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「唯物教材-第4話」(2010/02/12 (金) 01:08:01) の最新版変更点
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* * *
舞台は、教室後方ビニールシートの上に敷かれた体育用マットの上に移されていた。
「はあんっ、ああっ、はあああっ」
「うっ!」
マットの上に仰向けになった唯の上に、一人の男子生徒がのしかかっている。
他の生徒同様既に全裸となっていた彼は、もはやローションも別の液体もべっとりなのも構わずに、
ぷるぷる揺れる豊かな膨らみをぎゅっと痛い程に掴みながら、唯を貫いた腰をぎしぎし動かし続けて力尽きる。
こんな事は、今の唯にとって当たり前の事、真正面からハレンチと考えていればとうに精神崩壊していた。
だと思ってやり過ごそうとしても、唯自身の昂ぶった肉体はどうしてもそれを許してくれず、
そこから派生する歓声もクスクス笑いも、
何よりそのあられもないハレンチな自分自身の反応が唯の心に突き刺さり続ける。
「んっ、んんんっ…」
「おおっ、やっぱ吸い込まれるぅ」
「ユイちゃんのお手々柔らけー」
熱い塊が上下する度に奥底に伝わる甘い響きをぐっと我慢する。
その仕草が又周囲をそそっている唯に一人の男子生徒がのし掛かり、
己の反り返った男性のシンボルを柔らかく豊満な谷間に埋め、
びゅっびゅっとローションを注ぎ込むや両手で膨らみの外側から挟んで腰振り上下させる。
そうされている唯の両手は似た様な熱く硬い逸物を握り、促されるまま、
元々の物覚えの良さと強制された従順さを発揮して巧みな手つきでしごき続ける。
「キタ―――――――――――――――――――――――!!!」
「発射オーラーイッw」
生理的というか医学的な反応で目を閉じる唯が感じるたまらない汚辱感、悪臭。
やんやの喝采と、その雄々しい脈動を感じ取った豊かな乳房から、腰の奥へと突き抜ける様な何か。
又、それと共に熱く潤う感触が唯の高潔な精神に鋭く突き刺さる。
「はんっ、ああんっ、ああっ、はああっ!!」
「いいねーぶるんぶるんー」
「アヘアヘエロエロたまんねー」
マットに寝そべった男子生徒の上で、その男子の腰をむっちり太股でまたぎ上体を起こした唯が、
下半身接続状態で激しくその身を上下させ、激しく喘ぎ声を響かせる。
その身から突き上げるものを隠そうと言う気力も尽きかけ、
また、それを気にしていたら心が壊れそうになる。
「おーっ、イク?又イッちゃうのユイちゃん?」
「はああーっ!あああっ、イクッああっイクッイクイクイクーッ!!」
「うおおおっ」
「おおーっ!!」
唯の絶叫、どうと沸き上がる教室と共に唯の背筋がピンと反り返り豊かな胸が誇らしげに突き出される。
次の瞬間に唯はきゅっと口を結び目を閉じたが、全ては後の祭り、全ては見られ知られた後。
むしろ、その押し込めようとする仕草がかえってそそる。
今はただ、ガックリとその柔らかな白い裸体で覆い被さるばかり。
「んーっ、んーっ、ふーっ、んー…」
「おおっ、いいっ、やっぱこれ」
「ほらー、支えてあげるー」
「んんっ!」
マットの上に膝立ちになって上体を前に倒しながら、
普通の意味の口も俗に言う下の口も塞がれている。
パン、パンと、背後から貫き柔らかな尻肉を打つ下腹部の音が教室に響き渡る。
唯の両手にもしっかりと握らされ、正面の男子生徒に前髪を掴まれ何とか腰で姿勢を支えていた唯が、
既にバサバサに乱れても艶やかな黒髪をガバッと掴み上げられ、くぐもった声を上げた。
「んんんっぷはっ!!」
そんな自然な黒髪、紅潮して膨らんだ頬に、容赦なく欲情の洗礼が降り掛かる。
目を白黒とさせる唯の唇から、ぬらぬらとした肉塊がじゅぽっと引き抜かれる、
その整った美貌に真正面から熱い放出が浴びせられる。
「はあっ、はああっ、はあっ、はああっイクッ!イッいくいくいくいくうぅーーーーーーーーーっっっ!!!」
頭部の支えを失いガクンと垂れた唯の顎が又くっと持ち上がる。
少しの間ガクンガクンと背後から揺すぶられていた唯の裸体。
既にガラガラに涸れ始めた絶叫と共に、その唯の背筋がピンと反り返り、白い喉が露わになる。
既にそこここを黄色っぽく飾られた黒髪がバサッと揺れて、前から上を見ていた唯の首がガクンと垂れる。
そのまま、唯の豊かな乳房は自らの体重でマットの上に押し潰され、額がゴツンとマットに当たった。
欲望を吐き出した男子生徒が唯の背後でふーっと座り込み一息ついた辺りで、
別の生徒達によって、唯の体がごろりと転がされる。
マットの上に仰向けに転がされた唯は目元を赤く染め、
うっすら開いた瞼からとろんと潤んだ瞳を覗かせながら、唇から僅かに吐息を漏らす。
柔らかく豊満な程のバストが荒い呼吸でふるふる震え、色白の裸体はぽーっとピンク色に染まっている。
「いきまーっすっ!」
「はうっ!」
「やーっ、まだイクーw」
「はっはっはっはっはっ!!」
「はんっあんっああんっあんっあんっ!!」
「おーっ、まだまだイケソー古手川二号ーっ!」
「おおっ!」
「ああっイクッいくうっ!!」
マットの上、男子生徒が覆い被さる下で、唯が絞り出した声と共に、
マットから僅かに浮き上がった唯の背中がパタンと着地した時、
唯の唇から桃色の舌先が僅かに顔を出していた。
「ふーっ」
覆い被さっていた男子生徒が悠々とマットを離れる。
マットの上では、そのほんのり桜色に染まった柔肌にも
バサバサに乱れ広がる黒髪にもそこら中に情欲の痕跡をこびりつかせた唯の裸体がぐんにゃりと伸びている。
それも、いまだため込まれたものがごぼごぼ溢れている下半身の惨状よりはマシとも言える。
五校時目と六校時目を一杯に使った特別授業一日目も今や終盤、
梅雨槻は予めここにいる男子生徒全員のクローンを「クローン培養基」で培養し、
授業に参加した生徒の肉体は、当初はクローンの肉体、途中からオリジナルの肉体を使っている。
それは、「きょうじき」や「タンマウォッチ」を駆使した時間の間に、
「入れかえロープ」でクローンとオリジナルの頭の中身を入れかえ、
「メモリーディスク」や「ワスレンボー」で記憶を操作しているため、
参加している生徒としては、全くその様な事を知らない。
オリジナルの生徒自身が一貫して授業を出ているとしか自覚していない。
そんな男子生徒一クラス分総掛かりで征服の限りを尽くされながら尚、
女体のそこここからくすぶっている情欲の炎が消えない。
それがあのコンクリ級スーパークソマジメ潔癖スタイル抜群美少女風紀委員古手川唯そっくり、
だと言う事が周囲の男子生徒の何かを途方も無く突き上げる。
そんな中の一人、見た目にもあからさまな男子生徒に狙いをつけた梅雨槻が
自らは「かくれマント」で身を隠しつつ「シナリオライター」を着火する。
目をぱちくりさせた男子生徒が唯の横たわるマットに近づき、いきり立つものをしごき始めた。
「シナリオライター」を消火し短時間に設定した「ワスレンボー」で脳天を一撃しても手の動きは止まらない。
それどころか、マットの周囲は男子生徒に取り囲まれ、連鎖反応が広がる。
「ふうっ、んんー…」
「わー、まだサカッてるー…」
「発情に発情してるー?」
その囲みの真ん中で、唯はのろのろと臍から下へと手を伸ばし、
まさぐり動きに合わせてその身をヒクヒク震わせ荒い息を漏らし始める。
まさぐる下で、本来最も聖なるものを守って来た少女のその部分は、
自ら分泌した潤滑油をたっぷり溢れさせてなお痛々しく充血して押し開かれ、
もちろんこの一度だけではない、黄色っぽく粘っこい液体がごぼごぼと溢れ返ってとまらない。
それを見て、取り囲む男子生徒の集団はますますもってしごく手の動きを早め、早々に放出させる。
発情の相乗作用と言うか相互オナ○ー以外の何物でもない情景に、
女子生徒達は呆れた声とは裏腹な潤んだ眼差しをそこから外さない。
* * *
プラスチックのスノコの上に大の字に立った唯。
その裸体に冷水が浴びせられても、唯は目を閉じるぐらいしか出来ない。
「大事な備品なんだから、ちゃんと洗って返しなさいってね」
ズタ袋に用意されたバスタオルで応急処置をした後、
唯の首輪の鎖を引いて女子トイレに集まった数人の女子生徒が、スクール水着姿で言った。
清掃用水道に繋がれたホースから唯の体に水が注ぎ込まれ、
実験機材として用意されたタオルでごしごしと磨かれる。
「こっちどーするの?」
「えーと、シャワーヘッド付けて強めで流すだけって、
却って免疫落ちるから強く洗いすぎない方がいいんだって」
「ふーん」
「!?」
そういう訳で、只でさえ敏感な上に酷使した部分を温度調整も何も無い強力なシャワー水流で直撃され、
唯の目が一瞬見開かれ、背筋がピンと反り返った。
「あー、駄目だってー目開けたら、これシャンプーしないと落ちないんだからー」
「デカパイとかきれーな髪の毛とかその辺は古手川似なんだよねー、精液べったりだけどw」
「つーか、又感じてたりして」
「だよねー、引いちゃうぐらいドMだもんねーこの古手川な動物ーw」
* * *
ある日の映像記録ダイジェストの終盤。
てらてらと濡れ光る豊かな膨らみの間から、まだ初々しいピンク色の先端が突き出し、引っ込む。
それを繰り返していたそのピンク色の穂先に、ピンク色の舌先がチロチロと這い回る。
次の瞬間には、うめき声と共にどろりと濁った噴射が幾度か降り掛かる。
降り掛かったその顔は、いつもの整った顔立ちの筈がその頬はぽーっと紅潮し、
一番縁遠かった筈の小悪魔の笑みすら浮かんでいる。
「はんっはんっはんっはんんっはんんんんっ!!」
画面の中で両手を壁に着き、お尻を突き出した唯が、背後から犯されている。
パン、パンとその尻肉を打つ音と共に唯の喘ぎ声もけたたましいものとなり、
ついには顎を反らし、一声叫んでから、黒髪をバサリと垂らして壁に着いた手をずるずるとずり下げていく。
「自分で広げてるよー」
「誘ってるのーユイちゃーん」
「欲しくて欲しくてたまらないって感じー」
画面の中で、嘲笑混じりの声の中心にいる古手川唯。
彼女はマットに這って突き出した尻をくねくねと動かしながら、
自分の手で尻肉を割って瑞々しく潤った桃色の果肉を剥き出しにして喘いでいる。
「はおおおっ!!」
そんな唯の腰が抱えられ、一息で貫かれる。
そうされている唯は、画面の中で顎を上に向け、スピーカーから部屋中に歓喜の叫びを響かせる。
「んんんーっ、んー…」
その口はすぐに塞がれ、その口を塞いだ男の肉塊を唯はじゅるじゅると貪る様に出入りさせる。
そうしながら、背後の男の下腹部が荒い音を立てて唯の尻肉を打ち、
唯の腰もそれに合わせてくねりを見せより深く受け容れようとする。
そんな唯の体が硬直し、次にだらりとなりながら、画面の中の唯は喉を鳴らして自らの口を解放する。
「んんーっ、んふーっ、んーっ、んんーっ…」
いつしか、画面の中の唯は、すぼめた口からじゅぽじゅぽと音を立てて出し入れしながら、
両手に握ってせっせとしごき立てていた。
そうしながら、仰向けにねそべった男の上に座り込んでいる唯は、
悩ましく腰を使いその中に押し込んでいる。時折、その生々しい接合部も画面に大きく映し出される。
「んーっ、んんーっ、ぷはあっ!!…あーっ、はああーっ」
お口と両手で滑らかにしごき立てられていた男根から唯の上半身、
その顔から黒髪、柔肌へと、半固形化した濃厚な男汁が勢いよく迸る。
それと共に、唯の腰の動きは全身を巻き込んでますます激しくなる。
豊かな乳房がぶるんぶるんと上下し、艶やかな黒髪が舞う。
「イクッ!ああっいくっいくうっいいいっ!!」
画面の中で白い喉を見せて悲鳴を上げた唯は、ピンと反り返る背筋と共に目を見開く。
それが解けた時にはとろりとザーメン混じりの唾液を唇の端から垂らし、
とろけきった恍惚の表情を浮かべていた。
“…これが…私?…このハレンチな…私…”
「お手、お回り、チンチン」
「わん、わんわん、わんっ!」
「wwwwwwww」
「スリーサイズ測定しゅーりょー、どーぶつの癖にスタイルいーっ」
「最新実験動物だもんなー」
「んー、ラストに勃起時……ミリ…身体測定しゅーりょー」
「運動能力を測定します。縄跳び開始ーっ」
「たまんねーっナイス縦揺れーっ」
「うちのクラスはグラウンドでの実験になりましたー。
走ってまーす、五周目入りましたー、ぶるんぶるん揺れてまーす、
呼吸がはぁはぁ速くなって全身ピンク色になって汗が玉になって浮かんでまーす」
「4泳法測定中です、今、背泳ぎやってます背泳ぎやってますぷかぷか浮いてます」
「はい、生まれましたー」
「もう一個出て来るもう一個出て来る」
「双子コンプリート雌鳥実験しゅーりょー。
次、バナナ切りまーっすっ」
「えーと、クスコってこーやって使うんですねー」
「入った入ったー」
「中もぬるぬるー溢れて来てるー」
「こんな風になってんだー」
「はああっ、あああっ、イク、イクイクッ、ああいくぅーっ!!」
「あーっ、ユイちゃん又イッたーっ」
「わーっ、ハレンチー」
「次これ使ってみよー」
「一時間耐久オ○ニーマラソンいってみよーっ!!」
マンションの一室で、ここ十数日における教室と同じ姿をした古手川唯が、
テーブルの前に正座をして65Vテレビの映し出すDVDを見続けていた。
何度も何度も巻き戻しながら、テーブルの上のノートに書き物を行っている。
「コテガワのデカパイあったかくてやわらけーっ、チ○ポ気持ち良すぎぃ!」
「レロレロ舌使いたまんないよーユイちゃーん」
「ああっ、イクああイク、いくいくいくうううぅぅぅぅぅっっっ!!!」
「おおーっ、又イッたーっ」
「おおっ、俺もイク又中に出るうっ!!」
「コテガワま○こすっげぇ気持ちいーもんなぁー俺も三回目いくかーっ」
「ふむ、補習は順調の様だね唯君」
背後に立ちそう告げた梅雨槻に、唯は振り返り様にぐわっと憎悪の眼差しを向けた。
「別に指示があるまで基本は犬の真似、生徒の皆さんには従順に。
私の指示はよく浸透している様だ」
しゃがんだ梅雨槻がすっとしゃがみ、モフモフのレッグウォーマーをずらすと、
その下から「階級ワッペン」の貼られたサポーターが覗く。
「やはり訓練は形から入れ、毎夜毎晩のお散歩遠吠えマーキングの成果が
この犬の擬態にはよく現れているよ。さすがは真面目な優等生の唯君飲み込みが早い」
「あ、あああ…」
秘かに無効化バッジを装着されて「人よけジャイロ」が発動されていた事など知る由もなく、
「階級ワッペン」や「シナリオライター」に強制されるままに
街灯の下で鎖を引かれて吹かれた夜風の肌寒さの記憶、それ以上の寒気が唯の裸体を震わせる。
「それに、オルガニズム時におけるかけ声も、
私が何度となくその状態を発生させた上で十分に教え込んだものであるしね。ふむ」
言いながら、梅雨槻は、唯からひょいとノートを取り上げる。
「さすがは唯君、実に几帳面によくまとまっているよ。
まあ、あらゆる距離・角度の撮影と効率的かつ効果的な編集を駆使した教材の質の高さでもあるだがね」
梅雨槻は、特別授業に当たり、
教室の壁際、天井、床下に、「かたづけラッカー」を吹き付けたデジカムを大量に設置していた。
床下に設置したものは、「メカメーカー」で製造したオリジナル製品で、
デジカムと「スケスケ望遠鏡」を材料に「設計機」で設計して製造したもの。
別に確保した作業スペースで、日々、巨大モニターに同じ時刻に撮影した全ての映像を映し出し、
どの時刻はどの場面を使うか、必要に応じて拡大、縮小し、或いは複数の画面を合成し、角度を変更し、
正確に言えば、映像処理で一部又は全部を鮮明化させて、
その距離、角度で撮影したものに限りになく近い映像をデジタル処理で作り出す。
そうやって、一日一日の特別授業を、
いつでもベストセレクションな一枚のDVDに焼き上げる事が出来る様に編集し保管する。
実際の作業を行っているのは壁の向こうで金に糸目を付けず導入された最新機材であり、
「うそつ機」と「メモリーディスク」で記憶操作された一級のエンジニア達であるが、
梅雨槻の指示に従いモニターを見ながらキーボードを叩きマウスクリックをして
ケーブルで繋がった壁の向こうへと指示を出していたのは、他でもない被写体である古手川唯自身。
そんな映像を見ながら唯が「階級ワッペン」の絶対命令の上に元々の几帳面さで書き上げたノートを、
梅雨槻は丹念に読み上げていく。
「一日ごとの射精回数、交尾回数及びその位置関係のパターン、オルガニズムの回数及びその状態。
実に正確かつ緻密に記載されている。
○月×日………が…回パターンは………が…回パターンは………が…回………
「いく、いくっいくうぅーーーーーーーーーっっ!!」
「…い…や…あ…いやああああああああああっっっ!!!!」
淡々と読み上げられる、唯自身が書き記した客観的データ。
それと共にモニターのスピーカーが響かせるハレンチ極まる絶叫を聞きながら、
唯は頭をかきむしりながら絶叫と共にテーブルに突っ伏した。
「なるほど、数十日間に及び平均交尾回数が…平均人数、平均回数、濃度…
これなら、今回の特別授業の後、時間経過と共に唯君の肉体がどの様に変化していくか、
実に有意義な観察となりそうだね唯君」
「…あああああーーーーーーーーーっっっっっ!!!
いやああああっ!!いやっ、いやあああっ、いやっ、もういやっ、いやあああっ…」
「ふむ、有用なデータは十分確保出来たし、データ収集はこの辺にしておこうか」
「?」
涙もヨダレすらそのままに、唯が顔を上げた。
「残りは2年A組の一クラスだけだからね。
2年A組における特別授業は、ここまで撮影し編集した実験映像を観賞の上で感想を聞く事にしよう。
無論、実験動物と唯君の留学に関する誤解を解いた上で、
2年A組の一員であり風紀委員である唯君もちゃんと授業に参加した上での特別授業と言う事でね」
一人頷きながら、梅雨槻はノートで自らの掌を叩く。
「この見事にまとめあげられた古手川唯オルガニズムリポートも、
他でもない作成者であり実験体本人でもある古手川唯君の口から詳細に発表してもらおうではないか。
日々、唯君の肉体のどの器官を用いてどの様にして雄の射精を促し放出された精液はどの様に処理されたか。
そして、唯君の肉体がどの様な状況、パターンにおいて
どこをどう刺激してオルガニズムが発動しその時どの様な身体的状況に至っているのか。
全てはその記録映像と共に、何より真面目で几帳面な唯君に相応しい詳細な報告が、
その身をもって全ての実験にチャレンジした唯君自身の口から語られる事は実に有意義な研究報告として、
まずはクラスメイト諸君。何れは全校生徒の熱い注目を浴びる人となるだろうね。
これで晴れて元通りと言う訳だ」
「あ、あああ、あ…」
「んー、どうしたのかね唯君?
実験用イヌモドキから人間の古手川唯に戻る事が出来るのだよ、嬉しくないのかね?」
「そ、そんな、そんな…」
唯の顔は蒼白なものとなり、ぶるぶると横に震えていた。
「それとも何かね?淫乱で露出狂でドMな変態少女古手川唯君としては、
やはり飼い犬として同級生の諸君にそのハレンチな姿の数々をご覧に入れたいと、そういう事かね?」
梅雨槻の言葉を聞きながら、唯は顔を伏せ、キリキリと歯がみしていた。
「…くだ…さい…」
「んー?」
「…くだ…さい…犬の…ままで…」
伏せた顔からテーブルに、涸れたと思ったものがバタバタと滴る。
梅雨槻はソファーに掛け、
脚を組んで足の指を一本一本しゃぶらせてから改めてその懇願を聞き届ける事とする。
* * *
「ふむ、少し早く来過ぎた様だ、ここで待っていたまえ」
只でさえ気が重い、等という言葉をはるかに凌駕している。
その中でも特に重い心を引きずり、
さすがにコート一枚着せられて脚を勝手に動かしてでも登校させられた唯は、
校内ではほぼ丸裸に首輪の鎖を引かれ、犬のお座りで生物準備室の机に鎖を繋がれていた。
梅雨槻が部屋を出て、しんと静まり返った準備室に取り残されていると、
今までの事、これからの事、嫌でも思い浮かぶ。
気丈な唯であっても鼻の奥がツンとなり、ただちに決壊しそうだ。
“…助けて…お父さんお母さんお兄ちゃん…結城、君ララさん…”
トテテと小さな足音に気付いた。
「まう」
ぱちくりと瞬きしながら、唯は顔を覗き込まれている事に気付く。
「まうー♪」
にぱっと無邪気な笑顔に、唯はにこっと笑みを返していた。
ハッとした唯が、なんとか命令の範囲内で紙とペンを探そうと周囲を見回す。
「おーい」
「セリーヌちゃーん」
「まうーっ」
トテテと足音が遠ざかる。
「いたーっ」
「駄目じゃないかセリーヌ勝手に学校ついてきて」
「まうーっ」
「よかったー、ザスティン後お願いね」
「まううーっ、まうーっ」
「かしこまりましたララ様」
「まうーっ、まううーっ、まうー!まうーっ!!」
「学校終わったら遊びにいくからね、お家で待っててねーセリーヌちゃん」
「まううーっ!!」
「さあ、行こうではないか、唯君」
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