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再びとんでもなくヘビーで恥ずかしくていやらしい「夢」を見たと思ったら、体も酷く熱っぽかった。
あれだけ雨に当たったからかと、頭の中の混乱を自覚しつつ、数美は現実的な対応をする。
余りに体調が酷かったので親の車で出向いた病院の診断結果は風邪、
あの忌まわしい事件での診察も受けた主治医なので、念のためもう一度検査をしたSTD(性感染症)の結果は陰性。
39度を突破して病院から動く事すら出来なかったので、和美は点滴を打ってもらい、帰宅した。
病んだ体を休めようとしたが、目を閉じるのが恐ろしかった。





「こぉ~んばぁんわ~~」
「…また来たんだ」

丸一日うなされながら寝たり起きたりを繰り返していた数美をとっくりと観察した俺様は、深夜に「ゆめふうりん」を鳴らしてそんな数美と挨拶を交わした。

「この畜生の夜這いをお待ちでしたかなお姫様?」
「嫌だって言っても来るんでしょ?」

諦めきった口調で数美が言う。

「そうでもないかもな」
「違うの?」
「すっかり淫乱の変態のドスケベイに育った貴様をこれ以上喜ばせても仕方がないからな。
ただし、条件がある」
「何?」

数美の声には僅かな期待の響きがあった。

「明日から普通に学校に行く事だ。
さもなくば、ますますどんどん行き着く所までエスカレートしていく。
例え夢でも脳味噌が破壊されるぐらいにな」

それだけ言って、俺様は再び数美を眠りに落としてから、「もしもボックス」を取り出して元の世界に戻しておく。






すっきり爽快に目覚めた数美は、それが「あらかじめ日記」に書かれていた事だとは知る由もなく、熱も引いてよく眠れた事は夢見が悪くなかったせいかと思い返す。
それならば、このチャンスを逃す手は無い。あんな思いは二度としたくはない。
数美は、自分の体に意思力が戻って来るのを感じ始めた。

「先輩」
「あ、毛利」

学校近くで蘭に会う。
それだけで数美の心臓がバクバクと高鳴った。

「もう大丈夫なんですか?」
「大丈夫じゃないけどそろそろね」

だが、交わされたのは、この場合はごく当たり前の挨拶だけだった。
そのまま数美は知人からはちょっと心配されながら教室に入る。

「ねえ」

教室で、数美が友人に声を掛ける。

「さっきからさ、何か出たとか出ないとかって何話してるの?」

少しうわずった声で数美が言う。

「それがさー」

友人が口を開く。

「痴女が出たのよ、昨日」
「はあ?」

大げさに言いながら、再び数美の心臓が激しく鳴った。

「どんな?」
「うん、なんかさー、朝からすっごい格好して通学の電車とか通学路とかうろうろしてたって」
「あー、見た見た」

別の女生徒も割り込む。

「昨日の朝でしょー、ジョギングとかしてたー」
「あー、そうそう」

更に別の娘が割り込んだ。

「電車にもいたんだって」

男子生徒が話に加わった。

「ああ、上着脱いでブラウスに超ミニスカ、ブラウスのボタン全開でしかもノーブラって」
「凄かったよなー、あれだったら俺だって痴漢したくなる…」

顔から血の気が引いていき、次第に意識が遠のいていくのが分かった。

「ちょっ!」
「馬鹿っ!!」
「大丈夫っ!?」





「ん、んー」

数美が目を開くと、見慣れた顔が自分を覗き込んでいた。

「ああ、毛利か?」
「大丈夫ですか、先輩?」

蘭が、保健室のベッドに横たわる数美に心配そうに言った。

「ああ、ちょっとね。何か昨日、痴女騒ぎがあったんだって?私休んでたからさー、何か聞いてる?」
「聞いてるって言うか見ましたけど」

蘭の後ろにいた園子の言葉に、数美はドキンと心臓の高鳴りを覚える。

「どんなだった毛利?」
「え、ええーっと、ランニングシャツにブルマで…」
「そうそう、今時あのブルマって、コスプレだよね絶対」

園子が口を挟む。

「鈴木に聞いた方が早いかな?」

数美が、無理にでも笑みを浮かべた。

「お腹丸出しなのにぶかぶかのランニング着てノーブラで、今にもおっぱいはみ出しそうなの、男共の視線釘付けでしたよ結構胸大きかったですし」
「そ、それで、顔、顔見たのそいつの顔?」
「え、ええ」

勢い込む数美に、園子がたじっとしながら返答する。

「まあ、ちょっと見いい線いってたかな?そう言えば先輩みたいなショートカットでしたけど」
「やめてよもー」

蘭が言う。

「へ、へえー、私みたいな痴女」
「髪型だけはですね。他に私のクラスでもどこでもうちの生徒でかなりの人数、昨日なんか見たって言ってますけど、話が無茶苦茶ですからどこまで尾ひれなんだか」

園子が笑って言った。





「ねえねえ」

教室に戻った数美に手招きされ、男子生徒達がギクリとした。

「昨日のさ、痴女伝説って奴、教えてくれる」
「ちょっと数美ー」

友人が心配そうに声を掛ける。


「大丈夫だって。いつまでもこんな事してらんないからちょっとは免疫付けないとね。
で、どんなだった?」


「あ、ああ、俺が見たのは朝の電車で…」
「俺はジョギング…」
「ゲーセンでガンファイトしてた、ランニングに超ミニスカで超ハイスコアのポーズ決めまくり、しかもノーパンだぜノーパン」
「マジかよ」
「マジマジ、マジでヘアーまで見たっての」
「作ってんなよー」
「バーカ、いたってマジで、俺も太鼓叩いてるの見たんだから。もうシャツの脇からハミ乳バッチリ、ノーブラ生乳」
「雨降っただろー」
「ああ、そうそう、コンビニいたらその痴女だろあれ入って来たの」
「白いシャツ一枚がぐっしょりべったり張り付いてピーチクまで丸見えで」
「それでエロ本とかコンドームとか買いまくりって、あれ完全にプレイだよなプレイ」
「その辺でM奴隷がいたいけな高校生に見せつけてる羞恥プレイをご主人様が見てるって奴」
「それ以外考えらんねーって」
「露出狂だろ?夜道で会ったらコートとか開くんだぜ」
「コートって…」
「コートの下素っ裸でしかもバイブとか刺さってんの」
「きゃー」
「見た、俺も見た、バイブ動かしてオ○ニーとか始めんだから、これは引く」
「甘い、電車の中で素っ裸で跪いてフ○ラチオしてた」
「はあ?」
「夢見過ぎだろ?」
「いや、見たんだってマジ」
「私も見た、マジキモかった」
「フェ○?セックスじゃなくて?」
「してたの?」
「してた」
「窓に手ぇ着いてバックからガンガンぶち込まれてた、素っ裸で」
「それ犯罪だろ」
「もう捕まってんじゃね」
「AVの撮影?」
「いやー、それ見たかったなー」


「わ、分かった、大体分かったアハハ」

数美の笑みと共に、男子生徒が解散する。




「さすが数美だねー、ショック療法ってさすが修行の鬼」
「あはは」

妙な感心をする友人に数美が笑みを返す。
大体分かった数美が頭の中を整理する。
取りあえず、昨日、自分の記憶通りの痴女がいたと言うのは間違いないらしい。
しかし、仮に自分が二重人格だとしても、病院に行く以外は一日中家で休んでいた自分にそんな事が出来る筈が無いと数美は思い返す。
もう一歩妄想してドッペルゲンガーが現れたのだとしたら、蘭や園子、クラスメイトが自分に対してもっと違う反応をしている筈。
と、言うか、今頃自分は警察に逮捕されている。
そう考えた結果、たまたま自分が見た悪夢に非常によく似た行動を取った痴女がいた。
数美はそういう結論で無理やりにでも自分を納得させた。

大体、論理的に考えた場合、それ以外の回答はあり得ない。

それなら、別に自分は気にする事はないと数美は力ずくでも思い込もうとする。
あの様な夢など自分の弱さ、屈服した自分が見せた只の妄想なのだと。







数美が通学を再開して三日目の夜、数美の姿は格技場にあった。
生まれたままの姿で格技場の中央に立つ数美の肌に、壁際に設置された燭台の灯りがぼうっと照り返す。
そのまま、数美は空手着の下穿きを穿き、上衣に袖を通して帯を締める。

「何、んなモン忘れてんだよ」
「忘れたから仕方ねーだろ」
「でも、開いてるかこの時間?」

パタパタと廊下を走っているのは、帝丹高校空手部に所属する一年生男子三人だった。
その三人が、格技場の扉に手を掛ける。

「お、まだ鍵あいてる…」

先頭の少年が扉を開き掛け、手を止める。

「どうした?」
「いや、あれ、塚本先輩?」
「え?」

扉の隙間から覗き込んだその中では、数美が形稽古をしていた。
崩れる事なく拳を突き出し、伸びやかに力強く脚を蹴り出し流れる動き、その姿は凛々しい。

「やっぱすげぇな塚本先輩…」
「おい、マテ」
「ん?」
「いや、あれ、胸…」
「は?胸?なんだよ、先輩結構巨乳系、だけど…」
「シャツ着てない?」

三人とも、自分の目を疑いぱちくりと瞬きをした。
動きが激しくなるにつれ、帯で留められた数美の衣服からは、張りのある豊かな膨らみがぶるぶると今にもこぼれ落ちそうに揺れ動く。
その蝋燭に照り返す汗ばんだ艶まで伝わって来る様だ。

“おおーっ!”

しまいに、数美は堂々と上衣に手を突っ込んで、ぐいっと入れ直した。
三人の少年が目を見開き、既にズボンの中で天を衝いて見守っているその前で、余りにも凛々しくセクシーな先輩は驚愕の行動に出た。
又、胸を直すのかと思ったら、数美は左手を上衣の中に突っ込み眉根を寄せて何やら口を半開きにする。
その表情は、経験希薄なこの連中であってもまさかと思える、艶っぽい女の表情だった。
何より、これまでどっしり踏ん張って来た逞しい脚が、真ん中で腿がすり合わされてきゅっと縮んでいる。

「はあ、ああ、ああっ…」

左手が上衣の中で動き、秘めやかな喘ぎ、息づかいが扉の向こうにも聞こえてくる。
数美の右手が、下穿きに伸びた。

「マ、ママママ、マジ?」
「あっ、くっ、ああっ…」

それは、もうしっかりと声になっていた。
下穿きの、きゅっと縮まったその中心辺りを数美の右手の指がまさぐり、そこに、じわじわと目に見える程の染みが広がり始める。

「あんっ、んんっ、あうんっ…」

ついには、数美の右手は紐を解かれた下穿きのその下に滑り込み、その瞬間一際高い声が響く。

「ノ、ノノ…」
「ノーパ…」
「し、しっ」

もどかしげな動きと共に下穿きがずり下がり、数美の右手はくちゅくちゅと音が響く程にかき回す。

「あっ、あっ、あぁーっ…」

右の乳房が左手に掴まれたままぽろりと剥き出しになり、喉を反らして最後の甲高い悲鳴を絞り出した数美は、そのままくたっと床に尻餅を着いた。
尻餅を着いたのは、扉の向こうの少年も同じ事だった。
その少年達は、自分に向けられた虚ろに潤んだ目が、にっと笑った気がした。





三人の少年は、玄関で息を切らせていた。

「き、気付かれた?」
「そうなのか?」
「見られたって分かったら、殺られるかやっぱ?」
「みっちり稽古付けてもらえるんじゃないか、胴回し回転蹴りの?」
「稽古中の事故?いやだあああーーーーーーーーっっっ!!!」
「と、とと、とにかくトイレ…」
「戻るか?ターミネーター徘徊してるけど…」

三人は顔を見合わせて、キツネにつままれたように黙ってしまった。