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 翌日。
 聖カトリーナ女学院高等部の土曜日は全学年午前授業のみである。
 その内容は茶道、華道、必修クラブ活動と続くカルチャーセンターのような内容で、特に単位を気にする必要もない。
 親か執事等の正式な連絡があれば欠席しても問題無く、この日静香は朝比奈から連絡を入れさせていた。
 静香は朝から三度も風呂に入った。
 絶望し、疲れ、酔っていたせいで『あののび太』と際どいところまでいってしまったが、
 決してのび太を受け入れてはいなかったのである。
 ――あああああ、もう最悪! なんであんな男とあんなことを!
 静香はひどく苛立っていた。
 朝比奈に八つ当たりしようにも優しく微笑まれ、
 近頃ミス一つ見付けられない状況ではストレスを発散する方法すらない。
 確かに常習犯と言って間違いないぐらい万引きの罪を犯してきた静香だったが、
 それは毎回出来心なのであって、わざわざ万引きの為に出掛けることは無かった。
 それ以前に、常にあの男が監視しているかも知れないと思えば、スリリングな遊びを終わりにする以外に道は無かった。
 ヴァイオリンを弾いたところで叱られた昨夜よりも酷い演奏になって落ち込み、
 何度風呂に入ったとて、あの男の汚れは到底拭いきれない気がした。
 静香は二十畳ほどの自室を意味もなく掃除し始めた。
 毎日プロの掃除婦が来ているのだから全く必要の無い作業だが、それでも何かしていたかった。
 やがて静香は額に入った写真を手に取り、ベッドに寝転がった。
 手にしたのは学院の姉妹達と撮った写真である。その写真を特に大事に飾ってある理由は……。
 ――心優(みゆう)ちゃん……可愛い……わたしの心優ちゃん……。
 乳房に手が行きかけてハッと起き上がる。あいつがいるかもしれないのだった。
「のび太さん、いる? わたし今すご~くエッチな気分なの。
 だから、出てきておっぱいを触ってちょうだい? ねえ、おねが~い」
 しばらく待ったが反応は無かった。朝比奈のほうは呼ばない限り部屋を訪ねてきたりしない。
 安心した静香は二重になった秘密の引き出しからピンクローターを取り出した。
 以前学院の姉様達がふざけて自らの自慰体験を告白し合っているところを通りかかり、
 思わず立ち聞きして、震える玩具の存在を知ったのだった。
 ――心優、あなたなら昨夜の穢れた思い出を忘れさせてくれるでしょう?
 水色のバスローブをはだけ、黒い上下の下着だけになる。
 カーテンは閉めていないが、ここは二階で、隣家から覗かれるほど狭い敷地でもない。
 静香は目を閉じ、慣れた左手で乳房をもてあそびながら、右手は緩い振動のローターを操る。
 時折薄目で心優の写真を振り返るが、さほど視覚的影響が必要なわけでなく、
『そばに心優の写真がある』という事実がいけない妄想を膨らませるのであった。
 ――心優がそっとわたしにキスしてくれるの。
 そよ風のように髪を撫でながら、
 甘い吐息を耳に吹きかけながら……。
 ピアニストの器用な指が羽毛の軽さでわたしの乳房を……。
 細いケーブルを持って引かれたローターが滑らかで薄っぺらい腹部を下ってゆき、敏感な豆粒をかすめる。
 ――だめよ、まだ早いわ。心優ったらせっ
「“かちさんね。だめだってば~。いゃん……くすぐったいわ”」
 静香は『幻想即興曲』を中断し、その場に跳ね起きた。
「“今、確かにわたしの声がしたわ。あいつがいないかちゃんと確認したのに。
 ……って、どうして思ったことが言葉に?”
 ……ちょっと! のび太さん、出てらっしゃい!」
 クスクス笑いが聞こえたかと思うと、急にのび太の存在を思い出した。
 ずっと視界に入っていたのにもかかわらず堂々とオナニーを公開させてしまうほどの道具……。
「“またやられたわ、石ころ帽子ね” ……いや! 心の声を聞かないで!
 “こっちはなんの道具なのかしら?”」
 のび太は得意気に缶スプレーを見せつけた。

「あけっぴろげガス~」
 あけっぴろげガスを吸った者は隠し事が出来ず、何でも大声で話してしまうのだ。
「“ドラちゃんに全然似てないのに、気持ち悪いわ。
 ひょっとして可愛いつもりなのかしら? ばっかじゃない?”」
 これも心の声だったが、むしろ静香はスッとした。
「物真似には自信があったのに! ひどいやしずかちゃん!」
「“それなら早く解除方法でも考えればいいのに、やっぱりのび太はグズね。
 だいたい、この源静香様と対等な口をきくなんて、のび太のくせに生意気なのよ”」
 冷酷な微笑を浮かべ、チャンスとばかりに普段考えないような悪態までついてみせる静香だった。
「そんなことをいつも思ってるのかい? からかってるんだろ?」
「“あ~ら、ごめんなさい。嫌なものを見せてしまったかしら?
 でも、思ってしまうんだから仕方がないでしょう? あなたが悪いのよ、この粗チン野郎!”」
「そ、粗チン野郎だって!? 大きいって言ってくれたくせに……。
 ああ、どうせ僕はビッグライトで大きくした偽チン野郎さ!
 しずかちゃんなんか大っ嫌いだ! 意地悪! 性悪女! 女王様!」
 のび太はどこでもドアを出して帰って行った。
「“なるほど、結構打たれ弱いタイプなのね。これは使えそうだわ”」
 のび太をやり込めて少し気が晴れた静香は再びベッドに横たわる。
「“心優、お待たせ。さあお姉様をいじめてちょう……いやだわ、これじゃあオナニーも出来やしない。
 ……やめて! 早くわたしを解放して!”」
 そこへコードレスフォンが内線の呼び出し音で鳴り出した。
「“朝比奈かしら? 気を付けないと何を喋ってしまうかわかったもんじゃないわ”」
 出てみるとやはり朝比奈だった。
「どうしたの?」
「お嬢様、お元気なのは結構ですが、どうかもう少しお静かに願います。
“若い娘が真っ昼間から何という遊びを。ああ、嘆かわしい”」
 ずばり、聞かれていたらしい。静香は大いに慌てた。
「わ、わかったわ、ごめんなさい。
“そうよ、わたしはオナニーしてましたけど何か? 朝比奈だってするくせに。
 あなたがいつもわたしの胸や脚をチラチラ見てるのだって知ってるんだから。
 どうせオカズにしてるんでしょ? 奥さんも妊娠中だしね。あ~いやらしい”
 違うの! 朝比奈、違うのよ!」
「も、申し訳ございません。
“確かにお嬢様のおみ足に劣情を感じたことは数知れず、
 この歳になったとてあの張りのある乳房に顔を埋めてみたくもあり……ああ、踏まれてみたい。まっこと踏まれてみたいさ。
 いっそ、お嬢様にボンデージを着ていただいて、ピンヒールでこの薄汚いジジイの尻を……”
 むむ、これは何ですかな?
“……うむ、気のせいか”」
 のび太が戻ってきたらしい。しかも朝比奈までその毒牙にかけて。
「朝比奈、注意して。しばらくお互いに近寄ったりコンタクトを取ったりしないほうがいいわ。
 これはちょっと普通の出来事じゃないの。
“この色惚けジジイ、覚えてらっしゃい! あとでたっぷりと意地悪してやるんだから”」
「“うひょ~、たまらん。楽しみにしておりますぞ、お嬢様。
 その際は革のミニスカートなぞお召しいただければ……”
 なるほど、以前話されていたドラえもん様の道具ですかな?
 わかりました。十分注意いたしますよ、“女王様” もとい、“淫乱娘” おや? “わがまま娘”
“なぜお嬢様と言えないんじゃ? おぉ、言えたぞ”」
「“あなたが望む通りだったらお仕置きにならないでしょ? 足りないジジイね。頭使いなさい!”
 朝比奈、とにかく気を付けるのよ! じゃあね!」
 静香は受話器を置く。
「“どおりで意地悪が効かないわけね。わたしはあの老いぼれ豚野郎に餌を与えていただけなんだわ。あ~いやらしい!
 ……優しいお爺ちゃんだと思ってたのに”」

 静香は気を取り直して顔を上げる。
「“さてと、どうやってあの変態をいぶり出そうかしら?”」
 扉が開いてのび太が入ってくる。堂々と音を立てているのに静香は全く気付かなかった。
「“もう、中途半端なところでやめたから疼いちゃうじゃないの……。
 だめよ、心を空っぽにして言葉を使わずに作戦を考えるの。無の境地よ!”」
 そこで静香に閃きが訪れた。
「“フランス語で考えれば、あのお馬鹿さんにはわからないわ!”」
 のび太はムッとした顔で四次元ポケットを探り『ほんやくこんにゃく』の準備をしたが……。
「“アン・ドゥ・トロワ・キャトル・スィス・セット……。七は何だっけ?
 ……そうじゃなくって! もっと意味のあるセンテンスを……。そうね……、
 ジュ・マペル・シズカミナモト。わたしは源静香です。
 ……って、訳してどうするのよ!”」
 という堪能なフランス語っぷりで、のび太はただ腹を抱えて笑うだけだった。
 静香の一人ボケ突っ込みに飽きてきたのび太は、静香にピンクローターと心優の写真を押し付けた。
 さすがにピンクローターが手元に現われて静香は気付いた。
「いやよ、人前で……“オナニーするなんて”」
 すると目の前に例の日焼け止めのボトルが飛んできた。
「ねえ、気味が悪いわ。とにかく一度出てらっしゃいよ」
 のび太は石ころ帽子を脱いだ。
「しょうがないな~。まあ、しずかちゃんのオナニーならいつも見てるから、この辺にしといてあげようか」
「そんないつもしてるみたいな言い方ってあんまりだわ……」
「そうだね、週に四、五回じゃあ少なくとも毎日とは言わないもんね。
 ところで『毎日』はフランス語で何て言うの?」
 静香は顔を真っ赤にしてのび太の腕をつねった。
「それで? 今日はわたしに何をさせたいの? 機嫌が悪いから最低限の協力しかしないわよ?」
「まったく、しずかちゃんは怒りんぼさんだな~。せっかく望み通りにもっと大きくしてきたのにさ~」
 のび太は臆面も無くチャックを下ろし、ボロンと逸物を放り出した。
 どうやって収納していたのか、五〇〇ミリのペットボトルを二つつないだぐらいのサイズになっていた。
「それにしてもしずかちゃんは欲張りだね。遊び過ぎてガバガバになっちゃったのかい?
 そんなに緩そうには見えなかったけどな~」
 静香は巨大魔羅を指で弾いた。
「あら、心の声が元に戻ったわ。ガスの効果が消えたのね」
「そうみたいだね。ちなみに何て言ったの?」
「どこの世界にそんな馬鹿みたいなおちんちんを欲しがる女がいるのよ!
 まあ、あんたには雌の馬か象ぐらいがお似合いだから丁度いいけどね。
 どうせなら脳味噌をもうちょっと大きくしたらどうなの? この低脳野郎!
 ……なんて考えちゃったの。わたしったら、はしたないわ。おほほほほ」
 静香はどうやらサド・マゾ両刀だったらしい。
 わざわざ訊いておいて、のび太は急に怒り出した。
「……冗談だと思ってたけど、本気で僕のチンチンを笑ってたんだな。
 完璧な美人の君には体のどこにも劣等感なんてないんだろうさ。
 そうやって僕をからかうなら考えがあるぞ! ほら、パンツを脱いでお尻を突き出せ!」
「ちょ、ちょっと……そんなに怒らないでよ。ごめんなさい、調子に乗りすぎたわ」
「嘘だ! 今も『元々は粗チンの包茎野郎だったくせに』とか思ってるんだろ! さあ、早くお尻を出せ!」
「いやよ、それじゃあまるでレイプじゃない。そんな怖いのび太さんなんて嫌いよ」
「じゃあ、優しい僕なら好きなのか? そんな気持ちこれっぽっちも無いくせに! 嘘つき!」


 乱暴に抱きかかえられ、元々下着姿だった静香はあっさりとパンティーを剥ぎ取られてしまう。
「や、やだ。わたし初めてなんだから!」
「そうだったね。じゃあ、これでいいだろ?」
 のび太はスモールライトを取り出して、『標準より少し大きめ』程度までペニスを縮めた。
「そういう問題じゃなくて……。そういう問題でもあるけど……。
 ねえ、どうせ断れないんだから優しくしてちょうだい? 素敵な思い出にしたいの……」
 のび太は凶悪な笑みを浮かべた。
「君が望む通りだったらお仕置きにならないだろ? 朝比奈さんにも言ってたじゃないか」
 静香は無理矢理鏡台に手をつかされ、鏡を見まいと目を閉じた。
「許して……。こんなのってあんまりよ!」

 のび太は構わずプルプルの白桃をかき分け、果肉の切れ目からヌルリと亀頭の半分だけ侵入した。
「おや? 随分スムーズに入りそうだね? 犯されそうな状況に濡れちゃったんじゃないのかい?」
「馬鹿言わないで! あなたどうかしてるわ!」
「馬鹿って言ったな? そうさ、僕は道具を使わなければ今でも赤点ばっかりだよ。
 あの聖カトリーナで上位組の君なんかとは月とスッポンだろうさ。そうやっていつもいつも人を見下して!」
 のび太はねじ込むように腰を沈めた。静香の奥地は入り口ほど湿ってはいなかったのだ。
 擦りむけそうな痛みに続いてプツンという感触があった。
 短いうめき声とともに静香の初めてはあっけなく失われてしまったのだった。
 ――どうだ、これでこのあばずれは僕のものだぞ!
「いぃっ、痛いわね! 馬鹿! 人でなし! 強姦魔!」
「何とでも言えばいいさ。僕は強姦魔だってなんだって、君さえ手に入れば構わないんだからな!
 僕と君とは初めから対等なんかじゃないんだ! それを体でしっかり覚えておけ!」
 のび太は真っさらな柔肉のキャンバスにピシャリと手形を描き込み、生木を裂くようにメリメリと膣壁をかき回した。
「動かないで! 痛くて死にそうなの! ……お願いだから」
 ――都合のいいときだけ哀れっぽい声を出しやがって。これだから女なんて信用できないんだ!
「痛かったら濡らしてみろ! ほら、これが気持ちいいんだろ?」
「……許して……痛い……いたい……ゆるして……ください」
「お仕置きなんだから痛くて当然だ! 調教してやってるんだから有り難く思えよ、このマゾ女!」
 すすり泣く静香にかまわず、のび太は狂ったように腰を振った。
 やがて、少しずつ痛々しい摩擦抵抗が無くなってくる。
 ――何だかんだ言って濡れてきたじゃないか。それとも中は血まみれか?
 まあ、後でおっぴろげて復元光線でも当ててやればいいだけのことだ。
 痛みが緩和されたのか、静香は穏やかなため息をついた。鏡台にポツポツと涙が落ちる。
「……前の時はあんなに優しくしてくれたのに。……悲しい人ね。
 脅して言いなりになったら飽きちゃったんでしょ? だから趣向を変えて強姦してみたくなったんでしょ?
 女の子の気持ちなんてどうでもいいのね。こんなことをして、あなたは気が晴れるの?」
「うるさい! 気が散ると長引くぞ!」
 眼下に従わせ、いくら陵辱しても説教を垂れる静香が憎らしかった。
 のび太はどうにかして最愛の高慢女を服従させたいと思った。
 自信に満ち溢れ、欠けるところのない完全無欠のお姫様を。
 それがのび太の幻想に過ぎないということには気付いていた。
 しかし、狂った男の腰を止めるブレーキにはなり得なかった。
 飽き足らなくなったのび太は前屈みになって腕を回し、静香のクリトリスに爪を食い込ませる。
 耐え難い痛みを受けても静香はひたすら歯を食いしばるだけで、のび太の期待を裏切った。

「さっきみたいに痛がれ! みっともなく泣き喚けよ!
 ちくしょう! ちくしょう! ちくしょう!」
 揺られ続ける静香の尻にポツポツと熱いものが落ちる。
 静香はゆっくり顔を上げ、穏やかな表情で鏡越しののび太に語りかけた。
「なぜ泣いているの? 満足なんでしょう? こういうことが気持ちいいんでしょう?
 わたしはもうあなたのものよ。だから、そんな顔をしないで」
 静香は鏡の中ののび太に温かな眼差しを向けていた。
「聖女にでもなったつもりか?」
「違うわ。でも、何だかあなたが可哀想に思えてきたの。
 ねえ、泣くぐらいならどうしてこんなことをするの?
 犯すなら、もっと堂々と犯せばいいじゃない」
「黙れ!」
 静香の尻に手形が一つ増える。
 それでも静香は構わず続けた。
「本当は愛のあるセックスのほうが好きなんでしょう?
 あなたは優しい人だったはずよ? ……ねえ、こうしたら気持ちいい?」
 静香は不器用に体を前後させ、怒り狂った肉棒を慰める。
 血の気が引いた青白い顔は慈愛の表情にすら見えた。
 ――なんだこの女。頭がいかれちまったんじゃないのか?
 のび太は気味が悪くなって、静香の腰を抱き止めた。
「痛いくせにそんなことするな!」
 静香はニッコリ微笑んだ。
「ほら、やっぱりあなたは優しい人だわ」
「う、うるさい! 優しい人なんているもんか!
 誰も僕を愛してなんかくれないんだ! パパもママも、あのポンコツも!
 ……君だけはいつでも僕に優しくしてくれたのに、勝手にいなくなった一番の裏切り者じゃないか!」
「のび太さん、一旦落ち着いて話してみない?
 わたしも似たような悩みを抱えているみたいなの。あなたのつらさがわかるのよ」
「そうやってごまかすつもりだろ? 朝比奈さんを呼びに行くつもりなんだろ?」
「いいわ、じゃあ気が済むまでわたしを突いたら、それから話を聞かせて?」
「中で出すぞ?」
「それは困るけど、わたしは断れないんですもの。赤ちゃんが出来たら責任をとってね?」
「じゃ、じゃあ、僕と結婚してくれるの? 僕を愛してくれるのかい?」
「断れないんでしょ? 優しいときのあなたならいずれ愛せるかもしれないわ」
 のび太は名残惜しそうに何度か動いたあと、突き立てた凶器を抜き去った。

「何か着てもいいかしら?」
 のび太がバスローブを放ってよこす。
「ありがとう、のび太さん」
 静香はおもむろにのび太に近付き、しっかりと抱き締めた。
「寂しかったのね、のび太さん。気付いてあげられなくて……ごめんね」
 静香は同類を見付けた気分だった。
 後ろ暗い経験を持つ人間は、寂しさが人を壊すということをよく知っているのだった。
 ――この人は根っからの悪人じゃない。きっとやり直してくれる。
 それが間接的に自分を許すための方便だったとしても、静香の目にはあの頃の優しいのび太が映っていた。
 のび太は火がついたように泣き出した。がむしゃらに静香を抱き締めた。
 締め付けられる胸が、破瓜した体の奥が痛んでも、お互いの温もりを静香は愛おしく思った。

 のび太が泣き止むのを待って静香は言った。
「今日中にエッチしたらまだ初体験よね? もったいないから素敵な初めてをちょうだい?」
「お嬢様のくせにもったいないだってさ」
 のび太は鼻声で笑った。
「成り上がりの娘ですもの。
 今でも毎晩外食なんて申し訳ない気がして落ち着かないのよ? おかしいでしょう?
 いつ化けの皮が剥がれるかとビクビクしてるんだから」
「じゃあ、僕も化けの皮を……」
 のび太は乾いた血がこびり付くペニスに復元光線を当てた。
 仮性包茎でお世辞にも大きいとは言いかねるものだった。
「あら、とっても可愛いじゃない。女の子は大きさなんてそんなに気にしないのよ?
 亀さんが厚着をしてたって、清潔にしてくれれば問題無いわ。
 大きいと痛くて迷惑だって言うお姉様もいたぐらいだから、自信を持って」
「ありがとう、しずかちゃん!」
 のび太に濃密な感謝のキスをされて、静香の女の子が疼いた。
「のび太さん……。わたし、……欲しくなっちゃった」
 破瓜の痛みは残ったままだった。それでも構わないと静香は思った。
 口付けをしたままベッドに辿り着くと、のび太は一から前戯を開始した。
「待って、今日だけは上手にしないでほしいの。
 お互い初めてみたいにぎこちなくて、後で笑っちゃうような思い出がいいわ」
「『みたい』じゃなくて、僕も初めてなんだよ? 本物の女の子とはね」
 のび太は静香の乳房を吸い、太ももを撫で回し、
 適当にクリトリスを舐め回したあと、開脚したご本尊に向き合った。
 いじりたいだけいじって、さっさと挿入。
 そういうのがありきたりの初体験談にはふさわしいと思ったからだった。
「ここも復元しようか?」
「すごく痛かったから嫌よ。せっかく破いてもらったのに、もったいないわ」
「じゃあ、気持ちだけの初体験だね」
「違うわ、今日中ならいいの。のび太さんが満足するまでが初体験だもん」
「家に着くまでが遠足ルール?」
「そうよ」
「そりゃいいや。僕も賛成だ」
 閨房にはおよそふさわしくない笑い声を上げた後、のび太が真顔になる。
「では、いた~だき~ます」
 のび太は手を合わせて一礼した。
「ちょ、ちょっと待って。それじゃあ何だかおかしいわ」
「じゃあ、どう言ったらいいのさ?」
 静香が思う初体験のイメージを伝えた。
「そんなの古いよ」なんて笑われたが結局採用になった。二人とも待ちきれなくなったのである。
 のび太は再び真顔になる。
「僕で後悔しないかい?」
「ええ、あなたのために守ってきたんだもの」
 のび太は『真実の姿』をクリトリスになすってお互いの帽子を脱がせ、呟いた。
「い、挿れるよ?」
「……優しくしてね」
 静香は満足そうに目を閉じた。

 静香の中はガバガバなどではなかった。
 リアルサイズのび太ですらしっかりホールドするどころか、
 ローションまみれの手で握り締めたよりもきついぐらいだった。
「こんなにきついマ○コだったら、さっきのは痛かっただろう? ごめんよ、しずかちゃん」
「もうちょっとロマンチックな謝り方って無いの?
 ……マ○コなんて露骨過ぎるわ。……マ○コなんて可愛くないじゃない」
 ――何か、またわざと言ってるような気が……。
「今日はそういうの無しじゃなかったのかい?
 それとも、我慢できないの? マ○コにおちんちんを挿れられちゃったらさ~。
 やっぱりしずかちゃんはスケベだな~」
 静香の目が妖しい色を帯びる。
「マ○コにおちんちんが入ってるのね……。
 わたし達、つながってるのね……。
 お肉の壁とお肉の棒が混ざり合っているんだわ……。
 粘膜と粘膜が仲良しさんなのね……」
 静香は自分の言葉にプッと吹き出した。
「やっぱり今日はやめておくわ」
 のび太は一つうなずいて、自分の作業に集中した。
「のび太さん、気持ちいい?」
「もちろん気持ちいいけど、あんまりはっきり訊かれるのもなんだかな~」
「わかったわ。じゃあ、黙ってる」
 のび太はメリハリの利いたなかなかの突きを繰り出し続けた。
 こればっかりは手抜きのしようが無いらしい。
 加えて無意識のうちにクリトリスまでいじり回すものだから、
 黙ると約束したばかりの静香が黙っていられなくなってきた。
 断続的な甘い声がのび太の根本に直接響くようだった。
 のび太が前のめりになって抱き締めると、静香はニッコリ微笑んだ。
「あったかいわね」
「うん、あったかいね」
 グニュグニュとディープキスを交わし、『お肉の壁とお肉の棒が混ざり合っている』状況なのに、
 目が合うと小学生の頃と変わらないクスクス笑いばかりが漏れた。

 結局静香は荒々しい絶頂こそ迎えられなかったが、のび太に限界が近付いてきた。
「ごめん、そろそろ……」
「いいわ、わたしも満足してるもの」
 抱き合ったまま、口付けを再開したまま、のび太は腰を速める。
 ――で、出そう! でもあったかくて気持ちいいし……。あ~、いっちゃいそうだ~。
 もうちょっとこのままいたいけど、どうしようかな。もうちょっとだけ……。あと一突きだけ……。
 いやいや、もう一回だけ……。ん? まだまだいけるかな? ……やっぱり駄目だ! 間に合わない!
「あ~~~っ!」
 のび太の動きがピタリと止まった。つながった一部分を除いて。
 静香の下の口の中で新鮮な小魚の感触が跳ね回った。
 しかし、今回の静香はそれを心地良さそうに受け止めていた。
「のび太さん、とっても熱くて……素敵」
 静香の脳裏を「おかえりなさい」という言葉がよぎった。
 待ちこがれた愛しいものが、やっと帰ってきてくれたような安堵感だった。
 生き物としての使命を果たしたような感触に、静香は一筋の涙をこぼした。
 出す物を出し終えると、のび太はムクリと起き上がった。
「ご、ご、ごめん、しずかちゃん! 中で出しちゃった……」
「しょうがない人ね。でも、今日は大丈夫な日だからいいわ」
 用心深い静香は近いうちにこうなることを予測して、安全日なるものを調べておいたのだった。
「そうだったのか~、早く言ってよ~」
 のび太は安心しきったように再び静香を抱き締める。
「だって、慣れちゃったら困るでしょ? そのままが当たり前になっちゃったら危ないわ。
 さっきはああ言ったけど、大学を出るまでは待ってくれるわよね?」
「わかってるよ、気を付けます。でも損したな~、せっかく堂々と中出しできたのに……」
「残念でした。もう教えないから今度はちゃんと『お帽子』を着けてね?」
「ゴムなんてやだよ~。気を付けるからいいだろ?
 そうだ! 安全日ならこのままずっとつながっててもいいんだよね? 元気になったらもう一回しようよ!」
「もう、……今日だけよ?」
「わ~かってるって」
 なんだかんだ言って、静香もあの熱い感触をもう一度味わってみたかったのだった。
 二人はつながったまま『あの頃』の思い出話などしながら復活を待ち、そのままもう一回戦繰り広げた。
 静香の痛みもほとんど無くなり、のび太のテクニックが大活躍した。
 ほぼ完璧に絶頂のタイミングが一致し、深く満たされた一戦であった。
 だが、この一回が命取りになった。