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偽ネギが目を覚ますと、あの怒濤のエロエロ教室の翌日、 偽ネギが勝手に決めた休暇の一日目に入っていた。 もっとも、偽ネギは、ベッドに入る前に 最後の力を振り絞ってきょうじきでロフトの一時間がロフト外の二十分になる様に時間調整をしておいたから、 日付こそ変わっても真夜中である事に代わりは無い。 腕時計を見て自分が十時間ほど熟睡していた事を確認した偽ネギは、 正確である事を確認済みの部屋の掛け時計を見ながらあらかじめ日記に書き込みを行い、 明日菜と木乃香が当面目覚めない様に念押しをしておく。 その上で、一応タイムテレビで無人である事を確認してから麻帆良近郊の山林に移動する。 そこには、真新しい市販のスチール物置が放り出されており、 偽ネギが過去にダミー会社を通じて購入しそのままチッポケット二次元カメラを使ってここに持ち込んだ この物置がここにある事は、偽ネギがその事を紙に書き留めてヒミツゲンシュ犬に呑み込ませている。 偽ネギは、林檎箱をいくつか用意し、 らくらくシャベルでその中に土を詰めてスーパー手袋で物置の中に入れておいた。 そのまますぐ先の未来、休暇一日目の午前十時までタイムスリップした偽ネギは、 どこでもドアで全国各地を飛び回り、リザーブマシンで予約済みにしておいた食材を購入して それをハマグリパックに詰め、どこでもまどから物置の林檎箱の上に落としていった。 その作業が終わると、チッポケット二次元カメラで林檎箱を撮影し、その写真を所持した上で、 タイムテレビで無人である事を確認してから、時差調節ダイヤルつきのどこでもドアで 休暇一日目の午前三時の図書館島裏に移動する。 そこには、今まで通り、リザーブマシンで偽ネギのみに剥がす事を許され、 普段はゴマロックで施錠されているかべ紙秘密基地があり、 その中に入ると、基地の中には簡単な調度品とともに即席スイートホームが建っている。 秘密基地の中に入り、なんでもじゃ口で紙コップにとったぬるま湯で先ほどの写真を林檎箱に戻した偽ネギは、 その中からハマグリパックをいくつか掘り出し、即席スイートホーム内の大型冷蔵庫に移す。 その作業を終えた偽ネギは、そこから石ころぼうしとどこでもドアと通りぬけフープを駆使して 女子寮の四葉五月の部屋に忍び込み、 念のためグッスリまくらで部屋の全員が最低一時間は目覚めない様に仕込んでから 五月をチッポケット二次元カメラで撮影する。 そこからどこでもドアで図書館島裏に移動し、かべ紙秘密基地に入って、 そこに用意しておいたベッドに五月の写真を置き、湯を垂らす。 「ああ、お早うございます五月さん」 グッスリまくらの効果が切れた所で、目をこすっている五月にうそつ機を装着した偽ネギが話しかけた。 「超包子、本社の会計システムの関係で明日から一週間程臨時閉店だからゆっくり休んで下さい、 開店の目途が立てば改めて連絡しますと言う事ですので。 それでは、お休みなさい」 寝ぼけ眼の五月をネムケスイトールで銃撃し、とどめに時間設定したグッスリまくらを触れさせた偽ネギは、 ムユウボウを使ってその五月を自分の後ろを歩かせ、そのまま即席スイートホームに入り、 寝ぼけて抱き付いて来た五月をひらりと交わして五月をホームに置いたキングサイズのベッドに寝かせ、 自分もそのベッドで一眠りした。 「ネギ先生、ネギ先生」 「ん、んんっ…」 「お早うございます、ネギ先生」 偽ネギが目を覚ますと、ベッドの側に五月が立っている。ふっくらと愛らしい頬がぽっと赤らんでいた。 「ああ、お早う五月君」 身を起こした偽ネギが気取った声で言った。 あらかじめ日記に書かれた通り、五月は不用意に即席スイートホームを出る事もなく、 記載された時間に目覚め、冷蔵庫に用意された材料で朝食をこしらえていた。 「和食ですねぇ」 「はい、お口に合いますか、少し心配ですけど」 食堂テーブルで向かい合う五月の透き通った声を聞き、 偽ネギはあらかじめ日記が決めたメニューとも知らずにと心の中で笑みを浮かべる。 「おいしーです、このドロドロしたのがなんか、慣れたら不思議なお味で、 ご飯お米じゃないんですね」 「はい、麦のご飯に自然薯、山のお芋のトロロをかけました」 「はい、日本のご飯、おいしーです。納豆って食べるの大変だったんですけど、 こうやってお味噌汁に入れても食べられるんですね」 「はい。納豆汁にしてみました」 「お味噌汁にもよく合って」 実際、見事な手際味わいとしか言い様のない五月の料理。 「和食ですから醤油で決めてみます」 「はい♪」 偽ネギが、二つ目玉の目玉焼きに醤油を掛ける。 「有精卵って書いてありましたけど、本当にすごくいい卵です。黄味の色も形もこんもり濃くてぷりぷりで」 「それで、こんな完璧な半熟で食べられる僕って最高に幸せです」 大蒜のオカカ漬けを箸休めにパクパクと朝食を食べる偽ネギを目の前に眺め、 五月はにっこりと笑みを浮かべた。 「でも五月さん」 ちょっと唇を拭い、うそつ機を装着した偽ネギが口を開く。 「お店も大変ですね、本社の会計システムの関係で一週間ぐらい臨時閉店なんて。 おまけに学校まで極悪インフルエンザで学校閉鎖ですから。 でも、そのお陰で五月さんとゆっくりご飯が食べられますから」 改めて大嘘をかました偽ネギは、五月の浮かべた悪戯っぽい笑みを素直に可愛いと思った。 朝食が終わり、食器を片付けてから偽ネギの用意したビデオで美容体操をしている五月を尻目に、 偽ネギは台所に入っていた。 「はーい、出来ましたー」 昼、偽ネギがいい、五月がテーブルに着く。 「熱いですから気を付けて下さいねー」 偽ネギが、オーブンから出したグラタン皿を五月と自分の席に置いた。 それから、トースト、ドリンクと手際よく用意する。 「さっちゃんにお出しするって、ちょっと怖いですけどねー」 「すごく、美味しそうです」 恐らく、五月の性格でなくても、この場所でなくてもそう言っただろう、 テーブルの上は、見た目からしてそれ程に決まっていた。 そして、グラタンにフォークを入れ、口に運んだ五月は本気で驚いた顔をした。 「どうです?何か、まずかったですか?」 偽ネギは、わざと気弱な声を出す。 「こんなにいいカキ、中まで熱々なのにこんなにジューシーで生でも乾いてもいない、 オーブンのグラタンでこの火加減、すごい…」 実際、医食同源と言う事で、レディ・エヴァの修行の最中、 こちらの技術も地獄の特訓で徹底的に叩き込まれた記憶を偽ネギはしっかり思い出していた。 「トーストはガーリック・バター、新鮮なバターで熱々カリカリモチモチ、 オレンジジュースは今ミキシングですね」 「ええ、いいオレンジが手に入りましたから」 偽ネギがにっこり笑った。 「さ、食べましょう。五月さんに喜んでもらえるなんて、名誉過ぎます」 昼食後、偽ネギからシテクレジットカードを受け取った五月はせっせとサンドイッチを作る。 ネギの記憶のままに紅茶を入れた偽ネギは、サンドイッチと紅茶ポットをチッポケット二次元カメラで撮影し、 その写真をハマグリパックに詰めて、土を入れたプランターの中に置く。 その後、偽ネギは五月を伴ってガリバートンネルを潜りミニハウスに入って卓球を楽しむ。 いい運動をしてからミニハウスを出てガリバートンネルを逆にくぐった偽ネギは、 同じルートで戻って来た五月が台所に立つのを耳と鼻で楽しむ。 「はーい、出来ましたー」 「うわあー、美味しそう」 それは、偽ネギの本心だった。 「本物の金華火腿なんて、お店でもなかなか出せません。ちょっと緊張しました」 にこっと笑う五月の笑顔は、見る者をほっとさせる。 「いただきまーす」 夕食は中華、金華火腿を使った炒飯と中華スープ、そして青椒牛肉絲。 使われたのはリザーブマシンと大金で手に入れた本物の金華火腿、 その高級食材を一見庶民的ですらあるメニューで完璧に引き出した五月の料理はやはり絶品だった。 「お先にお風呂入りました」 「はい。じゃあ、先に休んでいて下さい」 寝室に、寝巻代わりに偽ネギが用意したTシャツにショートパンツ姿の五月が現れ、 そこにいた偽ネギが入れ違いに風呂場に向かう。 偽ネギが風呂を上がると、グッスリまくらの下にねながらケースを仕込まれていた五月が、 台所に立って相変わらず手際よく料理を続けていた。 それが終わり、五月がてくてくとベッドに戻り寝息を立て始めた所で、 偽ネギは五月がテーブルに並べた料理をチッポケット二次元カメラで撮影し、 その写真をハマグリパックに詰めて、土を入れたプランターの中に置く。 それから、メモリーディスクで五月の記憶を改変し夢であったかのごとく書き換えてから 五月をチッポケット二次元カメラで撮影し、その写真を持ってアジトの外、つまり図書館裏に出る。 そこから時差調節ダイヤル付きどこでもドアで休暇一日目午前深夜の五月の部屋に移動。 既に過去の偽ネギが過去の五月を連れ去った五月の部屋で、 この部屋に入った偽ネギは先ほど撮影した五月の写真にスポイトの湯を垂らし、 きせかえカメラで五月にここから連れ去った時のパジャマを着せて、 ムユウボウで五月を自分のベッドに寝かせてからどこでもドアで図書館島裏に戻り、 かべ紙秘密基地の中の即席スイートホームのベッドに一人潜り込む。 休暇二日目朝。 目覚めてパジャマから着替え顔を洗った偽ネギはプランターから二つハマグリパックを取り出し、 手を洗ってからパックの中に一枚ずつ入っていた合計二枚の写真をテーブルの上に乗せ、内一枚に湯を垂らす。 テーブルに並んだ麦飯に納豆汁、肉じゃが、大蒜のオカカ漬け、ほうじ茶の朝食セットを前に 偽ネギがもう一枚にも湯を垂らし、小分けにしておいたおろし自然薯の小鉢がテーブルの上に現れる。 朝食後、歯磨き洗濯を終えて支度をした偽ネギは、 アジトから図書館島裏に出て、そこからどこでもドアでとある高原に移動した。 のんびりと森林を散策した偽ネギは、適当な場所で敷物を広げ、 ポケットからチッポケット二次元カメラの写真を取り出す。 それに湯を垂らし、写真からプランターを実体化させると、その中からハマグリパックを掘り出し パックの中の写真に湯を垂らし、サンドイッチと紅茶のセットを実体化させて 爽やかな高原の空気に吹かれながら昼食、ティータイムを楽しむ。 高原の散策を楽しんだ偽ネギは、陽が落ちてからフリーサイズぬいぐるみカメラで適当な大人の姿に化け、 どこでもドアで大阪に移動し以前作戦中に見付けた鶴橋の焼肉屋で精肉やモツを貪り食う。 鶴橋での夕食を終え、一応偵察衛星で無人である事を確認してからどこでもドアで図書館島裏に戻った偽ネギは、 そこで石ころぼうしを被って、時差調節ダイヤル付きどこでもドアで 休暇前日午後深夜の女子寮の一室に移動する。 既にタイムテレビで就寝中である事を確認していた偽ネギは、グッスリまくらで部屋の住人全員を熟睡させる。 続いて、グッスリまくらを四つ取り出し、ダイヤルをセットし、 時差調節ダイヤルを外したどこでもドアで行き先を今の時刻の665室に指定して、 ドアを開けた瞬間タンマウォッチを使う。 そして、時間が止まっている間に、部屋の全員の文字通り枕元にグッスリまくらを置き、 それからタイムロックを解除する。 ネギでも手こずる、と言うか一応肉体言語では上手らしい使い手と、そこまでいかないがそれなりに使えるのが 一人ずつ、それにもう一人いるらしいがこれは使用する用語さえ間違えなければ大丈夫としても、 一応その辺は警戒して準備したが、結果としては、部屋の全員あえなく熟睡に落ちた。 その後、偽ネギは、タイムテレビで無人である事を確認した上で、 時差調節ダイヤルを装着したどこでもドアで休暇二日目午後の夜の図書館島裏に移動した。 そこで、単語帳から大河内アキラと書かれたメモを抜き出して手近な地面に置き、 メモに物体変換クロスを掛けてメモに書かれた名前を呼ぶ。 同じく、村上夏美と書かれたメモを抜き出して手近な地面に置き、 メモに物体変換クロスを掛けてメモに書かれた名前を呼ぶ。 石ころぼうしを脱いだ偽ネギはムユウボウを手にしていた。 「あーあー、アキラさん、これからちょっと一働きしていただきますので、 これに着替えてくださーい」 偽ネギが用意の衣服を取り出すと、アキラはさっさとパジャマの上着を脱ぎ捨て、 用意された白い木綿のTシャツを身に着ける。 一応サイズは合っている筈なのだが、大柄なアキラには若干つんつるてんに見える。 同じく、アキラがパジャマのズボンを脱いでホットパンツを身に着け、用意の靴と靴下を身に着けるのを、 偽ネギは座って顎を掌に載せて眺めていた。 それが終わると、偽ネギは、石ころぼうしを自分で被るとともに、 ここでどんな行動をとっていようが熟睡している事には違いない二人の美少女の頭にも被せて この三人の間でだけはぼうしを無効化させておく。 「ん、んー…」 夏美が頭を振りながら周囲を見回す。 「あれ?ここ?」 夏美が記憶を辿る。 どうやら、桜通らしい。しかし、自分はパジャマ姿だ。 と、思った途端、パジャマは、薄桃色のパーティードレスに姿を変えた。 「へっ?」 その夏美の目の前に止まったのは、カボチャの馬車だった。 自分を指さす夏美に、馬車を降りた御者がうやうやしく一礼する。 神の視点で見た場合、休暇二日目も残り何時間もないと言うそんな時刻、 確かに桜通の自分のごく身近のエリアだけ時間を早く進められ、 たっぷり熟睡してきせかえカメラで着替えさせられたドレス姿の夏美が リヤカーの上で一人がけの革張りソファーに掛けている。 そのリヤカーを、やはりきょうじきの力で目を覚ましたアキラがガラガラと引いていた。 タヌ機とかくれマントを装着した偽ネギがその側を歩いており、 アキラの靴下に貼り付けた上等兵の階級ワッペンに対応する大将ワッペンを偽ネギは自分に貼り付けている。 夏美の視点で見た場合、 馬車が止まり、御者にうやうやしく促され、夏美は宮殿の前にたたずんだ。 「これって、夢?」 改めて自分のドレスを摘んだ夏美は、次に自分のそばかすの浮く頬をつねり上げる。 「はーい、アキラさん、お疲れですー」 図書館島裏で自分の頬をつねる夏美を瞬間固定カメラで撮影した偽ネギが、 自分を含む全員の石ころぼうしを脱がせてから、 汗で半ば透明化しつつあるTシャツの袖で額を拭っているアキラに声を掛ける。 「ネギ先生、これは一体…」 「まあまあまあ、ちょっとした楽しい夢なんですけどね。 取りあえず、着替えていただきましょうか…」 にっこり笑った偽ネギの指示に従い、アキラはまずは二等兵ワッペンを貼り付けたサポーターを腕に巻く。 それから、サポーターだけを残して身に着けていたものを全て脱ぎ、 脇に兵長ワッペンを貼った白いチャイナドレスを身に着ける。 「はーい、ファスナー上げますねー」 「ん、んー」 きつい締め付けに、アキラが顔をしかめる。 アキラの長身にフィットしてその豊かなボディラインを余す所ない程に浮き彫りにし、 その脚線美を最大限に引き出す深いスリットが入ったチャイナドレスは、 アキラに化けたヒトマネロボットにきせかえカメラを使ってオーダーメイドしたものだった。 「では、これも着けて下さい」 その、完璧なまでの美を冒涜するかのごとき偽ネギの命令にも、アキラが唯々諾々と従った所で、 ニッと笑った偽ネギが、たましいふきこみ銃でアキラを銃撃し、 その後でアキラにかたづけラッカーを吹き付け、 偽ネギは自分の眼鏡をかたづけラッカー仕様のものと取り替えた。 「ネギ君?」 「ネギです、そして、あなたの王子様です」 夏美が瞬間固定カメラで撮影された直後に戻り、もう一度そのカメラで撮影した偽ネギは、 口にうそつ機を装着し、自分のたましいを吹き込んだアキラに きせかえカメラで偽ネギを撮影させて着用したタキシード姿でうやうやしく一礼し、跪き、 そっとうそつ機を外してポケットにしまい夏美の手を取り唇を寄せた。 元々、ネギにはこうした所作が決まる素地がある。ドレス姿の夏美がぽっと赤くなるのも無理からぬ所。 そのすぐ側では、たましいふきこみ銃で偽ネギの意識を持つアキラが 装着したタヌ機から夏美の頭に念力を送っている。 偽ネギは、そのまま夏美の手を取りかべ紙秘密基地の中にエスコートする。 「私、ダンスなんて分からない」 「大丈夫ですよ、僕に任せて」 一角に即席スイートホームの建つがらんとした基地の中、 偽ネギは夏美の手を取り見事に社交ダンスを踊って見せる。 頭の中でオーケストラに化けたムードもりあげ楽団演奏の優雅なワルツを耳に、 脳内舞踏会でくるくるとネギにされるがまま、紳士淑女の注目を浴びる夏美は只々ぽーっと赤くなるだけだ。 いつしか、二人でポーズを決め、場内から嘆息と歓声と拍手が鳴り響き、 もう、夏美は卒倒寸前に舞い上がっていた。 ざわざわと歓談の時間となったパーティーホール、 偽ネギが改めて夏美の前に跪き、その白い手に唇を寄せた。 「姫、より深く、親密に、この夜の続く限り愛を確かめ合いましょう。 姫の美しさを前に、この私めでは不足でしょうか?」 「えええええ?より深く親密な夜ってああああのネギ君王子様あのっ、 だだだだだって、そんなそのお姫様ってあの、ネギ君アスナとか本屋ちゃんとかその…」 “…そそそれに、ネギ君可愛いし格好いいけど、でも私やっぱり…” 「いいんですよ」 一瞬、小憎たらしいわんぱくな笑みが脳裏をかすめた夏美の前で、 偽ネギが、立ち上がってにっこりと笑い、口にうそつ機を装着した。 「これは、夏美さんの夢、夏美さんが主役の夏美さんがお姫様の夏美さんの夢なんですから」 それだけ言って、そっとうそつ機を外しポケットにしまう。 「ああ、そうだよね、そりゃそうだよね、私が主役でお姫様って、 私の夢じゃなきゃあり得ないって、そーよそーようんうん」 「それではお姫様」 偽ネギが、改めて跪きうやうやしく一礼する。 「うん」 にっこり笑った夏美が、偽ネギに手を取られ即席スイートホームに向かう。 「んんっ、んっ…」 この巣穴に自分が先行して捕らえたからには最早小細工無用の即席スイートホームのリビングでは、 言葉もなく一組の男女が抱き合い、唇を重ね、舌を絡め貪っていた。 「夏美さん、綺麗です」 「恥ずかしい…私なんて、アスナや本屋ちゃんみたいに可愛くないしそばかすだし胸もないし… でも、でもネギ君私っ…」 「分かってますよ」 偽ネギの天使の笑顔を見たかと思うと、夏美の体はふわりと持ち上がっていた。 「えっ、あのっ…」 「大丈夫、僕に任せて下さい」 太股と背中を下から抱えられ、夏美の顔は火を吹きそうな程真っ赤になっていた。 そのまま、夏美の体は寝室に運ばれふわりとベッドの上に乗せられる。 「…ひゃっ!?…」 偽ネギと夏美の後ろについてスイートホームに入りこんでいたアキラが テーブルに置いておいた空のきせかえカメラで夏美を撮影し、 きょとんとしていた夏美がハッと気付いて胸の前で腕を交差し身をよじって悲鳴を上げる。 「さすが、夢の中だと展開早いですね」 「あうっ、あっ、あのっ、だだだ駄目っやっぱり駄目っ、私だって背も低くて胸もなくって…」 「綺麗ですよ、夏美さん」 にっこり微笑んだ偽ネギの笑顔に、夏美がぽっと赤くなり動きを止める。 「いいんちょさんとか那波さんだったら、比べる方が間違っているんです。 僕を信じて、手をどかして、力を抜いて下さい」 偽ネギの優しい言葉に震えながらも従う夏美の姿は、実際、可愛いと偽ネギも思った。 「やっぱり、すごくきれーです。 おめかししている夏美さんも綺麗でしたけど、そのまんまの夏美さん、凄く綺麗ですよ」 実際、偽ネギはそう思っていた。 休暇前日のバカ騒ぎで、あの学年にして見た目グラドルやAVアイドルの宝庫みたいな クラスの異常さが偽ネギにも改めて痛感されたが、 その異常な感性を正常に戻せば夏美の成長は決して貧弱ではないし、 日々演劇部で厳しい稽古や準備を頑張っている夏美の肉体は無駄なく締まっていた。 「恥ずかしい…」 「じゃあ、僕も恥ずかしい事、します」 偽ネギの背後から、アキラがきせかえカメラで偽ネギを撮影する。 「ほら、夏美さん、夏美さんの裸、凄く綺麗だから、僕の恥ずかしい所もこんなになってる」 “…あれが、男の子の… 十歳でも、あんな風に、って、いや、十歳じゃなかったらどうとかこうとか雑誌のとか…” 恥ずかしさに顔を覆っていた掌をちょっとどけ、新たな混乱に陥った夏美の隣に、 生まれたままの姿になった偽ネギが身を横たえる。 「綺麗ですよ、夏美さん」 もう一度偽ネギが言い、夏美の上に偽ネギがのしかかり裸と裸の体が触れあい 触れ合い絡み合う唇と舌の熱い感触、ぎゅっと抱き締められた力強さだけで 夏美の意識が熱く遠くなる。 「あんっ」 「綺麗ですよ、それに、こんなにぷるぷるしてる、夏美さんのおっぱい」 「恥ずかしい…」 「ほら、隠さないで、見せて下さい夏美さんのかわいーお顔」 偽ネギの右手に胸を優しく掴まれながら、偽ネギの左手が夏美の両手に促し、 顔を覆う夏美の手がずらされる。 “…顔真っ赤、そばかす…胸もぺたんこ…” 改めて夏美の唇に触れた偽ネギの唇が、ぐるぐると頭の中を巡るコンプレックスをガラガラと突き崩す。 「あっ、ああっ」 「ほら、お声も可愛い、こんな風に、夏美さんのおっぱい、ぷりんて可愛くて綺麗です」 実際、偽ネギはそう思っていた。これから育っていこうと言う風情のその胸の膨らみは、 それでもBカップくらいはありそうで本人が思う程貧弱ではない、比べる対象を間違えているだけだ。 そんな形のいい膨らみの上で、ぽっちりと可愛らしく主張している乳首に偽ネギは吸い付いた。 “どうせ、夢だし、ネギ君にこんなに褒めてもらえるんなら、夢の中なら私、美少女お姫様なんだ” 「あっ、あんっ」 ちゅっとくすぐったい乳首を吸われた夏美は、考えるのをやめて体の奥から突き上げるままに声を上げた。 「んん…あああんっ!」 いつの間にか夏美のおへそから太股をなで回していた偽ネギの右手がもっと奥に差し込まれ、 じわじわと責められながら一番効く所をヒットされた夏美が喉と背中を反らして叫ぶ。 偽ネギは、少しの間、密着した夏美の体の震えを楽しみながら硬く尖ったものを指で弄び、 その人差し指を既にしっとりと潤ったきつい肉の間に沈ませて行く。 「あっ、あ…あうっ!」 夏美を抱いた左腕に伝わる感触で急所を探り当てた事を理解した偽ネギが、 夏美の中に潜り込ませ、その内側の急所をとらえた指を巧みに操って夏美を甲高い声で泣かせる。 「ああっ、夏美さんっ、僕、僕もうっ」 「うん、ネギ君っ、私も、私も凄く、凄く体が熱い、中から、ネギ君っ!」 眉根を寄せて喘ぐ夏美にたまらないものを感じながら、偽ネギは指を抜いて 代わりに夏美の新鮮な喘ぎを前に力一杯反り返ったものを押し込む。 「いっ、あ…」 「大丈夫ですか?」 「うん、っ、大丈夫」 偽ネギの見せかけの優しさに、夏美がにこっと笑みを作る。 その可憐なまでの笑顔を見て、思わず動きを止めた偽ネギが、 ハッと我に返ってぬるりときつい締め付けの中にある男性に力を込めて動かし始める。 「あ、っ、ああっ、ネギ君、ネギ君のが私の中、私の中でネギ君のが私の初めてであっ、ああっ!」 最初は苦痛にしかめた顔を隠しきれなかった夏美だったが、 段々と、熱い息を吐きながら眉根を寄せて幼さの残る女の声を漏らし始める。 淫らさを覗かせながらも可愛らしく喜びと僅かな羞恥の表情を交錯させ、 体の中から突き上げるものに身を震わせる夏美をその腕に抱き、一つになった所をぐいぐいかき回しながら、 精々そんな夏美をいい様に弄んであられもない姿を見せてもらおうと鼻で笑っていた偽ネギの腕が 夏美をぎゅっと抱き締め、自然と腰の動きが激しいものになっていく。 「ああっ、夏美さんっ、僕、僕っ…」 “…この台詞がお約束だよな、あっ…” 「うんっ、ネギ君っ、私も、私もっ、あっ、初めてなのにこんな、ああっ…」 白い喉を見せ全身を反らしひくひくと震わせる夏美を目の前にしながら、 偽ネギも、最近では珍しく女性はもちろん自分でも遠慮していたものを、 そんな淫らで可憐な夏美の中に久しぶりにたっぷりと解き放ちながら、 熱く火照った夏美の体をぎゅっと抱き締め、その弾力溢れる少女の体にぎゅっと抱き締められていた。 「綺麗です、夏美さん、今、凄く可愛かった」 別に、嘘ではなかった。 「やだ、恥ずかしい。なんか、凄くエッチだったでしょう」 丸裸でベッドに寝転がる偽ネギの隣で、まだ荒い息を吐いていた夏美がかああっと赤くなった。 「はい、エッチな夏美さん、とっても綺麗でした。気持ちよかったんですか、夏美さん?」 「…うん」 天使の笑顔で素直に尋ねる偽ネギに、夏美は小さく頷いた。 「じゃあ、男が気持ちよくなる方法って知ってます?」 「え?」 すり寄って着た偽ネギに囁かれた夏美は、 いつしかベッドの上で大股開きに座る偽ネギの前で四つん這いに這っていた。 「うーん、雑誌とかで聞いた事あるけど…」 「駄目、ですか?」 首を横に振った夏美は、目の前で一戦終えてたらんと柔らかくなったものをぱくっと口に含んだ。 「んんっ、ネギ君の、なんか可愛い…んんっ」 “…何だ?こないだ散々やらせただろ…このネギ様が我慢し過ぎたか?” 意外な程の刺激に、偽ネギは顔をしかめながら心の中で毒づく。 「んっ、こんな、こんな大きくんんんっ」 「ああっ」 夏美の口の中でむくむくと大きくなっていったものに滑らかな舌が絡み付き奥まで吸い込まれ、 偽ネギは思わず声を上げていた。 「んっ、んんっ、んっ…」 ひたすらに食らいつき、目を白黒させていた夏美が、ぐっと反らした喉をごくんと鳴らしていた。 「…あの…まずくないですか?…」 “…俺様のチ○ポとザーメンの味も喜ばせる舌使いも体は忘れらんねぇってかぁ?フヒヒw…” 「すっごくまずい、でも、ネギ君のだし…」 にこっと笑った夏美の笑顔を見た途端、偽ネギは、夏美の唇の端から溢れ出しているものなど構う事もなく、 夏美をベッドに押し倒し、たった今自分の男を刺激し淫らに喜ばせていた夏美の唇と舌を自分のそれで貪った。 「ネギ君?」 唇を離し、目をぱちくりとさせていた夏美だったが、夏美が静かに目を閉じて唇を少し突き出すと、 偽ネギはそこに優しく唇を重ね、舌を潜り込ませていた。 「また、したいの?私の上でまた硬くなって、男の子ってそうなんだってね」 「次は、こう言うの…」 こくんと頷いた偽ネギは、夏美を促し、夏美をうつぶせにした。 「可愛いお尻ですね」 「やだっ、もうっ」 “一発やったからって恋人気取りかよ” 心の中で毒づきながらも、可愛い事には違いはないとそれも自覚する。 いっそ、パンパンと真っ赤にひっぱたいて泣かしてやりたいと言う衝動を今回は抑え、 くりっと硬さの残る少女の尻を手触りで堪能し、夏美が恥ずかし気にはなかみながらも 偽ネギのレディ・エヴァ直伝の手触りにうっとりしているのを眺める。 それだけでとうに溢れ返っている所に、こちらも準備万端反り返った自分のものを後ろから押し込み、 繋がりながら自分の下腹でパンパンひっぱたいてやる事で偽ネギは我慢しながら 思いのままに腰を動かし絞り込まれる快感を貪った。 「ああっ、あっ、ああっ…」 もう既に、夏美の中にもそれ以外の場所にも何度も出している筈だが、 それでも夏美を求めてこうしている。 その事を自覚しながらベッドに仰向けになっている偽ネギは、 目の前で形のいい乳房をぷるぷる震わせながら幸せすら伺える表情で喘ぐ夏美の顔を眺め、 今、繋がりながら偽ネギの下腹にこすられている所同様、ちょっと赤みがかった癖っ毛がバラバラ揺れるのにも 何かこみ上げる感情を覚える。 「あ、あっ、あ…」 その感情のまま、激しく腰の突き上げを再開した偽ネギの上で、 夏美は何も隠すものの無い白い肉体をピンと反らし、 唇の端から一筋ヨダレすら光らせながら、ぷるぷると震える。 偽ネギは、夏美の中で欲望を解き放つ温かな感触を味わいながら、 がっくりと自分の体の上にくずおれる夏美を支え、 偽ネギのたましいを吹き込まれてぼーっと突っ立っているアキラを動かして 近くにある赤と青の小さなバケツを持ってこさせる。 赤いバケツには予めぬるま湯に浸けて絞った赤いハンドタオルが、 青いバケツには青いハンドタオルが何枚も入っている。まあ、ぬるま湯がとうに冷めているのは仕方がない。 準備中に気まぐれにあらかじめアンテナをここで使ったら偽ネギの体が勝手にこれを用意していた。 バケツを受け取った偽ネギは、タオルで自分と夏美の股間を清めてから夏美を自分の傍らに横たえる。 「うにゃ…」 ベッドに寝そべった偽ネギが、隣で唇の端からちょっとヨダレを垂らして寝息を立てる夏美に視線を送る。 チラリと時計に視線を送ると、夏の短い夜が明ける頃合いだ。 一度火の付いた村上夏美は情熱的で、貪欲だった。 その、まだ幼さの残るしかしその味をしっかりと覚えた青い肉体が求めるままに、 前から後ろから上から下から、思い付くまま求めるまま求められるままに貪り続け激しくよがり泣きながら 一晩丸ごと懸命に偽ネギを愛し、少しでも気持ちよくしてあげようと励み続けた。 やはり、作り物でもなんでも、ベタ惚れの愛情こそ最強の媚薬と言う事らしい。 そんな夏美の幸せそうな寝顔を眺めながら、偽ネギは乱れた癖っ毛を撫でる。 “…まさか…このネギ様がこんなぺちゃぱいモブに? まあ、確かに、見るからにNGじゃなかったから、だから使ってやっただけ、 散々使ってみて悪くなかったから、生ハメのお味もちょっと試してみただけの事。 これからこの世界全てに君臨し世界中の美女を跪かせるこのネギ即ちガッドが、 そのための第一歩としての麻帆良学園、その中の3‐A、そんだけでもあれだけのせくすぃー美女の宝庫で こんなどこにでもいるその他大勢通行人A否ワカメA、ほんのバカンスのお遊びに決まってるだろ。 大事の前のお楽しみ、情が移る様な事があってはならない、馬鹿はそれで失敗…” 「ごふっ!」 「くかー…」 ごろんと寝返りを打った夏美のかかとが偽ネギの腹を一撃する。 自分を弄んだジゴロに天罰を下したとも知らず、夏美の寝顔はあくまで幸せ一杯だった。 ---- [[次話に進む>黒ネギぼうず/第17話]] [[小説保管庫へ戻る>小説保管庫]]

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