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地ニ黄色キ満開之上-最終話」(2009/02/12 (木) 21:04:02) の最新版変更点

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「もしもし、ネギ君?え、極秘に取材受けて欲しい人がいるって?場所は?…」 放課後、偽ネギからの電話を受けた和美が訪れたのは、 郊外型ショッピングセンターの食料品売り場だった。 「えーと、これとこれとー」 「いいとこ持ってくねー」 偽ネギは、和美を引き連れて、割と良質で知られる売り場の肉や野菜をカートの籠に入れていく。 「でもさー、ネギ君」 「はい」 「こんな準備までして、極秘に取材して貰いたい相手って?」 「それはだから極秘です」 にっこり微笑む偽ネギに、和美も苦笑を浮かべる。   *  *  * 「あ、ネギ君?」 夜、自分の部屋で待たされていた和美が携帯で偽ネギからの連絡を受ける。 「え、そこまで来てる?うん、分かった」 和美が電話を切り、そして、程なくチャイムが鳴った。 「はいはーい、それでネギ君、取材相手、って…」 「えへへ」 ネギの背後に視線を走らせた和美が、何か遥か理解の範疇を越えていたものの存在を 強制的に信じさせられたかのごとく、目を見開いて腰を抜かした。 「…取りあえず、入れていただけます?」 機械的にその言葉に従い、チェーンを外した和美の横を、 偽ネギとセーラー服の美少女がてくてくと通り過ぎた。 「さ、さささささ、さ、さささ、さ…」 「はい、相坂さよです」 腰を抜かし、指を差す和美の言葉に、さよはにっこり笑って頷いた。 「あー、和美さん、人を指差すというのは失礼な行為ですよ」 さり気なく玄関の鍵を掛けチェーンを掛けた偽ネギがにっこり笑って言う。 既に、ここに来るまでさよが持っていた「かくれん棒」はさよから受け取ってポケットにしまっている。 「これ、何?どう言う事?」 「魔法です」 偽ネギがあっさりと答える。 「簡単に言えば、朝倉さんがいつも会っているさよさんがこの肉体に取り憑いています。 ここに至るまでには非常に複雑怪奇な魔法理論が関わっている上に、 魔法世界的な違法性の問題も生じてきますので詳しくは言えないのですが、 この肉体はさよさんの本来の肉体に極めて近いものとなっています」 「そ、そそ、そりゃそうだよ、だって、さよちゃんにしか見えないし」 「魔法研究の中で、この誘惑にはどうしても勝てませんでした。 でも、今も言った通り、これは人間の生と死の倫理そのものに関わって来る、 魔法的にも極めてタブーな領域の術式です。 今表沙汰になったら、僕は僕がやった事だから仕方がありませんが…」 真面目な顔で言う偽ネギに、和美が頷く。 “…計画通り…” 偽ネギは、悪魔の笑みをそっと隠す。ある種の記者にいるタイプだが、和美は隠せば暴こうとする。 むしろ、直球で事実を明かしてお願いすれば、内容にもよるが秘密の約束は守ってくれる。 それが、さよの事となれば完璧だ。 「朝倉さん…」 「さよちゃん…」 「予定メモ帳」によって、さよを見てはならない者全員が遠くとおーくへ外出して当分帰って来ない 女子寮の中にある和美の部屋で、そのメモの例外となっている和美とさよは、黙って抱き合い、泣き続けた。   *  *  * 「上手だねーさよちゃん」 「はいー、久しぶりだから上手に出来るか自信なかったのですけどー」 「お鍋用意出来ましたー」 リビングのテーブルに鍋と下ごしらえされた牛肉、野菜、卵等々が用意され、 鍋に割り下が張られて具が並べられる。 「美味しそう…」 ぐつぐつ音を立てる鋤焼きを前に、さよの表情は既に陶然とすらしていた。 「そろそろいいかなー」 「じゃあ、皆さん」 「いただきまーす♪」 「あつ、あつつっ」 「大丈夫さよちゃんっ?」 「はいっ、おいふいです!」 「良かったー、ご飯もあるからねー」 和美から、炊き立ての白いご飯の茶碗を渡されたさよは、 茶碗を両手持ちして、しばしそのまま目を輝かせていた。 「さよちゃん?」 さよが、茶碗に箸を入れ、大きく摘んで口に入れる。 「美味しいです」 にこっと笑ったさよの目尻には、涙が光っていた。   *  *  * しばし楽しい食事が続き、鋤焼きも大方終わった頃、偽ネギの視線は鋭く腕時計に向けられていた。 「あひゃらぁあぁー」 「ん?さよちゃん?」 偽ネギに「ネムケスイトール」でテーブルの下から銃撃されたさよががっくりくずおれ、和美が駆け寄った。 「あー、疲れちゃったみたいですねー、今日、色々ありましたからー」 駆け寄った偽ネギがすっとぼける横で、和美がどこかぽーっとした眼差しを偽ネギに向けていた。 「ネギ君」 「はい」 「ネギ君、やっぱ、凄いカッコいい…」 「やですよ朝倉さーん」 「ん、んんんっ!」 次の瞬間には、偽ネギは和美の唇を奪い、その舌で存分に口の中をかき回していた。 「じゃ、さよさんの事お願いします」 「うん、分かった」 和美が、とろんとした眼差しで言う。 和美が、床ですーすー寝息を立てるさよにタオルケットを掛け、片づけを始める。 そっと「ウルトラストップウォッチ」のスイッチを押した偽ネギが、 「予定メモ帳」に書き込みを行ってからタイムロックを解除する。 「いやー、卵ちょっと用意し過ぎたかな…わああっ!」 何にけつまずいたのか、リビングで転倒した和美に、バラバラと投げ出された卵が降り注いだ。 「大丈夫ですか朝倉さんっ!?」 「う、うん、大丈夫…わあっ!」 そんな和美が更に床を滑って偽ネギ共々卵塗れになる。 「ごめーんネギ君汚しちゃった。べったべたじゃないシャワー入らないと」 「い、いえ、その…」 「駄目だってこんななっちゃってさぁ」 熱っぽい口調で和美が言い、和美に背中を押されながら、 「ウルトラミキサー」によって「かたづけラッカー」仕様虫眼鏡と合成された眼鏡を掛けた偽ネギは、 そろそろお開きと言うタイミングで「ウルトラストップウォッチ」と「きょうじき」を駆使した偽ネギによって 「つづきをヨロシク」で空中に浮遊しながら「かたづけラッカー」を吹き付けられた 「あいあいパラソル」にそっと視線を走らせる。   *  *  * 「かっ、和美さんっ!」 「私も卵塗れなっちゃったからねー、洗いっこしよーネギくーん♪」 バスルームでわたわたと見せかけの驚きを見せる偽ネギを前に、和美がにかっと狐の笑みを見せた。 「うわぁー、朝倉さんのおっぱい、おっきくて柔らかくてぷるぷるですぅー」 「あんっ、もうネギくーん、駄目だってぇああーんっ♪」 かくして、バスルームでは、偽ネギが背後から和美の見事な膨らみを鷲掴みにし、 馬鹿丸出しの応酬が展開されていた。 「朝倉さん、和美さん、和美さんの裸、凄く綺麗だから僕、もう…」 「んふふー、ビンビンなっちゃってるのー?ネギ君エッチー、オマセさんなんだからー」 背中に熱いものを押し付けられた和美が、満更でもない口調で笑う。 「僕、和美さんのおっきくて柔らかいおっぱいで気持ちよくして欲しいなぁー」 「オッケー」 なぜそんなものが今ここにあるのか余り深く考える者は誰もなく、 腰掛けに掛ける偽ネギの前に跪くと、和美はその豊満な胸の谷間にベビーオイルを垂らし、 むにゅむにゅ挟み込んだ。 「あっ、あ、和美さんっ、僕、僕もうっ!」 「んふふっ、凄い、ネギ君の熱くて硬くておっぱい気持ちいいっ、 いいよネギ君、ああっ」 見せかけの恐縮を見せる偽ネギの前で、 顔に飛び散った濃厚な液体をぺろりと舐めてにまっと笑みを浮かべる。 「んんっ、ネギ君、いつもこんな、してるんじゃないからね、軽く見えても、 ああっ、又硬くぅんんっ…」 「分かってます、ホントはすごーく純情な女の子なんだって和美さん♪」 「やだぁ、ああっ、もうこんなに逞しくぅ」 そのまま偽ネギの前に跪き、もごもごと口を動かしていた和美が、 その口の中で見る見る膨れあがって硬く反り返っていく、その逞しさを感じるだけで、 食事中のウーロン茶に垂らされた「アワセール」で遅効性の媚薬と化したウーロン茶の効果が 全身に十分馴染んでその脳味噌も「あいあいパラソル」に支配されていて 元々が満更でもない「ネギ」相手である和美の下半身がきゅうっとしてとろとろ溢れるのを実感する。 「ああっ、ネギ君、ネギ君もうこんなにっ、あっ、ああっ」 「和美さんのおっぱい柔らかい、和美さんの中も熱くてぐにゅぐにゅぬるぬるっ」 「だ、だって、だってネギ君が、ネギ君がこんなにぃ、ああっ」 すっかり雄々しく復活したものがじゅぽんと口から弾け出すと、 和美は、偽ネギに促されるまま、壁に手を着いていた。 偽ネギの両手でむにゅむにゅと柔らかに、しかし時には痛いぐらいに 豊満に揺れる膨らみを揉まれ、そして、背後から直接、自分の女を愛する男に抉られる、 その力強さを前に、和美の脳裏は何度となく真っ白にかすみ、 偽ネギのうめき声に満足の笑みを浮かべながら、 これが自分の声かと苦笑したくなる牝の喘ぎ声がバスルームに跳ね返るのが嫌でも脳に響く。 それを聞きながら、和美は、力の入らない掌がずるずると滑るのを遠くに感じていた。   *  *  * 「さよさん、さよさん」 「ん、んー…」 偽ネギに揺り起こされたさよは、目の前で、和美がタオルケットを被って床で寝息を立てているのを見た。 「何か、色々疲れちゃったみたいですね、寝かせておいてあげましょう」 「そうですね、こんなご馳走用意してくれたんですから、本当に…」 偽ネギは、涙ぐみそうになったさよの唇をちゅっと吸い、そして、その手を取って引っ張った。 はっと前を見たさよが、にっこり笑う偽ネギの天使の笑顔に魅せられる。   *  *  * 古びた時計塔の前庭、しんと静まり返ったその場所で、 偽ネギとさよは、敷物を敷いてティータイムを楽しんでいた。 「美味しい…これが、ネギ先生のお茶とお菓子なんですね…」 偽ネギの手作りアップルパイとミルクティーに、さよがほーっとしていた。 「ええ、でも、僕のもいいですけど、やっぱりさよさんには…」 「お饅頭♪」 評判の店の大福餅と、元々が器用な偽ネギのちょっとした煎茶道が披露される。 「美味しい…甘いもの、甘いものでお茶を、白いご飯と美味しいお肉とお野菜で鋤焼きをお腹いっぱい… 本当に、美味しい、凄く、嬉しい…」 向かい合った偽ネギとさよが、静かに唇を重ねた。 偽ネギは、敷物にさよの体を優しく横たえ、セーラー服をまくり上げていく。 「恥ずかしい…私、皆さんみたいに胸も、無いし貧弱で…」 「凄く綺麗ですよ、さよさん」 「あっ…」 剥き出しにされた慎ましくも形のいい膨らみを、偽ネギは優しく愛で、その薄い桃色の頂きに唇を寄せる。 スカートの中から、現代なら不格好と言ってもいいたっぷりとした下着を下ろし、 偽ネギは時間を掛けて太股からゆっくりと掌で、指で、その手の全てを駆使してさよの感覚を探り当てていく。 「はっ、あっ!」 中指が何度目かと言うさりさりとした感触を越えて、その下でつんと顔を出し始めた部分を刺激する。 「あ、ああっ…私、こんな、ああっ…」 「凄く、可愛いですよさよさん」 「恥ずかしいああっ…」 とろりと湿って来た頃合いに、偽ネギはズボンと下着を下ろし、スカートを大きくまくり上げる。 両手で顔を覆っていたが、しかし、さよは拒む動きをしなかった。 それを、意思の力で抑え込んでいるのが分かった。 「ん、んんっ!」 「んっ!」 さよの顔が、一瞬、苦痛に歪むのが分かる。 偽ネギは、その切ない顔ときつい締め付けだけで、果てそうになる自分を懸命に叱咤していた。 「あ、ああっ、ネギ、先生が私にぃ…」 「はい、さよさん、僕は今、さよさんの中に入ってます、凄く、凄くいいですさよさん」 「うれ、しい…」 「さよさん?」 「ずっと、ずっとずっと、みんなが、興味本位で、ドキドキしながらお喋りしてるの、 私は、ずっとそれを聞いているだけ、そんな風に、夢見る事にドキドキしながら、 みんなあそこを巣立って行って、何れ、愛する男性とその時を迎える。 私は、それを見る事すら出来ない。ずっと、ずっとずっと聞いてるだけ、 想像してドキドキきゃっきゃっお喋りしていたみんながその先に進むのを見えなくなるまで見送るだけ… 今、私、男の人に抱かれてる、ネギ先生と一つになってる…」 「はい、僕と、さよさんは、今、一つになって、僕は、今さよさんをこうして、抱いてます」 「嬉しい…ああっ…私、こんな、こんな破廉恥なはしたない…これが…」 「ええ、そうです、これが、生身の男と女の愛の形、肉体が求め合うと言う事なんです…」 言いながら、偽ネギはチラと腕時計を見る。 時計塔の中では、「分身ハンマー」で呼び出された偽ネギの分身が、 おもむろに奇妙なクチバシを装着している所だった。 “…25、26、27、28…” 「さよさん」 「はい…あっ…」 いつしか、偽ネギは敷物の上に仰向けに横たわり、 その下半身にはさよのスカートが大きく広がって被さっていた。 「さよさん、今はさよさんがこうしているんですよ」 「恥ずかしい…」 「だからさよさん、さよさんが、気持ちいい様に、動いて見て下さい」 「は、はい…ああっ!」 上着をまくり上げられ、夜闇に白い乳房をふるふると揺らして顎を反らす、 それだけで軽く達したさよを見上げるだけで、偽ネギは生唾を飲む。 “…36、37、38…” 「さよさん」 「はい…!?」 ハッと周囲を見回したさよは、いつの間にかさよを呑み込まんばかりに花開いていた 一面黄色い海のど真ん中に埋もれようとしている事に気が付いた。 「あ、あああ、あ…あっ!」 既に朱に染まったさよの白い頬をつーっと一筋の涙が伝う。 さよの姿をうずめんばかりの一面の黄色の中で、歓喜に打ち震えるさよを偽ネギがズン、と突き上げた。 夜闇に輝かんばかりに一面満開の黄色、その上に白い裸体がぼうと浮かび、ぎしぎしと揺れ動く。 言葉もなく、声はあっても言葉もなく、突き上げるものに突き動かされるままに、 ただ、ひたすら、生の証を貪欲に求めるままに、貪り続ける。 「…うれ、しい…」 さよの体がガックリと崩れ、うめき声と共にさよの肉体に幾度かの振動を伝えた偽ネギは、 覆い被さって来たさよの唇を吸い、滴る涙を頬に受けていた。   *  *  * 「じゃあ、まだ色々ありますんで今日は僕が預かります」 敷物の上に横たわるセーラー服の少女を前に偽ネギが言い、 その偽ネギの目の前で、さよの霊魂がぺこりと頭を下げている。 偽ネギがにこっと微笑むと、さよはぽっと頬を染め、そそくさとその場を離れていた。 さよが遠ざかるのを待って、「チッポケット二次元カメラ」で横たわる肉体を撮影した偽ネギは、 そのまま時計塔に向かう。 そして、廃墟となっている時計塔の中で分身Aからクチバシを受け取ると、 「分身ハンマー」で分身Aの頭を一撃する。 「計画通り…?」 口元に悪魔の笑みを浮かべた偽ネギが、掌の中のクチバシに怪訝な視線を向ける。 「うそつ機?間違えた?」 最強アイテムの一つとして知られる「ソノウソホント」は、 物理的にでもなんでも、言葉に現象、事実を合わせる。その言葉通りの事実、現象がそのまま実際に発生する。 対して、「うそつ機」の効力はその言葉を相手に信用させる事。 しかし、偽ネギは、離れた場所にいた分身Aの声など聞いた覚えは無い。 ハッとして偽ネギが振り返る。 季節はずれのガーデンで、夜闇に黒く広がる土の上を、落ち葉が一枚カサカサと舞っていた。   *  *  * 「ん、んー…あれ、さよちゃんは?」 「ああ、先帰りました。まだ実験中で色々ありますから。 和美さんぐっすり眠ってましたから、ご馳走様でしたって」 「ふーん、そう…」 タオルケットをズリ下ろして身を起こした和美がコキコキ首をならす。 「んふふー、和美さーん」 「きゃんっ、もうっ、ネギ君の甘えん坊」 「あうんあうんあうん♪」 やっぱり慎ましい和菓子の後はこれがいいのが偽ネギ流。 だから、偽ネギは「メモリーディスク」によって和美が自分で着替えたと思っている 短いノーブラタンクトップの胸元に顔を埋め、馬鹿丸出しで和美に頭を撫でられている。 「あうっ!」 そして、和美の部屋着のミニスカジーンズの中に手を突っ込んで、 既にしっとり潤んだノーパンの手触りを確認し、目と目でニッと会話する。 タンクトップをぶるんとまくり上げてちゅぱちゅぱすりすりのぱふぱふぱふぱふ、 さっさとズボンと下着をズリ下げ、スカートをまくり上げて侵入OK。 顎を突き出した和美の喘ぎ声を聞きながら、 これでこそ、このパチモン具合こそ自分であると、いつしか偽ネギは心の中で繰り返す。   *  *  * 「あーあー、さよさん、朝倉さんおはよーございます」 翌朝、クラスの全員分記載された「予定メモ帳」によって二人だけで3‐Aの教室にいた和美とさよに、 偽ネギが声を掛けた。 「おはよ、ネギ君」 「おはようございます、ネギ先生」 「えーと、ですね。その、結果を先に申し上げます。残念ながら今回は失敗でした。 やっぱり無理な術式を色々使いましたので不具合が多々ありまして、 たまたま昨日がうまく行っただけで、今後あの肉体を使用した場合、 肉体ごと魂が強制消滅してしまう事を含めてどんな事態になるか正直想像が付かないと。 ですから、えーと、ですね、この実験は今回をもって打ち切りです。 これ以上継続するには莫大な予算と魔力が必要で当局にも察知されて 関わったお二人にも、特にさよさんの立場が非常にまずい事になりますので」 「そうなんだ…」 「中途半端な事をしてすいません」 「いいですよー、二度と無いって思ってたんですから、 それが、ちょっとだけでも自分で出来た。凄く、楽しかったです」 ぺこりと頭を下げる偽ネギにさよが言い、和美も頷く。 既に、二人の記憶は当たり障りの無いものに改ざんされていた。 「僕、もっともっと勉強しますから。 これから十年後、何十年後になるか分かりませんが、さよさん…」 「はいっ♪楽しみに待ってます。幽霊は長生きなんですから」 「だから、あんたもう死んでるって、頑張んなよー、あんまし長引いたら、 私がスクープ待って地縛霊なっちゃうからねー」 「はいっ」 「おはよー、朝倉早いねー」 「おっ、お早う」 「お早うございまーす」   *  *  * 放課後、図書館島裏の「かべ紙秘密基地」に入った偽ネギは、 室内の一分が外の一年に設定された秘密基地の一室に向けて「きょうじき」を使い、 時間を標準進行に戻す。 それから、「シナリオライター」を使い、「うらめしドロップ」によって離脱して 室内で時間の間に封印されていたたましいを外に呼び出し、 秘密基地中央ホールに横たわるセーラー服姿の肉体へと導き入れる。 「さ、世界せーふく世界せーふく♪」 それを見届けた偽ネギは、「クローン培養基」の取り消しスイッチを押した。 浮かび上がる一本の髪の毛に目もくれず、偽ネギは両手を外側に広げて秘密基地を後にしていた。 「地ニ黄色キ満開之上」-了-

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