キャラクター

ストーリーガイドになりたくないと言うなら、君はドラマティック・キャラクターの役割を請け負うこととなる。
ドラマティック・キャラクターは非常に楽しい- 彼らは、君の物語の重要なキャラクター達である。
君の物語が映画またはテレビシリーズであるとするならば、ドラマティック・キャラクターは英雄のうちの1人であるだろう。
彼らは、夜にニュースにくぎ付けになることだけを楽しみに日雇い労働に勤しむ平凡な市民でない -
彼らは、ニュースを作る者だ。彼らは卑賤の生まれかもしれないが、素晴らしい何かになるために可能性を持っている。
彼らは、スターなのである。
君がクトゥルフテック・コア・ブックを購入する事を選択するなら、ゼロから自らのドラマティック・キャラクターを
設計することが出来るだろう。このクイックスタートルールは、4体の作成済みキャラクターと
君が彼らについて知っているべき事の全てを含んでいる。
このセクションは、君が1人でキャラクターをデザインし始める時にいくつかの
オプションが存在するのと同様に、君が入っていくキャラクターの様々な部分を提示する。

キャラクターとは基本的に、測定可能な領域の数値を基にして作られている、ある人間の様々な側面である。
要するに、我々はばらばらに人を壊して、数値を彼らを評価するよう割り当てるのである。
クトゥルフテックのキャラクターを組み立てるために、2つの主要な領域がある。
1つは能力値、これは人の生来の能力を数値化したものだ。
そして技能、これはキャラクターが受けた正規の教育や訓練、及び人生の中で学んだ様々な物事を表している。

通常、クトゥルフテックのキャラクターは新地球政府に属している。この政府が直面している怪異から世界を救うために戦っているのだ。
キャラクターは2つの種族のどちらかであり、数多くある職業の内の1つに就いている。


種族 Race

人間は、もはや地球上の唯一の感受性を持つ種ではない。
第一次アルカノテック戦争の後、新地球政府は、ナザディを組織の中に迎え入れた。
クトゥルフテックにおいて、君は人間かナザディのどちらかでプレイするかを選ぶことができる。
(このクイックスタートガイドに収録されている作成済みキャラクターの種族は既に定められている。)
かつて地球を支配していた種族である人間は、現代の世界の人間と同じ位多数存在している。
彼ら人間の世界は永劫戦争の勃発以来より更に大きくなった。一方、ナザディは、
第一次アルカノテック戦争で人類を撲滅するために送り込まれた、遺伝子操作でミーゴによって創られた生物である。
彼らは自らが製造された生物であるということを知り、自らの秘密の主人に反抗した。
彼らは最も暗き夜の生物だが、大くの点で人間と類似している。
彼らの文化は、大部分の方面においてに我々のものと同様だ、
だがそれ故に、彼等は自らの種族の独自性を作り出そうと奮闘している。



プロフェッション Profession

クトゥルフテックのルールは柔軟性があり、ほとんどどんな種類でも君が望むキャラクターを作成することができるのだが、開始時キャラクターは、以下のプロフェッション(専門職)のいずれかに該当するかもしれない。

“神秘探索者(Arcane Investigator)”は、オカルト世界に住まう勇敢なる者たちであり、何であれ誰かが報酬を出して捜索を依頼してくるであろうものを――殊に暗闇の中に忘れ去られてきた物事を――探し求めるのだ。

科学者兼妖術師である“秘術技師(Arcanotechnician)”は、次元エンジンとメカ・テクノロジーの根底にある基本原理を理解している。秘術技師であるということは、神秘技術(アルカノテクノロジー)が少なくとも部分的には「人の知るべからざる物事」の範疇に入るため、危険な仕事なのだ――それに見合った高給取りではあるのだが。

“使徒パイロット(Engel Pilot)”は、新地球政府(NEG)のエリート・パイロットと見なされており、怪異かつ神秘的なる“使徒”と「交信」する。使徒パイロットの生活はストレスが多く、神経を逆撫でされるものであり、かつ彼らは他のどのNEG部隊よりも頻繁に戦闘に接する。

最暗黒の魔術を探求して世界に恐怖を解き放つであろう者どもに対するにせよ、あるいは、おぞましき太古の存在者たちを崇め奉る集団を無辜の人々から組織する者どもに対するにせよ、“連邦捜査官(Federal Agent)”は、新地球政府の市民をその近隣において脅威となるものから保護しようとする者たちである。

“メカ・パイロット(Mecha Pilot)”は、新地球政府軍の主力、すなわち、建築物ほどの高さの機甲化された戦争用マシーンに搭乗する兵士である。NEGが彼らを必要とする場所であれば、どこにでも、いたるところに存在し、基地や軍事施設の警備に当たったり、敵領内の奥深くで特殊部隊による急襲作戦を展開したり、前線で戦ったりする。

神秘技術(アルカノテクノロジー)およびアルカノテック戦争の到来とともに、新しい部類の学者が現れた――“オカルト学者(Occult Scholar)”である。オカルトとは、地球を現在荒廃させつつある超自然的な諸力を説明する際に広く用いられる用語であり、オカルト学者たちは精神の正気を危険にさらしつつ、彼らを取り巻いている失われし秘密を究明してゆく者たちである。彼らは、オカルト学の追究によって度々、妖術の実施に至る。

宇宙パワーを操作する直観的な能力をもって生まれた者は、“超霊能者(Para-Psychic)”として知られる。超霊能者は驚くべき偉業をなす能力を有するが、能力によっては、しばしば社会において不信感を抱かれる。また、彼らはその能力を政府登録するよう要求され、慎重に監視される。その一方で、たいてい彼らは、その能力を買われ、有用かつ高賃金の地位を軍隊、法執行機関、または企業において見いだす。

“兵士(Soldier)”は、メカに搭乗せずに戦う戦士である。彼らは、戦場を突進する勇猛な歩兵であり、新地球政府の諸都市における秩序を維持する警察であり、そして敵陣後方へ潜入する特殊部隊である。

“フリーク・ショー(奇形の見世物)”―― それが内部要員による呼称である。“特務(Special Services)”が新地球政府による呼称だ。最も秘密にされている政府機関の一つである“特務”は、社会に対する最も奇妙で、最も危険で、かつ最も強烈な、あらゆる脅威に対処する――そして、人々が夜になって安眠できるように、それらを粛々と覆い隠すのである。

エルドリッチ・ソサエティ(妖幻協会)の聖戦士である“テイジャー(Tager)”たちは、“聖なる団結の儀式”を通過した者たちである。彼らは、共生体タ'ゲ(Ta'ge)という、時空の彼方からやってきたものと一体化しており、そのことが彼らを強力な超自然的戦士にしている。

以上は、クトゥルフテック・シリーズにある有力なキャラクターの種類の一部にすぎない。クイックスタート・ルールに掲載されているキャラクターは全てテイジャーである。


人格定義的な特徴 Defining Characteristics

個人の人格を絞り込むことは難しい。というのも、人は本質的に複雑であるからだ。あらゆるキャラクターの態度の少なくとも片鱗を提示するために、“人格定義的な特徴”、すなわち君のキャラクターの人格の中核を定義づける助けとなる2つの特性を使用する。

一つ目の“人格定義的な特徴”は、“美徳(Virtue)”、すなわち君のキャラクターの中の善なる主な性質である。もう一つは、“瑕疵(Flaw)”、すなわち君のキャラクターの中の不完全なる、かつ短所と見なされる主な性質である。これら二つの“特徴”は君のキャラクターの人格を完全に定義づけてしまうわけではないが、それらは二つの極を定義づけることによってキャラクターがどのような人物であるのかの概観を提供してくれる。

能力値 Attributes

ある人物を他の誰かに説明するとき、一般に、どのようなことについて取り上げるだろう。彼は聡明か?彼女はカワイイか?彼は強いか?能力値とはそういうもの、すなわち、ある人物に固有の能力や素質のことである。クトゥルフテックでは、キャラクターを測るために6つの能力値を使用する。

それらの能力値の各々は、1から10までの数値幅で評価される。この数値幅については、実際の生活で君がするように考えてみよう――たいていの場合、人や物を評価する際には、そのような数値幅でお願いされるものだ。評価が1ならば非常に困難が伴うと見なされ、5ならば人間の平均値、10ならば実に素晴らしいということになる。クトゥルフテックでは、この数値幅上で11以上に達する可能性があるが、そのような人々は、究極者であり常人の域を脱しているか、または超自然的な働きに憑依されている。

6つの能力値とは、【敏捷力】、【知力】、【知覚力】、【魅力】、【筋力】、【意志力】である。

【敏捷力】(Agility)は、身体的な機敏性、柔軟性、および技巧の尺度である――すなわち君のキャラクターが自分の身体を自分が望むように動かす能力である。【敏捷力】は、身体的コントロールを要する技能に使用され、また、近接距離での戦闘、および戦闘中の回避行動の双方についてキャラクターによって使用される。

【知力】(Intellect)は、知性、教養、学習能力、および記憶の尺度である――すなわち君のキャラクターの頭脳が情報をどのように処理し、思い出すかということである。【知力】は、多くの技術分野・科学分野を含む、学習される技能について使用される。

【知覚力】(Perception)は、察知力と感覚の鋭敏性の尺度である――すなわち君のキャラクターの頭脳が情報をどのように受け取るかということである。【知覚力】は、注意力を要する技能について使用され、また、〈射撃〉技能にも使用される。

【魅力】(Presence)は、魅惑的であること、美しさ、人格力、および社会的能力の尺度である――すなわち他者が君のキャラクターに対してどのように反応するかということである。【魅力】の値が高くても、必ずしも美しくなければならないというわけではない。その代わり、キャラクターはエキゾチックだったり、印象的だったり、人を引きつける性格をしていたり、人を鼓舞するような物腰だったりする。【魅力】は、他人に対する影響力に関する技能について使用される。

【筋力】(Strength)は、身体的な力の尺度である――すなわち、君のキャラクターの身体がどれほどの強さで周辺環境に影響を及ぼすことができるかということである。【筋力】は、重い物を持ち上げたり、人を抑え込んだり、その他、力業そのものを要するものに使用される。また、近接戦闘において君のキャラクターがどれくらいの与ダメージを出すかということも左右する。

【意志力】(Tenacity)は、持久力、スタミナ、および気合いの尺度である――すなわち、君のキャラクターが逆境においてどの程度まで身体と精神を機能させることができるかということである。【意志力】は、負荷の大きい身体技能や魔術を行うのに使用される。


技能と性質 Skills & Qualities

能力値は、生来の才能や潜在力そのものを測るものであるが、技能は、キャラクターの訓練と教育を表すものである。各技能は、キャラクターが能力を有する一連の知識であるか、または身体的な訓練の一種である。キャラクターは皆、様々な技量レベル評価を有する様々な技能を一定数もって開始する。

囲み欄を見れば分かるように、各々の技量レベルは一定のダイス数と一致する。これは、判定の際にその技量レベルの技能を有するキャラクターが振ることのできるダイスの数である。

技量 Expertise
技量レベル(ダイス) Level of Expertise (Dice)
• 未修得(Unskilled)キャラクターは、その技能について何ら実質的に理解していない。
(ダイス0個)
• 入門者(Student)は、その技能の初歩を理解している。
(ダイス1個)
• 初級者(Novice)は、その技能の基礎を理解している。
(ダイス2個)
• 上級者(Adept)は、その技能の全般を理解している。
(ダイス3個)
• 熟練者(Expert)は、その技能の応用を理解している。
(ダイス4個)
• 体得者(Master)は、その技能をほぼ完璧に理解している。
(ダイス5個)

妙技 Feats

キャラクターが自分の生来の能力に習熟していることを再現するために、各能力値には、それに対応する妙技技能がある。それらの妙技技能は、習得による対応ではなく生来の能力が問われる場合の判定に使用される。

特化 Specializations

クトゥルフテックで使用される技能は、かなり広義に定義されているため、キャラクターは、ある一つの技能内の、より特定された分野について特化することかできる。そうすると、その分野については特に博識になる。例えば、“オカルト学者”は、〈オカルト〉技能の一部として〈古文書/Ancient Texts〉に特化するかもしれない。特化の第一段階は、“集中(Focused)”と呼ばれ、キャラクターは、その特定分野に関する判定について追加ダイス1個を獲得する。第二段階は、“特化(Specialized)”と呼ばれ、キャラクターは、その特定分野に関する判定について追加ダイス2個を獲得する。各技能内には多数の様々な特化があり、キャラクターは、同一技能について複数の異なる特化を制限なく習得することができる。

性質 Qualities

“性質”は、キャラクターの人生に影響を及ぼすが、通常の能力値や技能では説明できない、ポジティヴなものとネガティヴなものの双方をいう。“性質”には、2つの種類がある。“利点(Assets)”はポジティヴな特性であり、一方“欠点(Drawbacks)”はネガティヴな特性である。

このクイックスタート・ルールにおける各キャラクターの“性質”は、各キャラクターの記載で説明されている。


副次能力値 Secondary Attributes

副次能力値は、大部分において君の通常の能力値からの派生物である。副次能力値は6つあり、君のキャラクターについて、反応速度、魔術的な力量など、有意義な分野をさらにいくつか明確化するのを助けてくれるものである。

〖行動力〗 Actions

〖行動力〗は、リアクション、スピード、および多重タスク処理能力を合わせたものを表す。通常、キャラクターは毎ターンにフリー・アクション1回と通常アクション1回を行うことができる。フリー・アクションとは、会話や歩行など、僅かな労力しかかからないものをいい、一方、通常アクションとは、実質的な労力のかかるものをいう。

しかしながら、才能に恵まれた個人ならば、同じ時間量のなかで追加の通常アクションを取ることができるかもしれない。自然状態で手足が二本ずつしかないキャラクターが1ターンに取れるアクション数は、最大で3アクションである。〔訳注:〖行動力〗=1ターンに取れる通常アクションの数、である。〖行動力〗が3アクションなら、1ターンに通常アクションを3回取れる。〕

〖移動力〗 Movement

君のキャラクターがどのくらい速く移動することができるかを知ることは重要なことだろう。君のキャラクターの〖移動力〗は、二つの異なる速度で記載される。一つ目は、君のキャラクターの時速マイル(mph)単位の走行速度である。二つ目は、5秒1戦闘ターン毎ヤード数(ypt)単位の走行速度/警戒速度である。走行速度は、キャラクターの最高速度である。警戒速度は、緊迫した対立状況において最もよく使用する速度である。〔訳注:ゲーム上は、1マイル≒1.5キロメートル、1ヤード≒1メートルで換算するのが良いと思う。〕

〖オルゴン〗 Orgone

人は皆、実際に方法を理解しているか否かは別として、魔術を使用する素質を備えている。魔術は呪文と儀式によってのみ作動するわけではなく、魔術師の意志と理解によっても作動するのである。ヴィルヘルム・ライヒ博士は、妖術が受容されるよりも遥か前にオルゴンを発見した人物だが、この新エネルギーは、「電磁エネルギー理論とは全く食い違う」状態のいくつかの現象の原因であると考えた。〖オルゴン〗は、君のキャラクターのなかの宇宙パワーの蓄積を表す。

〖反応力〗 Reflex

〖反応力〗は、君のキャラクターの反応時間の尺度である――すなわち、緊迫した状況のなかでキャラクターがどのくらい迅速に対応することができるか、ということである。最も重要なことは、〖反応力〗は、戦闘においてキャラクターがいつ行動できるようになるかを決定するのに使用されるということである。

〖生命力〗 Vitality

クトゥルフテックのキャラクターは、危険な世界に生きている。負傷することになる可能性は高い。〖生命力〗は、キャラクターの全般的な健康状態のレベルを測るものである。キャラクターは皆、“無傷”から“死の入口”にいたるまでの6つの負傷レベルを有し、これについてはp.20で説明されている。各負傷レベルは、君のキャラクターの〖生命力〗に等しく、〖生命力〗を5倍すると、キャラクターが瀕死状態になるまでに受けることのできるダメージの合計ポイント数になる。

受けたダメージが増えるにつれて、キャラクターは負傷による影響を被る。“浅手”しか負っていない者は機能に障害がないが、“重傷”を負っている者は、這いずって苦痛に呻く以外に行動は困難を伴うことになる。よって、たいていの場合、キャラクターは、“死の入口”そしてその向こうへと追いやられるよりも前にアクションから外されてしまう。

〖ドラマ・ポイント〗 Drama Points

ドラマ・ポイントは、ドラマティック・キャラクターをヒーローに画するものの一つである。ドラマ・ポイントは、重要キャラクターたちを取り巻く幸運な事情や周囲状況、ひいては、何気なく彼らを注視している運命を表す。好運や、九死に一生を得ることや、命知らずの行動――これらは全て、ドラマ・ポイントの出番である。機能的には、1ポイントにつきダイス1個を表す。状況に応じて、君はドラマ・ポイントを使用して、1回のアクション(君または味方のもの)にダイスを追加するか、または1人の敵からそのダイスの1つを1回のアクションについて奪うことができる。

ドラマ・ポイントは、使用時に費やされる。ひとたび1ポイント使用したならば、それは当分のあいだ返ってこない――が、君はプレイ毎に原値の満点分を使用することができる。ドラマ・ポイントをいつ回復するのか、記録する必要はないわけだ。君は、セッション毎に満点を有するのだ。

(/以上、"Profession"から、thiha訳2010-01-26)
最終更新:2011年02月14日 16:30
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