*  *  *

お断り

本作は「魔法少女まどか☆マギカ」及びその外伝とのクロスです。

キャラが爽やかにぶっ壊れています。

一応、馬鹿話的なものを作る予定ですが、
それは流れ次第と言う部分も。

それでは、スタートです。

  *  *  *

突然として空中に穴が空き、得体の知れないものがぬおっと現れる。
見滝原中学に在籍しつつ入院生活を続ける上条恭介は、
そんな異次元な光景を無感動に眺めていた。

「こんにちは、ぼく九エモンです」

ずんぐりとした何者かが声をかけた時、
恭介はベッドからむくりと身を起こす。

ー ー ー ー ー

「今一よく分からないんだけど」

見滝原市立病院の、
明らかに上流階級的な個室病室から病院の屋上まで移動した九エモンとやらは、
車椅子で彼の前を移動していた上条恭介に声をかける。

「どうして無言でこんな所に移動しているのかな?」

「こんなものが見えるって事は、
絶望の余り精神的に破綻したのか頭の方もどうしようもなく痛めたのか
どっちかの筈だからね。もう、疲れたよパt」

「うん、まだ作者は明言してない訳だけど、
少なくとも僕の造形が犬型ロボットじゃないのは確かだから」

「………一応確認するけど、
君は僕の壊れた精神か脳細胞が見せている幻覚ではない、
と、そう言いたい訳?」

「そういう事。
そもそも、この屋上はそんな手抜きな設計にはなっていないみたいだし、
それでも青空の向こう側に突破しようと言うのなら、
ここで僕が人を呼ぶ方が遥かに早いと思うから。
結論を言えば、無駄な抵抗はやめろ、君は完全に包囲されている」

「君一人しかいないみたいだけど、結論は変わらないみたいだよね」

「じゃあ、話を進めようか。
僕はタイプウサギツネ子守ロボットの九エモン。
22世紀の未来から来ました」

「未来から来た子守ロボット?
僕が見た限りだと、嘘だって断言できる段階じゃないよね。
最初に戻って僕の頭が壊れていない限りだけど」

「大丈夫、精神的には大分追い込まれているみたいだけど、
外科的な意味での問題はない筈だから。
だから、世界を救うために君を救いに来たんだ?」

「僕を、救う? 世界を救う?」

「そう。22世紀の世界が危機に瀕していて、
その原因がここにある事が分かったんだ」

「ここ?」

「そう、この時代の見滝原。
過去から未来への時間の流れ、本来なら22世紀に繋がる筈の流れが、
この辺りで極度に不安定化している。
つまり、本当なら22世紀に繋がっている筈のこの世界が、
実はこの時点で破綻していた、となってもおかしくないぐらい危なくなってる。
その結果、22世紀も破綻するかも知れない。
様々な調査の結果、その大きなファクターとなっているのが君、上条恭介君だと判明したんだ」

ビシッ、と、その時だけ伸びる短い指を指された恭介は喉を見せて笑い出した。

「そうだね、呪いで世界を滅ぼせるなら、
それぐらいの事やってるかもね今の僕なら」
「あれあれー、一体全体何にそんなに絶望してるのかなー?」

恭介は、ぶらんとした左腕をゆっくりと持ち上げた。

「交通事故でね、何とか命は助かってこの左腕も繋がってはいるけど、
多分、元通りには動かないんだろうね。
ヴァイオリン、物心ついた頃から始めて、少しは、自信あった、
将来、その道に、進みたい、って………」

「つまり、左腕が治らないから絶望してるの?」

異常過ぎて取り繕う事も忘れて落涙する恭介に、九エモンが尋ねる。

「そうだよっ!!
もしかしたら、武器があったら、本当にこんな世界ぶっ壊したい、
って思ったかも知れない、っ!!!」

「その左腕、治らないんだ」

「医学的に治ったとしてもブランクは計り知れない。
いや、それなら。一年の遅れに十年かけてでも石にかじりついても取り戻すっ。
だけど、だけどもう、この腕は、分かる、それぐらい………」

「ほんとにぃ?」

くっ、と、顔をそむけた恭介が、
九エモンのどこか嫌らしい言葉にむっとそちらを見る。

「!?」
「噛んだらケガするよ」

次の瞬間、恭介は鼻を摘ままれ、
その後で口にフラスコの口を突っ込まれていた。

「な、何をっ!?」

得体の知れない液体を喉に流し込まれ、
恭介は咳き込みながら九エモンを睨み付ける。

「はいもう一度、その左腕が、何だって?」
「だからっ! もう、この左腕は治らないんだよっ!!!」

パチン

「はい、嘘の嘘、それh………」
「それ別のアニメ、大体君、弾く程指………」

言いかけた恭介は、左手をグーパーさせながら目が点になる。

「う、嘘? まさ、か………」

「あれあれー? どうかしたのかなー?」

「えーと、左腕の事はおいといて、
君のそのノリってなんなの?」

「ああ、どっちかって言うと
サブカルと言うかエンタメ的に発想が必要なミッションって事でね、
そっち向きにAIがチューニングされてるみたいなのだよ少年」

「ああそう………えーと、ちょっと待ってよ………
そうだな………
さやかと志筑さんがここに現れて真っ裸の全裸になってラジオ体操を始める、
なんて事、ある訳ないよね」

上条恭介が至って常識的な見解を述べるのと、
彼の顔見知りの女の子二人がだだだーっとこの屋上に現れるのに
さ程のタイムラグはなかった。

そして、恭介は、美樹さやかと志筑仁美が、
制服からブラジャーからショーツからぱっぱっぱっと脱ぎ捨てるのを、
只々目を丸くして眺めていた。

「ななな何々なにっ!?」
「ななな何ですのっ上条君っ!?
見ないで下さいましいいいっっっっっ!!!!」
「はああっ!? 恭介見るな見たらぶっ飛ばすっ!!!!」

上条恭介が切望やら恫喝やらを突っぱねた理由は幾つか。
目の前の事態に理解が追い付かず茫然としていたのも確か。
そして、目を離すのには余りにも勿体ない、と言う事も確かにあった。

(志筑さん色白くてやっぱりお嬢様、
さやかって、背高いとは思ってたけど、比べると大きいんだな)

恭介から見て幼稚園ぐらいなら一緒にお風呂に入ってたっけ、
と言う鉄板幼馴染な付き合いの美樹さやかは、
ボーイッシュなショートカットの見た目そのまま、普段は男勝りの元気印だが、
こうやって見ると健康美に加えて女としても相当にスタイルがいい、
と言うか年齢的にはグラマーと言ってもいい。

一方で、そのさやかの友達と言う事で中学生男女にしては仲良くしている志筑仁美は、
普段のお嬢様の印象そのままに、いかにも色白でふんわり柔らかそう。
だが、女子にしては背の高いさやかよりもうちょっと背が高く、
普段はスリムに見えるが出る所はしっかり出ている。

何よりも、仁美は断続的にラブレターが届くクラス公認美少女お嬢様、
さやかに関しては、恭介は身近な付き合いで男女を意識する事も少なかったが、
実際の所は結構なボーイッシュ美少女だったりする。

それが、年齢的には早熟に入る膨らみの丸出しをぷるんぷるん揺らして
ちょっと視線を動かせば黒い陰りすらそのまま伸び伸びフルオープンの全裸体操。

真っ裸の同級生の女の子を目の当たりにする機会等、
あり得る筈がない立場であり常識であり、かつ、
あり得るとしたら善悪抜きなら美味し過ぎる
恭介があらゆる意味で停止するのも当然だった。

「ささささやかさんっ!? 何をしているんですのっ!?
そうですのね、こんな事をしてやっぱりさやかさん
狙っているんですのねっっっっっ!!!???」

「いや仁美何言ってんの訳分かんないって言うかなんなのこれえっ
だから恭介こっち見るなああっ!!!!!」

「そそそそうですわ駄目ですわあっ!!!!!」

それでもなんでも、親しい女の子二人に真っ赤っ赤の涙目で叫ばれては、
ヴァイオリン以外はお坊ちゃん系一般的中学生男子の恭介としては気が咎める。

一応きこきこ180度車椅子を動かして多少なりとも安心させつつ、
背後への視線に未練を残す。
そして、第一終了後に恭介の微かな視界に白い背中と可愛いお尻を見せながら
わたわたと下着やら制服やらを身に着けて走り去る二人のクラスメイトを見送り、
恭介は確信する。

「これは、本物だ、っ」

「それはいいけど、このマニアックなオーダーってなんなの?」

「ああ、中沢って悪友が持って来た面積の割に厚さに欠ける
非公式っぽい漫画にあんなネタがあったからね」

「ああ、全裸ラジオ体操とか全裸あ○○う踊りとか」

「取り敢えず、今の事なんとかしないと世界とかなんとか以前に
腕が治っても学校戻れないんだけど、
あの二人の記憶とかなんとかする方法とか?」

「アルヨー、アルヨー」

「だから、アメリカンな通販番組とか放映してないから。
それから、洗濯とかは出来ないかな?」

「イエス・マイロード。
ズボンとトランクスの洗濯乾燥、下腹部の清拭を速やかに実行し、
ここ数日の環境変化やストレスにより放出の機会を失していた
粘液度イエロー夥しい量の精液を
入院着を着用したままの状態で射精した痕跡を抹消せよ、
とのオーダーを以心伝心確かに承りました」

「大体合ってるし僕の名前の通りに恭しく承ってるけど、
どうしてそこだけ正確無比に口に出して確認しているのかな?
嫌がらせだよね、絶対嫌がらせだよねっ!!!」

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最終更新:2017年11月06日 02:01