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何故こんな事になったのだろうか、今のこの状況は一体何なのだろうか


普段寝そべっている真っ白なベッドは俺の血で赤に染まっている
視界の隅っこに辛うじて白が残っているかと言うほどだ

秘密道具を駆使して樹海の大木の上に作った俺の部屋は、見るも無残に壊されている
部屋半分は完全に無くなり、跡形も無く吹きっさらしになり、山火事となった富士山麓の樹海が景色を赤に染め上げている

目に映る右手はもげている、二の腕辺りから先が存在しない
足は・・・見なくても分かる
両方とも『女』に引き裂かれ、真っ白な骨が飛び出すのを見た
「ハァッ・・・ハァッ・・・ぐっぅ」
自分の鼓動がやけに大きく聞こえる、息をするのだけで精一杯だ

もう痛みは感じない、痛すぎて麻痺したというヤツだろう
体中が焼けるように熱い、もうどこがどうなってるか全く分からない


左手は・・・感覚が無い、どうなっている、左手は一体・・・どうなってる
カチカチ・・・と歯に恐怖の震えが走るのが感じられた

歯は最初に殴られた時に前歯を全部持っていかれた・・・
奥歯だって少しの衝撃で折れてしまうだろう

左手さえ残っていれば・・・左手さえ・・・残っていれば・・・
こんな怪我・・・秘密道具なら一瞬で治してくれる・・・左手が使えるなら・・・

腹に走る激痛を堪え、首に力を入れ、頭を浮かせる
痛みなんて感じないと思っていたが、新たな激痛で涙が滲む

こみ上げる恐怖感と戦いながら
開けた目に映ったのは、左手、確かに左手はあった
ただ、関節ではない所が不自然に折れ曲がっていた
「あっガァァァァッッ!!!!」
見た途端に左手から痛みが来た
到底使い物になどならない、所々千切れた左手の残骸を絶望と共に見つめていると
声が聞こえたらしく階段を伝って『女』が上ってきた

「痛むか・・・すまない・・・」

道具はどんな時でも無慈悲に機能するらしい
女の英語を翻訳こんにゃくは正確に訳してくれた
最も、片方の耳は鼓膜が破れたのか聞こえた気がしなかったが

ジーグフリートも同じく、どんなに死にたいと願っても無慈悲なまでに機能するようだ
「ここまでするつもりじゃなかったんだ、本当だ、信じてくれ」

涙で滲んだ『女』の声は何度も何度も聞いた謝罪の言葉
そんな言葉に意味は無い、この苦痛を早く取り去ってくれ

暫く『女』は立ち尽くし、意図を察したのか、言った
「今から君をラクにしてやる、本当に済まなかった」

そして『女』の手が目を押さえ、視界が暗くなる
直後顔に当てられた手に力が込められる

メキリ、バキ・・・という嫌な音がした
そして頭蓋が砕け、意識がブラックアウトする直前

確かに見た、人生が何千倍にもスローに圧縮されて再生される走馬灯というやつを



遡る事数時間・・・
全てはこの一言から始まった

『おーい、亮、ちょっと敵さん来ちゃったぞ』
「ハィ?」

いつものトラの軽い一言
『えーと・・・ヤバいな、もう静岡入っちゃってる』
「オーイ、突っ走り過ぎだバカ、まず敵って何?なぁオイ、敵って何だよ(笑)」

テレビを見ながら軽くツッコミ

「またブログに書くネタが足りなくなったからってテキトーふかしてんじゃねーぞコラ」
『いやいやマテマテ、マジヤバいってコレ』
「わーったわーった、とりあえずヘキサゴン見終わったら相手してやっから少し黙ってろ」

いつもの虚偽妄言の類いだと思って相手にしてなかった
今にして思えば少し普段と様子が違うのに気付くべきだったかもしれない
少なくとも段々焦っているようでもあった

『いいから早く逃げろ!!ヤツは300キロで一直線にここに飛んできたんだぞ!?』
「コンコルドは音より早く人を運ぶのが仕事だよ、今時300キロなんて珍しくねーっつの
驚かしたいならザ・ワールドで時間を止めてロードローラー運んだりしなきゃインパクト不足」

『お前はアイツらの事知らないからンな事言えるんだよ!!
あークッソ、やっぱテレビ生中継は目立ちすぎたんだ、クソッッ』
高速でハエのように飛びまわりながら何かブツブツ呟いている

「だから後で付き合うって言ってんだろが、ヘキサゴン見せろヘキサゴ・・・」

だが下の方で爆発音が轟き、俺の声はそこで途切れた


暫く部屋中が揺れ、部屋中の割れ物が床に落ちては割れ、世にもおぞましい狂想曲を奏でる
それから数秒程して、静寂が場を支配する
先程まで大音量で流れていたテレビはバチバチィ・・・と、どうやらショートしたようだ

一番最初に沈黙を破ったのはトラだった
『やべぇ!!来た!!』
「・・・」
『逃げろって、早くしろッッ!!ダメだ、そっち行くんじゃない!!』

俺は好奇心に勝てなかった、あれは俺の短い人生で最も愚かな選択だったのだろう
ポケットさえあればどんな奴にだって・・・ここ暫くの俺はスーパーマンにでもなったつもりだった

トラの制止を振り切り、階段を下に下りた俺、一番最初に目に付いたのは玄関の惨状だった

空中の玄関の扉のガラスは粉々に飛び散っており
どうやったらこうなるのか・・・と言うほど破片がそこらに飛び散っていた

破片はどれもコンクリートに深々と突き刺さっており、赤く焼けていた
ガラスは強化液で強化していただけに、コンクリートに突き刺さるのは分かるが、そうなると問題はどうやって破壊されたか、だろう
「うわぉ・・・スゴいな・・・」

この惨状だけでも十分称賛にあたいするが、それよりも目を引いたのは
玄関にナナメから突っ込み、そして厚さ実に1M弱のコンクリの柱を砕き、その中に埋まっている物の方だ
赤く焼け爛れ、そこら中に燃えたような後がある

その中でもその『何か』が突っ込んだと見られる黒く変色したコンクリートの辺りに近寄ってみる
まだゴムが焼けたような匂いの煙が立ち上るソコに恐る恐る近寄り、目を凝らしてみると
色鮮やかな・・・赤?
黒い中に赤色と・・・青の物体が見える
周りとは対照的に、こちらはコゲどころか傷一つ付いていない
「なん、だ・・・コレ?」
『ッッ・・・スーパーマンだよ』
「ハ・・・?スーパーマン・・・?」

その時、中の物体が動き出し、こちらに声をかけてきた
「~~~!~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!」

(うん・・・英語だ、英語・・・うっわ~・・・)
「チョイ待ち、チョイストップ」

ポケットから大急ぎで翻訳こんにゃくを取り出して摂取
(・・・時間的には明らかに消化してないのに翻訳出来るって薬としてどうなんだろう)
その時まではのん気にこんな事を考えていたのを覚えている

『ダメだな・・・もう逃げられない』

「どうもこんばんは、今日は良い夜ですね」
立ち上がった物体は・・・金髪のスレンダーな外国人の女だった
というか・・・明らかに某超大国の某有名ヒーローの格好・・・

(・・・ソレ女が着るモンじゃないって)

体のラインどころか、基本青のその格好は、もう裸にタイツを着けたようなものだった
男の情欲をそそる格好の彼女に思わず唾を飲む

その視線に気付いたのだろう、少し胸を隠しながら
「ちょっと!見ないで・・・ってあれ?」
少し考えるしぐさを取る


「あのー・・・もしかしてアナタテレビで『はるか』と・・・?」
その問いにこちらが答える間も無くさらに続ける
「やっぱりそうだ!!間違い無いわね!!」
「・・・・・・?」
「何であんな事したの!?言いなさい!!」

一気に詰め寄ってくる女
(アップダウンが激しい人だなー・・・どうせアレだよな
はるか─って言ったらナマ放送中にヤったアレの事だよな、えーと・・・どうせ適当だったし・・・んー)

「え、えーと・・・何となく?」

その一言だ
その場しのぎで言おうとした一言が死刑執行のゴーサインだった

『女』はそこでキレた

『女』の様子が変わり、辺りに怒気が満ち始めた辺りで危機感が急速に警報を鳴らしていた
ポケットに手を突っ込んだ
まずは兎にも角にも時間を停めてしまうつもりだった

ポケットに突っ込んだ手でタンマウォッチを取り出す?そんな事出来なかった
ポケットに突っ込んだ手は、その時点で手首と離れていた

それなりに急いで手を突っ込んだつもりだったが、手は彼女に難なく止められてしまった


彼女に握られた手首は、呆気なく千切れた
それはこれまで生きてきた人生で、イジメ等とは比べる事すら愚かしい程の激痛だった
『女』が手首を離した瞬間から血はドクドク流れ、俺は痛みでポケットを手放し、そこらを転げまわった

怒りで血走った目をギラ付かせ、『女』は、その後も暴れまわった

『手』はポケットの中に落ちて行き、ポケットから道具を取り出せなかった俺に抗う術は無かった
玄関内は俺の血で赤く染まった、事前に使用していたジーグフリートの効果が無ければ間違いなくそこで息絶えていただろう

そして、意識を手放し、俺が見るも無残なボロ切れになった所で『女』は我に返った

その後上の階のベッドに俺を運び込んだ、上の階だって玄関で痛めつけられていた影響でヒドい有様だった
原形を無くした玄関に比べればマシだったが

時たま意識がハッキリしかけたその度に謝っているのが聞こえた、しかしもう遅い
『女』は本気で後悔しているようだったが、俺が再起不能に壊された事は誰の目に見ても明らかだった

そして、冒頭に続くのだ


そして・・・
俺は最後に・・・まるで寝る時とソックリな、痛みや絶望、感情などの、全てが遠のく感覚を味わい、そして人生の幕を降ろした



「さ、第二の人生だ


いやもう一回ポケットで生まれ変わったようなモンだから3回目の人生?
なんでもいいか」

 そ し て 生 き 返 っ た 
      「痛ァーーーーッッ」

『大丈夫だって、気のせいだから、暴れるな・・・って無理な話だよな』
一頻り悶絶した後体をまじまじと見つめる


「あれ?手・・・ある・・・足も・・・」

『・・・色々大変だったんだぞ、流石に死んだヤツを生き返らせるのは無理だからな
昔タイムふろしきで死んだカマキリがどうなるか試したが形だけ死ぬ前に戻って結局生き返りはしなかったんだ』

「痛ッ・・・足・・・手ッ・・・痛いッッ・・・ッッ・・・」

『えーと・・・』
痛みで動けない俺をお医者さんカバンで診断するトラ
ここはどこだ・・・確か俺の秘密基地はあの女に滅茶苦茶にされて・・・
『鏡の中の世界で巨大化したタイムふろしき使っただけよ、次からはちゃんと人の言う事聞くんだぞ』

声出すのダリー・・・ってか動くとスゲー痛いからこのまま会話するな
まずどうやって生き返らせた?

『とりあえずお前の髪の毛一本あの現場からくすねてな
全体復元液っつー一部から全体を再生する便利な薬でお前の体作ってな
うん、ちゃんと生きてはいた・・・んだと思う』
思う?

『血は通ってるし息もしてるし目も開いてるんだがな、全く動きやしねー・・・お、診断結果出たぞ
幻肢痛(げんしつう、英Phantom Pain)・・・
あーうん、超有名なアレだな、お前の場合仕方ねーよ、ホントに手足失ったのに手足がまだあるんだから』
仕方ない・・・か、暫くリハビリだな
ほい続けて、その体でどうしたん?

『トッカエバーっていう人格を入れ替える恐怖の機械があったからな
ソレでコッソリお前の前の体と今の体のを入れ替えたんだよ』
え?でも俺死んだんじゃ・・・?死んでも人格残ってるのか?

『ジーグフリートの不死効果ナメんな、お前は確かに脳味噌バラバラで思考停止にはなったがまだ死んじゃいなかった
だからトッカエバーを使えばお前の人格がコッチに移ってきたって話よ

カンタンに言えば寝てるヤツの人格を入れ替えれば起きた時には入れ替わった状態になるって事だな』
つくづく恐ろしい機械ばっかり眠ってるな、ドラ○もんって

『ホントだな、とりあえずあの女についてはまた後で説明してやるから、今はシッカリ寝て動けるようになれ』

それだけ言うとトラは俺を放ってどこかに飛んでいった
アイツの言う通りにちゃんと寝るとしよう・・・もう今日は疲れた

意識を手放す一瞬前、頭蓋を砕かれた時の記憶がフラッシュバックしたが、やはり眠気には逆らえなかった


まーそんなこんなで導入部は終わる訳ですよ
エロ部分まで到達するにはちょっと長くなるんでここで一旦区切らせてもらいます
次回予告:鹿山亮の逆襲、イジメられっ子はスーパーヒーローに挑む!!  お楽しみに