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「言わば明晰夢の様なものだ」
特別修行が始まって幾日目か、全裸でベッドに座るネギにエヴァが言う。
「持久力の鍛錬であると同時に、この事に対する貴様の意識を探る。
リミットはこの砂時計の終わりまで、それまで手を止める事なく耐えてみろ。
さあ、私の目を見るんだ…」
エヴァの言う通り、ネギは、
自分のコントロールを離れたもう一人の自分がテクテクと歩いているのを感じていた。
歩いている「もう一人のネギ」を「感じている」ネギは、
「もう一人のネギ」の行動をコントロールする事は出来ない。
しかし、五感は完全に共有していた。

「行動するネギ」は、当たり前の様に麻帆良学園中等部バスケ部の部室のドアを開け、中に入る。
「あ、ネギ君」
他の部員もひしめく中、裕奈も又、当たり前の様ににこっと笑って制服のブラウスを脱ぐ。
「ひゃっ」
腰を曲げてユニフォームの上着を取ろうとした裕奈が、可愛い悲鳴と共にブラを外した。
「きっつかったからにゃー」
「なーにゆーな、まーた急成長ー?」
ホックの壊れたneo柄もといストライプ柄のブラを摘み上げてぶらぶらさせる裕奈の回りで、
他の部員も丸っきり女子校体育会系ノリでカラカラと笑っている。
「にゃはははー」
ネギ(行動するネギ、以下同じ)は、そんな裕奈が頭を掻いて、
ヌーブラを張り付けた胸をたぷんたぷんと揺らしながらタンクトップを着るのを
正面に立ってとっくりと眺めている。
そのまま、裕奈がスカートを脱いでパンツに履き替え、他の部員と共にぞろぞろと出て行くのを見届けてから、
ネギは裏口から退散する。
表口と裏口に立った裕奈とネギは、互いに振り返り、笑って手を振って分かれた。

素晴らしいフォームで飛び込み、泳ぎ切ったアキラは、その日の練習に満足してプールを上がる。
プールサイドをうろつくネギににこっと笑みを見せたアキラは、
そのままネギの見ている真ん前でプールサイドのシャワーを浴び、
張り付いた競泳水着越しに惚れ惚れとする様な豊かなスタイルを見せる。
更衣室でアキラは、バスタオルで体を拭き、ぺろりと水着を脱いで生まれたままの姿になる。
理想的なスイマーと言うには少し胸が大きすぎるかも知れないが、
無理なく鍛えられ、のびのびと育った白く豊かな裸体を隠そうともせず、
傍らに立つネギの側でアキラは淡々と膝を曲げて白いショーツを上げ、水色のブラを填める。
髪の毛を後ろで束ね、制服を一枚一枚身に着けていく。

夕闇の中、秋口の山中で鼻歌を歌いながら長瀬楓がドラム缶の五右衛門風呂を上がる。
楓と、近くをテクテクと通りかかったネギが互いに手を挙げ笑顔で挨拶を交わすと、
楓はバスタオルでごしごしと髪の毛を、体を拭き、下着を着けて忍び装束に身を包む。
また、手を挙げてネギと楓は分かれた。

ネギは、ここで思わずごくんと息を呑んでいた。
「コタローくーん、一緒に入るー?」
「バ、バカ、入る訳ないやろっ!」
「オホホホホ」
ボランティアの残業の上、にわか雨に降られた那波千鶴が、
寮の自分の部屋に戻ると脱衣室で朗らかな笑い声を上げた。
そして、水を吸ったブラウスを脱ぎ、ネギの目の前にお洒落な黒い下着からはみ出しそうな
双つの豊かな膨らみが無造作にこぼれ出る。
千鶴が鼻歌をハミングしながらスカートを脱ぎ、下着も脱衣籠に入れて、
落ち着いた仕草で浴室に入りシャワーを浴びるのを、
浴室のドアをすり抜けて後を追ったネギはほーっと眺めてしまった。

「涼風」の入口で、女子校生活MAXな性格のハルナが全裸のままカラカラとネギに笑みを向け、
たっぷんとした豊かな膨らみと共にネギの視界を通り過ぎ、
その脇で、体にきっちりタオルを巻いたのどかと夕映も、ぺこりと頭を下げてネギの横を通り過ぎる。

学園の方々をうろつき回っていたネギは、いつしか岩の上に座っていた。
周囲は、ミルク色のもやに覆われ、その先から何やらぱしゃぱしゃと水音が響いた。
もやの奥から、何やら肌色の形が見えてくる。
さあっともやが晴れる。
そこに見えたのは…

「はううっ!」
エヴァ・リゾート秘密特訓室で全裸のままベッドの上に座り、あられもない声を上げたネギが、
自らの掌に掴んだ熱いものから声にも負けぬ勢いで迸らせていた。
「そこまでか…」
ゾクッとしたものを覚えたネギが後ろを向くと、
不敵な笑みを浮かべたエヴァが十分の一以上を残した砂時計を指で倒した。
「なるほど、やはりお姉ちゃんのおっぱいか、んー?」
「うぶぶぶっ」
後ろに回った全裸のレディ・エヴァが、
右腕でネギの頭を小脇に抱えネギの頬を自らの豊かな膨らみに押し付けていた。
「さあ、言いつけを守れなかった分も含めて、その甘ったれの性根をきっちり鍛えてやらないとな、
きっちりとな、んー?」
「ヒィィィィ…」

「ただいまー」
「お帰りネギ君」
「お帰りー」
ネギが643号室に戻った時には、既にとっぷりと陽も沈んでいた。
珍しく机に向かっていた明日菜が立ち上がり、ネギに近づく。
「ちょっとネギ」
「はい、明日菜さん」
既にとろんと瞼の閉じかかっているネギが返答する。
「あんた、ちょっとどっか悪いんじゃない?」
明日菜がコツンとネギの額に自分の額を当てると、不意にネギの頬がかあっと熱くなった。
「い、いえ、何ともないです」
バッと距離を取ったネギが、千鳥足でロフトに向かい梯子に額をぶつける。
その脳裏には、眼下の湖を悠々と背泳ぎする明日菜の無防備な姿の記憶が蘇っていた。
ここ数日、どうもネギの様子がおかしいと明日菜は感じていた。
この二学期が始まって間もない頃から、ネギはエヴァ・リゾートで秘密の特訓を受けている。
秘密と言うからには秘密の特訓だ。
何か、口にすると無効になる高等術式の個別指導とかで、
明日菜たちにもよく分からない指導をエヴァから受けている。
今言った理由で、ネギに聞いても特訓の内容と言うのは教えてもらえないが、
それが始まってから、毎晩戻って来るネギのやつれ方は尋常ではない。
いい加減のどかにでも相談して何をしているのかだけでも把握しようかと明日菜は考えていた。

…ギシアン・ギシアン…
「あっ、ああっ」
エヴァ・リゾート、城内の寝室で二人は向かい合っていた。
共に全裸で向かい合い、ベッドに座ったネギの上に腰を下ろして繋がったレディ・エヴァは
豊かな金髪を散らし豊かな膨らみを揺らして貪る様に揺れ動く。
「…ナギッ、ナギッッ!!」
共に、一糸まとわぬまま向かい合った二人、
ネギは喘ぎ乱れる姿をそのまま晒すレディ・エヴァをぎゅっと抱き締め、自らも限界を迎え解き放った。
「…済まない…」
荒い息を吐きながら、エヴァは素の姿で口を開いた。
「…分かっている…お前はネギだ、奴ではない。お前はネギ、一人前の男だ。
分かっている…分かっているのに…」
言い募るエヴァを、ネギがきゅっと抱き締めた。
「分かっています、マスター」
その、優しい声音にエヴァはぐっと詰まりそうになるが、代わりに力強く抱き締める。
「前後のマナー、薬学、解剖学、秘孔経絡に至る東西の裏の医学…頭脳と言い立ち居振る舞いと言い
貴様の飲み込みは優秀そのものだったよ。
ベッドの上での実技に至っては、私がマスターでいられたのはほんの三日にも満たず、
私は訓練と称して浅ましく貴様を求めるだけだったな、ん?この天然遺伝女たらしが?」
「あうう…それは、マスターが色々と…」
不敵な笑みを浮かべたエヴァが、ぐしゃっと頭を撫でた。

「さあ、色ぼけの頭をしゃっきりさせるぞ、まずはここまで、
ここからはこの特別修行に費やした通常修行を取り戻す」
エヴァがパチンと指を鳴らすと、控えていた茶々丸姉が部屋を出る。
そして、茶々丸を引き連れて戻って来たのだが…
「ひいぃっ!」
「よし、茶々丸、事情により少し遅れている、その分の稽古を付けて取り戻してやれ」
「はいマスター」
「あああの、マスター、何か、茶々丸さんから何かドス黒いオーラがドロドロと…」
「さあ、参りましょうネギ先生。手加減抜きの最強王者プログラムでお相手させて頂きます」
「ち、ちょっ、マスター、あのっ、僕っ、今日もあんなに、凄く疲れて…」
「馬鹿者、あの程度で腰が抜けるヤワな鍛え方はしていない、そうだな、茶々丸?」
「イエス・マスター」
「ひいぃぃぃーーーーーーー…」
機械的に無機質な発声で誘う茶々丸に連行され、ネギの悲鳴は闘技場へと消えて行った。

「ネギ先生」
茶々丸との壮絶な組手を終え、夜道を帰路につくネギが振り返る。
「ああ、夕映さん」
「はい、夕映です。急ぎお話があるです」
振り返ったネギはそこに夕映の姿を見付け、彼女が口に付けているくちばしみたいな飾りを気にする事もなく、
促されるまま彼女に近づいた。
「これは、今日図書館島で発見された文書です。
お父様の重要な手がかりを示す文書です。しかし、時間がなさそうなのです」
「時間がない?」
「はい、どうやら別筋のトレジャーハンターに、もうすぐそこまで狙われている節があるです。
お宝と間違われて荒らされたら取り返しの付かない事になるです」
「分かりました」

杖に二人乗りしたネギが向かったのは、麻帆良近郊の山林だった。
「ライター?」
山林に降り立ったネギは、背後で手に持たれたライターが点火し、夕映の姿をぼうっと照らすのを見た。
その手で近くに置かれた林檎箱の中に立てられたシナリオ・ライターの中には、
以下の通りのシナリオが挿入されていた。

  偽ネギ、フリーサイズぬいぐるみカメラ
  で作った綾瀬夕映の着ぐるみを着たまま、
  シナリオ・ライターを林檎箱の中に立て
  る。
  偽ネギ、口からうそつ機を外す。
  偽ネギ、林檎箱の中に手錠を二つ置く。
  偽ネギ、ネギの視界から姿を消す。
  ネギ、偽ネギに渡された文書の目印の通
  り、土を掘り返す。
  ネギ、掘り出した箱を開ける。
  ネギ、箱の中から四次元ポケットを取り
  出す。
  ネギ、ポケットの傍らに置かれたメモを
  読み上げながら四次元ポケットに手を突
  っ込み中身を掴み出す。
  ネギ、ポケットから取り出したフエルミ
  ラーのスイッチを入れる。
  ネギ、フエルミラーを覗き込む。
  フエルミラーから飛び出した偽ネギが四
  次元ポケットを奪って逃走する。

  偽ネギ、四次元ポケットからタンマウォ
  ッチを取り出す。
  偽ネギに四次元ポケットを奪われ、為す
  術もないネギを尻目に、偽ネギ、タンマ
  ウォッチのスイッチを押す。
  -この回・了-

四次元ポケットとタンマウォッチを手にした偽ネギは、きょろきょろと周囲を伺っていた。
そして、改めて掘り出されたお菓子の金属箱を見る。
箱の底には、一冊のノートが敷かれていた。

半信半疑の表情でノートを読み進めた偽ネギは、ノートの記述で指示された通り、
林檎箱の中の手錠を手にしてからネギを裸に剥き、手錠でネギの両手両足首を拘束した。
「なっ、何っ!?」
気が付いた時には全裸で地面に這わされ両手両足を拘束された絶体絶命の現実すら認識し切れないネギは、
顔を上げた時に見た顔にも著しい現実感覚の欠如を感じた。
タイムロックを解除し、邪悪な笑みを浮かべてそんなネギを見下ろした偽ネギは、
さっさとポケットから瞬間固定カメラを取り出した。
余計なお喋りなど入り込む余地無く、後ろ手錠を填められた上、
両足首にも手錠を填められて無様に這いつくばるネギを撮影して当面の脅威を確実に回避した後、
偽ネギは、綾瀬夕映の姿のまま破戒シスターの待つ過去に戻った前の偽ネギが残したノートを読み進める。
そして、そこに書かれた通り、四次元ポケットからメモリーディスクと分身ハンマーを取り出す。
偽ネギが分身ハンマーで自分の額を叩き、分身がメモリーディスクを操作する。
分身が今の偽ネギの記憶から、前の偽ネギがいた期間の記憶、
今の偽ネギの場合はフエルミラーに姿を映した実体となる
「ネギ」の記憶が詰まっているその期間の記憶を抜き取り、
その空白の期間に、前の偽ネギからディスクに抜き取ってコピーした記憶を注入する。
「うぐあぁあぁあ!!!」
ノートを胸に抱いたまま偽ネギが絶叫する。
頭の中で天使の様な「ネギ」の記憶と修羅を歩んで来た前の偽ネギの記憶が再び統合された偽ネギが、
は虫類を思わせる表情でぐわっと目を剥いた。
「勝った…
計 画 ど お り」