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「不審車両が出たかっ!」
深夜、数時間前に設置された別の強盗殺人事件の捜査本部から
開発工事現場女性暴行監禁事件の現地所轄捜査本部に入った県警捜査一課長が、
天井近くを浮遊する「スパイセット」の目と耳に見守られながら、
捜査一課から派遣されて捜査本部を取り仕切る捜査主任官に詰め寄る様に言った。

「はい」
白いワンボックスカーに関する資料写真他各種の写真と地図が用意され、状況が説明される。
「ここでNシステムにヒットしました。まずは顔が問題です。
光線遮断サングラスにヒゲに長髪、その他のパーツも人造品の可能性があります。
少なくとも現時点においては人相の特定は不能です。
照会の結果でもナンバーと車種が一致していません、偽造ナンバーです」


「それが、マル害の監禁現場周辺を走行していた、そうなのね?」
警視庁杯戸警察署の捜査本部で、美和子が携帯電話に問いかける。

「ええ。他にも三カ所で発見されています。
こっちの帳場では、マル害の携帯電話の位置情報から
携帯の電源が切られたエリア周辺の防犯カメラ映像を所轄総動員でかき集めました。
もちろんNシステムTシステムも。
そこから集めた車両ナンバーと監禁現場周辺のNシステムが収集したナンバーをクロスチェックした所」

「ヒットした…」
電話の向こうの千葉に、美和子が呟く。
「時間的にもこの車でマル害を拉致して携帯電話の電源を切って暴行、監禁、
同じ車で監禁現場から逃走した、そう推定するのが自然です。
Nシステムによるヒットは三カ所。監禁後現場からこの車で逃走したと推定出来る時間帯です」

「この時間にここでヒットしたのが最後となると、まだ動いているかも知れんな」
県警捜査本部で、一課長が地図を示して言った。
「はい。たらればは禁物とはいえ、紙一重の所で照会が間に合いませんでした。
しかし、時間的に見込みは十分にあります」

「今回も奴だ」
一課長の言葉に主任官は頷いた。
「こんな真似をするクソ野郎がそうそういてたまるか。だが、今まではここまで太い尻尾は見せなかった」

「掴みますよ」
「無論だ、既に県警の総力はこの一台にかかっている。仮に乗り捨てたとしてもこの時間だ、
県警挙げて網を張ってる、足跡無しで済むものか」


「石ころぼうし」と「隠れマント」を装着して家屋撤去直後の更地を訪れた俺様は、
「チッポケット二次元カメラ」で撮影した写真に湯を垂らし、
そこから現れたワンボックスカーを「瞬間固定カメラ」で撮影する。

それによってエンジンの鼓動が蘇ったワンボックスカーを分身Aに任せた俺様は、
「どこでもドア」で隠れ家であるマンションの一室に移動し、
「コノ道トーリャンセチャート」の情報と、その補助として「スパイセット」に探らせている
県警通信指令課のデータを眺めながら携帯電話で分身Aに指示を出す。

改めてこの状況でのあの場所を管轄する交番警察官がどう動くか、
「タイムテレビ」で全て把握している俺様にとって、
必要なのは只一点、その時間その場所を無事通行する、それだけだった。


「スパイセット」が伝える県警通信指令課の情報により計画が無事遂行された事を確認した俺様は、
携帯電話で分身Aに指示をすると「どこでもドア」で現地へと向かった。

分身Aは既に指示された場所に車を駐車しており、「石ころぼうし」と「かくれマント」と
「四次元若葉マーク」を着用した俺様は、車の中に入って「四次元若葉マーク」を剥がし、
車の鍵を受け取り「分身ハンマー」で分身Aの脳天を一撃してからいくつかの手筈を整えて車から外に出る。
それから、ちょっとした店の混在する住宅地を悠々と歩き出した。

「様子がおかしい?」
警視庁杯戸警察署の捜査本部で、美和子が携帯に聞き返した。

「ええ。問題の不審車両は発見されました。
飲食店街に近い住宅地ですが、管轄PB(交番)の巡査が端緒です。自転車で警邏していたんですが、
先の方を横切った白いワンボックスカーに追い付く事が出来ず、一応PS(警察署)に一報を入れて、
それを受けた帳場と通信指令課の指示で周辺の警察官がその車の所在確認を始めたんです」
携帯電話越しに千葉が言った。

「場所的にも最後のNヒットから十分あり得る場所だったのね」
「ええ。それで、
PSの警邏PC(パトロールカー)が道端に無造作に放置されている白いワンボックスカーを発見。
照会をかけたら正にどんぴしゃり。車種もナンバーも、車体番号は県内で届けの出てる盗難車でした。
問題はその後です。
車は機捜(機動捜査隊)が押さえたんですが、そこから先の情報統制が異常に厳しくなっています。
それまでは県警挙げてこの不審車両とそれに関する情報を徹底的に洗い出していたんですが、
車が発見された後、車に関する情報は所轄は勿論、この事件で動いてる県警刑事部でも
知らない人間は本当に知らない様な。それに、デスクがいないんです」

「デスクがいない?」
「ええ。刑事部長以下一課長、組対課長、主任官に至るまで、機捜隊の隊長も。
車が発見された時には帳場で手に手を取ってダンスパーティー始めかねなかったんですが、
今ではそのデスク組の主要メンバーがことごとく姿を消しています。
その下で状況を把握しているのは本部の機捜や一課でも限られた面子の様です。
その周辺の地取りが県警の総力を挙げて行われている、それは確かです。
時間的に見て確保も十分あり得ます。
しかし、嫌な予感がします。何かとんでもない事が起きてる様な…」
千葉の言葉に、美和子も何か胃の中に重いものを覚えていた。

暫し歩いた俺様は、建物周辺で「石ころぼうし」と「かくれマント」、
そしてうっとうしい変装の数々を外してビジネスホテルの玄関を通り部屋へと向かう。
部屋に入りシャワーを浴びると、「きょうじき」で部屋の中の一日を外の一分に設定して
ベッドで一休みする。

休息を終えた俺様は、「きょうじき」で部屋の設定時間を元に戻してから
「どこでもドア」で移動した。

移動した先は、明石市を基準にして考えた場合時計上は十数時間前に俺様がそこを訪れている
遠く離れた隠れ家マンションの一室。
「きょうじき」でその部屋の中の一日をそれ以外の場所の一分になる様に設定した俺様は、
壁に貼られた「かべ紙秘密基地」の扉を開けて基地内も部屋と同じ時間設定にする。

基地の中で「チッポケット二次元カメラ」で撮影した写真に湯を垂らし現れた我が忠実たる牝奴隷七川絢を
「瞬間固定カメラ」で撮影して彼女を拘束していたカメラの固定を解除した俺様は、
絢に「シナリオライター」を手渡し着火させる。

次に、シナリオに導かれるままに取り出した「チッポケット二次元カメラ」で撮影した写真に湯を垂らし、
現れた肉体を「瞬間固定カメラ」で撮影した俺様は、
俺様が一端を握った「入れかえロープ」のもう一端をたった今固定を解除された生贄一号に握らせる。

うむ、やはり我が高尚なる精神の器は我が慣れ親しんだ肉体を用いるに限る。
この「入れかえロープ」を使う場合は、余程の下準備をしておかないと
目の前の相手に全てを奪われて大変な事になりかねない。

その相手が、ついさっきまで自分の手にあった最強兵器のボタンなどを握っていたら目も当てられない。
俺様が更に別の「チッポケット二次元カメラ」で撮影した写真を取り出して湯を垂らし、
そこに姿を現したはるか昔の男を「瞬間固定カメラ」で撮影すると、
たった今固定を解除されたはるか昔の男と生贄一号が「シナリオライター」に忠実に従って
「人体とりかえ機」の中に入り、互いの腕を交換する。

結論として腕とそれ以外のパーツを元々の同じ人間のものとして一致させる。
はるか昔の男を「瞬間固定カメラ」と「チッポケット二次元カメラ」で撮影し、
何れ記憶を改ざんして元の時代と場所に戻す準備をしている俺様を尻目に、
生贄一号は喫煙所に入り用意しておいたガラスパイプを一服する。

布面積の少ない改造メイド服をまくり上げられぷるんとした乳房を舐められても、
初々しい少女の裂け目、そこからつんと突き出した小粒を舐められ
俺様の舌にとろとろと熱いシロップを溢れさせても、
左手を壁に着いて突き出した尻を抱えられパンパンぶち込まれてひいひいよがり泣いても、
忠実なる牝奴隷メイド七川絢は、自らが着火している「シナリオライター」に忠実に、
決して右手に掲げるライターを手放そうとはしない。

与えられた使命には決して逆らう事が出来ない、
しかも、その使命の源となっている「シナリオライター」に
俺様には絶対服従、身体状態淫乱度MAXと明記されている
忠実なる牝奴隷メイド七川絢のピチピチの女体を骨の髄までしゃぶり尽くし
存分にしゃぶらせて堪能しているのだから、そんな俺様としては、
その横で久々の白い煙を深々と吸い込んだ生贄一号が何を叫んで何をしていようが知った事ではない。
どの道、全知全能の神たる俺様が細かく名指しで「シナリオライター」に明記している以上
ケガや破壊や暴力が起きない事は保障されているのだから。

起きてはならない事だけを書かれたシナリオに従った何時間もの自由行動の果てに
その場に座り込んだ生贄一号の様子を見た俺様は、
そんな生贄一号を「瞬間固定カメラ」と「チッポケット二次元カメラ」で撮影し、
牝奴隷メイド七川絢の手から「シナリオライター」を受け取る。

ここまでシナリオ通りに進行した事に満足し、ライターの蓋を閉じた俺様は、
何れ記憶を改ざんしいつものバイト帰りの状態に戻しておく
忠実なる牝奴隷メイド七川絢を「瞬間固定カメラ」と「チッポケット二次元カメラ」で撮影し、
全ての写真をアルバムにしまい込んでから白い手袋を装着する。


マンションの部屋と秘密基地の時間設定を「きょうじき」で元に戻し、
「どこでもドア」でホテルの部屋に戻った俺様は、
「きょうじき」で部屋の一日をそれ以外の一分に設定してから
懐から睡眠薬の瓶を取り出してハンケチでよく拭う。

ベッドの上に生贄一号の写真を乗せて湯を浴びせ、
同時に「シナリオライター」に着火する。

下着姿になった生贄一号はコップに水を用意し、睡眠薬を服用してからふらふらとベッドに戻り倒れ込む。
しばらくは何とも異様な気分が傍目からも分かる有様だったベッドの男も、
しまいには高いびきをかき始める。

それを見届けた俺様は、「メモリーディスク」で記憶の改変をしてから、
「きょうじき」で時間設定を元に戻し、
「どこでもドア」で先ほどの隠れ家マンションに戻って「どこでもドア」の移動箇所設定を解除した。

一台の盗難車を中心に県警としては桁違いの警察官が血眼で駈けずり回っている頃、
県警刑事部の精鋭は静かに移動していた。

行き先は盗難車発見現場の隣の所轄警察署に設置された殺人死体遺棄事件捜査本部。
二年近く前、管内の雑木林から野良犬の掘り出した成人男性の腐乱死体が発見され、
鑑定の結果他殺の可能性が強いとして捜査本部が設置されたが
今に至るまで被害者の身元も判明していなかった。

刑事部長以下の刑事部幹部も集結する中、
捜査本部の設置された会議室では科捜研の鑑定結果に就いての報告が行われていた。

「助手席の微物検査で見付かった粉末、簡易鑑定でシャブの反応、現在薬物指紋も含めて本鑑定中。
車内には指紋を拭い去った形跡があり、残された指紋の大半は元の所有者に関わるもので
現在アリバイの裏取りを進めていますが…」

核心に迫る一枚の資料に、一同が目を落とした。
「この指紋が、灰皿の内側から検出されました」
「これより、我々がリープと呼称するマル対(対象者)だ」
捜査一課長の言葉に、部屋がどよめいた。

捜査一課長の静止でどよめきが途切れた後、「リープ捕捉チーム」の班割りが発表される。
「一班は機捜隊と一課、組対で車両発見地周辺の地取り、発見次第確保」
二班は組対と一課、シャブの関連先としてガサ状取って関係箇所で待機。
スリーの素性は捕捉チームのみの厳重保秘とする」
司会役の警部補が言い、そして一同の視線は刑事部長に向けられる。

「今夜中に決着を付ける」
刑事部長が口を開いた。
「リープは見付け次第確保しろ。転んでも構わん。身柄も、ブツも、確実に押さえるんだ。
全責任は私が取るこの機会に奴を引きずり出せ草の根分けてもだっ!!」
捜査本部に、怒号の如き叫びが響き渡った。

「おい、起きろ起きろガサだガサ」
「家宅捜索家宅捜索、ガサ状出てるぞーっ!」
「んだよぉ、ねみーんだよぉ…」

「ガラスパイプに、洒落たタバコ入れじゃねーか、ええっ!」
「試薬反応出た反応出たシャブだシャブ!」
「出たかっ!!」
「おい、おい起きろっ!」
「いつまでシャブ呆けしてんだ、ああっ!?」

「あったあっ!!」
「何だっ!?」
「デジカメですっ!デジカメデジカメ、入ってる入ってるうっ!!」

「おい見せろっ!」
「………ちゃん………ちゃんだおいっ!」
「おいってめぇこの野郎っ!!」
「起きろおらあっ!!」
「やりやがったなてめえっ!!」
「ワッパハメるか任意かどうすんだおいいっ!!」
「もう分かってんだろこの状況よおっ!!」
「本名で堂々宿泊だからなー、田舎県警なめてたかー、あー!?」


「リープ確保リープ確保っスリープ確保おおっ!!」
「デジカメ、デジカメの映像は確かなんだな確かに今回の事件なんだなっ!?」
「はいっ!」
「よおしっ!綺麗に行けるぞっ!!ガサ状容疑追加っ!揃い次第踏み込む、準備いっ!!」


寝起きで霞の掛かった頭脳が、熱いシャワーと共に段々と冴えを取り戻す。
気高き女王の馬前にひれ伏し、それでいてその美しさを前に牡としての微かな欲情を覗かせる。
自他共に厳しい気高き女王の事。いまだ指輪がはね除けるそうした眼差しを感じるのは自惚ればかりではない、
実際そうだし本人もそう思いながらも、肌に当たる水滴の流れに年相応の感傷が疼く事もある。
日々あの頃の自分の面影を濃いものとしている、青春真っ盛りの我が子を目の当たりにすれば特にそうだ。

今日も会う予定になっている。はつらつと育っている娘は日々、過ぎ去りし少女の日々を思い出させる。
シャワーの蛇口を締め、水滴の滴る胸の膨らみにそっと手を触れる。
掌ですくうとみっしりと質感のある重さ。柔らかに成熟しながらも、
歳を考えれば誇らしいぐらいに、そうそう緩みを見せるものではない。

早くから冷徹な知性の女神として知られていたからこそ、露わに見せなくても浮かび上がるその形が
どれ程異性の目を引き付けるものであったか、その事は自分で感じる事も出来た。
だが、許した男の目、男の手は只一人。
その先端では丸っこい乳首がすっかり熟れ切った姿を見せている。
自然、英理の顔は綻ぶ。この乳を口に含んだ無防備な顔、昨日の様だ。

そう、昨日だろうが何だろうが、過去の話。
あの娘は、もう子供から大人の、一人の女性へと確実に足を進めている。あの頃の自分と同じく。
胸に抱き乳を含ませた赤子からほんの小さな女の子、
そんな時に意地を張った事に母親としての自己嫌悪を覚えた事もあったけれど、
それを救ってくれたのもおおらかで屈託のない我が子の笑顔。

そうやってちょっと遠くで近くで見守っている内に、女の子は少女から大人の女へと伸びやかに育っている、
体も、心も、恋をしながら。

その相手も見当が付いている、こちらも随分別の意味でおおらかな母親に育てられたやんちゃ坊主。
もう十年も会っていないが、あの母の息子である。もしかしたら随分といい男になっているのかも知れない。

そう、英理には、何か確信みたいなものがある。
意地っ張りな英理が、事情により論理的には認めようとしない確信。
自分に似た娘が自分に似た道を歩き、そしてそれがとても幸せなのだと言う。

まあ、色々あっても信頼出来る親友と、
その親友が目も眩むばかりの、羨望を禁じ得なかった輝きを捨ててでも飛び込んだいい男の息子だ。
魅力的な男になるのだろう。蘭は魅力的な娘、世界中の誰よりも、親バカな事だ。

そんな二人が恋をして、いずれ我が子は女としての自らを捧げ、
また、形のいい唇から、くすっと笑みが漏れた。
随分と会っていないが、マスコミにも登場しているから何となく想像は出来る。
普段は怖いものなし、自信満々のやんちゃ坊主が元、いや現在でも十分にやんちゃ坊主の前で
縮こまっている図は頭に浮かべるだけで笑いを誘わずにはおれない。

同じ時期に乳を含んでいた我が子とその親友にそんな時が近づいているのだと思いながらも、
それだけの時を経た、自分にもそれだけの時間が流れた。
そう思いながら今の自分を見ても、一歩外に出れば、その知的な美しさに一部の隙も見せない気高き女王。
こうして生まれたままの姿になっても、小娘の出る幕ではない。

男ならひれ伏しつつむしゃぶりつきたくなる成熟した逞しさと柔らかさ。
多忙な中、人工的な室内運動にも相応の資金を投じ、甘やかして来なかった肉体は、
歳相応に柔らかな成熟を見せながらも、まだまだ過去の遺物と呼ぶには早いと女王をくすぐるには十分。
決して見劣りしない筈、それは本人の主観的な感想であって、客観的に言えば劣る以前の素晴らしさ。

普段は見事に着痩せするコンサバに隠れた柔らかくも重みのある豊かな膨らみ。
女として、母親としてその痛みをも喜びに変えてしっかりと踏みしめた下半身。
思えば十年余り、その意味では女盛りに馬鹿げた事をと思わぬでもない。

だからと言って、その女王の高潔さと、
何より本人に他人が言えば何を今さらと言われそうな、そんな純真さは決して変わる事ない。
一歩表に出れば、薬指を光らせたエリート弁護士、そこから外れた顔は決して見せようとしない。
その事が又、あまたの男共に指輪を外した一夜の顔を妄想させようとも、
その顔を見せるのは、この固く閉ざされたフラットの扉の中だけ。

表向き憎まれ口は言ってもあの頃からずっと変わらぬ想い。
時にその想いは、頭の中から溢れて盛りを迎えた女の体を刺激してやまない時もある。

男の匂い、力強く抱き締め、逞しく押し付けるその感触が蘇るのは頭の中だけ、
ただの一人の女として、英理がその相手として思い浮かべる、
英理が自らを抱き締め、貫く相手として思い浮かべる男は例え妄想であってもたった一人しかいない。
そうやって、その身に残る余韻も虚しい内に記憶に残る自分の声に冷笑を浮かべる。
それを見る事が出来るのは飼い猫だけ、そう、飼い猫の栗や(大嘘にして冗談です)

追い付き、追い越そうとする娘の姿に嫉妬すら覚えるのは世間ではよくある事。
自分もそんな一人だと自覚もしている。それを見ていると、意地もいい加減にしておかないと
本当に間に合わなくなると、その時は思ってもやっぱりうまくはいかない。

自慢の娘が、輝くばかりの美しく優しい一人の女として幸せを掴む、それを見るのは本当に楽しみだ。
しかし、今はもう少し、
お母さんに懐いて小賢しい企みをする可愛い娘でいて欲しいと言う我が儘を自覚する。
その身を通り過ぎる冷えに苦笑し、冷えを感じた体に熱い湯をもう一浴びして扉に向かう。

目覚めのシャワーも心地よく、ガウン姿で髪の毛を拭いていた英理は
冷蔵庫から牛乳の紙パックを取り出してグラスに注ぐ。
火照りと眠気の気怠さの残る体に冷たい牛乳がしみ通る。

今夜は、蘭との夕食。
又、蘭は仕掛けて来るのだろうか、
その時は素直に、なれないだろうなやっぱりと、英理が苦笑した所でチャイムに気が付いた。

インターホンと共にけたたましいくらいのノックがドアを鳴らす。
建物の玄関ではなくフラットのドアへの直接来訪に不審を覚えた英理は、
豊満な胸の上でガウンをぎゅっと握り、玄関ドアを盾にする様な形でドアを開いた。

「はい、なんでしょう…」
英理の目の前に、スーツ軍団が姿を現す。
「朝早くすいません妃先生、新潟地検です。
強姦及び覚醒剤取締法違反事件の関連先として、裁判所の許可に基づき家宅捜索を行います。
おい、チェーン切れ」