、友達と話してるフリして
わたしたちのお尻とかずっと見てたでしょ? 後で誰が誰のドコを見てた~とか、
着替えるときに話してるんだよ。例えば……鷲山くんは『おっぱい星人』だ~、なんて」
「……マジ?」


「うん、マジ」
 だからそーゆー目で女の子を見ない方がいいよ~と言う美久の声を聞きながら、
過去を振り返ってみる。
 そりゃ確かに、真っ白な体操服の下でゆさゆさと揺れる乳房の群れとか、
ブルマに入れ損ねた裾から覗く白いお腹とか、完全露出した健康的になまめかしく躍動する
太ももとか、Yゾーンの結合点に僅かにできた隙間とか、下着のラインが浮き出した
お尻のふくらみに萌え上がったりもしたが……。コートの外からとか、結構な距離があったのに、
目の動きなんてそうそう分かるもんじゃないんじゃないか、普通。
「女の子はね、離れていてもどこに視線が集まってるか感じるの。それを追ってみると、
視線を向けてる相手が分かるんだよ」
 尋ねると、そんな答えが返ってきた。……女って、もしかしてみんなエスパーか何かなのか?
「じゃあ、美久も嫌いだろ。そんな視線が来る事分かってるなら」
 何か言いたげに――多分、俺の視線の事でからかおうと――していた美久の口を質問で封じる。
「わたし? そーでもないよ」
「なんで? さっきイヤだって」
 首をかしげるに俺に、呆れたような顔で「言ってない」と美久。
「わたしはブルマ好きだよ。動きやすいし、足が出て可愛いく見えるし」
「足出すの好きなのか?」
「そう言うんじゃなくて、ミニスカートと同じかな? ミニスカ着てる子ってタイツとかはいてても
可愛く見えるじゃない。それに……」
 美久ははにかんだような笑顔で、どこか意味深な視線を俺に向ける。
美久らしくない妙に大人びた微笑みに、ドキリとした。
「それに、なんだ?」
 少し声が上擦った。瞬間、美久の笑みが深くなる。
「……なぁいしょっ」
 美久はいつものぽわぽわとした笑みに戻ると、少し足を速めて上機嫌な様子で鼻歌を歌い始める。
 美久のふわふわ揺れる髪を眺めながら、小さくため息をついた。
まったく、こいつの行動は時々訳が分からん。
 まぁいい。じっと見られるのが恥ずかしいと言うのなら、時間を止めてかぶりつきで見てやろう。
ついでに写真も撮って、色々と使わせてもらう事にするか。体育の時間が楽しみだ。


 彼女独特の甘い匂いに追いつくため足を速めようとすると、
背後から静かなエンジン音が聞こえてきた。
 振り向いた俺は、突然現れた黒塗りの豪華な車に目をむいた。
「うわ……リムジンか、あれ?」
「あ、先輩の車だ」
 対して美久はそれほど驚いた様子がない。
「知ってるのか?」
 初めて見る高級車から目をそらさずに尋ねる。美久が視界の端で頷いたのが分かった。
「三年の『桜塚雪奈』先輩。ほら、あの桜塚グループの」
「ああ、あの」
 俺は手を打った。
 『桜塚』はこの街の名士で、かなりの資産家だ。戦前から続く家柄だと聞いているが、
詳しい事は知らない。分かっているのは多方面の商売に手を出し、
そのどれもが成功をおさめているって事と、この街に出回っている売り物の多くが
桜塚グループ傘下の商品だという事くらいだ。
 そういえば、この学校にも桜塚が出資をしているって父さんが話してたっけ。
 校内に乗り付けるぴかぴかの高級車に目を向ける生徒は多い。だが、よくよく見れば
リムジンを珍しげに凝視しているのは真新しい制服を着てい連中だけだ。それ以外は
目を向けても、いつもの事ととして受け止めているようだった。
「いつ見てもすごい車だね」
 のほほんとした美久の口ぶりに振り返る。
「……俺は、初めて見たぞ?」
 美久は呆れたような視線をよこした。
「だって良樹、いつも遅刻ギリギリじゃない。先輩はだいたいこの時間が普通だもん、
見れるわけないよ」
 だからちゃんと早く起きようよ、と言う美久に適当に答えながら、
校門脇の駐車スペースに静かに滑り込むリムジンを目で追う。漆黒のボディに、
点々と散った桜の花びらが小さな水玉模様を描いていた。
 あの大富豪、桜塚の人間か……。『雪奈』って事は女だよな? どんなヤツだろ?
金持ちは美人が多いそうだし……興味があるな。


「良樹?」
 歩き出した俺に美久が声をかけてきた。
「せっかくだ、どんなヤツが乗ってるのかちょっと見てくる」
 幸い、車までの距離は短い。顔を十分に確認できる場所に行くのは簡単だ。
 美久が後ろで何か言っているが無視。タキシードを着た、老紳士風の男が降りた車に近づく。
 執事が静かにドアを開けて恭しく頭を下げると、ゆっくりとした動作で人影が姿を現した。
 最初に目に付いたのは、流れるような黒髪だった。車体に隠れてよくは分からないが、
きっと腰まであるだろう。
 次はそのスラリとした長身だ。チビな俺と比較するのもなんだが、確実に並の男より背が高い。
 彼女はドアの脇でかしこまっている執事に体を向けて小さく会釈する。
ここまで声は聞こえないが、きっと礼を言われたのだろう、執事はすっ、と頭を下げた。
微笑みかける横顔だけでも、彼女の整った顔立ちが分かる。
 門から続く桜並木、極薄のベールのように降りしきる白に近い薄桃色の小片の中を、
桜塚先輩は両手で持った通学鞄を前に回し、しずしずと歩み始めた。
「おお……」
 セーラーカラーが翻る事もなく、膝下まで取られたスカートの裾も一切乱れる様子もない
穏やかな歩き方なのに、歩を進めるたびに彼女のぷるんぷるんと揺れる。
そのバレーボールを二つ、無理矢理詰め込んだかのようなデカさに
思わず感嘆の声をあげてしまった。
「あ……」
 風が吹き、先輩の髪が乱れた。先輩は透明感のある声で小さく悲鳴をあげて
片手で髪を押さえるけれど、舞い飛ぶ薄桃色の小片の中、つややかな黒髪が
春の日差しを反射してきらめく。綺麗に整った顔が、遠くを眺めて優しげな笑みを作った。
 それは一枚の美人画のようで、色香に迷っていた俺の目をさらうには十分な力を持っていた。
 綺麗な人だ……。
 近寄るのも忘れ、俺はその仕草、その表情に見入る。
 ただ静かに風の行方を追う立ち姿も、上品かつやたらと色気の発散される歩姿も、そして多分、
腰を下ろして寛いでいる姿でさえ、この人は周囲を巻き込んで
一枚の絵のようにしてしまうんじゃないだろうか。



 標準的なセーラー服や長いスカートも、他の女生徒が着た時のような野暮ったさはなく、
その長身に映えてより上品に、より淑やかに、あつらえられた極上のドレスのように
彼女を魅せていた。
 見詰める存在に気付いたのだろう。先輩の視線が動き、俺に微笑みかけてきた。
それは嫌味などまるでない清楚な微笑で、俺はとっさにどう反応したらいいのか迷ってしまう。
 背後で金属の鳴る音と、わずかに遅れて「危ない!」という叫びと
美久の悲鳴のような声で「あっ!」言うのが聞こえてきたのはそんな時だった。
 振り向く。美久は目と口をあんぐりと開けた形で固まっており、見れば周囲の動きも
止まっている。無意識に時間を止めたらしい。
「なにがあった?」
 ぐるりと見回すと、鞄と左手で顔を守るようにして、体を不自然にかがめた桜塚先輩がいた。
その数メートル手前に、野球のボールが静止している。
 なるほど、野球部の打った球がライナーだかフライだかになって、先輩めがけて
飛んできたらしいな。
 ボールはほぼ直撃コース。時間を止めなければ危なかっただろう。後ろの方で、
慌てた運転手が駆け寄ろうとしたまま固まっている姿はなんとも滑稽に見えた。
 後はボールか先輩の位置をずらせば命中する事は無いわけだが……。
「……お礼代わりに、役得ってやつをもらっても問題ないよな?」
 俺の目は、軽く前かがみになった事で、より重量感を増して見える二つの球体に注がれていた。


☆おまけ
 時間の止まった校門付近にて。
美久「……わたしたち、いつまでこの姿勢のまま固まってるんだろ……?」
良樹「次の話が出るまでだろ。まだ1レス分の文章しか出来てないらしいから、
   まだかかるみたいだけどな」
雪奈「あの~……私、なにされるのかずっと不安なまま放置中なんですが……(泣)」
良樹「第四話のヒロインは美久ですから、今回はそんなに酷い事はさせてくれないようっすよ。
   先輩は第五話のヒロインですから、その顔見せだけの予定だそうです……
   本格的な楽しみは後に取っておきましょう、という事でw」
雪奈「『という事でw』じゃありませんっ! 私は全然楽しみじゃないですよぉ……(泣)」
美久「……本編じゃ、わたしは知らないんだよね、この状況……次の後書きで暴れてやる……」

 とあるスタジオの楽屋にて。
第六話ヒロイン「……助けて、お兄ちゃん……」


とある浜辺にて。
???「この分だと、私が出るまで随分掛かるわね……はやくSS内時間が夏にならないかしら?」

 とある神社の境内にて。
巫女少女「良樹様……お早いご到来を、心よりお待ちしております」

 良樹のご都合創作世界にて。
女護ヶ島ガールズ「良樹様~、早く私たちに良樹様の子胤を注ぎに来て下さい~♪」

 深遠なる大宇宙の片隅にて。
某『正義の味方』見習い「そんな、ナビが故障なんて……これじゃ地球に行けませんっ!」
↑の実姉「あらあら、あの子ったら整備不良の船に気付かず乗っちゃって……
     赴任訓練がよっぽど嬉しいのね。それに、地球にはあの子の『運命の人』もいるし……
     ふふふ、良樹って子があの子をどう虜にするのか、楽しみだわ」
↑の実妹「うう……お姉さまのバージンはこの○○○○が貰いたかったのに……」
姉「諦めなさい。原作でもあの子の初めては主人公に取られたでしょ? それに、
  このSSの中では私たちも彼のハーレムに囲われるんだから、あの子を可愛がる余裕くらい
  いくらでも取れるわよ。それに、その中の女の子たちも一緒にね」
妹「え~、この作者じゃ、いつになるか分からないよ~」