「ご、ごめんなさい」

ぶんぶんと頭を振ってその脳裏の片隅に取り憑いた悪しき妄想の邪念を振り払う美和子の、
その潤んだ瞳と言い、短いながらも黒いほつれ毛と言い、新一の胸をもう一撃するには十分だった。

「ちょっと、疲れてるみたい」

美和子が腕を解き、自分も腕を解きながらその腕に未練を感じているのが自覚出来る、
そんな自分に新一は微かな嫌悪を覚える。そんな場合ではない筈。
今、他の女性に浮ついた心を持っている、今の新一にとって、これ以上自らに恥じる事は無い。
新一がとっぷりと自己嫌悪に浸っている間に、美和子はどさっとベッドに腰掛けていた。

「それ、持って帰っていいわコピーだから、CDも付けておいた。
ああ、ここ、工藤君が取った部屋だったわよね。これから私は部屋を出るから、
五分間は後を追わないで、一緒に行動しない方がいい」
「分かりました」

共に務めて理性的な対応をしながら、新一がチラとそちらを見て、ぽーっと赤く染まった頬、
伏せた睫の向こうから滲む涙、潤んだ瞳にもう一度だけ生唾を呑み込む。

  *  *  *

「く、っ…」

エレベーターの中で、美和子は左の手首に力任せにガッチリ食い込んだ手錠を外す。
手錠をポケットにしまい、左の手首を右手に掴んだハンカチで包み込むと、じわりと赤い色が滲む。


  *  *  *

「何とか間に合、っ…」

近くの別室で待機していた哀は、ハッと腕時計から顔を上げ、
鞄を抱えて鬼気迫る勢いで飛び込んで来た新一に目を見張った。
既に発作が近づいているのか、いや、その状態であればここまでの動きは出来ない筈。
しかし、今の時間、ここまで血圧心拍数を上げるのは危険すぎる。

「な、何?落ち着いてくど…」

哀が言いかけた時には、新一は床に鞄を放り出しユニットバスに飛び込んでいた。

「く、おおおっ!」

中から鍵を掛けられ、安全のためドアに耳を付けていた哀がうめき声を聞く。

「工藤君、工藤君っ!?」
「ま、て…もう、少し、だ、け…おおっ…」
「工藤君っ!?」

  *  *  *

「消え、ただと?」

「石ころぼうし」と「四次元若葉マーク」を装着したまま「フワフワオビ」で追跡した俺様だったが、
工藤新一の脚力瞬発力を些か甘く見すぎた。「石ころぼうし」なら大丈夫の筈なのだから、
「タケコプター」にしておくべきだったとの悔いが俺様の思考の片隅に浮上し、
やはり、万全を期することこそ重要であったと、俺様理論の完璧さを再確認する。

その結果として、工藤新一が飛び込んだ筈のドアの向こうに辿り着いた時には、
肝心の工藤新一の姿は無かった。本来であれば部屋のドアの外で張り込んでいても構わないものを
敢えて「四次元若葉マーク」で突き抜けての追跡、ここまでしたにも関わらず、
俺様がドアをすり抜けて浴室に入った時には、既に工藤新一の姿は無かった。

「馬鹿な…」

  *  *  *

「工藤君、工藤君っ!?」

哀が叫びと共にノックを続けていたドアががちゃりと開き、
中から、シャツで腿の下まで隠れたコナンが姿を現す。

「あ、んっ、工藤君、大丈夫?」
「まーな」

現れたコナンは、一目で見て分かる程、非常に不機嫌だった。
丸で、爆発し損ねて持って行き場のない不発弾の様だと哀は思った。

「…服はあっち。今さら照れてるんだったら、着替える時間配分ぐらいしておきなさい」

冷淡な姉の口調を作り、哀が指を差す。
しかし、錯乱状態だったと言う事は相当危険な状態だったはず。データに書き加えておかなければ。
ユニットバスを覗き、
床にトイレットペーパーの波打つ白い山が出来ているのを目にした哀が心の中でメモを録る。

「ああ、わりぃな」

  *  *  *

「あー、えーっと…」

脇にスイッチ基盤のある丸ベッドに腰掛け、天井を仰いでそこに映る自分の顔を見ながら、
合流早々この部屋へと有無を言わせず拉致された高木が第一声を考えあぐねていた。

高木が対応に困っているのは、目暮班、捜査一課、警視庁全てが大変な時の勤務中と言う理性と、
隣に座っている、全てがこの部屋にはまり過ぎている情態の美和子と言う
理性と欲望のガチンコ一本勝負で、最初の一言をどちらに寄せたらいいか分からないと言う理由もあった。

果たして、いつもにも増してどことなく甘い、いい香りを漂わせた美和子は、
高木の隣に腰掛けて、薄く開いた瞼から熱く潤んだ瞳を覗かせ、しきりに喉を鳴らしている。

「あ、あの、佐藤さん?」
「出てって」
「は?」

「…あ、ああ、ごめんなさい、説明まだだったわね。
私は、これから一人で情報源と合流しなければならない。
高木君とここに入ったのはそのためのカモフラージュです。
だから、先に出ていて頂戴。この情報源は、例え高木君でも極秘に接触しなければならない事情がある。
そう言う事なの、分かってくれる?」

「は、はい、分かりました」
「ごめんなさい、高木君にも隠さなければならないなんて」
「いえ、刑事ですから、極秘のネタ元の一つや二つ」

何かおかしいと思いつつも理屈としては納得できる説明に、些かの落胆を押し込めて高木が後頭部を掻く。

「それじゃー」

ぺこっと頭を下げ、その後もやや腰を曲げながら出て行く高木に、
ベッドに座った美和子がにこにこ手を振り続ける。

  *  *  *

ドアが閉じるや、美和子は牝豹の俊敏さでドアに取り憑き、ロックを確認する。

「や、やだっ、こ、こんなにっおおっ!くうううっ!!…」

灰色のスーツのスカートをまくり上げショーツに手を入れた美和子は、
ぬるりと溢れ返った感触に戦慄しながら、
既に剥き出しに膨れ上がった熱い小さな膨らみに指が触れるだけで激しく声を漏らす。

「く、うううっ!…」

ぺたんと床に座り込んだ美和子は、目の前に翳した手がべっとり湿っている事に自己嫌悪を覚えながら、
こんなものでは到底足りない事も切実に自覚する。

「工藤、君…」

美和子は口に出し、ごくりと生唾を飲んでから、ぶんぶんとちぎれんばかりに首を横に振る。

きょろきょろと周囲を見回した美和子は、動きの一つ一つにもどかしさを覚えながら、
無人の部屋で生まれたままの姿になった。
普段そうそう晒される事の無い空気が、火照った全身に心地よい。
バスルームに入り、頭からシャワーを浴びて汗を流す。

そして、自らの手で静かに乳房を持ち上げる。
心の中ではその豊かさも、そして、張りもまだまだ見劣りしない筈、と思っているが、
客観的には見劣り以前に上級高級と言っても十分差し支えない。
そんな豊かにして美乳が触れるだけでも軽く達する程に感覚が鋭く尖っている。

「この、胸に…」

美和子もいい年の生身の女性、それに原因の半分は痴情に連なる切った張ったが仕事の捜査一課の刑事。
指輪の機能は知らなくても男性の心理や機能の一通りの事ぐらいは当然知っている。
無論、先ほどの新一の表情、腹に押し付けられていたもの、高校生の坊やの我慢など全てお見通し。

すぐにでもむしゃぶりついていれば、簡単に落ちた。自分に後ごく僅かの理性が欠けていたら、
間違いなくそうしていただろうと言う事を、美和子は自覚している。
左手がそろそろと、柔らかに熟れた豊かな胸を這い昇り、きゅっとそのいただきを掴む。
美和子の喉から切ない声が漏れ、膝が砕けそうになる。

「この胸、触りたかったの、工藤君?」

左手で柔らかに揉みながら、
右手でシャワーを握り、ぬるりと気持ち悪い部分へと近づける。

「また、こんな、にくうううっ!」

水流ですら突き抜ける程に感じてしまう。聞かれていないとは言っても、声をかみ殺してしまうのは、
むしろ、美和子はそんな理性が残っている自分が情けないほど誇らしかった。

「今頃、工藤、君も…」

服の上からでも分かる、逞しい感触が思い出される。
そして、その下から、破れんばかりに突き上げていた熱く昂ぶった異物感も。
モテ男とは言っても根は真面目で健康な男子高校生が、自分にああまでされて、それからどうしたのだろう、
あの男の子がもう後一歩の所で互いに誘惑をすり抜け、
その後どうしているのか、それを想像しただけでも、つんと鼻の奥に強烈な幻臭すら覚え、くらっと来る。

ましてや、見た事もない様な若く盛りのついたそれで荒々しくかき回された日には、
ぶんぶんと頭を振った美和子だが、既に最高水圧で最短距離からそこに向けていたシャワーを置いた右手が、
改めてそうやって刑事として女としての全ての矜持を奪い狂わせている諸悪の根源へと導かれる。

「はあああっ!いいの、いいのよ工藤君っ!!
そんなに、そんなに硬くして、出そうなの工藤君?
いいのよ工藤君、お口で、美和子のお口でみんな工藤君のみんな飲んであげるんだからっ!!」

美和子の全身が弓なりに反り返り、唇の端からそれこそ男の様に白く濁った液体を一筋垂らした美和子が
絶叫と共に頭から注がれるシャワーの中に座り込む。

「何?私、疲れてるの?そんなに、男に縋らなければならないぐらい…」

美和子は顔を覆い、未だ手に残る淫らな牝の残滓を嫌でも感じる。バスルームに啜り泣きが満ちる。
今、男として見ている相手は、一人しかいない筈だった。
それを、どんないい男か、頼りになるか知らないが、一目会っただけでこの様。

しかも、その相手には、今一番大切にしなければならない相手がいる。
その事を誰よりも知っているのは自分、そうでなければならない筈。
そう、今の蘭には、誰よりも新一の支えが必要。自分は仕事としてこの世界にいる。
不条理な地獄を見ている蘭を前に、自分の苦悩など比べるべきではないもの。
まして肉欲のままに唯一の支えを奪い取る等、犬畜生にも等しい。

“新一…”
“蘭、大丈夫だよ、蘭、俺が付いてる…”

イメージが、幻聴となって美和子の疲れた心をとらえる。
無垢な二人は静かに唇を重ね、新一は力強く蘭を抱き締め、白いキャンバスに蘭を横たえる。
そして、新一は優しい顔を蘭に寄せ、蘭は安心した顔で目を閉じ、再び唇が塞がれる。
いつしか、二人は生まれたままの姿になり、若鮎の様な裸体が絡み合う。

頭の中で勝手に流れ続けるイメージ映像から目を反らす事も叶わず、
シャワーの中に座り込んだままくちゅくちゅと動きを止めようとしない右手の動きその度に揺れる肉体。
どこもここもずぶ濡れのまま、美和子の自己嫌悪はひたすらに高まり続ける。

妄想が臨界点を越えた美和子の頭の中で、何かがスパークする。
あの、堂々と余裕綽々な名探偵が、目の前で頬を染めてドギマギしながら
そのポーズを崩すまいと無駄な抵抗をしていた顔をまざまざと思い出し、美和子は失笑を漏らしそうになる。

「ああっ、そうっ、もう、我慢しなくていいのよっ、触っていいのそうっ、
そう、吸いたい私のおっぱい?そう、いいのよ、一杯吸っていいのおっ、おおっ、
あっ、ああっ、もう、もうこんなに、こんなに熱くなって苦しいんでしょう工藤君、
こんなに熱くてビンビンに、若いのね、もう我慢出来ないんでしょう?

したいんでしょ工藤君っそうしたいんでしょういいのよ工藤君私はいいのよ、思いっ切りしていいのっ、
そうっ、その、そのビンビンに若い逞しいので思い切りかき回してそうよそう、そうよっ、
思い切り突いてかき回してそう、そうよそうああっ、こんなに、こんなに逞しいぃ、
あっ、あああっ!!あっ…」

アンチ・エコも甚だしく出しっぱなしのシャワーが滴る裸体をくたっと前に折り曲げ、
たって今まで力強く自らの熱い蜜源をまさぐり続けていた右手をぺたっとバスタブについた美和子は、
三つ目の滴、シャワーに隠れ続けた涙を流し続けた。

  *  *  *

「四次元若葉マーク」と「石ころぼうし」、「フワフワオビ」のコンボで
ホテルの近隣三部屋をくまなく探してもいない者はいない。
仕方がないので一旦ホテルのロビーまで下りると、もう一人の標的が辛うじてもつれる脚を前進させていた。
そこから先は、久しぶりに心行くまで笑かしてもらった。
ようやく人心地ついたらしい発情牝豚刑事は、そのまま無駄遣いそのものの最大級の対尾行スキルを駆使しつつ
年齢制限付き玩具店とスーパーの青果コーナーの買い物袋を両腕に抱えて寮の部屋に帰宅する。

  *  *  *

「メカメーカー」で巨大モニター化した「タイムテレビ」の中で、
佐藤美和子がボール・ギャグを自ら填めた時には、俺様としてもその根性と計画性に感服しつつ、
最高潮のタイミングに「どこでもまど」で外してやろうかと言う誘惑に辛うじて打ち勝つ。

そして、発情と解消の行程を行き来するバラエティーに富んだワンマンショーに飛び込み
真実の男の威厳の何たるかを教え導いてやろうと言う使命感にも打ち勝ち、
あくまで後々の大いなる計画通りの瞬間のために全てを譲りつつ、
俺様は仁王立ちになって、ピッピッと迸らせボール・ギャグから泡を漏らしながら
独りのたうち回る目の前の発情風景を満喫する。

「に、しても…」

それまで部屋にいなかった筈の江戸川コナンが何か鍵を握っている気もするのだが、
俺様の持っている「フリーサイズぬいぐるみカメラ」でも使わない限り、
巷で評判の怪盗キッドであろうとこの変装だけは出来る筈が無い。

何をどう手伝ったのかは知らないが、いなくなったものはいなくなったとしか言い様がない。
工藤新一、なかなかに侮れない相手らしい。
それが疑問の一つ。
そして、二つ目。

「これって、実はそんなに効かないのか?」

俺様は、先ほどと同じ「ソノウソホント」通告仕様の茶が入った湯飲みを手に独りごちる。
この、「かべ紙秘密基地」中央ホールの一角にチラと視線を走らせると、
大きな檻の中に、床に固定された椅子に真っ裸で座らされ、
後ろ手錠を填められ椅子の脚に脛をテープで縛り付けられた、
「タイムテレビ」その他で私生活から何から厳選されたキモヲ○がズラリと並んでいる。

同じ檻の中には、「タイムテレビ」その他を用いて私生活から何から厳選済みの、
品行方正清楚な美しき女子○○○、品行方正清楚な美しき女子○○○、品行方正清楚な美しき女子○○○、
一流大学に通う品行方正清楚な美しき女子学生、品行方正清楚な美しき若奥様、品行方正清楚な美しきOL、
品行方正清楚な美しき…以下略をかっさらって来て、同じものを飲ませて全裸で放り込んである。

何人かは元気に噛み付く者もいたが、俺様が「うそつ機」と「ほん訳こんにゃく」を駆使して入手した
マカロフで一人土手っ腹に風穴を開けてやると、一時の阿鼻叫喚を経て、
しくしく涙を流し床から異臭を放ちながら大人しくなった。

無論、銃撃されたとしても即死しない事は「あらかじめ日記」に記載済みであるので、
早々に取り片付けて「瞬間固定カメラ」と「チッポケット二次元カメラ」で取り除いてある。
事が終われば「タイムふろしき」と「メモリーディスク」で跡形もなくして元に戻せばいいだけの話だ。

そう言う訳で、今床に転がってる牝共には手を加えていない、至って自然放牧。
只一点、同じ湯飲みの中身を飲み干したと言う事を除いては。
遅効性と言う特性に相応しい時間が過ぎると、檻の中は再び阿鼻叫喚の巷と化していた。

誰か一人が始めると、それを見て、残りの面々が一斉に動き出す。
ぷるんぷるんと弾む胸を目の前の男の顔や胸板に押し付け、
唇の端から顎にヨダレを滴らせながら、目の前で反り返った男に自ら串刺しとなり
獣じみた絶叫と共に腰を上下左右に振り続ける。

これも、誰かが始めると次々と、牝共は自分の中にはめ込んだものが柔らかくなるや、
その場に跪き、鬼気迫る勢いでむしゃぶりつき反り返るや再びはめ込む。
牡共の声が苦痛の呻き、悲鳴に変わるのは時間の問題だった。
取りあえず、理性のリミッターが振り切れるくらいの効力はあると言う事らしい。
次々と白目を剥いてがっくり脱力する檻の中の牝共にチラと視線を走らせ、確認する。

「ん、んんっ」

取りあえずそれが分かればよろしい。
後々ややこしいので、「ソノウソホント」を使って
佐藤美和子に仕掛けた「あいあいパラソル」の効力だけは打ち消しておいた。

ちょうど、俺様の足下に跪いた牝奴隷メイド七川絢が、
大胆カット面積縮小メイド服からチラチラと初々しい谷間を見せながら喉を鳴らして飲み干し、
改めてその口で丹念に清めている所だ。下らぬ発情実験も、その程度の役には立つ。

滑らかな口と舌の動きに十分みなぎった事を確認した俺様は、
牝奴隷メイド七川絢に両手で目の前の檻の鉄格子を掴み、尻を突き出す様に命じる。
忠実な牝奴隷メイド七川絢の後ろに立った俺様は、超絶フリルミニスカートをまくり上げ、
突き出されたくりんとした尻に挨拶代わりの平手を張り、ホールに響く甘い悲鳴を堪能する。

ちょっと視線を下に向けると、「階級ワッペン」を張ったサポーターが脛に巻かれている。
忠実な牝奴隷メイドである以上、
七川絢も又実験台として同じものを飲んで効果発情まで十分に待たされている。
風流な俺様が開いた脚の間からジューシーにぽたぽたと滴る床の音に静かに耳を澄ませた後、
俺様の腰は忠実なる淫乱牝奴隷メイド七川絢のあまーい悲鳴と共に力強く動き出した。

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最終更新:2013年09月03日 18:23