*  *  *

学校を出た俺は、念のため尾行がついていないかどうかを確認してから、
ぐるりと一回りして駅前エリアに姿を現した。

「よっ」
「やあ」

ニヤケ面の谷口と相変わらず愛想のいい国木田に俺も気分良く返礼する。
その背後では、お姉様方がはにかんだり不敵だったり思い思いの笑みを見せていた。
そうしている内に、新川さんがすーっと音もないぐらいの滑らかさで俺達の側にバスを停車させた。

「じゃあ、行きましょうか」

  *  *  *

「それでは、これを着けて下さい」

複合アミューズメント施設の廊下で、俺達を案内した店長が腕サポーターを全員に渡す。

「これは、お会計まで外さない様にして下さい。
それから、一度スタートした歌は、形だけでもなんでも最後まで歌いきる。
これが皆さん特別モニターのルールと言う事になりますのでお願いします」
「分かりました」

俺が言い、他の面々も小さく頷く。
そりゃあ、分かってるさ。そもそも俺と店長が事前打ち合わせした内容だからな。
もっとも、店長が打ち合わせしたのは、
「フリーサイズぬいぐるみカメラ」で本社の特別顧問と称するどっかの別人に化けた俺だけどな。

サポーターには俺のもの以外、「かたづけラッカー」を吹き付けた軍曹用「階級ワッペン」が貼り付けてある。
そして、それに対応した大佐の「階級ワッペン」は、
やはり「かたづけラッカー」を吹き付けて店長のシャツにベタベタと貼り付けてある。

「やっぱひろーい」
「これで格安ー、やっぱキョンくんいいモン見付けて来たねーっ」

説明が終わっての入室、案内の店長が消えた所で、最高級総合ルームに早速のご満悦だ。

  *  *  *

谷口が早速に歓声を上げ、その側では国木田が微笑ましく座っているその側で、
俺も気楽にステージを楽しんでいる。
そんな俺達の前で、ENOZのお姉様達によるプライベート・ライブが開催されていた。
と、言っても、エア楽器の4ヴォーカル、観客は3人。
マイクこそ持ち込みのヘッドマイクだが舞台はカラオケセットのステージ、要はカラオケ大会だ。

厚いコートを脱ぎ捨ててタンクトップにミニスカと、健康的に汗ばんだ素肌も露わなステージ衣装の先輩達。
ダンスミュージック系ではなかった筈だが、さすがに体力勝負のバンドをこなして来ただけはある。
ヘッドマイクに迫力ある歌声を叩き付けてなかなかに躍動感あるステージを展開中だ。

一曲歌い終え、思い思いのポーズを決めたENOZのお姉様達を前に、
谷口はぐいーっと上半身を前に伸ばしながら奇声を上げ、国木田はパチパチとにこやかに手を叩く。
かくして、ENOZのメンバーはひらひらと手を振りながら戻って来る。
その先輩達の軌道を谷口の首が臆面も無く追跡しているが、ステージからこちらに距離が縮まった頃には、
国木田の眼球運動も又、谷口に類似した軌跡を描いている事が判明していた。

「お待たせしましたー」
「はいはい」

プロデューサーの俺が立ち上がり、中西先輩と一緒に飲食物を受け取る。

「それではー、かんぱーい」
「かんぱーいっ!」

前振りも無しの乾杯はノリでOK。
既に熱気のこもり始めた室内で、冷たいドリンクのコップが傾けられる。
特にENOZのお姉様達は激しいステージをこなした後だ。

ごくごくと遠慮の無い喉の動き、
布面積が決して大きくない衣装で、しっとりと汗ばんだ様子を真ん前真隣で目の当たりにしてりゃあ、
実に旨そうだって事ぐらいイカサマ無しでタリホー級に理解出来るさ。

  *  *  *

少しの間、一人ずつのいわゆる一般的なカラオケタイムが続いた後で、
俺は備え付けのハンドマイクに熱唱していた。
その隣では、同じくハンドマイクを握る榎本先輩が同じ曲の自分のパートを歌い上げる。
いわゆるデュエットと言う奴だ。

まあ、俺の歌声は及第点だと言う事にしておこう。
そんな俺の横で、さすがにENOZの正ヴォーカルの貫禄を見せてくれている榎本先輩だが、
甘いラブソングは時に甘すぎ、不意にキーが飛び跳ねる。
マイクはこもった息遣いを響かせ、黒いタンクの大胆にVカットされた内側では、
瑞々しくはみ出しそうな膨らみの上で、今までにも増してたらりたらりと浮かんだ滴が深い谷間に伝い落ちる。

「おおっ、ふひひっ、せんぱぁい」
「んんっ、ああんっ」

そんな俺達がデュエット熱唱しているその間、
ソファーの一つでは、隣り合わせに座った谷口と中西先輩がまあなんだ、文字通り乳繰り合っていた。

榎本先輩とオソロの、中西先輩の黒いタンクトップが
ガラガラに丸出しだったお腹からぺろりとまくり上げられ、
その下からぷるんと弾け出した汗ばんだ乳房を谷口がちゅぱちゅぱ吸っている。

瑞々しい膨らみを吸われ、既にぷっくり突き出した乳首を口に含まれながら、
中西先輩は伸び上がる様にして甘い声を上げている。

「おおうっ!」

そうしながら、中西先輩の手先は器用に谷口のズボンのジッパーを下ろしその下の隙間を探り当て、
谷口が懸命に忍耐力を示す声を聞きながら、見事屹立させたものを愛おしげに撫で始める。

別のソファーでは、チアリーダーを思わせるクリーム色のタンクトップに黄色いプリーツでお揃いの
岡島、財前両先輩が、間に挟んだ国木田に「はい、あーん」状態で
テーブルのフードを甲斐甲斐しくお世話している。

甲斐甲斐しくお世話しながら、空いた手を隣人の腿に乗せ、
実際暑いのだろう、
タンクトップの谷間抉り込みU字カットをくいくい引っ張って汗ばんだ胸元に風を入れながら、
姿勢を前に倒し気味に只でさえ近い距離を更ににじり寄っていた。

そんな好き勝手な面々に視線を走らせながらも、俺は俺の役目を忠実に果たす。
俺が肘でトンとつつくと、
黒革のミニスカからほとんど丸出しの太股を摺り合わせる様にして立ち尽くしていた榎本先輩が、
伸びやかな歌声を響かせる。

まずは谷口の奇声、それに合わせて他の面々からも歓声が上がる。聞いてはいるのか。
ラスト、榎本先輩が一際高い声で歌い上げ、
俺がそれに合わせながら最後のトドメでポケットのリモコン出力をMAXに押し上げる。
榎本先輩はくたっと俺の方に倒れ込んで体重を預けた。

その熱烈パフォーマンスに、ルームはわっと盛り上がった。
俺は榎本先輩を抱擁し、ちょっとしたダンスを披露しながら真っ赤な先輩に囁く。
最初僅かに嫌々していた先輩だったが、結局の所、
俺の脚を死角にしながらスカートの中からステージにコトリと落下させ、
俺はステージ上でジーと音を立てる前にさり気なく、ピンク色の繭玉を観客とは逆のステージ外に蹴り出した。

  *  *  *

「おおっ、おおっ、おおおっおおっ!」
「はんっ!あんっはんっはんっあんっあんんっ!!」

榎本先輩とお揃いの黒革のミニスカを谷口の股間に被せる様にして、
まあ、早い話がそのものズバリの情交に及んでいた中西先輩の下で、
ソファーに座ったままの谷口が唸り声を上げて中西先輩もピンと背筋を反らし
何かご褒美の様に谷口先輩を見下ろしてぷるんと弾け出した乳房の間で谷口の顔をぎゅーっと抱き締める。
ネカフェ系総合アミューズの最高級総合ルームとして、この部屋では個室系の大概の機能が揃っていた。

「はんっ!あんっはんっはんっあんっあんんっ!!」

ソファーに谷口を残しふらりと立った中西先輩の後をそーっと追跡した俺は、
生まれたままの姿でシャワーを浴びる先輩に背後から抱き付く。

そうやって、温水を滴らせながら瑞々しく実ったおっぱいを背後からぐにぐに揉みしだきながら、
先ほどまで真隣密着していた榎本先輩を見るだけでパンパンビンビンにさせられた俺のものを
ぷるんと丸っこいお尻を割ってその奥でまだまだジューシーに潤った果肉にずっぷりと突き刺し腰を振った。

断っておくが、わざわざ使用中のシャワールームで乾燥機のリクエストを必要とする程、
俺は無意味に非効率な人間でもなければ、
それを強いられる程の緊張関係をこの可愛らしい先輩との間に持ち合わせてはいない。

事が終わり、中西先輩は俺の前に跪き、悪戯っぽく笑って、
たった今まで自分の中にあった所から己の痕跡をシャワーでジャーッと洗い流す。
そして、何かを堪える様な、
まあ、要はたった今ぷっくり小さく膨らんでいたのを俺が指で確かめた辺りに響く刺激の事だろうが、
そんな表情をしながら、シャワーの勢いで俺の痕跡を排水口まで直行させる。

  *  *  *

俺と中西先輩がシャワーから戻ると、
ステージでは岡島先輩がくるりんくるりん歌い踊り、
少し前まではソファーでだらしなく伸びていた谷口は目の前の床に跪く財前先輩に
一層だらしなく伸びた分身をしゃぶられて本体は早くも復活の兆し。

中西先輩はと言えば、するりと国木田の左隣に座り、挨拶代わりに右腕で国木田の首を胸の前に抱いて、
国木田の右隣に座っていた榎本先輩と笑みを交わす。
目の前で本体も分身もふんぞり返ったのを待っていたかの様に、
財前先輩も又、ずりっずりっとソファーから谷口の体の上へと這い上がる。

中西先輩がパッと国木田を解放すると、
榎本先輩が「はい、あーん」を始め、国木田も又この先輩の生臭過ぎるご厚意に素直に応じるモンだ。
榎本先輩は、そんな国木田の唇の端の食べ残しをちゅっと自分の唇から吸い取りながら、
ズボンのど真ん中に乗せた左手でソーセージの温度確認を直接我が手でおっ始めたりしたモンだ。

「はああんっ!」

まず、自分から呑み込んだ最初の一撃で、財前先輩の背筋はピンと反り返る。
谷口の顔もくううっと歪みを見せている。
そのまま、財前先輩もギシギシ腰を動かし始める。
谷口の腰から腿からを上から被せて覆ったミニスカの中で、
ぐちゅぐちゅかき回しているのも歌の合間に察知可能だ。

「おおっ、おおっ、おおおっおおっ!」
「はんっ!あんっはんっはんっあんっあんんっ!!」

脱力した谷口の上で、財前先輩もかっくんと谷口に体重を預けていた。
ステージ上で、岡島先輩がフィナーレの一礼を決める。

「はんっ!あんっはんっはんっあんっあんんっ!!」

ソファーに谷口を残しふらりと立った財前先輩の後をそーっと追跡した俺は、
生まれたままの姿でシャワーを浴びる先輩に背後から抱き付く。

そうやって、温水を滴らせながら瑞々しく実ったおっぱいを背後からぐにぐに揉みしだきながら、
チアリーディングさながらの姿でくるりんくるりん楽しそうな岡島先輩、
ダダ甘オーラべったべたに解き放った榎本中西両先輩に、
何より欲望のままに貪っていた財前先輩を見せつけられてパンパンビンビンにさせられた俺のものを
ぷりんと可愛らしいお尻を割ってその奥でまだまだジューシーに潤った果肉にずっぷりと突き刺し腰を振った。

断っておくが、わざわざ使用中のシャワールームに入って乾燥機のリクエストを必要とする程、
俺は無意味に非効率な人間でもなければ、
それを強いられる程の緊張関係をこの可愛らしい先輩との間に持ち合わせてはいない。
事が終わり、俺は壁際でくたっとしている財前先輩をひとまずおいて、シャワーを手にして後始末を付ける。
シャワーを出ると、谷口の前に跪いていた岡島先輩が、ずりっずりっとソファーに這い上っている所だった。

  *  *  *

ソロやらデュエットやら何やらがごったごたに進行する中、
俺は、下の方をずり下げてソファーで伸びている谷口に「グッスリまくら」で
例えこのカラオケルームであろうとも安らかな眠りを保障する。
まあ、二巡目途中と言うのも上等と言っていいだろう。
お口で戦闘準備をさせる筈が、跪いたお姉様の顔面目がけて宣戦布告無き奇襲も幾度かあったらしいしな。

ステージ上の国木田も、ENOZよりも更に素人ながらなかなかの美声にリズム感だ。
時々調子っ外れのキーが跳ねたりブツ切りになるのはご愛敬だがな。
同じステージでは、財前先輩と岡島先輩が、
ヘッドマイクで合唱しながら国木田の背中や腕に抱き付いたり掌を腿から中心へと滑らせたりしている。

それでもなんでも歌い終えてパーッとポーズまで決めた所に、
ステージガール二名はきゃーっと歓声を上げるぷるんとタンクトップをまくり上げる国木田に抱き付くを
ほぼ一挙動でフォーメーション完成させて見せた。
おっぱい4の間でやに下がった表情を一瞬にして困惑に変えた国木田を、俺は心より尊敬する。

そんなステージに視線を向けながらも、隣り合わせに同じソファーに座った俺と中西先輩は
唇から顔から首から熱烈なキスを交え、俺の手はタンクトップをまくり上げスカートをまくり上げ
その下の甘い果実にオイタをし、中西先輩の右手は更に隣に座る榎本先輩のスカートの中に潜り込んだままで
榎本先輩は時折顔を歪めながらも何か物足りない表情で時折俺に濡れた瞳ですがる視線を向けてくる。

それを見て、中西先輩は悪戯っぽい笑みを浮かべ、恐らく右手はより強く緩急を付けながら、
左手で俺の似た様な位置関係をなで回し時に掴みかかる。
中西先輩の体はテーブルの上に半ば放り出され、
俺にのし掛かられスカートをまくり上げられて、びしょ濡れの源へと俺のシンボルを押し込まれる。

無論、「ウルトラストップウォッチ」で作った時間に片づけ済みのテーブルが
「材質変換機」で鋼鉄のテーブルとなっている事など先輩は知らない。
スリリングに濡れる事もあると俺も学んだ事だからな。

ソファーから恨みっぽい眼差しを向けながら
スカートの中に自分の手を入れてまさぐっている榎本先輩にはすいませんが、

「分身ハンマー」より生まれて中将の「階級ワッペン」を貼ってここに待機してる俺の分身が、
さっき「石ころぼうし」を脱いで「かくれマント」を羽織ったまま、
「命令その1、オ○ニーでイキそうになったら小休止しなければいけませんよ」と囁いた事は
バッチリご記憶の様ですね。

  *  *  *

「私ーっ!」

くじ引きに当たった中西先輩が、丸出しのおっぱいをぷるんと揺らして立ち上がった。

「そぉーゆぅーぐっあいっにしっやしゃんせっ!」

中西先輩のマメカラ熱唱を聴きながら、俺を含む他の面々は円陣を組んでぐっと気合いを入れる。

「アウトオッ!セーフッあよよいのよいっ!!」
「あーんっもうっ」

声を上げた財前先輩が、頭を抱えてぷるるんと瑞々しい丸出しおっぱいを突き出しながら反り返り、
気を取り直した様に前を向く。
そして、くねくねとお尻を振る様にしながら、
スカートの中のお尻の方から生パンを脱いで折り曲げたつま先から抜き出し放り出した。

このゲームはそのままではENOZの面々に無理があり過ぎると言う事で、
本日ここに来る前にどこぞのトイレで鞄にしまい込んでいた下着を取り出して、
まあ、一学期ハルヒも真っ青な着替え風景になった訳だ。

その上での挑戦と言う事になった訳だが、
それで室内の状況はと言えば、喧噪ガン無視にいい夢を見ている谷口を除き、
男性陣はトランクス一丁、お姉様はおっぱい8の佳境に入っていた。

「あっ、よよいのよいっ!」
「あーっ!」

パー軍団のまっただ中で拳を握りしめた榎本先輩が頭を抱えて膝を着いた。
立ち上がった榎本先輩は、ちょいとヒップを突き出して黒革のミニスカを引き下ろし、
脚から抜いてそのままステージに駆け出す。

「お願いしまーっすっ」

岡島先輩が別のクジ引き箱を榎本先輩に差し出し、引かれたくじをこちらに渡す。

「それからこれ、振り付けの補助具ですので」

差し出した俺の説明は嘘ではない。
そう言って榎本先輩に装着したのは、「かたづけラッカー」で大部分が視界から消失した「人間あやつり機」。

先にこちらの方から説明してしまうと、この近くにもう一つ確保している別室には、
札束で手に入れた材料と材料と「天才ヘルメット」と「技術手袋」によって製造された、
スーパーコンピューター接続イベント中央制御装置と
タライのど真ん中に立ったでっかい氷柱多数と長門と「どこでもドア」が鎮座して、
網戸の張られた「どこでもドア」はとある無人島と繋がっている。

もっとも、スパコンだけは金ずくでも難しかったので、
運搬途中のものを見つけ出して時間と隙を作るいくつかの道具を使ってから
「チッポケット二次元カメラ」で撮影、「タイムコピー」で写真ごとコピーして手に入れているのだが。

そして、「スペースイーター」で超空間トンネルを開通させた二枚のプラスチック板を
それぞれこちらの部屋と「制御室」の壁に貼り付けてトンネルに制御装置から伸びる幾つものケーブルを通して、
隙間をテープで塞いで「壁」と書かれた「代用シール」を貼っておく。

こちらの部屋に来たケーブルの先は、
ずっしりとした箱形の高性能無線装置by「天才ヘルメット」「技術手袋」に接続されている。

でもって、長門は制御装置にケーブル接続されたパソコンで制御装置を操作する。
操作と言っても、その時が来たら俺は「ウルトラストップウォッチ」で時間を止め、
こちらのカラオケルームの中に隠してあるノーパソから長門のパソコンに指示を発信する。

この二つのパソコンは「スペースイーター」で
二枚のプラスチック板に開通させた専用の超空間トンネルを通じてケーブル直結になっている。
「ウルトラストップウォッチ」でノーパソを叩き、メッセージを長門のパソコンに送信すると、
例えエラーが出ても送信されるまで再送信を繰り返すプログラムになっている。

後は、「ウルトラストップウォッチ」の時間停止を解除すると、
パソコンからの効果音と共に送信したメッセージを目にした長門がリターンキーを押すと言う手順だ。
まあ、中央制御装置に直結させた方が早いと言う理屈も分からないではないが、そこはそれだ。

制御装置には大量の楽曲とオリジナルの振り付けのデータも入力されており、
制御装置の操作によってそのデータはケーブル、無線装置を経て、
制御装置に適応する様に改造された「人間あやつり機」に送信され操作する事になる。

  *  *  *

ENOZ正ヴォーカルワンマンショーの模様は
終了後にデジカメから接続されたモニターに映し出され、室内は弾けるばかりの大爆笑に包まれた。

「ひいっひいいっひいっ!黒歴史黒歴史黒歴史いぃーっwwwww」

これで酒が入っていなければ、プロデューサーにして提案者であるこの俺がこの場で袋叩きの上に
レンタル元のSOS団に叩き返されて私刑の上に死刑の上に極刑に処せられている所の筈であるが、
たった今、世紀末辺りから出て来た巨大ガールズグループの
世紀末辺りの三大流行歌メドレーを華麗なポーズの数々正拳入りで見事に歌いきったご本人が
友人共々腹を抱えて泣くほど涙を流してほぼ真っ裸の大笑いなのだから、まあいいのだろう。

酒、と言うのは分かりやすい表現で、
言ってみれば楽しいほろ酔いが保障されたハッピードラッグとでも言うべきものだ。無論後遺症などは無い。
それから、ENOZの面々には精神的肉体的な発情作用も少々付け加えておいた。

どれも、それらしい効果のあるとされる膨大な種類の薬種、乾物を適当にミキシングして煮出した液体を
「ウルトラストップウォッチ」で時間停止中に俺以外のドリンクにスポイト投下したものだが、
完成品の効能は「あらかじめ日記」に明記されていたのでそういう効果があるのだろう。

少なくとも何らかの精神的変調を来していてそれは決して不愉快なものではない事を示す様に、
腹を抱えて下を向いていた国木田も、ツボにはまったのかとうとう反っくり返って爆笑を始めた。
それを見ていて、不意に喉の奥からくっくっと鳴らす笑い声を思い出す。
あいつの馬鹿笑いと言うのも聞いてみたいモンだいっぺん誘って見るか。

「はーい、再開ーっ!」

岡島先輩が挙手して叫び、一同がくじを手にする。
榎本先輩と財前先輩が抜けて、残りの面々が円陣を組んだ。

「よよいっのよいっ!!」

この手のゲームで超人間的超時代的なイカサマをやっても何も面白くない、
長門にも顔向け出来ないしな。
堂々の二番手ゴールを決めた俺は、当然ルール通りにステージに立たせてもらった。

なんでも、俺が引き当てたのは、
動画サイトでイエローカチューシャなイカレ女が踊り狂った人気の曲だったそうで、
そんなモンに対応してプログラミングしておいた振り付けも推して知るべし。
なるほど脳味噌ごと記憶をブチ抜きたい黒歴史とはこういうものを言うのだろう。

しみじみ実感したモニター視聴も終わり、
歌だけ参加の正ヴォーカル様による決戦ソングで次の勝負が決した頃には、
漢軍団には全滅の刻が告げられていた。
そもそも、一人でおっぱい6にぐるりで勝負じゃあ、
持ち味の頭脳でクレバーな駆け引きなど出来る状況じゃないだろ

潔くステージに上った国木田にクジ引きされた選曲のBGMがスタートした。
なかなか綺麗な声で駅名ごとの郷里自慢を歌い上げる国木田の背後では、
榎本先輩がきゅっと国木田に抱き付いてぺろぺろと耳朶を舐めしゃぶり、
国木田の足下に跪いた中西先輩は、目の前にそそり立つ肉製マイクを右手に取り、
左手は自らの類似位置へと潜らせまさぐりながら右手首の上下運動を開始する。

吐息混じりでキーの乱高下する歌声流れるこのステージ、
ソファーにどっかり座って抱えるにはきゃしゃなぐらいの生の上半身に両腕を回し
十分熟れた上級生おっぱいを両手掴みにしながら眺めるにはなかなかオツな光景だ。

「はあっ、ああっ、んーっ、ああーんっ」

まずはぷりぷりのおっぱいモミモミ、それからおもむろに下に下がって、
さりさりとした毛触りやパンと健康的な腿を経て両手の指でくちゅくちゅかき回していた。

それでは飽き足らなくなったらしい。タッチの差で奪取した岡島先輩が、
俺の視界に汗ばんだ膨らみをずるっと上下させて、
既に堂々天を突く俺のマストを濡れそぼった中にずぷっと呑み込む。

そうすると、財前先輩はするりと床に這いつくばって、
名残惜しそうに柔らかい玉の皮を口に含む様にして弄んでいた。

その事に感じる俺の少々の恐怖など簡単に吹っ飛ばす勢いで、
岡島先輩がごりごりと押し込みギシギシと腰を揺らす。そんな先輩の裸体ごしに見るステージでは、
中西先輩が背後からきゅっと国木田に抱き付いてぺろぺろと耳朶を舐めしゃぶり、
国木田の足下に跪いた榎本先輩は目の前にそそり立つ肉製マイクを右手に掴み取っている。

左手は自らの類似位置へと潜らせまさぐりながら、
上下に往復運動している右の手の甲は既に照明にてらてらと輝く程だった。

マイク越しの調子っ外れに伸びやかな声と共に、荒い息を吐きながらも治まらぬ様子の国木田の周囲では、
榎本先輩がそそそっと国木田の背後に回り中西先輩が国木田の足下に跪く。

さすがに、1/×ダイジェストバージョンとは言っても、
オーバーアクションも無い地道な熱唱もう少し頑張るんだな。
ほら、こっちも選手交代、財前先輩はもう俺の上で上下運動をスタートしてる。

  *  *  *

ゲームの最後は、意外な決着だった。もっとも、それは俺以外にとっては、と言う話だが。
俺自身は真っ当に勝負した。だからいいだろ、と俺の何かが囁いたのかどうなのか。

俺が悪戯心で「あらかじめ日記」に書き込んだ結果として、
最後まで残った岡島先輩と財前先輩が十連続引き分けを展開し、
元々決めておいたまさか適用されるとはな特別ルールが炸裂した。

クジ引きの結果、同着敗者となったお二人には南の島か東京からか、
ステージ上でドデカイ蛾を召還していただこうと言う事で。
ただし、もしこれを曲と一緒に販売したら刑事的にも民事的にも完全駄目過ぎるだろ、

振り付けには確かこれはあったかなお手々繋いでに始まって
熱いキッスにおっぱい掴み、後半歌い終わるまでは、
斜め下に向けた手で隣り合わせに立ったお互いをまさぐり続けると言う冒涜極まる振り付けだからな。

天井には指向性コントロールつき高性能集音マイクが「かたづけラッカー」で消された状態で設置され、
集められた音声はメインのカラオケセットの中に紛れ込ませてある、
実は持ち込みであるスピーカーから拡声される。
同時に、「制御室」にも響き渡る仕掛けになっていた。

集音マイクは中央制御装置と無線接続されているので、
予めこの部屋をブロック割りして記号化して機材位置とのセットで記憶しておいた俺が
長門のパソコンにメッセージを送り長門がリターンキーを押す事で集音箇所を調整する。

そして、現在のさ程大きくもない集音ブロックには、
もぞもぞまさぐる二つの手の甲がしっかりと組み込まれている。

最後、本来のキーを無視した甲高い熱唱を揃えると共に、
ぎゅっと抱き合ってくたっとステージ上に座り込む熱唱ステージを見せたお二人だが、
この特別ルールでは、それでも次のクジ引きが待っている。
それは、あくまで敗者を決定するための競技をチョイスするクジ引きだった。

「はっ、ああっ、ああんっ、ま、ああっ舞ぃ…」
「あんっ、瑞樹ああっ瑞樹あっ、ああっ瑞樹ああぁー…」

ステージ上、ピンポイント一片30センチ範囲で集音マイクを向けられている辺りで、
岡島先輩の下腹部をぎゅむっと挟んでいた財前先輩の太股の力が緩み、
財前先輩はガックリとステージ上に上半身大の字で伸びる。

一瞬だけ、荒い息を吐きながらそれを眺めていた岡島先輩は、
決着を理解したのか、先ほどまで財前先輩の太股に挟み込まれていた所に両手を伸ばし、
財前先輩と同じ部分でくちゅくちゅぬちゅぬちゅ摺り立てられていた部分を中心に激しく指を動かす。

その迷いのない恥も外聞もない指使いは、例の隠匿マイクにより集音され拡声されて
このカラオケルームと中央制御室に響き渡る
ぐちゅぐちゅに溢れ返った水音にも遺憾なく現れており、
結局の所、岡島先輩は、寸前まで盛り上げられたものをゴールさせる。

岡島先輩は、恥も外聞も理性も全てを忘れてそれだけを考えて肉体の求めるまま、
ヨダレを垂れ流してその瞬間には上半身を伸び上がらせて、
甲高い悲鳴と共にステージ上にえへらえへらとくずおれていく。

その時には、岡島先輩によって通常の用途とは別の口に持ち込まれたカラオケマイクは
既にヘッド部分は元より握りの相当部分を視界から消失させていた。

まあ、「復元光線」は後で使っておくにしても、
この施設の本社の方にもアタッシェケース詰めの10ドル札は支払い済みだ。

何しろ、極めて高度な外交的事情として、
アメリカ大統領と中国国家主席と日本国内閣総理大臣の特使と言う
「うそつ機」経由でなければとっくに病院行きの肩書きで、
本社の社長と担当管理職と店長に、呼ぶまで一切干渉無用、やんちゃ話は一切黙認、
重々他言無用で今回のこの部屋の使用は話を通してあるんだ。ケチな真似は出来まい。

とにもかくにも、敗者決定戦は財前先輩のKO負けと言う事で、
岡島先輩はステージから半ば引きずり出されて財前先輩にクジ引きが回る。
のろのろと立ち上がった財前先輩は、それでもさすがは楽団員と言うべきか、
くじで引き当てた賛美歌を朗々と歌い上げていた。

確か、付き合わされて観に行った探偵眼鏡坊主の映画でメインなクラシックだった記憶があるが、
これが船上であれば、賛美されているのがどれ程寛大に恩寵深い存在であろうが、
間違いなく40メートル級の台風とタイタニック級氷山と
シロナガスクジラとホオジロザメの一個旅団を差し向けて下さるだろうよ。

言うまでもない事だが、メインヴォーカルではないとは言え、問題は財前先輩の歌唱力では無い。
ほら、他の面々もうっとりと聞き惚れているだろう。もちろん俺もだ。
あれだけ腰を抜かしておきながらマイクの前にシャンと立っている、
それはいいのだが、問題はシャンと立っているその格好であり、それをやらせたのは誰かと言う事だ。

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最終更新:2010年08月17日 15:34