*  *  *

「長門、一人か?」

放課後。既に質問者自身が「予定メモ帳」によって回答を知っている質問に、
文芸部部長長門有希は、部室で定位置で目を通していたハードカバーから顔を上げ、
小さく頷いて返答する。その白磁の様な頬は微かに赤らんでいた。

長門の膝の上でパタンとハードカバーが閉じられ、
その頃には、俺は部室の隅で椅子に掛けた長門の真ん前に突っ立っていた。
しんと静まる部室に「カチャカチャ」と、ある種の想像力逞しい定型として淫靡な金属音が響く。
その想像通り、長門の白い手が俺のベルトの金具を外し、
ズボンとトランクスをズリ下げてちゅぷちゅぷと今後こそ唇から淫らな音を立て始める。

「ん、んむっ、ん…」

喉の奥から漏れる声がなんともなんとも可愛い。苦しげにしかめた顔も、
何と言うか、罪悪感が刺激的とでも言うべきかやっぱりサクッと殺られるべきだな俺。
小さな唇からいまだグロイ感じのものがじゅぽんと抜き出され、
長門は俺が見下ろす下で眉根を寄せてごくんと喉を鳴らす。

チート道具「ソノウソホント」謹製の十日分熟成品は、濃さと言い粘りと言い、
長門がどれほどお気に召したものか何れゆっくりねっぷり感想文でも書いて貰うとしよう。

そして又、俺の腰にすがりつく様に、
丹念な後始末と次に向けた刺激をかねて口に含みもごもごし始める。
ああ、おかげさんでほら、
俺は長門の頭を掴んでむしろ乱暴なぐらいに、ああ、たまにはこのぐらいの力加減の方が好みらしい。

そんな感じで頭を掴んでぶるんと引っこ抜いて、
目の前のなかなかいい線言ってる無口美少女自身の唾液でぬらぬらと濡れ光りながら
目の前の大人しい文学少女の口によって見事奮い立った威容をしっかと見せつけて
冷たい眼鏡の向こうで目が見開かれ、
頬にぽうっと赤みが差してから慌ててぷいと横を向く一連の長門動作を確認する。

最初に言っておく。
俺は別に、婦女子の前にコート一枚で登場してフルオープンする趣味は持ち合わせてはいない。
だが、それでも尚、横を向いた顔とこちらに向かう目の動きと言う、
あの長門にして隠しきれぬ本能って奴に感動を覚えているだけだ。

「んっ!?んあむっ…」

俺に手を引かれるまま、長門はその場に立ち上がり、そして唇をもって唇を塞がれて舌を蹂躙される。
ああ、元々俺が出したモンだ。あんだけしてもらって今更文句を言う筋合いでもない。

「ん、んっ、んー…」

その間にも、俺の右手は長門のセーラーブラウスをまくり上げ、
薄いピンク色のブラジャーのホックを外してその弾む中身をすっぽり包み込む。
ちょっとの間、お手頃サイズながらも確かな弾力を味わっていた俺の右手は、
するすると下に下がって長門のスカートの中に潜り込み、
そしてまずは布の上から、そして、
滑り込んでしっとりと潤みを帯びた複雑な部分をなるべくデリケートな力加減で刺激する。

「ん、あ、んはっ、あっ…」

糸を引いて唇が離れた時には長門の呼吸は既に熱く乱れ、
その間にも、左手による腰のツボへの補助刺激と併せて、
既にしっとり湿ったショーツの中で俺の右手は止まらない。

「ん、んっ!」

俺の囁きにふるふると小さく首を横に振った長門だったが、
右手の加減をちょっと上げてやると、次には悲鳴を上げそうになった。
そんな長門から両手を放し、
俺は後退して長門の温もりが残るパイプ椅子にがちゃりとばかりに座り込んで両腕を広げる。
ちょっとの間たたずんでいた長門は、上靴を脱ぎ、
スカートの横側をまくり上げて自分で脚からショーツを抜きとった。

「あ、ああっ!」
「んっ!」

いや、これは予想外に刺激的だ。
ツカツカと接近して来た長門が意を決した様に、一息でストンと腰を下ろす。
ずりゅっと柔らかく潤んだ粘膜に俺自身が呑み込まれ包み込まれた感触はもちろんだが、
真ん前でショートボブがぱさっと揺れて、切なげに目を閉じて体ごと顎を反らす。
そんなのを目の当たりにしただけで、危なかった。

「あ、あっ、あ、ああっ、あっ…」
「おっ、いいぞ長門。
こんな椅子一つの上でなかなか美味しい展開になってる訳だが、
この状況って文学になるとどういう表現になるんだ長門?」

「あ、ああっ、
キ、キョンくんの逞しく勃起した逸物、がっ、
有希の熱く潤った秘裂を力強く、抉って、
有希はキョンくんの男性自身を、奥深く飲み込み、ながら激しく、腰を、あ、あああっ」

「ああっ、長門のエロエロご奉仕でビンビンにおっ勃った俺のチ○ポを
長門の濡れ濡れオマ○コが上からずっぷり呑み込んで、下の口にくわえ込んだチ○ポを貪りながら
俺の目の前で長門は激しく腰を振ってあんあんよがり泣いてる訳だな」

うん、いっぺん氏んでいいな俺つーか今すぐ氏ね。

しかしなんだ、一段と激しいんじゃないか今日の長門。
「きょうじき」によってこの部室の時間進行を変化させてある事はもちろん伝えていないので、
いつもは最終的には陥落するとは言ってももっとおっかなびっくり、それが又たまらん訳だが、

そんな感じなのだが、今日の長門はなんだ、
何かどこか、切羽詰まったとでも言うべき激しさでよがり、喘ぎ、貪って来る。
だから長門、そんなに激しく、そんなに可愛い顔でされると、だな、

「あ、あっ、あ、あっ、あぁーっ」

長門に包まれたまま、俺としては始まっちまったモンは仕方がない、遠慮なく長門の中に解き放つ。
普通だった洒落にならないなんてレベルではないのだが、
多分生物の生死をも操作出来る、
少なくとも今まで俺が体内から体内へと放し飼いにした微生物に関しては何度も殲滅を明記した
あらかじめなんてタイトルの日記の一つもあれば、その辺は無問題の筈だ。

「キョンくん…」
「…ん…」

椅子に掛け、生々しく繋がったままの俺に覆い被さる長門、
その上気した顔に浮かんだのは何か、そう、薄明の様な微笑みだった。
唇など、簡単に引き付けられる磁気を帯びた様な。

  *  *  *

ゴムのイカレたショーツはジッパーつきのビニール袋入りで長門の鞄にしまい込まれ、
俺が使い捨て用に差し出したハンケチで色々と応急処置を済ませる。
その後で、使い捨てハンカチ複数とうがい用のストレートティー500ミリペットボトルを渡された長門は
そのままトイレへと移動する。

そして、一旦「きょうじき」の時間進行を元に戻し、
「ウルトラストップウォッチ」で時間停止している間に
廊下に隠しておいた時計を基準に長門の腕時計を直してから部室に戻り時間停止を解除すると、
入れ違いの様に朝比奈さん(小)が部室に姿を現す。

実際の所、時刻指定された「予定メモ帳」によってこういう状態になるのは必然だった。
朝比奈さんはご機嫌な鼻歌をハミングしながら制服を脱ぎ、
レモン色のブラジャーを外してショーツを脚から抜きとる。

「きゃんっ」

そこまで見届けて、俺は「石ころぼうし」を外し、
背後からその素晴らしい大盛りを鷲掴みする。

「あんっ、キョンくんっ」

「めっ」て叱られそうなお姉さんスタイル、たまりません。

「うん、やっぱり朝比奈さん、朝比奈さんいいですほらっ」
「もうっ、キョンくんっ」

余りにも素晴らしいボリュームを掌一杯に感じながら、
そんな朝比奈さんのすべすべとした腰と言うか背中に俺がぐいぐいとズボンのテントを押し付けると、
朝比奈お姉さんの赤い顔には照れ笑いが混じり始める。

「あー、朝比奈さん、ちょっと、ええ、そうですそうです、はい」

長門の椅子に掛けた俺は、朝比奈さんに俺の正面に離れて立つ様に促す。
そして、指をカメラマン風の四角に組んで朝比奈さんを囲んで見せる。

「やっぱり朝比奈さん、うん、すごく、すごーく綺麗です」
「もーっ、キョンくん」

いや、そりゃそうでしょう。
とろける様に色白でちんまりと小柄でいながらドーンとダイナマイツ。
しかも、そのいただきには桜の蕾の様に可憐で、
きゅっと形のいい、それでいて柔らかな母性を感じさせる下半身、
その正面ではふわふわな栗色に飾られた神秘の園が桃色に覗いている所まで、
そんな止め処ない俺のアホブンガクを察してか、
朝比奈さんはさり気なく両手で胸と下の大事な所を隠し始める。

「もーっ、朝比奈さんっ」
「なんですか、キョンくん」

口真似を聞いて、朝比奈さんは余裕を取り戻したかの様ににこにこと応じる。
この人の場合、
大部分は天然なのだろうが何%かはお姉さんの余裕が入っている事も見えて来た今日この頃だ。

「綺麗な朝比奈さん、もっと近くで見せて欲しいです」
「もうっ」

単刀直入な言葉を聞いて、
きゅっとこちらを見た朝比奈さんはにっこり微笑み、すたすたとこちらに向けて歩き出した。
そして、深呼吸する様に両腕を両脇にのけて、ふわっと微笑んだ。
いや、これだけでもズボンの中で爆発モンだマジで。

「あ、あんっ」

だからと言ってここで終わっては余りにももったいない。
沈み込み弾ける素晴らし過ぎる柔らかな弾力が俺の掌に吸い込まれる度に、
朝比奈さんは可愛らしい喘ぎ声で俺の野性を更なる高みへと導いてくれる。

「朝比奈さんのおっぱい、すごくたまらないです。もう、俺こんなに」
「もうっ」

俺が座ったまま腰を突き上げる、いや、朝比奈さんに何してんだ俺?
もし僅かにでも漏洩したら最後、死刑執行人の心当たりには事欠かぬ暴挙であるぞ。
しかも、順番などと言う非礼は一切感じさせぬ様に
チート道具な「ソノウソホント」で三日分の充填は完了済みの上での事だ。
そうすると、朝比奈さんはちょっと呆れつつも楽しそうに微笑み、
むにゅむにゅもみもみ飽きを知らない俺の手をそっと、その柔らかな白いお手々で制して下さった。

「ああっ、本当に…」

とか何とか言う甘い声が下から聞こえたな。
つまり、その時には朝比奈さんのナイスすぎるバディに昂ぶり切った俺の一部分はすっかり空気に晒され、
俺の目の前に跪いた朝比奈さんはぴっ、ぴっと、その豊穣なる谷間にローションを振りかけていたって事だ。

このローションに関しては、とっくに文芸部と言う枠を取っ払った主にハルヒ備品収集群の中に、
ぬるぬるゲーム用としてさり気なく紛れ込ませたものでもある。
無論、団長閣下の特別なる職権濫用のお計らいによって、団長様との…
ああ、いかんいかん、この状況での他の女性の想像はとんでもないマナー違反だったな。
つまりあれだ、さり気なく減少量をごまかす必要はあると言う事だ。

「お、おおっ」

おお、自分でも自分の声が自覚出来るみたいな。
何とも失礼千万なる俺の暴挙に対して、
既にそのほんのり赤い可愛らしいお顔のあちこちからたらりと垂れ始めている朝比奈さんは、
うふふっと微笑んで優しく俺を見つめてくれた。

それでもなんでも、朝比奈さんの豊かな、柔らかな、母なる温もりに包まれたまま、
朝比奈さんに向けて吐き出した昂ぶりが鎮まっていくこの流れはしみじみ心地いいものだ。
そして、朝比奈さんはされるがまま、俺の手で顔に使い捨てハンカチを当てられる。すいません朝比奈さん。

「ふふっ、男の子ですもんね。元気ですねキョンくん」

まことにあいすいませんです。

「だから、元気なキョンくんの男の子に触れているとですね、
私だって燃え上がっちゃうんですからね」

何か言おうとした俺が見た朝比奈さんの笑顔は、淫靡な年上の女性のものだった。
朝比奈さんはぺろりと唇を一舐めすると改めてそこに唇を寄せ、
俺の中から溢れ出した痕跡を舐め清める。
ちゅぽんと唇から抜け出すや、にゅるっと掴まれた。
ああ、跪いた朝比奈さんの右手が文字通り掴んでるんだよ。
そして沈静完遂の暇を与えず、しごき始めたんだこれが。

「ち、ちょっ、朝比奈さんっ」

ああ、とてもじゃないが俺の右手なんて比較する話じゃない。
それは決してローション云々とは次元の違う白く柔らかな天使のお手々だ。

「キョンくんっ」
「はいっ」
「キョンくん、私のおっぱい好きなんですかー」
「は、はい、好きです、大好きです」
「もうっ、キョンくん」

それは実に悪戯っぽく、淫靡な笑みだった。

「んぶぶっ」

古い言葉で言えばぱふぱふって奴だな。素晴らしい。
ローションまみれとかなんとか些細な事さ。
朝比奈さんがそんな状態でぎゅーって抱き締めてくれるんだからな。
であれば、俺としてはひたすら吸う、目の前に来た蕾を吸う、赤ちゃんだろうがなんだろうが何とでもいえ。

俺の口の中でぷくっと膨れ上がり、頭の上から何やら熱い喘ぎ声が聞こえて来る。
よく見ると、朝比奈さん自身の右手の指が、栗色の茂みの下でぴちゃぴちゃと蠢いている。
俺の気付きに気が付いた様に、
朝比奈さんの右手が、今度は俺の茂みの下で朝比奈さん自身の蜜をまぶしながら硬い支柱を撫で始める。

「キョンくん」
「はいっ」
「キョンくん、キョンくん、もう、ですか」
「は、はいっ、朝比奈さんっ、朝比奈さん俺もう、です」
「んふふっ」

朝比奈さんが左腕を解いた事で、俺は甘美な窒息寸前から解放される。
そして、その素晴らしい膨らみの全体像を再び目の当たりにする。
うん、やっぱりこれだ。

「あの、朝比奈さん」
「はい?」

かくして、朝比奈さんだけ、と言う非礼はここまでにしていそいそと真っ裸になった俺は
打ち合わせ通りに大机の上に仰向けに寝転がり、
朝比奈さんはその脇にパイプ椅子を移動してよいしょよいしょと一段二段と上昇する。

既にとろとろにとろけたピンク色のあらゆるものを丸出しにして、
と言う絶景である事をここで賞賛するのはよそう。
そんな事をしたらこの人の器用度からして洒落にならない事故になる。

「あんっ」
「んんっ」

まず、栗色の髪の毛がばさっ、と一揺れしたのは確認した。
もちろん、その不器用さと俺への誠実さの結果として思い切りよく腿を開き、
そして俺の体にそそり立った所へとにゅるっと呑み込んだ瞬間の甘美な痺れもだ。

「あ、あっ、キョンくんっ、キョンくんのがああっ」

突き上げるものがたまらない、と言わんばかりにと言うかはっきり言って言ってる、
そんな朝比奈さんが自ら求めるままに激しく腰を上下させ、
或いは既に柔らかく食い締めながらもどろどろに溢れ返った繋がりを擦り付ける様に縦横の捻りを加える。

その度に、俺の目の前では、
ローションでぬらぬらに濡れ光った最強レベルのたわわにして真っ白にして見事な膨らみが
予想通り、そして何度見ても予想を裏切る素晴らしさで
ぶるん、ぶるんって、はち切れそうに上下に弾み回るんだ。

ああ、なんか医学的に言えばあんまり弾けるとマジではち切れそうに痛いとも言うが、
今の朝比奈さんの顔が熱い悦びに充ち満ちているのは何よりだ。
こんな素晴らしい絶景を目の当たりにしながら更に肉体的に高みを目指している、
そういう俺の立場としては実に嬉しい限りだね。嬉しすぎて、たまりません。

ぽーっとピンク色に染まって甘い汗に濡れながら、
白く柔らかな肉体の律動はひたすら情熱的に打ち続き、
朝比奈さんの髪の毛、朝比奈さんの顔、朝比奈さんの声は牝の、
切羽詰まった正直鬼気迫るものすら感じられる。
ああ、終わった後にちょっと恥ずかしそうな顔、それも可愛いんだけど、
こういう朝比奈さんもとっても魅力的です。

萌えキャラオンリーじゃなくてもですね、何て言う隙を与えてくれないであろう微笑みとキス、
それが朝比奈さんなんだよな。多分、今からの近い未来もそうである既定事項であろうと。
その時はすぐ、そこまで、お、おおっ、

「あ、キョン、くん、あ、ああっ、ああああ、あああぁーーーーーーーーーー」

ほら、ぐにゅっと、ぬるっと、
たまらない膨らみの感触が俺の胸にそのまんま。
そうしながら、俺の下半身も意地汚く朝比奈さんに包まれて甘美過ぎる脈動を継続して。
余計な言葉は、朝比奈さんのお姉さんの微笑みが忘れさせてくれる。
そして、キス。

  *  *  *

まどろむ様な僅かな時間を経て、朝比奈さんの携帯がバイブ音を鳴らす。

「…あ…涼宮さん…
本日のスク水撮影会は中止よ、ですって…」
「相変わらず勝手な奴だ」

と言いつつ、このメールを送信したのは他でも無い、俺だ。
まず、「ウルトラストップウォッチ」で時間を止めている間にハルヒの携帯をパクり、
朝比奈さんに本日は水着撮影会とのメールを送信して送信済みメールは削除する。

そして今、隙を突いて用意しておいたリモコンのスイッチを押して、
「天才ヘルメット」と「技術手袋」で製造してこの部室に仕掛けておいた機械箱の中に仕込んでおいた
ハルヒの携帯から送信直前状態の保存メールを送り付けたって寸法だ。

元々、ハルヒは四六時中携帯をカチカチする類の付き合いとは縁遠い人間だ。
拝借した直後に「ヒミツゲンシュ犬」にその事は飲ませておいた。
「ヒミツゲンシュ犬」によって意識は反らされている筈だから、
ぼちぼち鞄に戻しておけば問題ないだろう。

まさか、携帯本体や電話会社のサーバーを解析して、
アホみたいな手間を掛けて本人すら知らない削除メールを復元する理由も存在しないだろう。
朝比奈さんは朝比奈さんで、エージェントに化けた俺が、
本日のハルヒのちょっとした気紛れは既定事項なので本人が触れなければ深く突っ込まない様にと
予め釘を刺してあるから問題は無い筈だ。

「ちょっとだけ、ちょっとだけそのままで待ってて下さいね朝比奈さん。
施錠して、ノック三回で」

かくして、一度部室を出て戻った俺は、手に水を満たしたバケツを下げていた。

「これ、新品のバケツですから」

別に嘘は言っていない。

「あ、キョン、くんっ」
「やっぱりあれです、あんまり汗とか色々そのまんまってのはまずいですから」
「キョンくぅん、自分で」
「いいですって、ね、朝比奈さん」
「…はい…」

我ながら嫌らしい笑みだったんだろうな。
それでも、朝比奈さんはにこっ、って俺の善意を受け容れて、
俺の濡れタオルにその身を委ねてくれた訳だ。
後は、ここの生徒なら諭吉さんの山積みと共に縋り付いて来かねないバケツの中身を改めてトイレに流し、
そして、朝比奈さんがいつものメイドスタイルに変身する一部始終を長門椅子で観賞する。

「男の子って何がいいんでしょうね」なんて優しく仰って下さったが、
無論、朝比奈さん程のナイスナイスナイスバディ綺麗可愛いお方であれば
素材そのままぽんと出されても絶品以外の何物でも無いのですが、
この着替え、と言う背徳官に男の浪漫があるのですよ、と、何れ力説する時は、来ないだろうな。

で、ちょんと摘んだスカートを広げてにっこり微笑む朝比奈さんにパチパチ拍手したい衝動に耐えて、
まあ、それはやり過ぎって事で我ながらキモい微笑み一つだけに押さえて立ち上がった俺は、
一旦その朝比奈さんを「瞬間固定カメラ」で固定して、
まずは「きょうじき」によって、
朝比奈さんの入室と共にセットしておいた時間進行変化を通常モードに戻す。

そして、一旦「ウルトラストップウォッチ」で時間停止してから廊下に隠しておいた時計を使って
部室内にあった全ての時計を合わせ直しておく。
「吸音機」と共に、
「スペースイーター」の超空間トンネルが開通したプラスチック板にセットした
「天才ヘルメット」と「技術手袋」謹製手動発電機つき換気扇を二つ用意する。

その二つの換気扇はそれぞれ、ここの空気を外部に排出する、外部の空気がこちらに来る、
そういう二つの機能になっており、手動発電機は「つづきをヨロシク」が回転させる。

それで、少しの間ここの空気を循環してから「吸音機」と換気扇を撤去して朝比奈さんの固定を解除して
「ワスレンボー」で「瞬間固定カメラ」で撮影された事自体を忘れていただく。
で、一旦俺が廊下に出ると、見計らった様に古泉とその後ろから長門が姿を現す。
「予定メモ帳」に狂い無しだ。

「いいですよー」

ドアの向こうから天使の声が。うん、我ながら猿芝居だ。
もう少し遅れて我らが団長閣下も到着あそばす筈だ。

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最終更新:2011年05月28日 05:00