*  *  *

「ウルトラストップウォッチ」のスイッチを押す、ハルヒの背後に回る、
「ウルトラストップウォッチ」でハルヒの背中を叩く、
「ネムケスイトール」でハルヒの眠気を吸収する、
「ウルトラストップウォッチ」のスイッチを二度連打する。
定位置に戻り、「ウルトラストップウォッチ」のスイッチを押す。

ハルヒがガバリと顔を上げた時、その頬は既に真っ赤に荒れていた。
そこまで塩水が馴染んでいると言う事は、キーボードが大丈夫なものか後で確認する必要がある。
大体、間に頭一つ挟んでいるとは言え蹴りを食らっているのは紛れもない事実だ。

「おう、目が覚めたか?」
「キョン?」

キーボードから顔を上げたハルヒが、きょろきょろと周囲を見回した。

「あれ?みんなは?…」
「先帰ったぞ、団長様が泣き寝入りしちまったからな」
「そうなの…」

団長席脇に立った俺の説明に、ハルヒは懸命に頭の中を整理している様だった。
既に、その記憶はその一部分の出入り口が夢の出入り口になる様に
「メモリーディスク」で改ざん済みだ。

「ウルトラストップウォッチ」で作った時間の間(はざま)の中で「キュービッドの矢」を突き立てて、
「Yロウ」を渡してちょっとした部室内パフォーマンスをお願いしたSOS団の誇る二人の美少女も、
「メモリーディスク」で記憶をいじってお帰り頂いた。
そして、よろよろと立ち上がったハルヒは、下を向いて立ち尽くしていた。

「キョン…」
「んー、どうしたハルヒ?」
「私、その…今まで、色々強引にやり過ぎたり、してたんだよね…」
「強引そのものだな」

俺の返答に、ハルヒの肩がビクッと震えた。

「今までいっぱい迷惑かけて…私…嫌われちゃってるんだよね…」
「そうだな」

俺の一言と共に、ガシッと抱き付かれた俺の胴体にはずーんと重い感覚が伝わって来た。

「う゛え゛ぇごめんなさいごめんなさいキョンごべんざざい、
ごめんなさいキョンごめんなさいだからみずでだいでおでがいキョン、
お願いキョン見捨てないでもうキョンしかいないの私キョンしかお願いぃうええぇ…」

「離れろ、ハルヒ」

あえて放たれた冷たい口調に、ハルヒの体がビクッと震えておずおずと退く。
体の自由を得た俺は、くるりと回れ右をした。

「キョン…そうだよね…
可愛くて萌えでおっぱい大きいみくるちゃんとか大人しくて健気な有希とか、そういうのがいいんだよね。
分かってる、分かってるキョン分かってる遅すぎたって今まで散々な事しといて…
でもキョンでも好きなのキョンキョンじゃないと駄目なの…」
「随分としおらしいじゃないか、ハルヒ、なんか悪いモンでも食ったか?」
「ううっ…」

振り返った俺は、ここは心を鬼にして肩をすくめて見せた。

「ヒステリーの代名詞みたいな団長様だからなぁ、
昔お前が言った通り、何か突発的な精神病?そういう事なら見なかった事にするに限るって事だな」
「違う…」
「んー?何しろ気まぐれの代名詞みたいな団長様だからなぁ、
いちいち振り回されるのはごめんだぜ俺もいい加減身が保たないから」
「わ、分かったわよ…分かり、ました…」

  *  *  *

「ひっ!?」

立ち尽くす自分の回りをぐるぐると回られ、後ろ髪をぐしゃっと束で掴まれたハルヒの肩がビクッと震えた。

「なかなかだな」

と、言っておくが本当の所は実に見事なものだ。
運動部総ナメと言うだけあって、上下レモン色の下着姿になったハルヒの肉体は、
あからさまなマッチョではなくすっきりと均整が取れている。
それでいて出る所はしっかりと出ているメリハリのきいた全身。

「や、んんっ…」

既に制服は床に落ち、ブラジャーごとまともに鷲掴みにされたハルヒは、
一瞬見せた抵抗の声を必死にかみ殺していた。

「思えば随分とコケにしてくれたよなぁ。
高校生にもなってだ、傍若無人で教室で脱ぎ出したと思ったらとっとと出てけだ?
その癖やたら発育だけはいい体してやがるからほれ」
「!?」

俺に背後からぐいっと体を押し付けられ、ハルヒはかああっと下を向いた。

「団長がそんなエロエロだから雑用係はこんなになってるだろーが、
どうすんだ団長さん?」
「そ、それは…」
「お前が始めたんだろ、ちゃんと進めるんだろ団長さん」
「うう…」

かくして、俺は跪いたハルヒからギュッと睨み付けられた。
だが、俺がそちらを見ると、ハルヒは怯えた表情で目を反らす。

「ほら、どうした団長さん?何かしてくれるんじゃなかったのか?」

ハルヒの震える手がズボンに触れた。
カチャカチャと聞き慣れた音が部室に響く。
そして、又、下半身が涼しくなる。
いきなり、生温かく濡れた感触が俺の急所を包み込んだ。

「…う…うむ…」

見下ろすと、ハルヒは真剣な表情で口から出し入れしている。
それに連れて、ばさっ、ばさっと黒髪が揺れ動く。
そうしながら、ハルヒは背中に手を回す。
ブラがはらりと張りを失い、俺が見下ろす先にピンク色に尖った先端が露わとなる。
そこで、ぐいっと急接近して来たのは、少々以外だったが。

「…みくるちゃん、みたいに大きくはないけど…私でも…」

ああ、サイズ的な朝比奈さんよりは大きく後退すると言っても、
見下ろすだけでその手応えは十分過ぎる。
いわゆるお椀型の形のいい膨らみがぷるんと、見事な膨らみを見せていた。

しかも、それは既に唾液でぬるぬるになった俺の一番敏感な部分でその弾力を遺憾なく発揮している。
ハルヒは、怖いぐらい真面目な顔で、
自分の両手で挟み込んだその豊かな膨らみをずにゅっ、ずにゅっと上下させている。
しかも、いつの間にかピンク色の舌を下に向けて谷間からはみ出したソーセージをちろちろし始めた。

「随分上手だな。ああ、そうか、中学時代は取っ替え引っ替えだったな。
さぞや経験値上げまくりだったんだろうな」
「ち、違う…こんな事、私…」
「ほー、やった事ないってか」

俺の言葉に、ハルヒはコクコク頷いた。

「それでこんだけってどんだけ耳年増なんだよ。
電波な事言いながら若い肉体は性欲を持て余してこういう妄想に耽っていたってかハルヒ」

さすがは性格以外全方面全知識万能人間だけの事はある。
初体験にして才能だけでの行動であっても全ては的確だった。ほら。

「ぷはっ!」

ハルヒの胸の中で脈打つままに、俺はしばしの快感に浸る。
それが終わった頃には、ハルヒは顎から滴らせながら、
自らの汚れも構わずぺろぺろちゅぱちゅぱと後始末に勤しんでいた。

「顔上げろ、ハルヒ」

そんなハルヒの口の中から程よく漲ったものがちゅぽんと抜け出した頃合に、
俺はハルヒに通告しティッシュの塊をその顔に押し付ける。
そうやってされるがままになるまでのハルヒの健気は十分に理解出来るが、
ここで俺の言うべき事は決まっている。

「そんなに俺のチ○ポが愛しかったかハルヒ」

こうやって、頬を染めて目線を斜め下に落とすハルヒのおどおどとした顔を眺めなければならない。

「今度はお前の番だな。ほら立てよハルヒ」

言われるまま、ハルヒはおずおずと起立する。
ボリューム十分の乳房を堪能した上は、次の狙いはそのきゅっと形良く引き締まった下半身。

「ああ、そうだ、脱いでそこに座れ、ああ、脚開いてな」

冷静を装った俺の命令に、ハルヒはあくまで従順だった。
であればこそ、言わねばなるまいこのハルヒに相応しいお褒めの言葉を。

「部室の机の上で真っ裸でびしょびしょおま○こフルオープンって事になると、
さすが無敵の団長さんにも多少の羞恥心ってモンはあるって訳だ」

頬を染めて、視線を斜め下に向けているハルヒの姿とは、実に新鮮なものだ。
思えばあれだ、今の無敵モードの俺だからこそ思うのはあの時、
羞恥心ゼロのハルヒの下着姿をガン見して見ると言うのも一興ではないか等と。
「馬鹿じゃないの」とばかりに軽蔑してくれるデフォルト不機嫌モードの未来の団長さんをだ…

「…キ、キョン…」

俺のちょっとした思考の遊びは、似ても似つかぬ弱々しい声で中断される。
しかしまあ、この眺め。既にとろとろと熱い蜜を吐き出して溢れ返っていながらも、
ハルヒのそこは、程よく揃った黒の下にあくまで新鮮なサーモンピンクを艶めかせている。

見た目にも初々しいものだ。
それが、俺の目の前で剥き出しの丸出しになって、
別の生き物の様にぐにぐにと蜜を吐き出しながらその全身は白い肌をピンクに染めてぷるぷる震えている。

「あんっ!」

ここまで来ると、なかなか慣れたモンさ。
泉から溢れ返る透明でぬるりとした液体を指ですくい、
つるりとした頭を突き出してぽつっと尖っている可愛らしい宝珠を軽く摘み表面を撫でる。
それだけで、ハルヒの全身はひくっと反り返り白い喉を見せて喘ぎ声を響かせる。

「あっ、あんっ、あああっ…」

粘っこくかき回す音とハルヒの喘ぎ声だけが部室に響き続ける。
「きょうじき」で外部からは認知し難い時間設定にしておいたのは正解だった。
俺もここまでで随分と覚えたもの。蜜の溢れる奥地へと指を差し込み、
たっぷりと湿った指でそれを求めて突き出す肉の芽を弄びながらも、
もう一歩というその一線を死守してハルヒが時折怨みっぽく語尾を消す姿を楽しむ。

「キョン…は、あぁ…キョンねぇあぁ…」
「ああ、分かってる分かってる。なんせ俺の目の前では、
団長閣下の濡れ濡れのびしょびしょおま○こがぐちゅぐちゅ言ってお誘い下さってるからな。
そんなに欲しがってたのかハルヒ?」

たった今、献身的なハルヒの奉仕に戦線復帰したものを手掴みで誇示しながら、
俺は、机の上に尻を乗せて脚を開いたハルヒにじりじりとにじり寄る。

「ほら、どうなんだハルヒ?何せ猛獣注意な団長様だからな。
迂闊に接近してぶっ飛ばされでもしたらたまらんからなぁ」
「…来て…」
「何?そうだな、最もストレートに理解し易い状態を考えるとだ…」

俺からの囁きにぷるぷると震えていたハルヒだったが、
ついには机の上に背中を付け、立てた両膝を外側に開いて、
内側の鮮やかに濡れた構造が丸見えになるまで指で押し広げてから本当の意味の口を開いた。

「お願い、キョン来て…
キョンの…キョンの、おち○ちん…私のおま○こに、
私のびちょびちょ濡れ濡れのおま○こにキョンのおち○ちん入れて…」

睡眠学習偉大なり。

「そうか」

俺は、おもむろに机の上に乗り、ぐっと顔を近づける。
ハルヒは、つと横を向く。ああ、分かってるさ。俺の知り合いにもやたらと顔の近い奴がいるからな。

「あ、んっ!」


そんなハルヒの眉が歪み、目が閉じられた。
実際問題、俺自身がいい加減もうたまらん状況だったからな。
そもそも、俺の目の前では、えらい美人がやたらグラマーな全裸全開で、
濡れ濡れになったおま○こ丸出しでお誘い下さっているんだ。この俺に何を耐えろと期待する?
ああ、そうだよ、俺に聞いているんだよ。答えは出ているじゃないか、
ほら、こうやって体が求めるままにハルヒの中で前後に動いているそういう事だ。

「キョン、キョンっ…」
「くううっ」

あの馬鹿力でぎゅっと抱き締められて、それが俺の限界だったって訳だ。
多少は経験値を積んだ俺だったが、流石はザ・万能選手神様ハルヒ。
その内部構造メカニズムも又、十分に賞賛に値する素晴らしいものだった。
もっちりとした質感と弾力溢れるハルヒの体を押し付けられながら、
ハルヒの中ではいつまでもと名残惜しいぐらいに放出が続いている。

「キョン…」
「ん?」

俺の目の前では、目を閉じたハルヒの唇がぷるぷると震えている。
いい加減、俺もすっとぼけるのはやめにしておこう。何せ…可愛いからな、ハルヒ。

  *  *  *

椅子に掛けて、目の前でセーラー服を着用するハルヒを眺めると言うのも風情がある。
全裸の上に、と厳命済みであればなおの事だ。時々すがる様な目を見せてくれるが、
それに対しては笑みで返す事にしている。

「じゃあ、ハルヒ」
「うん」

言われるがまま、ハルヒはトテテと部室を後にした。
それを見届け、俺は内側から施錠して、部室の某所に仕掛けて、
「かたづけラッカー」を吹き付けておいた機械箱を
「かたづけラッカー」用虫眼鏡で透かして見ながらスイッチを押す。

「天才ヘルメット」と「技術手袋」と現代未来の材料で作られた機械箱の中では
「シナリオライター」が鎮火し、機関箱からの電波を受信して天井に仕掛けた電動リールが作動する。
「かたづけラッカー」を吹き付けられた電動リールが、
先端に付けられた「石ころぼうし」ごと釣り糸を巻き取る。

「おう、長門」

俺に声を掛けられ、いつもの定位置で椅子に掛け、紛う事無き黒表紙の文庫本を手にした長門は
ほんのり頬を染めて斜め下を向いた。

「俺とハルヒが素っ裸で部室の中でギシアンギシアンやってる横で官能小説の読書会か。
いよいよもって変態道に磨きが掛かって来たなぁ長門」
「そ、それは…体が…動かな…あんっ」

皆まで言う前に、長門の全身がきゅっと縮こまった。

「おいおい、ショーツまでぐっしょりじゃないか。
部室で机の上の生板本番ショーのご観覧がそんなにコーフンしたか長門?」

まあ、「ソノウソホント」でちょっと感度に関する調整をして、
さっきまでショーツの中で微弱にいたずらをしていたパールローターは
「ウルトラストップウォッチ」で停止中に撤去しておいたが、十分らしい。

「我慢出来ないんだろ、長門。じゃあほら、立てよ」

俺に促されるまま、長門は覚束ない足取りで立ち上がった。

「あっ…」

俺の手でスカートが床に落ち、ショーツまでぐいっと引き下ろされた時、
長門の目には確かに期待感が浮かんでいた。随分とエロくなったモンだ。
つづいて、セーラーシャツをまくり上げ、ホックを外したブラも同じく。

「あ、ああっ…」
「こんなコチコチになってツンって上向きに尖ってるぞ長門。
もう、全身でエロエロに興奮して我慢出来ないって所だな。どうだ長門?」

長門の顎が、下に向けてミリ単位で移動した。
それを確認した俺は、長門のパイプ椅子にドッカと着席した。
断っておくが、俺はあれからハルヒに着衣を許したものの自分自身にその許可を与えてはいない。

「ほら、いいぞ長門いつでもウェルカムって奴だ」

部室で両腕両脚をぱあっと広げる。確定。他に見付かればパトカーか救急車だ。
少しの間、斜め下を見て立ち尽くしていた長門は、
おずおずと歩を進めてこちらに近づいて来た。

そして、その場にしゃがみ込み、目の前でいきり立ったものに恐る恐ると言った動きで手を添える。
俺が、少しの間、ちょっとひんやりとした長門の柔らかな掌を感じていると、
長門は引き寄せられる様に顔を寄せ、口に含んだ。

「んっ、んんっ、んっ…」

眼鏡越しのうるうるお目々がすがりつく様に俺に許可を求めて来るが、
ここは、あくまで長門の自主性を尊重せねばなるまい。
長門の口から、てらてらと唾液に塗れたものがじゅぽんと飛び出し、長門はゆるゆると立ち上がる。
そして、小さく歩を進めた。

「あ、くうっ…」

か細い長門の鳴き声を聞きながら、俺もひとまずは神経を集中、踏み止まる。

「いい感じに腰振ってるなー長門。
こうやって自分から肉棒呑み込んでずぷずぷ腰振ってるってのはいいモンか長門?」
「あっ、やっ、ああっ言わな…あっ駄目止まらな…」
「あー、止まらなくても全然オッケー、部室で椅子に座ってる俺の上に
自分から逆レイプ状態ではめ込んでる長門さんのエロイ腰つきがたまらないからな」

「やあぁ…でも…ああっ、止まらないいっ、いっ、ああっ、キョンくん見ないでああっ…」
「ごめん、それ無理♪こんなエロエロに感じまくりよがりまくりな長門さんの乱れ狂った痴態から
目を反らす事が出来る程健全な男子高校生キョンは賢者ではございませんから。
その証拠にほれ長門、長門がエロエロでたまらないからもう俺も限界来てるんだがな長門っ」
「あ、んんっ、うんっ、キョンくん、キョンくんのああっ私の私の中でキョンくんああああっ…」

荒い息の二重奏の中、俺は、華奢な長門の裸体をきゅっと抱き締める。
まだ、余韻も生々しく長門に包み込まれている中、新たな温もりが腕の中に広がる。
長門の献身的な後始末を終えると、俺は改めて長門を全裸体にしてとっくりと眺める。
それから、セーラーシャツとスカートだけを渡し、
おずおずとそれを着込んだ所で、瞳を潤ませた長門にそのまま下校する様に命じた。

  *  *  *

「よう、古泉」
「あなたは一体何を考えておられるのですか?」

光陽園駅前公園で遭遇した俺に、古泉はと言えば、
例のインチキスマイル0円を浮かべながら実に丁寧な口調で尋ねて来た。
その笑みの端が僅かに引きつっているとは言え、
青タン丸出しの顔で杖に縋り付きながらの対応としては実に見事なものだ。俺には真似出来ない。

「大変だったみたいだな」

俺はと言えば実に気分爽快。パチンと指を弾くと、
茂みの中から現れたハルヒがさささっと俺に歩み寄り、
ぴとっと俺の腕に縋り付いたハルヒは下を向いたかと思うとチラッと縋る様に顔を上げる。

「な、たまにはビシッと言ってやるぐらいで丁度いいんだよこの団長さんは。
××××だってちゃんと片付いたんだろ」
「ええ、確かに、ゼ○トンタイプとタ○ラ○トタイプとキ○グギ○ラタイプとイ○スタイプのが
それぞれ十個旅団ずつ押し寄せていたのが綺麗サッパリと」

発声無しで神人と言って見た俺に、古泉の応答の声は引きつっていた。

「そうか、それは何より。
さ、帰るぞハルヒ。ハルヒカレー楽しみだなぁ、妹も楽しみにしてるぞ」
「うん、ちょっとドキドキだけど、頑張る」

引きつった声で答えていた古泉は、
くるりと踵を返した俺の背後でこちらを指差してパクパクと口だけを動かしていた。
俺の腕に縋り付いてセーラー越しにあのやけにグラマーをぎゅっと押し付けて、
ぽーっと上目遣いにこちらを見ながら控え目に喋るハルヒ、たまらん、実にたまりません、ですがね。

ああ、その前にやっておく事があったな。
ハルヒを腕に装着したままするすると木陰に移動した俺は、
「ウルトラストップウォッチ」のスイッチを押してハルヒの頬を「ウルトラストップウォッチ」でつついた。
そして、今すぐに素っ裸になって、
時間のはざまに洗濯済み乾燥済みの下着とセーラー服とコートを身に着ける様に命令したって訳だ。

子犬の様なうるうるお目々を経てこくんと小さく頷いて
一つ一つ指示に従うのを、二人だけの世界でとっくりと眺めながら。

  *  *  *

「ん、んー…」
「よう、目ぇ覚めたか?」

部室の団長席で顔面で一斉キータッチしていたキーボードから顔を上げ、
ゴキゴキと体を鳴らすハルヒに俺は声を掛けた。

「ん?あれ?あああー何これぇっ!?」

ハルヒは、目を覚ますや見る見る真っ赤になった頬に両手を当てて絶叫した。

「えーと、あれ?何これ?あれ?だってさっき私えっ?でも部室???
キョン、私何やってんのみんなは?」

「あー、お前、部室に入るなりちょっと寝るからって言ってバタンキューだっただろ。
なんでも、俺が教室で聞いた限りでは、
新しい数式が昨夜突如として閃いて延々と証明に勤しんだ挙げ句、

致命的な欠陥つきの妄想と分かって睡眠時間丸ごと無駄にしたって話だったけどな。
優しい団員の皆さんはだ、お疲れの団長様に気ぃ使って、
元々お前がいなけりゃ静かな一日の団活を終了して帰宅の途についてって寸法だ」

「あー、そうだったっけ…」
「ヨダレ」

その強靱過ぎる意志力の賜物か、
「メモリーディスク」の記憶接合部を夢見モードに修正されても、
今俺が「かたづけラッカー」で消して身に着けている「うそつ機」の怪音波を浴びても
なおも小首を傾げていたハルヒは、
俺の指摘を受けてぐしぐしと余り行儀の良くない袖の使用法を実践する。

「さ、行くぞ、ハルヒ」
「は?」

「おいおい、寝ぼけるのはいいけどそれは哀しいぜハルヒ。
ハルヒ、お前と俺は、まあどっちからそれを告げたかはこの際保留にしておくとしてもだ、
晴れ晴れ愉快に晴れて相思相愛恋人同士と言う関係から
親公認堂々出入りのラブラブフィアンセにまで発展して、
今夜はその婚約者である俺とその家族のために、お前が特製ハルヒカレーを振る舞って
親公認の夫婦生活の予行演習として俺の家で一夜を共にする事になってただろ」

言い終えて、目の前に座るハルヒを眺めていると、
ちょっと落ち着いてきょとんとしていたハルヒの頬に再び見る見る朱が上って行った。

「わ、分かってるわよバカキョンッ!!」
「おーし、じゃあ行こう」
「ん。覚悟しなさいよ。あまりのおいしさに感涙にむせび泣きながら
バカキョンごときには出来すぎた嫁が降臨した事をひれ伏して神に感謝するんだからね」

お前が神様なのは知ってるが、信者は俺達だけにしとけ。
まあ、何でも人並み以上にこなすお前の事だ。その万能才能に期待はさせてもらうがな。

と言う訳で、俺と共にやけに長いスーパーでの買い出しを終えたハルヒは、
スープ作りからカレー粉炒めから、
俺の家の台所ではなかなかお目にかかれないカレーの製造法を展開していた。
引き続き、「うそつ機」の活躍により、
先ほどハルヒに説明したふざけ切ったシチュエーションを丸々受け容れた家族共々食卓についた訳だが。

そこで出された特製ハルヒカレーの出来映えについて触れておこう。
食卓は大絶賛に包まれた。そして、俺もそれほどひねくれた味覚を持ち合わせてはいない。
だからその素直な味覚はひたすらに旨いウマイと絶叫していた。
実力が遺憾なく伴った胸を張った満面の笑顔と言うのは、爽やかなものだ。

  *  *  *

そろそろ、夕食後の事を話そう。
後片付けも完璧にこなし、角の取れた活発義姉モードで妹とじゃれていたハルヒと俺は、
友達が泊まりに来たレベルの常識的な範囲での入浴を終えて、暗黙の了解で揃って俺の寝室に引っ込んだ。
そこで、散々ゲームなどをやり倒した俺は、一度トイレに出た訳だ。

「遅い。罰金!」

まさか、自宅の寝室で聞く事になるとは、やれやれだ。
もっとも、ビシッと指先を向けるハルヒがベッドの上でパジャマ姿で枕を抱いて、
と言うのは何と言うか、

「何よぉ」

だから、そうやって口先を尖らせて横を向いたハルヒと言うのがだな。
ああ、分かってる。ハルヒにとっては一世一代のその時って事になってるんだ。
その前の照れとかなんとか、そのぐらいの事はこの唐変木だってお見通しだ。

「ああ、ちょっと偵察行って来たからな?」
「偵察ぅ?」
「ああ、みんなしっかり熟睡してる」

それは確かだ。トイレに出たついでに偵察以上の事をしておいたからな。
一つ屋根の下にいる俺の血縁者全員、「予定メモ帳」を使って確実に床につかせてから、
「石ころぼうし」で忍び寄り、「グッスリガス」と「グッスリまくら」で確実な熟睡を保障済みだ。

「だから、風呂行こうぜハルヒ」
「ふ、お風呂?」
「ああ、こういうものも用意した」
「…エロキョン」

ハルヒは俺の振り上げたプラスチックボトルをちょっとの間きょとんと眺めていたが、
俺がその一言に唇を歪めた、ああ、微笑ましいって奴だ。
新しい遊びを思い付いたあの笑顔がこちらに向けられていた。

まず、ハルヒエンジンの原動力たる好奇心を大いに刺激したらしいな。
そこから目的地に移動してその場に相応しい姿になった後の、悪戯っぽい笑みは実に可愛かった。

本日、いや、昨日か、見慣れたグラマーバディに
たっぷりローションのてらてらを思い出すだけでも、ましてや、その柔らかさたるや。
ああ。この辺りはまだお気楽だったな。
だが、我が団長様は仰せられた。

「あんた福原にでも来たつもり!?私の初夜がお風呂で終わる訳ないでしょ!」

ああ、もちろん俺だって終わるつもりは無かったよ。
マットに跪かれ睨み付けられたM気分のお口もこってりローションたっぷりボリューミーなハルヒパイも、
俺ごときが発射するには気持ち良すぎるのは確かだった。
だが、そんなハルヒを眺めながら、ああ、そん時はむしろ当然と思うのが当然だろう。
椅子を降りて目の前のやけにえらいグラマー美人の名前を叫びガシッと裸の肩を掴むや、
先の如く一喝されたって顛末だ。

  *  *  *

そういう訳で、ベッドの上で対面に座って、
ムッと家鴨口を尖らせて三つ指ついたハルヒは可愛かった。

パジャマに掛ける手に僅かにでも非効率があればいつもの「しなさいよ!」が飛んで来るってな。
多少は上達した筈の前戯はお気に召してもらえた筈だ。
じゃなかったら、照れ隠しの悪態なんて最初っから超越してる、
本気でぶっ飛ばされてゲームオーバーそれが涼宮ハルヒだ。

その時、口では強気一辺倒のザ・団長様がどういう表情を浮かべていたのか。
初めてのその時僅かにでも見せたもの、それを読み取るのに長門表情検定上級資格なんて必要ない。
あの、いつもの性格じゃじゃ馬能力完璧外見満点の美少女が見せた僅かにでも覗かせた怯え、
腹をくくればそんなもの一瞬で踏み越えて突き進むのが我が団長様だ。
俺の腕の中で硬い蕾が解れて甘い蜜の溢れる大輪の花が鮮やかに咲き誇るんだぞ。
思い知ったよ。所詮は雑用係1、そんな俺に出来るのは満開の下で呆然と立ち尽くす事ぐらいさ。

それが心のどこかで分かっていたからこそ、「ウルトラストップウォッチ」で時間を止めた隙にプレゼントした
「自信ぐらつ機」アンテナと「キュービッドの矢」は部室で何度目かの目覚めの前に外しておいた。
ああ。どこぞの最重要人物らしき掲示板で草ぼうぼうに描かれてるみたいなお前も悪くはないが、
やっぱり涼宮ハルヒはパワー漲る漲り過ぎる俺達の団長様だ。

「かたづけラッカー」で消して「つづきをヨロシク」で部室の天井の隅の方に掲げた
「あいあいパラソル」の下で一眠りさせてやれば十分って計算の確かさを再認識させてもらったね。

そして、その後にいよいよもって本気も本気のハルヒパワーで展開された、
語尾を「なんだからねっ!」に統一した
スーパーハイスペック全機能フルスキルご奉仕プレーと言うのもなかなか新鮮なものだったな。
今すぐどっかのそういうお風呂屋に売り飛ばしても億万長者になれるんじゃないかって、
その万能才能っぷりを今回も余す所無く遺憾なく発揮しまくってたからな。

前後で話のぶれた例は枚数に暇がないとは言っても、
風呂でああ言った以上、ケジメをとるのが涼宮ハルヒって女だ。

最低でも前からと後ろからと上からと下から、
どの方位から攻め込んでもあるいは攻め込んで来たのを俺が甘受しても、
ハルヒはそのしなやかな裸体と見事な内部メカニズムでしっかりと猛り狂うばかりの俺を受け止め、
俺と共に甘く絡み合い強く結び付いていた、その事は覚えている。

新鮮すぎて凄すぎて枯れ果てるのが分かっていても男として離れられず
求められれば不敵な笑みを浮かべて受けて立ち、
全身全霊献身の限りを尽くすと言うのが団長たる者の勤めであり、
それを完璧にクリアーして見せるのが万能超人涼宮ハルヒと言う…

家人に安らかな眠りを与えるついでに、
「ソノウソホント」でオナ禁うん日分状態と事前にコールを掛けておいたとは言え、それはあくまで事前準備。
とてもそんな隙の無かったハルヒの甘美すぎる支配下から我ながらよく生きて朝を迎えられたものだと。
何?なぜエロパロでそこの所を割愛するのかって?説明は割愛させてもらう。

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最終更新:2010年06月18日 03:29