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ドラえもんとドラミちゃん 芋串さん 「う~ん、悪戯のネタも、底をついて来たなぁ…」  蒼井 頭次は、目の前のポケットを弄びながら、呟いた。例の四次元ポケットを拾って、既に二週間 が経つ。ポケットを探ればどんな物でも簡単に出てくるポケット、可能性は無限にあっても、それを使 う人間のアイディアによって、その用途は如何様にも変わり得る。  蒼井の場合は、専ら『他人を弄んで、楽しむ』と言った、小学生的な、悪戯敵好奇心によってのび太 的行動を繰り返していた。学校の担任の秘密を全校に暴露したり、&color(blue){『アベコンベ』}や&color(blue){『物質変換銃』}等 の物の形や性質を変える道具で、あちこちの人間を罠に嵌めては、その反応を見て腹を抱えて笑い 転げていたのだ。 「なあ、どうすればもっと楽しい事になると思うか、『どらみ』?」  彼は向かいに座った、十五歳くらいの少女を見た。 髪は肩くらいで切り落とした金髪で、大きな赤いリボンを纏っている。 『どらみ』は、笑顔でこう答えた。 「それじゃ…お兄ちゃん、もっと面白い遊び、しない?」 「面白い~? 大体、元が猫のお前にとって、面白いといったらネコジャラシとか、ボールとか」 「そんなんじゃ無いわよ、もう! 私が提案したいのは、」  『どらみ』は、徐に蒼井の手からポケットを奪い、中から&color(blue){『万能プリンター』}を取り出した。 「アルバム作成ッ♪」 「アルバム~?」  蒼井は、軽く眉をしかめた。&color(blue){万能プリンター}とは、元の画像をあらゆる形に変換して印刷できる、便 利な品物である。大方、目の前のお気楽少女は、ブラブラと旅行にでも行きたい、などと言うつもりな のであろう、と考えたからである。 「そっ。他人の恥ずかしい写真を撮って、それを保存するの」  ブッ! 蒼井は、思わず口に含んだコーヒーを軽く吹きだした。…まったく、何を言っているんだこの 少女は。いや、元々自分に懐いていた子猫を&color(blue){『進化退化放射線源』}と&color(blue){『コジツケール』}で人間らしくした もんだから、乙女心に欠けるのは否めないが…。 「あーあ、汚いなあ、もう。そりゃあね、私だって一応、年頃の女の子だから、こんな事したがるのはど うかって思われるかも知れないけど。でもさ、お兄ちゃんが私をこんな姿にしてから、昔からの趣味 だった『覗き&ヲチ』が出来なくて、欲求不満なのよ。…ほら、私元が野良だから」 「だからってなあ、流石に俺にそんな勇気は…」  暫く膨れっ面をしていたどらみが、何かを思いついたように、手をポンと叩いた。 「…じゃあさ、このアルバムの一冊目が埋まったら…あたしの、バージン、あげる」  ガゴッ! 蒼井が、激しく机で頭を打ちつける。…お陰で、折角吹いたコーヒーが、自分に向かって倒れてきた。 「…あちーっ! どっ、どこで覚えたんだよ、そんな言葉!」 「えへへ~。そんな事はどうでも良いから、さ」 「いや、良くなっ」  次の瞬間、蒼井の唇に、何かが触れた。…柔らかく、それでいて張りのある、心地よい感触。顔全体が紅潮し、息が詰まるような感覚。 「ど、どらみ…?」  ようやく蒼井が状況を飲み込んだ次の瞬間、どらみは身軽にテーブルの上にひざまづき、蒼井の 肩に手を回すと、再びその唇を奪った。…程なく、どらみの舌が口内に攻め込んで来たが、それに反 撃する術も無く、あっという間に蒼井の思考を痺れさせられてしまった。どらみの舌は、尚も丹念に蒼 井の口内の性感帯を這いずり回り、それは、蒼井が窒息する寸前、まさに三途の川が見えかける瞬 間まで続いた。 「…んっ。どう、乗ってくれる気になった?」 「はい…」  どらみは、よだれでベトベトになった蒼井の口をハンカチで拭いながら、言った。 「えへへ、舌まで進化させちゃったのは失敗だったねー。…大丈夫、お兄ちゃんも絶対嵌るって、この遊び」  どうしてこうも、元ネタとかけ離れた子になっちゃったんだろう。蒼井は、酸欠気味の朦朧とする意識の中で、必死に答えを導き出そうとしていた。 ★★★ NEXT 1-2 [[前に戻る>その他の作者の方々]]

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