イントロダクション

クトゥルフテックは約1世紀の進歩、開明、流血の後に、我々の世界がどのようになったのかを描くストーリーテリングゲームである。それは宇宙を舞台とした、人類の進化と生き残りを賭けた戦いの物語である。


テレサ・アッシュクロフトという名の、天才的な博士課程の学生が既存の三次元数学を越えた非ユークリッド科学の世界をすっかり解き明かす長年の秘密の法則を偶然発見した時、その全てが始まった。2019年までに彼女はその精神を犠牲にしながらではあるが、それまでただ、魔法とだけ認識されていた概念と科学を統合し、魔法技術として知られるようになる、新しい分野を創造した。危険な研究を通して、他の学者は彼女の功績に追いつき、2030年、前代未聞の大発明の一つが発見された。D-エンジンは魔法技術に基づいたクリーンな無限機関である。それは世界に革命を起こした。この発明は人々に魔法が現実の物であるという事を認めさせた。しかし、この魔法は奇術師のトリックやファンタジー物語の派手な魔法では無い。それは宇宙のパワーを操作しようとする人物の意志に基づいて設計された激しく、暗く、儀式的な物である。魔法はすぐに政府によって規制された。カエ(calle)という法的執行機関と国家保安局が、その誤用と成長しつつあった黒魔法のブラックマーケットを取り締まる為に設立された。魔法使いを示すソーサラーと呼ばれる者達は全て政府に登録するように要求された。これらの法を破る事への罰則は厳しかった。


これらの要因は人類の進路を永久に変える2つの事象に大きな影響を与えた。
第一に、それらは人類を新しい段階の存在へ、より高い次元の進化への第一歩の始まりであった。その第一歩はそれまで一部の人間を除いて、我々が意識的に認識した事の無いものであった。第二に、それらは我々がむしろ知らない方がマシな存在、禁書と狂人のうわ言だけで語られていた存在の注意を引きつけたのである。冥王星の地表の下には千年に渡ってミーゴとして知られるエイリアン生命体が住んでいた。彼らは古い歴史と高度な知能を持った、甲殻類と昆虫と菌類の融合体といえる種族であった。ミーゴは人類を未発達な霊長類であり奴隷化し、虐待するべき存在であると見なした。地球は彼らの物であると見なされた。

我々は警告の無い、突然の宇宙からの脅威にさらされ、その脅威を防がなければならなくなった。ミーゴはその繁殖の方法により、初めは兵士という存在を持っていなかった。軍を組織するには最低でも10年はかかり、ミーゴはその時間を惜しんだ。しかし、彼らは地球を支配する種ほどではないものの、複雑な生命体のDNAを支配していた。人類の遺伝子を基礎とした軍をクローンして作り出す事は容易に思われた。しかしミーゴはどのような方法でもこの軍を洗脳する事はできなかった。地球征服の道筋として彼らの創造を実施するにあたり、ミーゴは偽りの家庭、偽りの文化、偽りの記憶、偽りの聖戦といった、嘘を彼らの創造物に移植した。恐れを抱かせる目的で、漆黒の皮膚と夜を見通せる赤い瞳といった若干の修正を加えられ、ナザディは太陽系と地球人類の大地に放たれた。

しかし、流血は流血を呼んだ。


戦争が始まってから、数年後、最初の世代のナザディ達は真実を知り、騙されていた事に気が付いた。ついには、彼らが殺してきた人々が実は彼ら自身であったと感じ始めた。
もう彼らはその祖先を殺している昆虫型エイリアンの道具ではいられなくなった。彼らは真実を同胞に知らせた。そしてナザディは真のアイデンティテイを創造するために、地球の住民達と協力して反乱を起こした。最初は衝突もあったが、ナザディは一致団結し、ついには新地球政府の貴重な市民となり始めた。ナザディの反乱はミーゴの侵攻を遅らせる事はほとんど無かった。ミーゴ達は兵士達を育成するのに数十年をかけた後、月サイズの超弩級ハイブシップで地球に侵攻した。そして彼らの軍は人類を一度に全て奴隷化するか滅亡させるかしつつ、世界中に侵攻した。彼らの前にはナザディの反乱も子供の遊びの様に見えた。

まるでミーゴの脅威ですら不十分であるかのごとく、ストレンジエオンとして知られる事になる、オカルト的な伝承である、終末の時がやってきた。それは永劫の死の眠りから目覚めた古代の暗黒神を目覚めさせる、宇宙の神聖な力学が直列した時であった。彼らの異常なカルトは軍隊に成長した。彼らは強大な力を持つ、冷酷なクリーチャーを信奉していた。死せる神、ハスターの支配下にある略奪の嵐の信徒はアジアを席巻し、大量虐殺を繰り広げた。彼らはモノリス城からレン高原を支配するハスターのアバターである、破滅の王に仕えていた。タコのような頭足綱神であるクトゥルフの海のカルトである、ダゴンの不明瞭な騎士団は彼らの神が居城とする失われた都市を捜索した。クトゥルフは現在世界を汚している有害な小動物である人類を抹消する事を約していた。人類の中に彼らが発生した年月は彼らがほとんど期待していなかった、大洋とその水面下を支配する軍を与えた。
このような恐怖に直面し、世界は新地球政府の元で統合された。明確な滅亡を生き残るために、地球市民は団結し古い諍いが消え去ったのだ。人類とナザディの間に残っていた憎しみさえ消滅した。漆黒の肌のこの種族は10人に4人の割合で存在し、すでに少数派ではなかった。新地球政府の軍が世界を脅威から救う為に戦っている裏で、ストリートと路地裏では秘密結社の暗闘が繰り広げられていた。消費財から、武器にいたるまでの全てを提供する巨大多国籍企業、クリサリスコーポレーションは混沌の子らとだけ知られている、秘密のカルトによって、中から侵食された。我々が知っているような究極的な世界の終末と古代の神々を覚醒させる為に、彼らは尽力し、その力を乱用した。この極秘計画は新地球政府の最高幹部ですら知られていなかったが、社会の中枢を食い荒らす癌の存在を知る人々も居た。エルドリッチソサエティは聖戦士の秘密結社である。かつては定命の者であった、これらの戦士たちは時空を越えてやってきた者である共生体と融合し、ユニークで恐ろしく危険な存在になった。NEGの腐敗を恐れるエルドリッチソサエティはクリサリスコーポレーションの邪悪な計画を阻止すべく、彼ら自身で戦った。エオン戦争は3つの局面を持つ戦争である。ミーゴの軍とカルトの脅威に対抗する新地球政府軍の戦い。NEGとミーゴは共通の敵を持っているが、昆虫人は人間の同盟者となる事を拒絶し、同じ敵と個別に戦った。


何十億という人々がこれまでの30年に渡る戦争で死に、社会の様相は永久に変貌した。幸運な事に100年前の人類には存在しなかったいくつかのアドバンテージがあった。我々は魔法科学を所持している。それはメカとして知られる有人人型機動兵器の開発を導いた。我々は魔法をコントロールする能力とそこから派生したサイキックパワーを持っている。我々はどんな代償も支払う覚悟の出来る、未知を明らかにする秘密結社を持っている。最も重要なのは、我々は生き残りを賭けた、人類の不屈の闘志を持っている事である。

時に西暦2085年、地球上の全ての定命の者は絶滅に瀕している。
エオン戦争の時代である。

ゲームのプレイ

クトゥルフテックは完全に肉付けをされた知的財産であるようにデザインされた強固な設定である。結果としてそれをプレイする方法は1つでは無い。それは設定の中の多くの異なる舞台で、異なったスタイルのキャラクターとロールプレイができるように作り出された。君がどのような方法でプレイする事に慣れているとしても、クトゥルフテックの暗い未来の宇宙で類似したスタイルを発見するだろう。コアブックは2つのすぐに遊べるストーリーを含んでおり、同様に君がすぐに始められるように手軽なストーリーフックを含んでいる。クトゥルフテックの製品ラインの本のほとんどに既成ストーリーとストーリーフックが含まれている為、君は異なったプレイ方法の事例を得ることができる。
手軽なキャラクター作成の為のテンプレートの組み合わせが提供され、数日でクトゥルフテックをプレイすることができる。君がクトゥルフテックをプレイする事ができる2つの主要な段階がある。
第一に、完全に表面的である、誰でも知っている世界がそこにはある。君は新地球政府軍の戦列に参加して、ライフルとコンバットアーマースーツで、あるいは人型戦闘兵器に乗り込み、恐ろしいモンスターと対決する前線で戦う事ができる。さらに、サイバネティックな怪物である使徒のパイロットとなるために君は脳にチップを埋め込むこともできる。君は間諜戦の中でダンスを踊る事ができる。もしくは君は、機密活動チームの一員にもなれる。
第二の段階は、影の中にある。腐敗が新地球政府を蝕んでいる。苛烈な国家保安局の一員としてオカルト的な性質の犯罪を取り締まれ。秘術的なアンダーグラウンドの一部である黒魔術のブラックマーケットのストリートの暗い行き止まりを歩け。さらに掘り下げて、エルドリッチソサエティの一員になり、人間の心を持つ怪物、テイジャーとなれ。
付け加えると、これらの多くのプレイ方法の選択肢に特定のやり方を取り扱う設定の一部を取り入れることもできる。
第一は戦争の主戦力である人型機動兵器、メカである。オリジナリティ溢れる50以上のユニークなメカがコアブックとVade Mecumに存在する。新地球政府の鈍重だが、頑丈なソードクラスから、速く機敏なナザディメカ、半有機体の昆虫のようなミーゴのメカ、不明瞭な騎士団の水陸両用メカまで。最も特筆すべきは使徒である。超巨大遺伝子操作された怪物であり、武装と共にサイバネティックシェルを埋め込み、半有機子宮コントロールカプセルで乗り込めば、君はパイロットである「コミューン」となり、使徒を手に入れることになる。彼らは善良である。彼らのパイロットはしばしば厭世的である。
第二は宇宙的なパワーである。全ての人々が信頼する物ではないが、魔法はストレンジエオン社会で受け入れられており、その大部分が解明されている。魔法の使用は新地球政府によって、厳しく規制されており、魔法に関する法律を破った場合の罰則は厳しい。
クトゥルフテックの魔法は派手で面白いものではない。宇宙の法則を使用者の意志により曲げる。暗い色のローブと、宇宙に精神を集中し、水晶と血を生贄にささげる、儀式魔法である。魔法の軽薄な側面、宇宙のパワーの直感的な使用であるサイキックパワーを行使する者たちがいる。彼らのパワーは魔法よりも範囲が限定されているが、いつでも君の指先に存在する。
第三はティジャーである。エルドリッチソサエティはナイアーラトテップの道具であるクリサリスコーポレーションの腐敗した怪物のようなエージェントに対抗して戦う。彼らは時空を越えてやってきた何者かと融合した聖戦士である。この融合は人を怪物の様な形態に即座に変身させ、驚異的な技を可能にする、死のクリーチャーである。コアブックに異なった4つのタイプ、Vade Mecumに異なった4つのタイプが収録されている。そして彼らは善の人である。
第四は種族である。善良な古い人類はこの惑星の定命の者の中でいまだ支配的ではあるが、人口の40%弱はナザディである。我々のDNAから設計された生命体、ナザディはミーゴによって人類を征服するために送られた軍隊であった。彼らは反乱を起こし、人類の兄弟となった。暗闇を見通す赤い瞳と漆黒の肌、白い刺青。ナザディはミーゴの虚偽が無くなった今、自らのアイデンティティを探そうとしており、興味深いロールプレイ体験を提供する。このクイックスタートルールでこれらの興味深い欠片の幾つかを君は体験できるだろう。本書に含まれるストーリーでは、キャラクターは全て共生戦士テイジャーであり、エルドリッチ・ソサエティに所属して数日を経験することになる。

クトゥルフテックのストーリーライン


クウトゥルフテックの全体的なストーリーラインはメタプロットである。メタプロットとは言い換えれば大きな視野で設定を進展させる方法である。君自身の個人的なストーリーの一部として、多くのプロットを作り出し、プレイするだろう。しかし、設定は現実世界で起こる出来事をどのようにシミュレートするかによって、成長し、変化する。これがメタプロットである。メタプロットを好まないゲーム狂も一部には存在する。彼らは自分のコントロールの外で進展する設定を好まない。もし君がこれらの人々の一人であるとしても、クトゥルフテックのストーリーブックが君の役に立たない事は意味しない。それらは新しいテクノロジー、モンスター、キャラクターオプションを提供し、設定の異なる局面をさらに探求するものである。君はこれらを君自身のゲームを強化する為に使うことができる。そして君はメタプロットの一部として提示されたストーリーの一部に基づいて、君自身のストーリーを書く事を触発されるだろう。我々には君にどの様にゲームを行なうべきかを述べる意図はないが、メタプロットのセクションがどのような結末になるかに基づいてストーリーの素材を開発している。最後には、それは君のゲームであり、君のゲーム体験なのだ。君が欲するものを使い、君が欲するように修正し、残りは破棄して構わない。

最終更新:2011年01月18日 03:57
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