ドラ×苺ましまろ


「・・・いや、前から何でもある家だとは思ってたけどさ」
千佳が、テーブルを挟んだ向かい側にいる美羽に言う。
美羽は答えず、千佳手作りのクッキーをぼりぼりとかじっている。
「・・・何でこんなもんまであるわけ?」
そう言って、千佳はテーブルの上のそれを手に取った。
それは、白い半円形の、袋状の物体。日本人なら誰でも知ってて誰もが欲しがる、あのポケットだった。
「どっから見つけてきたの、こんなん」
「んー、何か部屋の奥の方あさってたら出てきたんだけど」
事も無げにそう言うと、美羽はもう一つクッキーを手に取り食べ始める。
あまりにも自然体なその様子に、千佳は、はああ、とため息をついた。
「あんたさ、少しは驚きなよ。これってとんでもない事だよ?」
「何が」
「いや、何がじゃなくて。この・・・ポケットがさ、実際に存在して、しかもあんたの家にあったって事がだよ」
「そう言われても・・・あたし別に、あのロボット好きでもないし」
「そういう問題じゃねえだろ」
相変わらずまともに会話する気のない美羽の様子に、千佳はもう一度ため息をつく。
さっきまで、『例の竹とんぼ』で家の外を興奮気味に飛び回ってたくせに、
千佳と喋る時はどうしてこうもボケ倒すことを優先してくるのか。
「・・・で」
それ以上美羽と話すのを諦め、千佳はさっきから黙ったままの伸恵に話しかけた。
「お姉ちゃんはさっきから何を考えてるの?」
伸恵は答えない。腕組みをし、ベッドに腰掛け、さっきからずっと難しい顔をしている。
その様子に、千佳は言い知れない不安を覚えていた。
(・・・絶対何か、ろくでもない事考えてる)
お姉ちゃんが神妙な面持ちをしている時は、絶対に何かよからぬ事を企んでいる時なのだ。
十年そこそこの短い人生の中で、千佳はその事を嫌というほど味わっている。
「言っとくけどお姉ちゃん、コレで悪いことしようとしたら許さないからね」
「そーだよ。コレはあたしのなんだから、使いたいならあたしの子分になるって誓わないと・・・」
がばっ、と伸恵が立ち上がった。
一瞬、殴られることを覚悟した美羽が体を固くしたが、伸恵にその気配はない。
恐る恐る見上げると、伸恵を何かを決意した様子で、二人と、その間に挟まれたポケットを見下ろしていた。
「・・・お前ら」
そして、こちらに選択の余地を与えない、有無を言わせぬ声で続けた。
「協力しろ」
ああ、やっぱり。
千佳はもう一度、今度は心の中でため息をついた。

「こんにちはーっ」
「お邪魔いたしますわ」
茉莉とアナを部屋に招き入れた時、千佳は一瞬良心がとがめるのを感じた。
(・・・ホントにいいのかな。こんな事して)
これから二人の身に起こるであろうことを考えると、どうしたって胸が痛む。
(・・・でもなぁ)
伸恵があのポケットを手にしている今、逆らえばどんな制裁が待っているか想像もできない。
件のガキ大将に勝るとも劣らない伸恵の横暴っぷりを考えれば、それはもう恐ろしい結果になるだろう。
(地獄を見るのは嫌だし、かといって茉莉ちゃん達を犠牲にするのもかわいそうだし・・・)
そんな千佳の煩悶をよそに、部屋を見回した茉莉が言った。
「あれ?今日はおねえちゃん、いないの?」
自分の思考の中に沈んでいた千佳が、ぱっと顔を上げて慌てて答えた。
「へ!?あー、あの、何か先生に呼び出されたとかって、さっきメール来て・・・」
「美羽さんもいらっしゃってないんですね。珍しいですわ」
「あー、えーっとね、みっちゃんは何か、風邪ひいたとか言ってたかな」
それを聞いた茉莉が驚きの声を上げる。
「えっ、そうなの?それじゃ、みんなでお見舞いに行ってあげようよぉ」
「いやっ、その、そんなに酷い風邪じゃないって言ってたし、お見舞いに行くほどでもないんじゃないかな、うん」
必死でごまかしている内にも、千佳は心の中に別な感情が芽生え始めているのを自覚し、さらに焦った。
(うわ、やばっ!早くここから出ないとあたしも・・・)
何とかして脱出する言い訳を考えなきゃ。千佳はパン!と手を合わせ、突然思い出したかのように言った。
「あ!そういえばあたし、お菓子作りかけだったんだ!ゴメン、ちょっと様子見てくるね」
それを聞いた二人の顔に、ぱあっと笑顔が広がる。
「わぁ、千佳ちゃんお菓子作ってるんだ」
「うん、そうそう、出来たら持って来るからちょっと待っててくれる?」
「ええ、楽しみに待ってますわ」
すぐ戻ってくるね、と言い置いて急いで部屋を後にし、後ろ手にドアを閉めると、千佳は、ふう、と一つ息をついた。
そして、今閉めたばかりのドアの方を向き、そっと二人に詫びた。
(ごめんね、二人とも・・・)

「おい、カメラ準備できたか?」
「バッチリですぜ、親分!」
千佳が美羽の部屋のドアを開けると、伸恵と美羽がそんなやり取りをしている所だった。
美羽の言葉通り、窓際にはビデオカメラが据えつけられており、窓の向こうの千佳の部屋を捉えている。
それはカーテンの隙間から、覗くように設置されており、向こうからは気づかれないはずだ。
千佳に気づいた伸恵が、手を上げて迎えた。
「おう、戻ったか」
「・・・ねえ、やっぱやめない?」
何言ってんだ、という顔で伸恵が答える。
「ここまで来てやめられねえだろ」
「いや、でもさあ・・・」
「ちゃんと後で忘れさせときゃいいんだろ?心配すんなって」
そういう問題じゃないんだけどなあ、と千佳は思った。
「親分親分。そんなヘタレの事より、これ、どうっすか」
美羽が伸恵に手招きし、ビデオカメラのモニターを見せる。
「おお、いい感じに映ってんな。向こうの様子丸分かりだ」
「でしょ?これなら奴らの○○の穴まで完璧に納められますぜ」
「女の子がそういう事言うんじゃない」
「すみません」
お姉ちゃんの倫理基準は一体どこにあるんだろうか。そんな事を思いながら、
千佳は一時でも罪の意識から逃れるため、美羽のベッドにぼふ、と横になった。


「・・・千佳さん、遅いですわね」
「そうだね」
部屋に残された茉莉とアナは少しの間、おしゃべりをしたり、ジョンと遊んだりして時間をつぶしていたが、
次第に、一向に戻ってこない千佳の事を気にし始めた。
「私達も見に行ってみましょうか?」
「でも、『待ってて』って言われてるし・・・」
千佳にそう言われた以上、勝手に部屋から出たりしちゃいけない。
頑なにそう信じている茉莉を可愛らしく思い、アナも考えを改めた。
「・・・そうですわね。どっちにしろ、もう少しで戻ってくるでしょうから」
「うん、きっとそうだよ」

――そして、数分後。
茉莉が最初に異変を感じたのは、隣に座っているアナが、自分の事をじっと見つめているのに気づいたときだった。


アナが、すっ、と茉莉の方へ身を寄せてきた。
「・・・茉莉さん、シャンプー変えました?」
「えっ?いつも通りだけど・・・どうして?」
「いえ、何か・・・いい香りがするような気が・・・」
そう言って、アナが茉莉の髪にそっと触れる。さらさらとその髪を撫でながら、くん、くんと匂いを嗅いだ。
「ア、アナちゃん・・・?」
「やっぱりいい香り・・・どうして今まで気づかなかったのかしら」
幸せそうな声で呟くと、アナは茉莉の頭をきゅっと抱えるようにして、顔を埋めた。
すりすりと頬ずりをしながら、気持ちよさそうに吐息を漏らす。
いつもと様子の違うアナに、茉莉が心配そうな声で尋ねる。
「ど、どうしたの、アナちゃん・・・?何かヘンだよ?」
「それに・・・」
「ひゃっ!?」
突然、アナの指が頬をつうっ、となぞり、ぴくん、と茉莉の体が震えた。
「肌もすべすべですごくきれい・・・」
茉莉の頭から顔を離すと、アナは茉莉と向き合った。
目の前で見ると、アナの様子がやっぱりおかしい。目は潤み、人形のような白い頬に、ぽっと赤みがさしている。
「暖かくて、柔らかくて・・・ずっと触れていたくなってしまいますわ」
両手の平で頬を包み込むように触れながら、アナが囁く。
やがて、その動きがぴたりと止まった。
「アナちゃん・・・?」
真剣な表情のまま自分を見つめているアナに、茉莉もまた、奇妙な感覚を覚えていた。
(アナちゃんの目、すごくキラキラしてる・・・お星様みたい)
吸い込まれそうなアナの目に見とれていると、すっ、とその顔が近付いてきた。
「茉莉さん・・・」
その瞳が、ぱちっ、と閉じられるのと同時に、アナの柔らかな唇の感触が伝わってきた。


「おおお!マジでいったよ!」
興奮した様子の伸恵の声に、うとうととまどろんでいた千佳は目を覚ました。
「なにー・・・?もう終わったの?」
あくび混じりの千佳のその言葉に、伸恵がばっと振り向いて叫んだ。
「バカ言ってんじゃねえ!これから始まるトコなんだよ!」
そして、返す刀で美羽に問い掛ける。
「おい美羽!この後の展開大丈夫なんだろうな?」
「お任せください!そちらの方も万全であります」
盛り上がっている二人をよそに、千佳はベッドから起き出し、カメラのモニターを覗いた。
「あーあ・・・あたし知らないからね」
そこには、親しげな雰囲気でキスを交わす、茉莉とアナの姿があった。

「茉莉ちゃんとアナちゃんのエロエロなシーンが見たい」
伸恵がこう切り出した時、千佳は、お姉ちゃんホントにバカなんじゃないのと思ったものだ。
案の定美羽はノリノリで同意し、こうなると止めても無駄なことを悟っている千佳も、仕方なく賛成することにした。
それから、千佳の部屋からコミックスを引っ張り出してきてみんなで研究し、使えそうな道具をいくつかピックアップしていった。
「これ良さそうだな、『あらかじめ日記』。おい美羽、ポケットから出せ」
「あいよ」
言われるままにごそごそとポケットを探すと、それらしき日記帳が出てきた。
「んじゃお前はそれに、シナリオを書いとけ。内容は任せる」
分かった、と言うが早いか美羽はペンを取り、猛烈な速さで書き込み始めた。
「呼び出す口実もあるから場所はちぃの部屋にしとけよ。・・・んで、ちぃは・・・コレだな」
そう言うと伸恵は、今度は自分でポケットに手を突っ込み、乱暴な動作でがさごそと中を探る。
ややあってその中から取り出されたのは、なにやら筒状の形をした道具だった。
「それ、何て道具?」
取り出されたその道具に見覚えのなかった千佳は尋ねた。
「これは『無生物催眠メガフォン』っつってな、物でもなんでもこれを通して言い聞かせると、その通りになるっていう道具だ」
「ふーん・・・で、それをどうすんの?」
「茉莉ちゃんとアナちゃんをお前の部屋に呼ぶ直前に、お前はこれで自分の部屋に向かって、
 『ここはラブホの一室です。一見しただけでは分かりませんが、エロい照明に照らされエロい音楽が流れてて、
  中に入った人は何となくエロい気分になってしまいます』って命令しとけ」
「はああ!?」
テーブルをガタンと揺らし、千佳は立ち上がった。
「何よそれ!あたしそんなんやるのやだ!大体みっちゃんがちゃんと日記の方に書いとけばそんな事しなくてもいいじゃん!」
「念の為だ、念の為。もし美羽が何かろくでもない事書いてても事態が進行するようにしとくんだよ」
「ろくでもない事考えてるのはお姉ちゃんでしょーっ!」
腕を振り回して反論する千佳の頭に、ごつ、と何かが触れた。
ふと見ると、いつの間に取り出したのか、伸恵の右手に『空気砲』がはまっており、
その銃口がぴったりと、千佳の額に押し付けられていた。
左手で、くわえていたタバコを口から外し、ふーっと煙を吐いてから、伸恵は一言、吐き捨てるように言った。
「やれ」
震える声で、千佳は短く答えた。
「・・・はい」
この人、やっぱりヤクザだ。千佳は改めて確信を抱いたのだった。

「んっ・・・はぁっ・・ダメだよ、アナちゃん・・・千佳ちゃんが、戻って・・・きちゃうっ・・・」
「んふぅ・・・んっ、大丈夫ですわ。今まで戻られてないんですから・・・」
ベッドの上でアナに組み敷かれ、唇を触れ合わせながらも、茉莉は千佳が戻ってくることを気にしていた。
(こんな所見られちゃったら、きっと変に思われちゃうよ・・・)
だが、そう思いながらも、茉莉はアナを押しのけることが出来ない。
アナの唇が自分に触れるだけで、体中の力が抜けてしまうのだ。
最初は控えめに、ちゅっ、と触れさせるだけだったキスも、今はより大胆に、舌を突き出し、
ぴちゃぴちゃと茉莉の唇を舐め回すように変わっている。
「んん・・・ふぁっ!?」
たまらず茉莉が口を開いて息をしようとすると、その隙間に素早く舌が這いこんできた。
「んちゅぅっ・・・ぷぁ・・茉莉さんの口の中・・・美味しいですわ・・・」
舌の上、頬の内側、歯の裏側と、順に、ゆっくりと愛撫されてゆき、茉莉は口の中が溶けていくような感覚を味わっていた。
(うう・・・変な感じだよぉ・・・けど)
嫌な感覚じゃない。ぼんやりとした頭の隅で、茉莉はそう思った。
丁寧に、丹念に口の中が撫でられていく。そこには優しさが感じられる。
身を委ねてしまってもいいような、そんな安心感が心の中に湧き上がってきた。
「んあ・・・ん・・・アナちゃん・・・」
茉莉の背中に回されていたアナの手が、すすっ、と下の方へ移動していく。
そして、スカートの上から茉莉のお尻の部分を撫で回してきた。
「きゃっ!」
「ふふっ。茉莉さんのお尻、ふにふにしてて気持ちいい・・・」
かあっ、と茉莉の顔が赤くなる。
「は、恥ずかしいよぉ・・・」
「恥ずかしがることなんてありませんわ。ほら・・・」
「ひゃぅっ!」
茉莉のお尻にあてがったアナの両手に、ぐっと力が込められる。それに合わせて柔肉が、むにゅっ、と窪んだ。
「ほらほら、とっても柔らかい、素敵なお尻ですわ」
「ひゃっ、あぅ、アっ、アナちゃんダメだよぉ!」
恥ずかしさと気持ちよさが入り混じり、茉莉の声が裏返る。自分でも、拒みたいのか受け入れたいのか分からなくなっていた。

(うう・・・アナちゃんばっかりずるいよぉ・・・あたしだって・・・)
お尻を撫で回しては、茉莉の反応を見て楽しんでいるアナを見るうちに、
茉莉の心の中に、なんとなく、仕返ししてやりたい、という衝動が起こってきた。
アナが茉莉の体を撫で回すのに夢中になっている内に、茉莉はそろそろと手を動かし、アナのスカートの内側へと伸ばした。
「・・・えいっ!」
そして、太股の間に、ぴたっとその手をくっつけた。
「きゃあ!」
「あっ、ご、ごめんね、アナちゃん」
悲鳴のような声を上げたアナに、思わず謝ってしまう茉莉。
「ごめんね、ビックリしたよね・・・」
「い、いえ、大丈夫ですわ。ただちょっと、茉莉さんの手が冷たくて・・・」
確かに、アナの太股からは温かみが伝わってくる。上下左右から温もりが伝わってきて、差し込んだ手がとても気持ち良かった。
「アナちゃんのここ・・・あったかい」
さわさわと、茉莉がアナの脚に触れる。5本の指がそれぞれ意思を持っているかのように、優しく動いた。
「あっ・・・ま、茉莉さん、くすぐったいですわ・・・」
「ココが・・・一番あったかいね」
アナの太股の付け根、股間の辺りに茉莉が触れた。
「ひぅっ・・・!」
「ココにこうやって・・・ほら、後ろにまで指を通すと、すごくあったかいの」
そう言いながら茉莉は、アナの下着に指を擦らせながら、お尻の方にまで、指を伸ばしていった。
「まっ、茉莉さん・・・ソコっ、ダメですぅ・・・」
「アナちゃんも、ココ、気持ちいいんだ・・・。それじゃ、もっとしてあげるね?」
アナの顔が上気し、息遣いが荒くなっていく。その様子を見た茉莉が、さらに何度もしゅっ、しゅっ、と指を擦り付ける。
「きゃぅっ!ああ・・・ひゃぁぁっ・・・!」
一擦りするだけで、アナの体がぴくっ、と震え、顔を左右に振って声を上げる。
今まで見たことの無いアナのその顔に、茉莉もまた胸の鼓動が高鳴るのを感じていた。
「・・・アナちゃん」
すっ、とアナの股間から指を抜き、茉莉は自分の下着に手をかけた。
するするとそれを下ろすと、自分のスカートをまくり上げ、むき出しのその部分をさらけ出した。
「ま、茉莉さん・・・?」
目を丸くして見ているアナに、か細い声で茉莉が告げた。
「・・・あたしのも、さわって・・・?」

「んんっ、んあっ・・・」
「はっ、ひぅっ・・!」
ベッドの上で膝を立てた体勢のまま、茉莉とアナはお互いの秘所に指を這わせ合っていた。
指先に走る滑らかな感触が心地よく、つい指を押し付ければ、相手もそれに合わせて刺激を与えてくる。
初めこそ遠慮がちだった二人の行為は、すぐにエスカレートしていった。
「ああ・・・そこぉ、気持ちいいよぉ、アナちゃん・・・」
「こ、こうですの・・・?」
くちゅっ、と染み出してきた汁を指先にまぶし、アナが茉莉の秘裂に沿って指を伝わせる。
「あんっ!そっ、それぇ、いいのぉ・・・。もっと、してぇ・・・」
求められるまま、アナは指を動かし続ける。ぷちゅ、くちゅぅ、という水音が響き、無意識に茉莉の脚が開いていく。
熱く、柔らかくほぐれてきたその部分を、アナが夢中になって弄り続けていた、その時。
「ああんっ!」
つぷっ、とアナの指の先端が、茉莉の中へと侵入した。
「ああっ、中ぁっ、中に入ってるぅ・・・」
「だ、大丈夫ですか、茉莉さん!?」
うろたえるアナが指を抜こうとするが、茉莉は敏感に反応した。
「やっ、抜いちゃだめぇ!そのままっ、そのままの方が気持ちいいのぉっ!」
「ほ、ホント・・・?」
半信半疑のまま、アナが茉莉の中で指を前後に動かす。
その動きに合わせ、茉莉の体ががくがくと揺れた。

「ああっ、これぇ・・・すごい、いいよぉ・・・。アナちゃんにも、してあげるね・・・?」
「えっ?ちょ、ちょっと茉莉さん、心の準備が・・・!」
戸惑うアナの制止も聞かず、茉莉は巧みな動きでアナの割れ目をこじ開けると、
人差し指を、つぷぷっ、とその中へと挿し込んだ。
「くぅぅんっ!」
びくびくっ、とアナの体が痙攣する、それを見た茉莉がにこっと微笑み、アナの耳元で囁く。
「ほら・・・気持ちいいでしょ?こうするとね、もっと気持ちいいんだよ?」
茉莉が挿し込んだ指を、ぬっ、ぬちゅっ、と出し入れする。
「ひっ、ああっ、いいっ、気持ちっ、気持ちいいですっ!」
一突きごとにアナの嬌声のトーンが上がり、そのテンポに合わせる様に茉莉への愛撫を再開した。
「ああっ!アナちゃん上手だよぉっ!そこっ、そこ擦られるのいいのぉっ!」
「ひゃぅぅっ、茉莉さんっ、茉莉さん、私っ!これ以上されたらダメなのっ!変に、変になっちゃうぅっ!」
既に大きく股を開き、脚と脚をからめ合った二人は、空いた手で互いの体をしっかりと抱きしめた。
ぬちゅっ、ぐちゅっ、と弄り合う互いの指の動きがさらに加速する。
「ああっアナちゃんっ!あたしも、あたしももうダメだよぉっ!」
「茉莉さぁんっ!あっ、ひぅっ、あぅぅぅっ!!」
びくびくっ、と二人の体が震えた。それと同時に体の芯から、全く未知の快感が膨れ上がってくる。
それが体全体に染み渡ったとき、ぱしゃぁぁっ、と股間から愛液が漏れ出てきた。
しばらく、硬直したまま身を寄せ合っていた二人は、やがて全身を弛緩させ、ベッドに倒れこんだ。
「はぁ・・・はぁぁ・・・」
まだ息の整わないアナに、同じく荒い息遣いのまま、茉莉が顔を寄せる。
そして、一瞬だけちゅっ、とキスをすると、満面の笑顔でアナを見つめ、言った。
「気持ちよかったね、アナちゃん」
屈託のないその言葉に、アナは一瞬目を伏せたが、すぐに顔をあげ、茉莉と同じように微笑んだ。
「ええ・・・とっても」

「うわー、すごいなあいつら」
モニターを通して一部始終を見ていた美羽が、感嘆の声を上げる。
「具体的にどーこーしろって書いた訳じゃないのにあそこまでするって事は、
 元々そういう気持ちがあったって事なんですかね、解説の千佳さん」
「し、知らないよそんな事!」
同じくモニターから目を離せずにいた千佳が、突然意見を求められて上ずった声を上げる。
顔中を真っ赤にしている千佳とは対照的に、平然とした様子で美羽はへらへらと笑ってみせた。
「冗談だよ冗談。いやー、しかしいい画が取れたもんだ。これ、どうしようか、おねえちゃん?」
美羽がくるりと振り向き、伸恵にそう尋ねたが、返事はなかった。
「お姉ちゃん?どうしたの?」
千佳も後ろを向き、重ねて尋ねた。初めの内は興奮してあれこれ騒いでいた伸恵が、
途中からぷっつりと黙りこんでしまったのも、気になっていたのだ。
「・・・・・・」
伸恵は今も、黙ったまま、ぶるぶると小刻みに震えていた。まるで、何かを必死でガマンしている時のように。
そして、その震えがぴたりと止んだ。と同時にやおら立ち上がり、ドアの方へと早足で歩み寄っていった。
「お、お姉ちゃん?」
千佳の呼び掛けに、伸恵の動きが止まり、聞こえるか聞こえないかの声で、ぼそっと呟いた。
「・・・ちょっと、行って来る」
そして、ドアが開き、伸恵は出て行った。
「ちょっ・・・お姉ちゃん!?」
慌てて千佳が後を追い廊下に出たが、その時には既に、窓の下から爆走する伸恵の雄たけびが聞こえてきていた。
「速っ!ちょっとこれシャレになんないって!」
急いで部屋に取って返した千佳は、ドアを開けるなり美羽に向かって叫んだ。
「みっちゃん!ポケット貸して!お姉ちゃんを止めなきゃ・・・」
部屋には誰もいなかった。代わりにさっきまで閉じられていた窓が開き、カーテンが風にひらひらとなびいている。
窓際に駆け寄り外を見ると、いつの間にか黄色いプロペラを装着した美羽が、
ビデオカメラとポケットを持ち去り、青い空へと飛び立っていた。
「ちょっとみっちゃーん!どこ行くのよーっ!どうすんのこれー!」
「いやまー、ほっといてもいいんじゃない?面白そうだし」
「んなわけないでしょー!責任取んなさいよーっ!」
「落ち着いたころに戻ってくるからメールよろしくー」
「人の話聞けーっ!」
千佳の叫びに耳も貸さず、美羽は空中でくるりと一回転すると、空の向こうへと消えていった。