(三人称モード)
“…何よこいつ…”
満員の東都環状線の車内で、塚本数美の怒りは爆発寸前まで高まっていた。
下校ついでの買い物のために環状線を利用したのだが、これまでこのタイミングでは考えられない人口密度は何かイベントでもあったかと言うくらいだったが、
後ろから回されている右手がしつこくしつこく乳房を揉みしだき、左手がスカートの中の下着の中に滑り込んでいるとなるとそれは話は別だった。
ぐいっと痛いくらいにお尻を、それも直接掴んだ掌がするりと滑って前の硬い草むらを掴み、その下まで指を伸ばしてこすり出すに及び、苛立ちのガソリンと羞恥のニトロは激怒に変化し大爆発した。

「何やってんだこの痴漢や、ろ…」

ガバッと最小の動きで振り返り、既に肘をコンパクトに後ろに引いていた数美の体から不意に力が抜ける。

「よう」

数美が見上げる先で、先ほどまで真後ろにいた男がサングラスとキャップ、鼻の絆創膏と顎髭を外していた。

「なんだよー、男かと思ったらでっかいおっぱいしてんじゃねーか、
おマタにでっかいのもついてなかったしなぁー」

数美の見上げる前で、見知った痴漢野郎がひゃっひゃっと下品に笑っていた。



「あ、て、てめーか痴漢野郎…逆恨みして仲間連れてスタンガンって、さいてー過ぎがはっ!」

背後で仲間らしい男がバチバチとスタンガンで威嚇し、その痴漢野郎のつま先を腹に食らって数美は悶絶した。

「あ、あんた、自分、どこで何やってるか分かってるの?
エリート官僚なんでしょ、このまま刑務所直行したいの?
ちょっと、何?ねえ、助けてえっ!」

だが、周囲の人垣はにやにやとその暴虐を見下ろしているだけだった。

「ち、ちょっと、何これ?ちょっとまさかこれ…」
「不意打ちの上に多勢に無勢、エリートは負ける戦争はしないもの。
まずは、お返しだ」

再び、腹に鈍い痛みが走る。

二回、三回、数美は、恐怖を覚えた。
東○大学卒業の青白いエリート官僚だったと聞いた。と、言う事は、加減を知らない可能性が高い。
そんな男が無抵抗の自分をあざ笑って生身の人間を蹴りまくっている。
こういうのが一番たちが悪いと聞いた事がある。

「…た、すけ、て…ころ、される…」

空手の強者と言っても高校生のルールの中、
生身で男に蹴りまくられた数美は、それだけで、漫画やアニメであればそうでもなさそうな程度のそれだけで、
自分の肉体も精神もズタズタに壊れかけている事を痛感する。
そして、痛む心身を文字通り引きずられ、座席に座らされた時にも抵抗らしい抵抗は出来なかった。

「やっ、やめっ…」

口から出るのは自分のものとは思えない弱々しい声。
既に、自分がどこか座っている自分の肉体とは別にふわふわと浮いている気すらする。
足首を座席の上に引っ張り上げられ、スカートを何度もバサバサとまくられて嘲笑されてもブレザーのボタンを外され、ブラウスの前を引きちぎられても、何人もの男が押さえ付ける前で無駄に力を込める事しか出来ない。

「ちょっ、やっ、やだっ…」

水色のブラウスとショーツが次々と引きむしられ、その目の前にデジカメのレンズを見た時、ようやく頭が少し冴えて来た。
そして、それがどう言う意味を持つか、どんな陳腐な台詞が待っているかがおぼろげながらに浮かび上がって来る。

「やあああっ!」
「静かにしろっ!」

再び卑怯な変装に顔を隠した憎たらしい自称エリートに頬を張られ、数美の心には恐怖がぶり返し抵抗が一時静まる。
その間に、別の男たちによって大きく外側に膝を立てられ、顔の横で開かれる学生証に数美の顔が引きつる中、デジカメの作動音が車両に鈍く響いた。
そして、そのデジカメが人から人にラッシュの中に消えていく。


「キヒヒヒ、どうだー満員痴漢電車おヌード撮影会の気分はー」

反吐が出そうな自称エリートの言葉だった。
実際卑劣な暴力のダメージが内臓をぐるぐる回って今にも吐きそうだ。

「そこまでいったら邪魔なだけだろー、制服着たままってのもロマンだけどよー、
どーせ丸見え見せてんだから脱げよ脱いじまえよーほらー」
「な、何、言って…」
「おーい、自分の立場分かってんのかこの暴力女?
今の映像外部のパソコンに送信してとあるプログラムに組み込んでおいたからな。
解除する前にタイムオーバーになったりここにいる仲間が携帯でちょっとした操作をすれば、
数美ちゃんのぷりぷりおっぱいもピンクの女子○生処女マ○も全世界おっ広げ大公開いっちゃうよー。
んー、それともあれかー、さすが今時の女子○生マ○コはとっくにやりやりのやりまくりかー」

ふざけたオヤジの妄想を耳にしても、今の数美はぱくぱくと口を動かして震える事しか出来ない。

ぽろぽろとこぼれる涙が頬を伝う。
度重なる暴力といたぶりは、助けが来る筈とかなんとか考える力すら数美から奪っていた。
そうして、にやにやと下卑た嘲笑のただ中、全裸になった数美が裸足で床に立つ。


(俺様一人称に切り替え)

唇を噛んで顔を伏せ、両手を頭の後ろで組み、震える脚を緩く広げて床に立った我が獲物にして下僕塚本数美の姿は、俺様のズボンを突き破らんばかりに素晴らしいものであった事は認めよう。
学生空手の強者と言うだけあって無駄のない引き締まった肉体美にして太股などはパンと肉感的。
それでいて、十分に女を誇示する程に豊かな膨らみが、鍛えられた筋力に支えられてその胸にたわわに実っている。
だが、そんなものを見せられた程度で、この女が俺様にした事をどうこう出来るものではない。
俺様の冷酷な目で促された下僕数美は、肩を震わせながら電車の床に跪いた。

「わ、わたくし塚本数美は、ご主人様の忠実なる下僕でございます。
にも関わらず先日の数々のご無礼、平にご容赦下さいませ、
どうか、この牝豚塚本数美の不作法にご主人様のお仕置きを、下さりませ」
「うむ、牝豚数美のたっての願い、かなえてしんぜよう」
「…いいいっ!!…」

俺様が取りあえず飽きて掌とだるくなった腕をブンブン振る頃には、
数美は真っ赤になった尻を突き出してひくひくと震えながらに床に突っ伏していた。

「おい、お礼はどうした?」
「あ、お、おし、おき、ありがとうございましたごしゅじんさま…」

俺様に前髪を掴まれ唇を動かす数美の瞳からは半ば火が消えていた。
だが、傲然と仁王立ちする俺様の足下で、命令を囁かれて這いつくばる数美の顔にはまだ戸惑いの色が浮かんでいた。

「どうした?上のお口じゃなくて本当の下のお口の方がいいってか?
そうだよなー、チ○ポ食べるのは下のお口だからなー、
下のお口のオマ○コでチ○ポ食べないと数美の中に一杯出して赤ちゃんも出来ないからなー」


俺様の言葉が繋がったらしい数美の青い顔が更に蒼白になる。
数美はのろのろと動き出し、俺様のズボンとトランクスを下ろし、既に傲然と反り返ったものを口に含む。
見下ろすだけでとろけそうな図だったが、俺様はここであえて厳しく突き放す。

「何歯ぁ立ててんだこの豚あっ!
てめーがしたいってーからお情けでクソヘタなフェラさせてやってんだろーがぁ、
そんなにここ全員でてめぇの腐れま○こマワシかけられてーかああっ!?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」

突き放され、譫言の様に繰り返した数美がのろのろと俺様に縋り付き、上目遣いに潤んだ瞳を向ける。
全くの未経験である事は確認済みの数美の口は、決して上手ではなかった。
だが、数美の顔に浮かぶ屈辱、無念、それを通り越した虚無はそんなものをどうでもいいと思わせる。

「おっ、おっおっおっ…」

その瞬間、俺様はずぼっと引き抜き、数美目がけて数日がかりで用意した欲望の塊を強かに放出する。
本当は飲ませるのも良かったのだが、これはこれで見栄えがする上に、一撃目を黒髪に放出し、そのままたっぷりとその小生意気な顔面を汚すのも効率的な目的遂行の内。
従順な数美の口で入念に後始末をさせ力を取り戻すまで刺激をさせた俺様は、その場に数美を四つん這いに這わせる。



(三人称に切り替え)

「…ひぎいいいっ!!…」

下半身を引き裂く様な激痛と共に、数美は自分の身に何が起きたか、最悪の事態を理解した。

「そ、そんな、そんな約束いいっ!」
「約束がどうしたって牝豚ぁ、誰もてめーと本番しねーなんて答弁は議事録のどこにも出てねーぞ。
大体、さいてーの痴漢野郎っつったのはてめーだろーが、約束もクソもあるかよ」

あんな事をした自分が馬鹿みたいだった。だが、それより何より、今自分の後ろにのし掛かり意地汚くハアハア息を吐きながら腰を動かしている自称エリートの痴漢野郎も言っていた通りの女として最悪の恐怖が数美の脳裏に嫌でも焼き付けられる。

「やっ、やだあっ!お願い、お願いそれだけはやめてお願いそれだけはあっ!」
「もうおせーって、
理由その一、ビンビンのチ○ポはマ○コにぶっ込んだらそんだけで妊娠する可能性ありってな。
理由その二、てめーのマ○コがぎゅうぎゅう締め付けっからもう全然我慢限界だっつーの、
何だよてめー初めてか?初めてかー?どうなんだーあー?」
「は、はい…だから…お願い…」

数美は涙声で哀願していた。名にしおう武闘派少女とは言っても、そう言う事は考えないではなかった。
その時のために、そう言う事は、それがこんな形で無惨に奪われ、そして目の前に迫る恐怖。
理由その一は医学的にも正論なのだが、詳しい知識はさておいて、
あんなもの自分の女の、お腹の中で出されない方がいい。そのぐらいの事は数美にも分かる。

「おーっし、いくぞいくぞ出すぞ出すぞ中に出すぞ出すぞ出すぞおーっ!」
「やっ、やああああっ!!」



「ふーっ、良かったぜー数美のマ○コー、やっぱりこの締まり、鍛え方が違うってかー?
たっぷり出してやったからよー、俺様と数美のラブラブベイビーの材料よー」
「やあああっ!」

床の上にうつぶせに伸びていた数美がその身を抱き、どろどろとあふれ出るそこに掌を当てて悲鳴を上げる。

「けどまー、誰のガキかなんてちょっと難しいだろーなーこの状況」

人垣が、ゆらっと不気味に動き出した。

「やっ、やああっ、やああああ…」

四つん這いに這わされながら、数美が感じるのはひたすらに無力感だった。
もう全身にろくに力も入らず、薄汚い男たちに支えられながら犯されている。
後ろから貫かれ、口にねじ込まれ、唇の端からだらだらとヨダレと共に出されたものを半ば以上垂れ流しながら、時折浴びる容赦の無い折檻と共に思い出した様に腰を振り口を動かす。
最初の駅に到着した時、助かった、と、思ったのに何も起きなかった。
二つ目、三つ目、圧倒的な現実を前に考える事を辞めた。
気が付いた時には、数美はぐったりと床に投げ出される様に伸びていた。

「はーい、この車両の性欲処理全員しゅーりょー」

ぱちぱちと響く拍手を、数美はどこか遠くで聞いていた。

「さー、選手交代いきまーす」
「え?…」



「んっ、んんっ、ん…」

数美は、座席の男性客の前にボロボロに異臭を放つ全裸のまま跪き、ズボンと下着を下ろして取りだした熱い塊を口に含み首を振る。
その間、立ち乗り客がズボンと下着を下ろして数美の腰を抱え、後ろからパンパンと数美と繋がった腰を振り続ける。
ごくん喉を鳴らして座席の男の吐き出したものを飲み下した数美は、立ち乗り客が果てると共に、自分が舌で刺激し続けみなぎらせたものを自分のもうボロボロに腐っている様にすら思えるところにねじ込み、男の腰を腿に挟む様にしながら腰を振り始める。

「あーっ、あーっ、あーっ…」
「いい感じだなー数美ー」

憎たらしい自称エリートの言葉に、数美は微かに反応を見せる。

「ええー、いい声出してよー、
ああそうかあれかー、体育会系の筋肉脳味噌で鍛えまくってたから、
いじめられるのが快感になってたってそーゆー事か」
「ちっ、ちがっ、私、そんなんじゃない…」
「の、割りにはいい顔してんぜー色っぽい顔してよー、
ついさっき超豪華車両貸し切りロストバージンパーティーしたばっかなのに、
すっかりエロエロな女の顔になってるなー。
ええ、そうなんだろー、電車の中で最低の痴漢野郎や見知らぬ男に輪姦されまくるのが
マゾの数美には最高に快感なんだろーそんなんだよなーおいー」


自称エリートが数美の髪の毛を掴んで数美に迫る。

「…は、はい、その通りです…マゾの数美、変態輪姦プレイが最高に感じるの…
あーっ、あーっ、あーっ…」

強制されて言わされていると自分に言い聞かせながら、数美は甲高い声と共に座席で腰を振り続ける。
だが、暴力と陵辱で心を折られ、繰り返される刷り込みは、元々性的には余り得手ではなかった数美の心をじわじわと蝕んでいた。
体の奥から、本当に何かがこみ上げている、そんな嫌らしい忌まわしい女だと、そんな予感が少しずつこみ上げて来ている、数美はそれを振り払う強さを失いつつあった。

時間の感覚はとっくに失われていた。
客観的に言えば、最初の一車両分の男全員を相手に、床に四つん這いになって上の口と下の口を一度ずつ犯され、それと入れ替わって入って来た前方の車両の男達を相手にした時は、座席に着いた男全員を口で抜いてその腰に跨って自ら絞り出し、立ち乗り客からはバックで貫かれている。
体力も気力も限界をとっくに超えた陵辱だったが、恐怖と支配だけが、更に入れ替わって入って来た後方車両の男たちを相手に数美に同じ事をさせていた。
座席半車両分の男から抜き終わった所で、電車が停車した。

「踏切事故のためー…停車いたします…」
「な、何?ちょっ、やっ…」

停車した電車の中で、数美は、残る半分の椅子の上で、窓の外を向いて膝立ちにさせられた。

「そーらよっ!」

自称エリートの掛け声と共に、椅子を降りていた客の一人がそんな数美を後ろから貫き、数美が久しぶりに悲鳴を上げた。

「やっ、やだっ、見える、ホントに見えちゃうっ!!」

もう助かる事など考えられなくなっていた数美は、停車駅の度に床で震えていた。
停車駅で座席での本番を命じられても逆らえない、そうなったら駅のホームに向けて乳房を剥き出しにしながらそのものズバリの事をしなければならなくなる。
そんな事になったら、何がどうなるか分からない、とにかく大人しく服従してこの場をやり過ごす事しか考えられなくなっていた。

「おおっ、バスが止まってんな、こっち見てるぞ数美ちゃんのぷりぷりのパイオツ、ヘアーの下でぶっすり突き刺さってるトコも丸見えかー、もう何十人分ぶくぶく泡立ってる腐れマ○コー、ヒヒヒヒ、制服だなー、あれ帝丹高校のガキどもかー、こりゃ今夜のオカズけってーだなー」
「やっ、やだっ、やっ、やあっ、やああっ!見ないで見ないで見ないでええええっ!!」

確かに、窓の外にはすぐ側の踏切を渡れずに渋滞する車列、その中には制服で埋まったバスも見える。

「どーたおいっ、こーふんするだろー、
数美ちゃんはみんなの前で素っ裸でするのがサイコーに感じる露出狂のマゾの変態空手女だからなー」
「ちっ、違ううっ違う違う私そんなんじゃないっだから見ないでいやあああっ!!
…ああっ…ああっ、あっ…ああああっ…」
「ほらほらー、数美、気分出して来たんじゃねーかー?
学校の野郎共に見られてスイッチ入ったかー?」
「ち、がう、へんたいじゃない、あつい、きもちいいわたしいんらんわたしへんたいあっ、あ…」


三車両分にも及ぶ陵辱に身も心も折られた数美は、両手首に一つずつ手錠を填められ、
その手錠の輪の残りの輪を外側に広げた先にあるつり革用のパイプに填められても、
両足首に一つずつ手錠を填められ、その手錠の輪の残りを外側に広げた足首の先にある柱に填められても、
反吐が出る程忌み嫌っていたこの最低集団の首謀者らしき自称エリートを先頭に、数美を汚し尽くしたグロテスクなものを自らしごき立て、数美の体内に思い出すだけで気が狂いそうな恐怖を刻み込むあの汚らしい粘液を三車両分にも及ぶ卑劣な男共があらゆる角度から数美に向けて飛ばしても、数美はぐんにゃりと指一本動かそうとしなかった。
その、絶望の淵に沈んでいるとしか思えない光を失った大きな瞳を見て、この強姦魔集団の中で当初よりの数美の仇敵だった男は一人心の中でほくそ笑む。

“…わ、笑うな…まだ…こらえるんだ…
これは地獄じゃないよ数美ちゃん、これは地獄の入口、無間地獄はこれからだからさ…
だ、だから、だからまだ笑うな俺様、こらえるんだ…
しかし辛抱たまらんザ・芸術www…”

次の駅で、自称エリート以下の強姦魔集団は集団下車した。
それと入れ違う様に、たまたま寄り集まった帝丹高校ご一行様がその車両に乗車しようとして異変に気付いた。

「おいっ!」
「やだー何これー?」
「うわー、丸見えってくさっ」
「AV?」
「何馬鹿な事言ってるのっ!?あなた駅員呼んでっ!!撮ってんじゃないそこの携帯っ!!!」

悲鳴に近い、しかし凛とした一喝と共に我に返った何人かの生徒が動き出した。

「どーしたどーした?」
「あなた達は来ちゃ駄目っ!あなた達、この子達連れてってっ!!」
元々、時々やけに短気で凄みを見せる時はあっても今までにない突き抜ける様な迫力が足を止めている間に、
後続の子供達が居合わせた高校生に担がれその場から拉致される。
「もしもし、恐らくレイプ事件です。救急車と警察とレスキュー呼んで下さい。
チェーンカッターと産婦人科の手配をお願いします。場所は…」

一喝してからテキパキと携帯電話に告げる少女の声。
衣服を掛けられるのを感じながら数美は目を開けようとする。

「無理しないで、今目開けたら結膜炎になる…ひどい…」

数美は、瞼を拭う感触にされるがままにされていた。冷静な声に僅かに感情がこもる。
それで、ようやく少し視界が開ける。数美の視界にぼんやりと映る、落ち着いた対応の割には随分小柄、と、言うより、シャギーカットの、子供にしか見えない印象。
押し込められた忌まわしい電動器具を引き抜くかどうかやや躊躇したらしいが、それはおいておく事にしたらしい。

「つうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーー
かあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー
もおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーー
とおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーー
かぁずぅむぃだよおぉぉぉぉおおおーーーーーーーーーーっっっ!!!」



その合成音声の大音響に、数美がぎくっと震える。
それは、座席に置かれたCDラジカセから繰り返し響くものだった。

「おい」
「あれ塚本さん?」
「そーだって空手部の」
「あれ塚本先輩ー!?」

その底知れぬ悪意は、元来冷めていると自覚している感情すら揺るがせハンカチを持つ手を震わせる。
忌まわしい音声を止めに行く足音にも、その事は現れていた。

「大丈夫、な訳ないわよね。すぐに助けが来るから」
「もうり…」
「?」
「もうり、が、あぶない…」
「ちょっとあなた、もうりって何?あれ帝丹高校の制服…まさか毛利蘭っ!?」
「…しってるのもうりのこともうりらんていたんこうこう…」
「そう、蘭さんが、蘭さんがどうしたの!?」
「もうりに、もうり、あぶない、もうり、いや、さとうけいじに…」
「佐藤?佐藤刑事?もしかして警視庁捜査一課佐藤美和子主任の事なの?」
「たぶん、そうさいっか、かみのみじかいきれいなおんなのひと…」
「あなた、あなた名前は?」
「わたし、は、つかもとかずみていたんこうこうさんねん…」
「つかもとさん、犯人が誰だか分かってるの?蘭さんが危ないってどう言う事?」
「あいつ、この間の、この間の痴漢の官僚が、毛利も危ない、だから…」
「分かった、話は聞いてる、だからもういい、もういいから」








「おう、どうした…いやー、まだ帰ってねーよ、園子と買い物だって言ってた…
おい、どうした?」
「塚本数美さんが襲われた、犯人は塚本さんと蘭さんがこの間逮捕したって言う痴漢。
蘭さんが危ない」
「おいっ、何だよそれっ!?塚本先輩がどうしたって?襲われた?それで先輩は!?」
「えーっと…命に別状無いけど…とにかく急いで蘭さん探して蘭さんが危ないのっ!」



「おっちゃん、おっちゃんっ!!」
「んー、なんだー?」
「塚本数美さんが襲われた、犯人は数美さんと蘭姉ちゃんがこの間逮捕した痴漢、
だから蘭姉ちゃんが危ないっ!」
「あー?…なんだとっ!?」
「あ、もしもし、蘭姉ちゃん?」
「貸せっ!
蘭か?園子もそこにいるのか?場所は?…
ああ、いいか、今から迎えに行く、ああ、そこで待ってて絶対に動くなよっ!!」

「あ、お父さん」

電話で伝えた通りすぐ近くのドーナツショップで待っていた蘭は、
駆け込んで来たコナンと小五郎に少しほっとした様な視線を向ける。
テーブル席では、園子と美和子が同席していた。

「来てくれたんすね」
「ええ、哀ちゃんから連絡がありました。蘭さんと連絡をとって取りあえず毛利さんが来るまでここで」
「助かります」
「お父さん、数美先輩が襲われたって、あの時の痴漢が犯人だって、本当なの?」
「ああ、本当だ。俺も途中で目暮警部殿に確認を取った」
「それで、先輩は?佐藤刑事に聞いても詳しい事は話してくれなくて」
「大丈夫、大きなケガは無いわ。
だけど、今は精神的ショックが大きくてちょっと話せない状態だから」
「そうですか」

蘭が心配そうな顔でうつむく横で園子が青い顔で息を呑む。
むしろ、この場合園子の方が察しが良かったらしい。

「とにかく、お二人にはこれから事情聴取をお願いします。
帰りはこちらで確実に家まで送りますので」
「お願いします」
「…量子ちゃん…」

蘭がはハッとして立ち上がる。

「そうだ、それだったら量子ちゃんも…」

園子が言う。


「大丈夫、彼女もこちらで保護して所轄で事情聴取してるから。
今の所被疑者は確保されてないけど、所轄と鉄道警察、機動捜査隊に一課の担当班が総出で動いてる、
相手が分かってるんだから聴取が終わるまでは片が付く、付けて見せる」

美和子が自分に言い聞かせる様に言った。

「蘭さんと是非話したいって」

事情聴取を終えた蘭が、美和子に付き添われて病室に入った。

「あ、毛利」
「先輩…」
「いや、ドジッちゃってさ、ちょっと油断してね、あんな奴にやられるなんてさ」

努めて明るく話そうとするが、顔面からして絆創膏が貼られ、表情から何から暴行の痕が塊となってベッドの上の数美に取り憑いている。

「佐藤さん、あいつ、捕まえたんですか?」
「まだ、まだなの。全力で捜査してる。
それで、確認するけど、確かに主犯はあの男だったのね?」
「あいつだった、間違いなくあいつだった、顔もしっかり見た、
あいつがずっといて、あいつが…何回も言わせないでっ!…ごめんなさい…」

蘭はぎくっとした。確かに男勝りな性格ではあるが、一方でバリバリ体育会系の数美が失礼な態度をとると言う事が、蘭に痛い程の心の乱れを感じさせる。

「いえ、こちらこそ」
「毛利、まだあいつ外にいるんだよ、さっさと刑務所叩き込んで貰わないとさ…
とにかく、あいつ普通じゃない、仲間もいるんだ、
あいつが、あいつが来るんだあいつが、あいつがあぁ…」
「先輩?」

震え出す数美に背後で待機していた医師と看護師が駆け寄る。

「はい、休みましょうね塚本さん」
「鎮静剤打ちますねー、あー、今日の所は」
「待って。あいつら全員捕まえないと毛利、それに鈴木もあの米花高校の娘も、
だから気を付けて毛利…」
「…分かりました。先輩ありがとうございます」
「毛利さんはこれから私たちが送って行きます。あれだけの事件、犯人はすぐに捕まえます。
だから大丈夫だから今は休んで」

美和子の言葉に、数美の体から力が抜ける。





毛利探偵事務所のドアが開く。
そこには、連絡やら何やらで住人三人がまだ勢揃いしていた。

「哀ちゃん」

ドアを開き、息を切らせている哀に蘭が優しく声を掛ける。

「蘭さん、戻ってたんですね」
「うん、先輩の事助けてくれて、連絡してくれたって、ありがとう哀ちゃん」
「…私は、何もしてませんから…」

哀が、ぷいと後ろを向いて事務所を後にする。



「おい、灰原」

カンカンと階段を駆け下り、コナンが哀に追い付く。

「どうした灰原、顔色わりーぞ」
「組織に関わって、色々と汚いものは見て来たつもりだけど…
蘭さんに気を付けて」
「ああ、分かってる」
「いい?今回の犯人は普通じゃない、悪意の塊、底が見えないぐらい。
そんな男が手段を選ばず、仲間まで連れて…
いい?だから、事件が解決するまで絶対に油断しないで、蘭さんを守るの、いい?」
「ああ、分かった」

組織に追われている時とはまた違う、蒼白な表情で押し込む様に言う哀にコナンも真剣に応じる。
哀がハッと振り返り、哀しげな表情で見下ろす蘭を見る。

「…ごめんなさい…」
「おい、灰原っ!」

哀が入口へと駆け下りる。
蘭も、基本的な情報は得た。数美に何が起きたのか。
つまり身近な人が輪姦されたと言う事、それだけでも今の蘭には想像を絶する世界。
あんな小さな子供の身で、そんな凄惨な現場に居合わせながら数美のため自分のため、
そして多分コナンのため踏み止まって精一杯の事をしてくれた哀。
全てが哀しかった。



(一人称俺様モード)
事件の性質上、大きなニュースにこそなっていないが、そんな事はどうでもいい。
重要なのは、一仕事終えた後のビールは最高だと言う事だ。
ホテルの高層階にある一室で、夜景を見下ろしながら痛飲する絵になる俺様。
見下ろす夜景の中には、あの牝豚が這いつくばった痛快な路線も含まれている筈。
あの後、ウルトラストップウォッチで時間を止めた俺様は、用意した膨大な人数、三車両分のエキストラを一人一人触って、チッポケット二次元カメラで撮影して写真に封印していった。
このエキストラは全て最低150年以上前の、それもアジア系外国人をさらって来て着せかえカメラでなんとか見られる格好にして、モンタージュバケツで更に昔の日本人の顔を移植してからほんやくコンニャクを食べさせたもの。
そして、その中から、俺様と背格好の似た一名を選び、人体とりかえ機でその男と俺様の頭だけを交換する。
集めたエキストラの中から二人選んで大将ワッペンの中将、少将ワッペンを貼り付け、無論俺様は大将ワッペンを着用する。
ハツメイカーで作成したケーキ箱偽装ライターケースに着火したまま入れたシナリオライターを俺様と中将、少将が持つ事で、シナリオで名前入りで割り振られたエキストラ全員が三手に分かれて俺様と中将、少将の引率に従う事となる。
元々、問題の三つの車両自体、予め擬装用の金属箱に入れたシナリオライターを貼り付けて決行の時刻は関係者以外立入禁止の状態にした上で、数美がザー汁まみれになる車両は、人員入れ替えの時以外は、車両と車両の間をエキストラが支える防音ガラスが遮断すらしている。


三つの車両はエキストラで占拠してその中で起きる事、エキストラが何をするが、逆に言うと起きてはならない事はシナリオで確実に制約し、必要に応じてきょうじきで確保した作業時間の中で微調整したシナリオにライターの中身を取り替える。
それ以外の車両についても、たまたま満員になる様にあらかじめ日記で指定しておく。
あの場所であの時間に踏切事故が起きるのもあらかじめ日記の指定。
但し、あの時間のあの辺一帯は、メカメーカーで製造した妨害電波発生装置で全ての携帯電話の表示からアンテナが消える様にしておき、その上であらかじめ日記で少なくとも電車が駅に入るまで通報ゼロの釘を刺しておく。
エキストラを全員回収し、貸し切りチップで借り切った廃工場にとうめいマントを被ってどこでもドアで移動した後は、まず体を交換したエキストラから自分の体を取り戻し、エキストラを一人一人写真に湯を浴びせて呼び戻し、ナワバリエキスの中で顔を元に戻し、メモリーディスクで記憶を捏造し着せかえカメラで元の格好に戻してから元の時代に戻すと言う、これまた七面倒くさい作業が待っていた。

「いい顔してるぜ、数美ー…」

右手に持ったイージー特撮カメラで撮影済み映像を覗きながら、
左手に、無生物さいみんメガフォンで「おまえは遅効性の媚薬だ」と小一時間言い聞かせられて
最初にウブな割れ目に刷り込まれた美容クリームを持った俺様の顔が自然緩みを見せる。

俺様が一枚の写真に湯を垂らすと、そこで、一人の美少女が白い裸体を這いつくばらせて跪く。

「ご主人様…」

俺様は、肉奴隷塚本数美二号がキラキラ潤んだ瞳で見上げるのを傲然と見下ろし、目で促す。
肉奴隷塚本数美二号が、俺様のバスローブを割りトランクスの中から熱く昂ぶったものを掴みだし、
じゅぽじゅぽと唇から出入りさせる。

「どうだ、旨いか牝豚?」
「はい、ご主人様のチ○ポ、とってもおいふいでふ…んんっ、ああっ…」
「ああっ、ご主人様の熱いミルクとっても美味しかったです有り難うございました」

足下で、恍惚とした表情で喉を鳴らし飲み干した肉奴隷塚本数美二号が土下座して言上した。

「あっ、いっ、ご主人様、ご主人様のチ○ポずんずんんーーーーーーーーー」

ねちねちといびり倒し散々に尻を振らせて懇願させてからおもむろにぶちこんでやった肉奴隷塚本数美二号は
壁に手を着き突き出した尻をぐいぐいくねらせて俺様の逞しいものを刺激し喜ばせながら
浅ましく燃え上がった肉欲を貪る。
そう、今日のあの程度の事、面倒の内に入らない。
そう、この後待っている、
最高に芸術的で究極にして至高にして高尚なる天罰への熱き期待を考えれば。
電車の中で三回や四回あの牝豚に吐き出してやった事など問題にならないぐらい爆発しそうな昂ぶり興奮が突き上げてやまない。



「はおぉぉぉーーーー…ご主人さまぁぁぁ…」

そんな俺様の期待に膨らんだ剛直で淫売腐れマ○コの中を散々にかき回され、
俺様の目の前で尻を振り振り喘いでいた肉奴隷塚本数美二号がじょぼじょぼと粗相をしながら恍惚の表情でくずおれる。
その中に我が偉大なる遺伝子を流し込んだ俺様は、そんな淫売豚を抱え上げバスルームに放り込む。
ずらしんぼでビニールシートの上の新聞紙に床の染みを移し"どこでもまど"で新聞紙を放り投げる。
クローン培養基から生まれて刷りこみたまごその他で骨の髄まで服従と淫乱を叩き込まれた肉人形だと言っても、あの忌々しい牝豚と同じ顔、そして今日改めて確かめた同じ肉体を持つ従順な牝にこの腕の汚れの責めをとらせる事を考えるだけでもビンと反り返るのが分かる。

「ああっ、ああっ、ああぁぁぁーーーーーーーーーーーーっっっ!!!」

両足首をロープで縛られ、窓から放り出された肉奴隷塚本数美二号は、スーパー手ぶくろを装着した俺様に引き揚げられた時には、泡を吹いて白目を剥き、改めて全身からアンモニア系の異臭に塗れた湯気を放っていた。
肉奴隷塚本数美二号に飲ませたがんじょうの効き目が切れるのを待って、バスルームで肉奴隷塚本数美二号に股を開かせて身動き一つしない様に厳命して俺様直々に全身隅々まで磨いてやり、お仕置きをされながらご主人様にその様な手間を掛けさせた事への責め、その事が呼ぶ次々と積み重なる新たなる粗相への仕置きにより、鏡面世界のホテルの部屋にはあのクソ生意気な牝豚と同じ顔形をした肉人形の甘い声が数パーセントほど混じった文字通りの悲痛な悲鳴が一晩中響き渡る。
これがあの牝犬の将来だと考えるだけで、間に合わせのまがい物に荒々しくねじ込んでぶち込んで悲鳴を上げさせるより他に選択肢はなかった。



(三人称モード)
悪夢の様な、実際毎夜の悪夢の根源となっている陵辱の後、屈辱的な様々な検査、聴取の苦痛にも数美は耐えた。
理不尽で無法な暴力等強さではないという、踏みにじられた空手家のプライドがそうさせたのかも知れない。
一週間近くの欠席の後、数美は友人と共に通学の途についた。
これも、事件を考えると早すぎる程の事と言えた、が、
例えどんな視線、中傷が待っていようとも負けはしない、悪いのは自分ではない、数美は心に固く誓っていた。
少しずつでも友人の言葉に相槌を打っていた数美が足を止める。

「数美?」
「あいつが、いる…」
「え?」
「…あいつ、が…」
「数美、数美っ!?」

数美の呼吸が見る見る速くなり、音を立ててその場に倒れた。





「どうして逮捕されないんですかっ!?」

捜査一課に出向き詰め寄る蘭を前に、美和子は嘆息して首を振った。

「アリバイが成立したのよ」
「え?」
「塚本さんが電車で襲われた時間、あの男は横浜のデパートで落とし物を届け出てた。
直筆の届出用紙も指紋付きで押収出来た。
関係者の証言、特に担当者のシフトから、どう誤差を見積もっても
塚本さんが証言した時間、加えて防犯ビデオから割り出した塚本さんの乗車時間、
その時間ずっと一緒に電車に乗っている事は不可能。
逆に、駅の防犯ビデオからもDNA鑑定の結果でも、あの男と符合する証拠は見付からなかった。
むしろ、体液の鑑定結果からは別人でしかあり得ないと。
既に向こうの弁護士から地検に虚偽告訴で告訴状が出てる」
「虚偽告訴?」
「そう、あの男だった、あの男が現場にずっといた。顔も見たってハッキリ供述してるから、
虚偽の供述で意図的に犯人にでっち上げられたって事。この状況だと…」
「佐藤刑事?」
「この状況だと…下手すると逮捕されるわよ塚本さん」
「そんなっ!」
「このままこの問題がこじれたら前の痴漢事件の控訴審にまで影響する、
検察はそれを恐れてる。そうせざるを得ないと、証拠がそう言ってるのよ」
「どうして数美先輩がそんな嘘言わなきゃいけないんですかっ!?
数美先輩がどんな…」
「ええ、暴行…レイプ事件があった事は間違いない。だからこっちも必死で捜査してる。
でも、位置関係からして犯人と思われる映像を防犯ビデオから割り出しても
全然目撃情報が上がって来ない。まるで煙の様に姿を消した。
何より、彼女自身があの男に固執してる事で捜査が混乱してる」
「そんな…今でも先輩のそばうろついて、それで…」
「あの場所を通りかかった事は認めた。
だから、保釈条件違反の恐れがあるとして地検から注意してもらった。
意図的な待ち伏せとも証明出来ないし今回だけだとそれ以上の事は出来ない…
塚本さんが嘘をついてるなんて、どう考えても無理があるのに…」

美和子の歯がみを前に、蘭もそれ以上何も言えなかった。