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“藍の思い出、希美香の夢”



……
…………
……………………。
「……はっ!」
洞沢希美香は、目を覚ました。
目の前には綾城藍の姿がある。
「私が見せてあげられるのは、ここまでです」
藍は頬を染めて視線をそらしながら言った。


昔、小学校を卒業したばかりの頃。
テレビ番組の中でインタビューを受けた藍は、その可愛らしさと個性的なキャラクターゆえに
何回もその番組に出演した事があったのである。

ある時藍は、当時流行っていた美少年アイドルタレントとその番組で共演した。
少年と藍はお互いの事を何とも思っていなかったが、周囲は放っておかなかった……
話題になるから……人気を取れるから……

写真週刊誌。ゴシップ記事。
物事の真実を理解する能力に欠けた少女達は、激情のままに藍に怒りをぶつけた。
「生意気なのよ!人気が出たからって調子に乗ってんじゃないの!?」
「あんたは悪い虫なの!彼に近付かないでよ、気持ち悪い目して!」
「何様のつもり!?彼をひとりじめしていい気になって!」


テレビ局の地下駐車場まで追いかけて来た少女達は、暴力でしか語る事ができなかった。
人の言う事を聞く耳など、持ってはいなかった。
それを止めたのが……

「……何を切ろうとしたんだ?……服か?髪か?肌か?」
笹本夕貴その人だった。
「その、なんたら言うアイドルが誰なのか知んないけど……」

「あんた達……本当にそいつの事が好きなのか?心の底からそいつの事を大切に思ってるのか?
 この子を傷つけるのが、本当にそいつのためになるってのか!?アタマ冷やしな、ガキども!
 他人を思いやれない奴が人の事を想おうなんて!百年早いんだよ!!」

利き手である右手で……バタフライナイフの刃を掴んだまま。
コンクリートの柱に叩きつけて、ナイフをへし折った。
その情景は、今もなお藍の脳裏に焼きついている。

そして……優しく抱きしめてくれた。
その時の夕貴のぬくもりを、そして熱い血の感触を、藍は一生忘れる事は無いだろう。


そして現在の綾城家。藍は希美香の頭からヘッドホンのような機械を外した。
『録験機』に、藍がついさっき『タマシイム・マシン』で見て来た情景をそのまま録験したもの。
「私が見せてあげられるのは、ここまでです」


ボーッとしている希美香に向けて藍は言う。
「ここから先は、私と夕貴さんだけの大切な思い出……希美香さんは希美香さんだけの思い出を、
 夕貴さんと共に……紡いでください」
「あ……」
そんな大切なものを……見せてくれたのか。
その……アレな行為に発展するまでの、大切な時間を。見せてくれたんだ。
録験機といったこの機械、こんな事ができるという事も驚きだけれど、それ以上に嬉しかった。
「じゃあ、希美香さん……私のお友達として、そして正式に夕貴さんをめぐるライバルとして」
藍が微笑み、ちょっと照れながら右手を差し出す。
「これからも、よろしくお願いします」
希美香はもちろんその手を取った。
藍と希美香、お互いはにかみつつ手を離す。
2人とも握った後の手をもてあましているのが愛らしい。

「……それで、ですね」
藍は顔を赤くしながら、畳に1本のカセットを置いた。
「?」
希美香はキョトンとしてそれをじっと見つめる。
藍のほうを見ると、まだ目をそらしていた。
「これ……何ですか?」
とりあえずそのカセットを手に持って、藍に尋ねる。
「……夕貴さんの、その……ひ、ひとり……えっ……ち、の、録験テープですよ……」
希美香は思わずカセットを取り落とした。


夜。
なんだかんだ、すったもんだと、色々あったものの……
結局希美香は断らなかった。
ボロアパートの2DK、母との2人暮らしの上に防音がしっかりしていないから不安ではある。
だが。希美香は、こういう事をするのは初めてではない。
希美香は小学校の終わりからここに住んでいるが、中2の頃からものを覚え始めた。
……どうも隣には住人がおらず「そういう商売」に使われているらしいのだ。
真夜中の嬌声に我慢できなくなった事も多々ある。

「夕貴……センパイ……」
希美香は布団の中で自らの肩を抱く。
思い出すのは思わず背中に抱きついてしまった、あの時の事。
優しく抱き寄せてくれた柔らかな胸……
涙を拭ってくれた滑らかな唇……
抱きしめてくれた時は、じんわりと伝わるその肉体の温もりにドキドキして。
こちらから抱き返した時は、手に触れるつややかな黒髪の感触にドキドキして。
心臓の鼓動を聞かれているような錯覚にドキドキして……
「んん……」
希美香は肩をかき抱くように全身をぎゅっと縮め……
ふと、目が止まった。
昼に藍から借りた録験機とカセット。
胸のドキドキを抑える事ができず、少しずつ手を伸ばす。
落ち着いてヘッドホンをつけ、パジャマを脱ぎ、腰の下にタオルを敷いて、スイッチを……入れた。


同時刻、綾城家。
「んっ……」
来た、と藍は思った。
今日の夕食の後、希美香に歯磨きガムと言って食べさせたもの……
効果をちょっぴし変えた『おすそわけガム』の効果が出ているらしい。
化学薬品のプロ、夕貴が改造したものだ。
「まったくこういう事には努力を惜しまない人なんですから……ん、んんっ……」
希美香が本格的に「入っている」らしい。胸のしこり、秘所に感じる熱は、おそらく希美香のもの。
味覚ではなく触覚をおすそわけ、というわけだ。
「希美香さん……私も……」

私は多分、希美香さんの事も好きになってしまったんでしょう。
毎日学校が終わるとすぐにアルバイトに駆けて行く姿。
綺麗だと思いました。
道具を使って、楽をしてお金を手に入れようと思った自分を恥じたくらいです。
財産を増やす事が目的じゃなく、働く姿そのものが綺麗だと思ったのは初めてでした。
でも……希美香さん。
娯楽は必要ですからね。
私が、夕貴さんが、楽しい事をいっぱい教えてあげますから。
え、えっちな事ばかりじゃなくて……楽しい事を。

誰にともなく思考の海の中で言い訳を繰り返し、藍は自分の秘所に手を伸ばし始めた。
「ぁ……んっ……あ、は……んぅ……」


夕貴の胸は、柔らかかった。
今触れているのは自分の痩せた体ではなく、夕貴センパイの綺麗な体。
柔らかい。
普通の女の人はこうなんだ。
脂肪のほとんどついていない自分なんかじゃ、比較にならない。
すごく気持ちいい感触。
「あ……っ!」
両の乳房の頂点をつまんで、強く押しつぶすように刺激する。
時に柔らかなふくらみに押し込むように、時に痛いほどに引っ張って。
切なくなってきた股間をシーツにこすりつけ押し付ける。が、そんな小さな刺激じゃ満足できない。
でも直接は触らない。
「(セ、センパイ……!)」
希美香自身が焦らされているように感じてしまう。

それはそうだ。元々このテープは、夕貴が藍に見せるために作ったのだから。
「(センパイ、お願いしますっ……私、私もう我慢できませんっ!)」
その時、ダイレクトに秘所に刺激が伝わる。
「(ひゃっ!?……え?)」
希美香本人の指が、秘裂の外側のヒダに触れているのだ。
夕貴の「録験」は、いまだ両の胸の突起を弄っている。
「(えっ……あっ、気持ちいい……気持ちいいです、センパイ……)」
まるで自分でしながら、夕貴に胸を弄ばれているような感覚。
希美香は、ますます行為にのめりこんで行った。


「あ、んっ、あああああっ!」
藍は自分の指を秘所と菊門に押し付け、その刺激を全身を使って甘受していた。
昼間『機械化機』で、バイブレータの機能をストックしておいたのだ。
つややかな髪が乱れ、寝間着はとうに大量の汗を吸って肌にはりついている。
そして自慰行為そのものへの恥じらいが、自分自身へのちょっとした嫌悪感が、性感を高めてゆく。
藍の小さな体が布団の上を跳ねる。
うつぶせになって腰を高く上げたり、仰向けになった時は脚をしっかり開いていたり。
「夕貴さん……夕貴さんっ……!」
夕貴に開発された性感は、たとえ人の目が無くとも卑猥に、淫靡に、藍の肉体を飾っていた。
「夕貴さん、そして希美香さん…………好き、です!」

かたや希美香の方も佳境に入っている。
本人は気付いていないが、希美香自身の感覚と夕貴の録験の感覚だけではない。
藍のおすそわけも加わっているのだから。
そのぶん本人の性感は半減しているものの、微妙に違う感覚が3つも複合されているのだ。
そんな事が問題にならないくらい感じる事ができている。
「(センパイ……センパイ、センパイ、センパイ!好きっ、好きですぅ!)」
ようやく夕貴が股間を擦り付けはじめてくれた。
乾いていたシーツの感触がほどよい刺激となり、そしてだんだん湿り気を帯びてゆく。
自らの体液で濡れてゆくシーツの感触は背徳感となり、希美香の情欲を煽る結果にしかならない。
右手の指全体を使って陰唇をはさむように撫で回し、左手は左胸の突起を弄くる。
夕貴の右手が秘所を掻き回せば、希美香は淫核を刺激する。
夕貴の左手が胸に伸びれば、希美香の左手は右胸を揉みしだく。


録験の中で、夕貴の嬌声が自分の喉から出ているような錯覚を覚えつつ。
『んァっ!あっ!ぁんっ!』
「(センパイ、感じて、感じてください……!私も、私ももっと感じさせてください……っ!)」
希美香は登りつめていく。
「(好きっ、好きぃ!センパイ!センパイっ……!)」

「夕貴さん……希美香さん……夕貴さん……あああああーーーーーっ!!」
うわごとのように繰り返し、藍は凄まじい背徳感の中で絶頂を迎えた。

「夕貴センパイ……」
録験機が外れ、自室の光景が目の前に広がる。
希美香はほんの少しの空しさを覚えた。が。
「い、いつでも……私が望めば……して、くれるですよね」
好きという感情が有る事はもう完全に理解しているし、藍の許可だって得ている。
希美香は……夢の中でも夕貴に会えたら、と。
心地良い疲労の中、幸せを感じながら眠りに落ちて行った。

かたや、藍。全身汗だくになってしまったため、シャワーでも浴びようと思って風呂場に行くと。
「……なんでお風呂にお湯が張ってあるんですか?」
つい2時間前、残り湯を使って洗濯をしたはずだ。お湯が残っているわけがない。
とすれば、考えられる可能性はひとつ。……彼方が沸かしてくれたのだろう。
「……理解のあり過ぎる兄も……考えものかも知れませんね……」
藍は頬を染めながら脱衣カゴに服を入れていった。