早朝、照りつける太陽の下、腐れ縁の友人、神宮寺清彦の運転する軽ワゴン車が
海岸線をひた走る。俺、近藤睦樹はその軽ワゴンの助手席に座っていた。
「なぁ、そろそろ俺を呼んだ理由とか話してくれよ。ていうかクーラー効かせろよ」
「時代はエコだ。理由? あぁ言ってなかったか、撮影を手伝ってほしいのだよ相棒」
首を90度回転させ俺の方を向いて話す神宮寺。
「こっち見んな! 前見て運転しろ……って、撮影なんて俺いなくてもできるだろ?」
「被写体はペアだぞ? 1人を追ってる間、もう1人のお宝シーンを逃したらどうする!?」
知らんて。ていうかペアってなんだ、海で、ペアで、お宝……まさかなぁ。
「ビーチバレーの試合でも撮りにいくのかぁ? でも一般人は撮影禁止だろ、その辺の
 水着ギャルならともかく……まぁその辺のギャルでも無断で撮ってたら捕まるけどな」
俺は半分冗談で言ったのだが、隣で運転するメガネは十分本気だった。
「それでも撮るのがマニアだ。一般ギャルじゃブランド価値もなしプレミアも付かん。
 メディア露出が増えて、人気沸騰警備厳重の今だからこそ最高の価値が付くのだよ」
「おまっ、やっぱそれビーチバレーの中野・水鳥ペアのことだろ! 聞いてねぇぞっ!」
「じゃあ言い忘れたんだな。ここまで来て帰るは無しだ、片道で2時間だぞ相棒?」
いや『どこでもドア』で即効帰って薫流とイチャイチャできますけど、と言いたいが、
口から出たのはため息だけだった。もう慣れてしまっている自分が悲しい。

 俺は神宮寺の用意した資料に目を向ける。ビーチバレーの中野・水鳥ペア、
昨年の夏頃から急激にメディア露出が増えてきた。理由は勿論、その容姿だ。
 中野比奈(なかの ひな)は、少し幼さの残る可愛らしいルックスに、推定Fカップと
言われるグラマラスボディで抜群の男性人気が出た。写真集も相当売れているらしい。
 ペアを組む水鳥夏実(みずとり なつみ)は、ハーフっぽい顔立ちとスレンダーボディで
モデル活動もこなし、トーク番組で発覚した天然キャラもあって男女問わず人気がある。
 実力の方も若手ながら国内上位で、メディアの猛プッシュもあって一気に注目を集めた。
「で、警備を掻い潜って撮影する方法はあるわけ?」
「特に問題が無ければ、王道でいく。問題があった時を考慮してお前を呼んだのだよ。
 難攻不落とされた麗南女子を攻略したお前ならなんとかしてくれるかもとな」
要するに警備の内容次第で俺の出番があると。完全に出たとこ勝負じゃねぇか。
「まぁ、ブランド価値ってやつには同意するけどな」
確かに同じ水着美女なら、素人よりビーチバレー選手を狙うほうがワクワクする。
 ふと、今までは資料を見ていて気づかなかったが、標識やガードレールの流れが
めちゃくちゃ速いことに気づく。まるで高速道路だ、明らかにスピード違反している。
「……お前さ、スピード違反してるぞ? 白バイに追っかけられたらどんすんだよ」
「問題ない、振り切る」
「運転代われ馬鹿野郎!!」
盗撮する前に捕まるつもりかコイツは……。
…………
 大会が行われるビーチに着くと、着々と準備が整えられていた。カメラマンも多く
見かけたが、やはり一般人の撮影は禁止されているようだ。
 どうせ道具を使うなら、ヤれるだけヤりますかね。

…………
 下見をしてくると言って神宮寺と別れた俺は、選手が利用する更衣室へ向かった。
この海水浴場はビーチバレーコートなどが常設されているだけあって、大会日でも
選手、一般客を分けてスムーズに更衣室が利用できるらしい。
 とりあえず遠めから『万能グラス』で室内の間取りを把握し、『タイムテレビ』で
中野、水鳥の2人がどのロッカーを利用し、どのような行動をとるのか予め確認しておく。
 確認が終われば、あとは『透明マント』で身を隠し悠々と警備の目を掻い潜って
更衣室に侵入。『かたづけラッカー』で見えなくした小型カメラをロッカーやトイレ、
シャワールームに仕掛け終えたら準備は完了だ。

 更衣室を出て神宮寺と合流するや、どうやら観客では試合中の撮影は困難らしい。
じゃあ堂々と撮影できる立場になればいいわけで。
 かたづけラッカーで見えなくした『うそつ機』を装着し適当に神宮寺を信じ込ませ、
2人して『職業テスト腕章』を身に付けカメラマンになり、『オールマイティパス』で
これまた悠々と入り込んで俺達は会場最前列に陣取った。
…………
 いよいよ中野・水鳥ペアの登場だ。観客も大いに盛り上がっている。
「しかしまぁ、小さい水着だねぇ……胸のほうは、しっかり隠してる感じだけど」
「海外は強豪選手ほど水着が小さいんで、それに習ってらしいな。ありがたい事だ」
小麦色の肌に、面積の少ない水色のビキニが映えている。あんなとこやそんなとこに
スポンサー名があるのは、やっぱ狙ってるんだろうな。まぁ他に載せるとこも無いけど。
 試合は格上の中野・水鳥ペアが順当に1セット目を取り、2セットも主導権を握る展開。
まぁここは負けないだろう、ちょっとくらい遊んでもいいよね。
 レンズの向こうへ必死になってる神宮寺を尻目に、俺はカメラを構えながら『透明ハンド』
で中野比奈のヒップを撫でてみた。中野比奈はビクンと身体を跳ね上がらせ、両手で
ヒップを押さえて、呆然と後ろを振り返っている。
 せっかくだし羞恥に染まる様をもっと楽しませてもらいますか。俺はラッカーで消した
『悟りヘルメット』をかぶり、心を読みながら責めることにした。
 ヘルメットをかぶるや、大勢の男達の、色で表すとピンクやパープルな考えがドッと
流れ込んでくる。特に隣にいるメガネの。
 とはいえ、雑念だらけの中でも集中すればお目当ての心の声を聞き取ることは出来る。
俺は中野比奈の心を読み取ることに集中し、2本の透明ハンドで推定Fカップの乳を揉む。
《やだぁ……何にも無いのに、おっぱい揉まれてるぅ……あっ、乳首はダメッ……》
なるほど、乳首が弱いのねと。当然、乳首を責めるわけで。
《あん、ダメ、乳首ダメぇ、立っちゃうからぁ……試合中、なのにぃ……》
《あ、あ、あ、イイ……アタシ、試合中に感じちゃってる……》
《あぁぁ、イイ、感じる……それ気持ちいいのぉ……あん、乳首、立っちゃってる……》
《あ、うそ、やだ濡れて、きちゃった……どうしよ……あっ、下はダメぇ……!》
透明ハンドで水着越しに割れ目を撫でると、中野比奈は思わず膝をついてしまった。
観客席からも、困惑したようなざわめきが起き、様々な感情が入り乱れている。
 当然、プレーの精彩も欠いていた相方を心配して水鳥夏実が駆け寄ってくる。アンタの
相方は可愛い顔して、身体の見た目通り中身はエロエロみたいだねこりゃ。
 さて、今度は綺麗な顔したアンタの番だ。

 一旦、透明ハンドを下げて、試合に集中させる。中野比奈のプレーが落ち着いてきた
ところで、今度は水鳥夏実を責める。こっちは胸じゃなく、下半身でいこうか。
 透明ハンドを内腿に当て、スーッと上に向かって撫で上げていく。すると、前傾姿勢で
構えていた水鳥夏実の身体がビクンと跳ね上がった。
《ふぇっ!? なに、なに、誰か触ってるよね……でも、誰もいないし……》
見た目と違い、意外と可愛らしい心の声。天然て、キャラじゃなかったんか。
 水鳥夏実はすぐに前傾姿勢になって構え直す。当然、またヒップをこちらへ突き出す
姿勢になったわけで、そこまでされたら弄ってやるのが人情というもの。
《あん……そこばっかり、スリスリしちゃヤダ……》
水着越しに、割れ目をなぞるように透明ハンドの指を前後に動かす。形の良いヒップが
ピクンピクンと反応を示すが、水鳥夏実は必死で試合に意識を向けている。
 天然の割に、相方の巨乳ちゃんよりも頑張れるんだな……そんなことを考えていると
やはり余計にイジワルをしたくなってくる。
《ひんっ!? あっ、やっ、それダメ、上にきちゃダメ……!》
透明ハンドの指を立て、カリカリ擦りながら徐々にお尻の穴から割れ目に移り、割れ目に
沿って刺激していく。当然、その先にあるのはクリトリスだ。
《あっあっ、そこはダメッ! 気持ちよすぎて、自分でも出来ないのに……》
水着越しに敏感な淫核を引っ掻いてやると、内腿をぶるぶると震わせながら卑猥な言葉を
思考する。つまり、オナニーする時でもクリトリスは感じ過ぎて弄れないわけか。
 あまり強くやり過ぎて騒ぎになるのも面倒なので、割れ目をなぞりながら、時折
敏感な淫核を引っ掻いてやるのを繰り返す。
《あぁぁ……試合中はやめて、水着に、染み出来ちゃう……見られちゃう……》
観客の存在を、かなり意識していることが伝わってくる。M気質なのか、露出の気が
あるのか。意外と、男の経験も少ないのかもしれない。
 せっかくなので、お預けしてた中野比奈も弄ってやろう。もう一方の透明ハンドを
動かして、ぷっくりとした土手をぷにぷにと突いてやる。
《ひゃあん! もう、ずっと我慢してたのにぃ、我慢できなくなっちゃう……》
こっちは完全に好きモノだな。試合中にイッたら……などと淡い期待までしている。
 だったら気持ちよくしてあげましょう。とはいえ感じさせすぎると試合にならないので、
俺は『タンマウォッチ』で時間を止めるや簡単なシナリオを作り、『シナリオライター』
を使うことで2セット目も勝てるよう仕組んだ。
 意識はあるので感じるはずだし、これならイかせても問題は無いだろう。たぶん。
《なんで身体が動くの? でも、負けないで済むかも……あっ、そこ弄っちゃダメぇ》
《あぁ、あぁん、そこ、イイ、イイの……どうしよ、気持ちいい……》
《どうしよう、イキそう、試合中に、みんなに見られてるのにイかされちゃう……》
《あ、試合、勝てるかも……あぁぁ、もうダメ、我慢できない、このままイキたい!》
《あぁ、イッちゃう、私イッちゃう! みんなの前で、試合中に、イッちゃう!》
《あ、あ、イク、もうイク、イイ、そこ気持ちイイ、イクイクイッちゃうぅぅ!》
2人が絶頂を迎えようとしたところで、俺はサッと透明ハンドを引っ込めた。絶頂への
期待を裏切られた2人の落胆の感情と、行き場を失った快感の余熱に悶々とした思考が
手に取るようにわかる。
 試合に勝った中野・水鳥ペアは、観客に笑顔で手を振りつつも、そそくさと会場を
後にする。どこに行くかは、簡単に予想がつく。
 やはりカメラ越しに会場を出て行く2人へ集中している神宮寺の背中に、俺は無言で
『たましいふきこみ銃』を構えた。


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最終更新:2010年07月30日 16:29