*  *  *

「解散っ」

パタン、と長門の手でハードカバーが閉じられ、
それを潮時にネット上をのろのろと波乗りしていたハルヒが本日の団活終了をコールする。
ま、いつも通り、古泉からは換金不能の疑似紙幣を散々に巻き上げた後での事だ。

「キョン」

三々五々帰路に就いていた筈が、気が付くと学校の玄関で声を掛けられていた。
今更ながらけったいなあだ名であるが、
いくら俺の周囲で普遍化していると言っても呼び方にはそれぞれ特徴がある。

「どうした、ハルヒ」
「忘れ物、付き合って」

返答を待つ、なんて習性とは無縁のハルヒの手は、
ぎゅっと俺の手を握ってそのまま校舎内へと力強く引っ張っている。
なんか、デジャヴ、いや、別に約一万回のサブリミナルを掘り起こすまでもなく
そのシーンは記憶に焼き付いてるさ。
そして、今なら分かる。この白く柔らかな掌がどれ程温かなものか。

だが、今回の吸引先は逆コースを辿っている様だな、ある意味デジャヴだやっぱり。
つまり、行き先は1年B組の教室だった。
ここに忘れ物ってのはちょっと意外な気はする。
あれで何か根本的な部分以外においては抜け目のない、素行以外は優等生の筈なんだがな。
しかし、とっくに陽が沈んだ校内が醸し出す不気味さ等は、簡単にねじ伏せて行きやがる。

「来なさいよ」

教室に飛び込んだハルヒは、そのまま真っ直ぐ窓際に向かっていた。
最後尾のロッカーに近い机と机の間で、長い後ろ髪をわしゃっと掴んで、
頭から解いて口にくわえたカチューシャで改めて後頭部で一纏めに束ねていく。

それが終わってから、窓際一列目と二列目の机の間辺りでハルヒが突っ立って、
ぐいっとあの眼力をこちらに向けている。
そこはハルヒの席と言うか俺の席と言うか都合上判別に迷う所だ。
だが、あいつのコートは既にあいつの席の背もたれに下がってる。

「なんだよ、ハルヒ…」

ハルヒの指示に従い、歩み寄る俺をハルヒはぐっと見上げた。
前歯に軽い痛みが走った。そして、体がぎゅっと締め付けられる。

「ハル、んむっ」

来た、舌が来た、これは当然返すべき所だろう。

「…しなさいよ…」
「は?」

力の限りの蹂躙、ああ、俺も負けてはいないつもりだったが、
その後、口内の嵐がようやく通り過ぎて唇が離れたその直後、
何か悲壮さすら覚える声が聞こえた気がした。

「何?」
「付き合ってる健康な若い男女がする事って言ったら一つしかないでしょこのアホキョンッッッ!!!」

オーケー理解した、不正解ならアホキョンで正解ならエロキョンとは
相変わらずハルヒの存在と同じぐらい理不尽なクイズだな。
ま、イザとなったらいくらでもやり様があるのが今の俺だが、
ハルヒだって本格的停学を望んじゃいないだろ。それならそれでいい。
返答代わりにもう一度、ぎゅっとハルヒを抱き締めその制服越しでも分かるやけにグラマーを確かめると、
ハルヒは俺の胸にぽすっと額を打ち付ける。
もう一度、優しくキス。

  *  *  *

「ん、んっ…」

流れに任せてハルヒを普段の俺の机の後ろの机に腰掛けさせ、
セーラーブラウスをまくり上げる。
この教室の中じゃあこいつ、誰がいようが堂々とな、
こうやってブラに包まれたやけにグラマーな膨らみを披露してたっけな。

だが、ここから先は俺の特権だ。
ココアカラーの3/4カップブラのホックを外し、ぺろんとまくり上げて至宝を目に焼き付ける。
性格以外スーパー美少女に相応しく、標準以上に大きい癖に造形が実に素晴らしい。

みっしりと豊かでいながらぷるんと誇らしげに前を向き、
ここだけは可愛らしいぐらいに控え目な乳首も今はツンと突き出して全力攻撃の態勢に他ならない。
だからして、全体として更に一際膨らんだ所を掌に包み、
つきたての餅を思わせる心地よさを堪能しながら乳首に向けた指を悪戯に動かす。
そして本来の用途に近い接し方で唇を向けると、何とも悩ましい声が聞こえて来る。

「ん、っ…ああっ…」

ああ、ハルヒな、これに結構弱いんだ。
と言うか、割と大きめにして感度も素晴らしく良好ってのも能力的美点と言っていい訳か?

「あ、あっ、キョンっ…」

何と言うか、言葉が出ないと言うか調子が狂うと言うか、
とにもかくにも、俺の右手はハルヒのスカートの中に潜り込み、
ショーツの布地越しにぽつっと尖ったものを探り当てる。
それに併せて悩ましく俺のあだ名を口にする、そんなハルヒの声はいつもと違い、
だから俺のペースもいつもとは違って来る。

「あ、キョ、あ、あっ…」

ああ、特に初心者の場合、こんな感じで布の上からこの部分、って事で、
ハルヒ相手ならからかってやりたい気もしないではないが、
しんと静まった教室でこの声を聞いていると、そんな気持ちがぎゅっと抑え込まれる。

「やっ、あ、キ、キョン、あっ…」

だから、順調に臍下のルートから布地を突破し、
既に布地に染み通る程溢れ返っているのを直に確認しても、わざわざ声に出す気も起きない。
ハルヒの切なげな声を聞いているだけで十分な気がして来る。

「キ、キョン、んむっ…」

気が付いた時には、ハルヒの呼吸がやけに大きく聞こえていた。
体が一度くらりと揺れて、大きく呼吸を整える。
それでも、ハルヒは辛うじて、ではあっても俺の支えを必要とはしなかった。

ハルヒがすとんと床に着地し、背伸びをする。
捻りも何もなく、そんなものは必要とせず、俺は唇を重ねる。
ロマンチックなラブシーン、と言えなくもない。ああ、認めておこう。

だが、さすがは涼宮ハルヒ、その後の展開は一味違っていた、
と言うかハルヒ、お前の右手は一体何をやっている?
等と言う言葉にならない問いに答えるでもなく、
無言で俺のズボンの、目の前のイカレ女を求めてやまないアンテナを当の本人が手掴みにしている。

ああ、柔らかい綺麗な手だよ。力一杯だったら即刻撃沈していたところだが、
この力加減すらハルヒの万能パラメーターの賜物か?
かくして、暴発一歩手前を華麗に回避し、何か探る様な右手を離したハルヒは、
そのままするすると俺の前に跪いた。

俺のベルトに手を掛け、カチャカチャと金属音を響かせる。
よく見えないが、やけに真剣に見える。
ハルヒも、と言うか俺も、正気の状態、ここまで来るとその定義も難しいが、
まあ、つまり俺の行使し得る変態的圧倒的支配下でなくても、こういう経験は無いでもない。

ハルヒの柔らかな唇やその奥、舌の滑らかな感触に何でもこなす器用さを、
俺自身の最も敏感な部分で知っている事も確かだ。
だが、そのためにはまあ色々と、主に俺の方から相当ひねくれ曲がった紆余曲折を経て、
一発や二発きっついのを覚悟した上でないとそれが涼宮ハルヒであり
妙なMっ気などなくても楽しいプロセスである事も否定はしない。

だがしかし、そうした経験から逸脱したハルヒの行動に首を傾げる暇は無かったらしい。
ずるっと引き下ろされ、風も無いのに夜の教室ってだけで、
その空気に直に触れた冷たさがえらく刺激的なモンだ。
何せ、熱々に煮え立った状態で一杯に反り返ったまま丸ごと表に剥き出しだ。
温度差だけでも刺激的なのは当然だろう。

そして、その剥き出しにされた俺の逸物はすぽっ、と、ハルヒの口にくわえられた。
ここまで来たら期待して当然の所だが、ハルヒはあっさりとそこから離れ、
その代わり、期待を込めて含まれていた俺の肉体部分全体に、
ほんの僅かにピタッとした感触が残留し続ける。

チラッと下を見ると、文句あるエロキョン、と、見上げた目つきの95%が語っていたが、
端数に含まれた照れはほんのりと赤い頬にもはみ出してるぞハルヒ。
しかしまあ器用なモンだ、いくら器用なハルヒでもよくよく練習したんじゃないのかこれ?

すくっと立ち上がり、いつも通り挑む様に俺を見る。
その、「どう?」とばかりの眼差し。それなら俺としても返礼は必要だな。
まずは背中に腕を回してだ、ハルヒもまんま同じ行動で返して来るし。
大事な事を忘れずに、そして立派な仕事を果たしてくれた敢闘賞の唇に短く、だがしっかりと返礼を。

  *  *  *

流れの乱れは最小限度に。
手際よくドッキングされた机の上で、何と言うか寝乱れたセーラー服姿のハルヒが横たわる。
俺は俺でコートは手近な机にとうに放り出して、
頬を染めたハルヒがこちらを向いて、ちょっと目を細めていた。

「キョン」
「ああ」

別に、初めてではない。
それは当たり前の事に聞こえるかも知れないが、加えてハルヒの意識下においてもだ。
大体の所は、ハルヒが先ほど発した理不尽なクイズ通りの現状って事さ。
短く言葉を交わし、俺は机に乗る。
スカートをまくり上げて、ショーツを柔らかな尻からするりと引き下ろす。

「んっ」
「あっ」

俺が堪えた瞬間、俺は抱き締められていた。
カタカタと机の揺れる音に混ざりながら、何度か、繰り返して俺のあだ名が聞こえる。
俺の口からも好対照に呼び続けていた記憶があるしな。
涙を浮かべながら、しかし、それは哀しいと言うよりは、
真っ赤な頬、唇から溢れ出す荒い息遣い甘い喘ぎとセットで見るべきだろう。

盤石とは言い難い机の上で、丸出しにされた白い膨らみが質感たっぷりにぷるぷると震える。
これが又絶妙にたまらん。もう少し余裕があればむしゃぶりつきながら豪華二重奏って所なんだが、
正直言って、腹一杯に破裂しそうなのが今の有様だ。

何しろ性格以外パーフェクトがモットーでありパラメーターの団長様だ。
この状況で非常に無礼な事を言えば、ここまで何人もの経験を踏まえた俺に言わせるとだ、
それはその最も深く蠢く肉体的メカニズムにも及び

「キョン、キョンっ」
「ハルヒっ」

並以上の男でも、瞬時に、こうだ。
実にまあ、たまりません。
ああ、俺の目を見てちょっと驚いた顔の後でツンと家鴨口だが、
ハルヒにも気に入ってもらえたらしい。
ハルヒの腕は、黙って俺の背中に回されていた。

「ハルヒ」
「エロキョン」

その一言と共にこっちを向き直した以上、後は唇と唇で応じるまでさ。

  *  *  *

「縮んだら意味無いでしょバカキョンっ!」

との叫びにせかされながら引っこ抜くのも一興。
まあ、意識上一般人であるハルヒにとっては一大事なんだからそこは真面目にな。
で、どっぷりと重さを増して摘んだ端っこからぶらーんとぶら下がった半分以上くすんだ白のピンク色ゴム袋。
俺としては何ともうっかり笑みがこぼれたモンだが、
パッと奪い取ったハルヒの顔は見えなかったな。

で、さっさとティッシュやビニール袋でそいつの隠滅準備を済ませた後で、
「ふんっ」とばかりにツンとあっちを向いた、やっぱりハルヒって所さ。
そして、堂々たる団長様らしくさっさと身繕いも済ませて見せる。

「…どうしたんだ?」

口を突いた、って奴だな。実際、ハルヒの通常の行動パターンとは言い難い。

「別に。そりゃ健康な若い女なんだし身体をもてあましたりもするわ。嫌だった?」
「な訳ないだろ?」
「当然よね」

くるっとこちらを見たハルヒはいつもの、自信満々の団長様だった。

「だけどなハルヒ、次はなるべくスリリングの程度をもうちょっとぐらい考えてくれよな。
あんまり退学がチラつくとあれだ、男としてもだな」
「ん?…つっエロキョンッ、なっさけないわねぇ。それじゃあ雑用係のあんたが用意しときなさいよ」
「へいへい、団長様」

「ふんっ、覚悟しときなさい。その時はこんなモンじゃすまないんだからね。
イベントには全身全霊全精力をもってこれに臨む、
これがSOS団団長涼宮ハルヒの所信表明なんだから」
「ああ、分かったよ」

こりゃ、数百年後にでもこの近辺から至福の笑みを浮かべたミイラでも出土するのかね。
次があれば、の、話だけどな。
潮時だな。

  *  *  *

「ん、忘れ物」
「はあっ?何やってんのよアホキョン。
待っててあげるからとっとと取って来なさい」
「へーへー」

いや、マジに忘れ物だ。ちょっとさっきのはイレギュラー過ぎたからな。
ああ、イレギュラー過ぎたんだ色々と。
もういいだろう。これ以上はまずい。
俺は凡人であり常識人であり一般人だ。精神も欲望もその脆弱性において何等そこから外れる所は無い。
これ以上は本格的にまずい。

ま、こざっぱりしたハルヒや宇宙人謹製無敵アンドロイドとの付き合いも長い、
とも言えないがそれなり、いや、結構過ぎる程に濃密だった訳で。

等と、まあ強がりなんだろうな、そんなもんを心の内に反芻している間に1年5組に到着だ。
コートと分けて置いておいたブツを回収した俺は、その光に気が付いた。
それは、ハルヒの机の上からだった。

「パソコン?…朝倉涼子…」

ハルヒの机の上で開かれたノーパソには、微笑む朝倉涼子の画像が映し出されていた。
その画像には、「りょーこちゃんのお部屋」とのファンシーなタイトルが。
次の瞬間、画面は暗転し、ただ一言

Ready?

いや、ヤバイ。これはヤバイ本格的にヤバイ。
ヤバイ、って俺の全ての知能がそう訴えかけてアラートしているにも関わらず、
何故リターンキーを押し込んでいるんだ俺の指は?
あるいはこれも宇宙意思って奴か?
音量ゼロ、ってのはせめてもの配慮だったのだろう。

だが、展開した画面は余りにも過激過ぎた。

それは、朝倉涼子だった。
一糸まとわぬ姿の、或いは靴下一足のみの或いは制服を引っかけただけの
あるいはどっかのブレザー制服あるいはメイドあるいはブルマあるいはナースあるいはエプロンあるいは
丸で視覚から脳内に直接聞こえて来る様にじゅぽじゅぽとしゃぶりながら両手で別の男性器をしごき立て
汚濁の面積がどんどん広がっていく。

形のいい乳房をぷるんぷるんと振るわせながらバックからバンバンぶち込まれ、
或いは男の上に跨って上下運動によがり狂う。
そうしながらも次から次へと舐めしゃぶり、恍惚の表情で酔い痴れる。
ああ、酔い痴れてる。酔い痴れてとろけきった朝倉涼子が次々とブラクラもんの勢いで。
たらり、と、コメカミやら腋の下やらに汗を感じる。
それは、雪女でも立ってる様なブリザードな背後の気配がそうさせているに違いない。

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最終更新:2011年05月28日 05:21