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6th Story CD「Moira」 用語解釈 - (2008/10/01 (水) 18:37:19) のソース
*6th Story CD「Moira」 用語解釈 このページは、2008年9月3日に発売された6th Story CD「Moira」の用語を私なりに解釈してみました。極力、歌詞の範囲外での考察は避けたつもりですが、一部、勢い余って要らない事まで書いてあるかもしれませんので、記述すべてを真に受けないように願います(; ・`д・´) #image(Greece2.gif) #contents //☆★☆テンプレです☆★☆ //用語を登録される方は、以下の三行をコピペしてコメントアウト(//)を外してください。 // //***(登録する用語・原則としてアルファベットはカタカナ表記。漢字はそのままで) //:読み|(用語の読み・ひらがなで) //:綴り|(用語のスペルがある場合) //:意味|(用語の意味。最初の空行までインデント保持。内容に関してはガイドライン熟読のこと) // //&link_up(上へ) ////☆★☆テンプレここまで☆★☆ **ア行 ***北狄 :読み|あまぞん :綴り| :意味|部族(?)名。『死せる英雄達の戦い』に登場。ギリシャ全域の敵対勢力。 イリオン陥落時、北方からアルカディア領を圧迫していたようで、決戦直前に部将のゾマスが派遣された。 :|ギリシャ古典でいう「アマゾン」は、女戦士のみで構成される部族(いわゆるアマゾネス)のことで、『死せる者達の物語』に登場した女王アレクサンドラ率いる「女傑部隊」と同一である可能性は高い。 ホメロスの「トロイア戦争」に準拠するなら、当時のアマゾン族の勢力はトラキアから黒海沿岸に及び、東夷(バルバロイ)ともども、ギリシャ諸国が防衛同盟を結ばねばならないほど深刻な脅威であったのだろう。 なお北狄は漢字のままだと「ほくてき」と読み、本来は中国北方の異民族を表す言葉。確かに古代ギリシャの中心主義は、四囲の民族を蛮族として蔑称(北狄・東夷・南蛮・西戎)する中華思想に通じるものがある。 :|伝承のアマゾン族は軍神アレスの眷属といわれ、女性のみで構成される。異民族(おもにギリシャ人)との戦闘で得た捕虜や、略奪してきた男たちを性奴隷として酷使し、用が済むと棄殺したという。 生まれた女子は、市民としての権利と戦士としての教育を施し、男子は棄てるか飼育動物として使役した。 また、女戦士たちは弓を射るのに邪魔な右の乳房(アマゾス)を切除したため、それが部族名の由来という説がある。 :|ちなみに、上記の「アマゾン」のモデルとなったのは当時から辺塞を荒らし回っていたアジア系狩猟民族であったらしい。ギリシャの史書はその特殊な母系社会を誇張して記述していたのだろう。 &link_up(上へ) ***アメテュストス :読み|あめてゅすとす、あめでぃすとす、あめじすとす :綴り| :意味|人名。東夷(バルバロイ)軍の客将。逃亡したギリシャ奴隷から成る軍を率い、バルバロイの支援を受けてギリシャへ侵攻していた。 その実、逃亡奴隷エレフセウスの変名であり、一般にはこちらの名前で呼ばれていたようだ。彼の紫色の瞳にちなみ、紫水晶(ギリシャ語でアメテュストス)をもじったのだろう。 前アルバム「Roman」と同じく、紫は「し=死」の象徴として描かれている。 &link_up(上へ) ***アルテミシア :読み|あるてみしあ :綴り|Αρτεμισια(Artemisia) :意味| &link_up(上へ) ***アレクサンドラ :読み|あれくさんどら :綴り| :意味|人名。『死せる者達の物語』『死せる英雄英雄達の戦い』に登場する女傑族の女王。いわゆるツンデレ枠担当。 相当勇猛な女戦士だったようで、ギリシャ諸国軍から成る東方防衛同盟との戦争のおり、アルカディア王子(王?)レオンティウスと一騎打ちに及んだ。 結局レオンティウスの武勇の前に敗れるが、彼に「女を貫く槍は持たない」と言って放たれた瞬間、非常にわかりやすいフラグが立ったようだ。「気に入ったぞ!」「いずれお前は私のものになる!」と、いかにも蛮族の女王らしい表現で好意を示して去ってゆく。 :|『死せる英雄達の戦い』では、決戦を前に部将ゾスマが「北狄」への備えとして派遣されており、この「北狄」が彼女の国であると仮定すると、懲りずに北方に盤踞していたようだ。 が、それから日もないレオンティウス戦死の場面では、「私を置いて逝くな」と叫びながら騎馬を駆り、直後、斬り落とされたような描写がある。 実際にイリオン近郊の戦場に居て、レオンティウスの後を追うように戦死ないし自害したのか、離れた戦場でそうなったのかは不明。 :|ちなみに、英雄とアマゾン女王の一騎打ちといえば、「トロイア戦争」における英雄アキレウスと、女王ペンテシレイアの一戦が有名である。 女王は豪勇ヘクトル亡きトロイア(小アジア)勢に味方し、一時アカイア(ギリシャ)勢が潰走するほどの武勇を示したが、さすがに神の寵愛篤いアキレウスには敵わず、呆気なく討ち取られる。 アキレウスは女王の死骸をさんざん辱めた後、女王の黄金の兜を剥いでその美貌に唖然とし、激しい恋慕を覚えて痛哭したという。レオンティウスとは色んな意味で対照的な話である。 &link_up(上へ) ***アルカディア :読み|あるかでぃあ :綴り| :意味|地名。「Moira」の神話パート通しての主要舞台で、主人公達の生まれ故郷。 実在のギリシャの地名でもあり、ペロポネソス半島中部の牧羊地域。こちらは「楽園」「理想郷」の代名詞と言われ、ローマ時代から、一種の桃源郷のようなイメージを抱かれていたらしい。「Moira」のアルカディアも、「後に楽園と謳われた山々」を頂いているとある。 :|『神話』の詞に謳われる国名の中には含まれていないが、国民一同「雷神に連なる者」を称しており、曲名の「雷神域」も、このアルカディアを指す言葉と思われる。 :|『雷神域の英雄』の地点で、幼い王子レオンティウスの父(勇者ディメトリウス?)が治めていたが、幾度か政変があったようで、最終的にはレオンティウスが王となる。 神託によると「雷を制す者 世界の王と成る」とあり、その言葉通り、レオンティウスの代にはギリシャのかなりの領域が、アルカディアの勢力圏にあったようだ。 &link_up(上へ) ***イーリアス :読み|いーりあす :綴り| :意味|人名。『死せる英雄達の戦い』に名前だけ登場する人物で、相当に武名高き英雄であったらしい。が、イリオン失陥に前後して、敵将アメテュストスに討ち取られたようだ。 「風神(アネモス)の眷属」と言うことは、風神眷属の王国アナトリアの王、または王家に名を連ねる者であったと思われる。カストルの口振りだと、「神の眷属」を斃す事が出来るのは、よほど人間離れした勇者か、同じく「神の眷属」でなければならなかったようだ。 :|ちなみに「イーリアス」とは、トロイア(イリオス)戦争末期を描いたホメロスの叙事詩と同名である。 &link_up(上へ) ***イリオン :読み|いりおん :綴り|Ιλιον(Ilion) :意味|「Moira」全編を通じてのキーとなる地名。古代ギリシ史ではトロイ、トロヤという呼び名が有名である。 『死と嘆きと風の都』等で登場する城塞都市で、『雷神域の英雄』の時点では風神(アネモス)眷属の王国アナトリアの王都であったと思われる。 『死せる英雄達の戦い』では「聖都」と呼ばれ、アルカディア王国領に組み込まれたか、アルカディア軍が即座に接近できる状態にあったようだ。 :|アナトリア王国が、年々深刻になる東夷(バルバロイ)の侵略に備えて要塞化を進めていたらしく、無数の奴隷を酷使し、多年を費やして巨石を敷き詰め、難攻不落と謳われるほどの巨大な城壁を擁していたという。 通常版ジャケット中央上方の巨大な城塞都市が、このイリオンではないかと推測されている。 :|「風の都」というと聞こえはいいが、中で酷使されている奴隷達にとっては地獄のような環境であったようだ。 曲中に王族や貴族は登場しないが、支配階級の一つであるらしい風神(アネモス)の神官たちは、奴隷を鞭打ち、高級娼婦を侍らせ、とても聖職者と思えない描写をされている。いかにも頽廃しきった虚栄の都であった様子が伺える。 :|『死せる英雄達の戦い』では、復讐に燃えるアメテュストス(エレフセウス)の軍勢により攻略される。 報を聞いたレオンティウス王が愕然とするあたり、それまでは評判通りの難攻不落であったのだろう。王は「風神の加護篤きあの城壁が」と呟いているが、神官の腐敗ぶりを見る限り、神の加護はあまりアテに出来なさそうだ。 霊験はさておいて、純然たる軍事要塞としても難攻不落に違いなかったであろうが、敵将アメテュストスが「我らを忘れはすまいな(/我ら、忘れはすまいぞ)」と憎々しげに嘯いたように、このイリオンを護る盾(城壁)は、かつて彼ら奴隷たちが命がけで造り上げたものである。つまり、戦う前から、城壁の構造、間道の有無、要害の弱点など、ことごとくが知り尽くされていたのだ。イリオンは陥ちるべくして陥ちたといえる。 :|この地のモデルとなったのは、前述の通り「トロイア戦争」の舞台となった城塞都市トロイと思われる。もともと神話伝承にのみ登場する架空の城と言われていたが、その神話を本気で信じた男シュリーマンが、周囲の嘲笑をものともせず、執念で掘り当てててのけた話は有名。 その関連で、『人生は入れ子人形』に登場するロシア系の奇人アレクセイ・ロマーノヴィチ・ズヴォリンスキーが掘り当てたのは、このイリオンの遺跡だったのではないかとも言われている。 &link_up(上へ) ***ウォルフ :読み|うおるふ、おるふ :綴り| :意味|奴隷部隊の将アメテュストスの部将。シリウスとともに戦列の一翼を担っていたらしい。 :|名の由来は不明だが、しし座に同名の恒星がある。ドイツの天文学者M・ウォルフが発見した恒星の多くが、その名を冠したものになっている。 :|ちなみに、オルフ=オルフェウスと見る説もある。通常版のジャケットに描かれている竪琴を持った金髪の男がそれで、確かに冥府へと続く道を降りてゆくところのようにも見える。 もともとジャケットが公開されたときから、一部で「オルフェウスとエウリュディケが登場するのでは」という噂があったが、「冥府の扉が開かれる」という文言、1フレーズだけ流れる「ラフレンツェ」の旋律から、両作品の関連へ言及する声はより大きくなっている。 ちなみに、ブックレットでアメテュストスに剣を向けられている金髪の男(たった今鎖から解き放たれた奴隷?)も、ウォルフの候補とされる。 &link_up(上へ) ***エレフセウス :読み|えれふせうす、えれうせうす :綴り|Ελευσευs(Elefseys) :意味|人名。この作品「Moira」を通じての主人公のひとり。 &link_up(上へ) ***オリオン :読み|おりおん :綴り| :意味|人名。『死と嘆きと風の都』に登場する奴隷の少年で、同じ奴隷仲間のエレフセウスとは友人同士。生き地獄のようなイリオンの作業場の中でも、軽口をとばして友を励まし、快活さを失っていなかった。 風神(アネモス)の神官を撲ちのめして、逃亡を余儀なくされたエレフセウス・アルテミシア兄妹を救う。その際、怪しげなの射撃術を披露して「これぞオリオン流弓術!」と少年らしく誇っているが、当時からその天才の鱗片を見せていたのだろう。 しかし、神域で神官を傷つけた事が風神の逆鱗に触れたか、おそらく暴風のたぐいの神罰がくだされ、三人とも離ればなれになってしまった。 :|双子とちがい、この後オリオンが描かれる物語は無いが、旅人に「アナトリアの武術大会の優勝者」「弓の名手オリオン」などと噂されており、無事立派な青年に育ったようである。 なお、この噂では「“蝕まれし日の忌み児”として棄てられた王子様」だった、といわれている。 何処の国の王子様かは語られないが、①アルカディアの王子説、②アルカディア王の部下の子(入れ替え子)説、③アナトリアの王子説あたりが挙げられている。 :|さらにこの後、名前こそ挙げられていないが、「アルカディア国王を射た」と解釈できる記述がある。『奴隷達の英雄』にある「傀儡と化した王・かつての勇者を射た星屑の矢」の部分がそれで、実際、通常版ジャケットに描かれている一人の射手が、王と思しき人物に矢を向けている。また、その背後に、蠍を思わせる男がおり、「其(星屑の矢)の射手を制したのは蠍の毒」と続く詩に連動しているようだ。 ちなみに彼に「星屑の矢」を与えたのは、神域で自らの巫女(アルテミシア)を殺された星女神(アストラ)とある。おまけに「寵愛する勇者」とも記されており、オリオンはこのあたりで、神話になるような冒険をしでかしていたかもしれない。 また考察の一つとして、同じ星女神の寵愛を受ける者同士、オリオンとアルテミシアは既に出逢っていたのでは、とする説もある。この場合、オリオンが王を狙う動機は、彼女の復讐になるだろう。 :|その後、オリオンの足取りは途絶える。先述のように『奴隷達の英雄』で「蠍に制された」のであれば、おそらくスコルピオスによって斃されたのであろう。どういう経緯で彼がアルカディア王を射殺し、その後釜を狙う野心家の蠍によって殺されるかは定かでない。 :|これから数年の後であろうが、東夷(バルバロイ)の威を借りてイリオンへ攻め寄せたエレフセウスは、「オリオン亡き今、奴らは雑魚に過ぎぬ」と敵方の弓兵を嘲笑している。この表現を素直に解釈すると、オリオンはアルカディア王国ないしアナトリア王国の弓兵隊を率い、敵軍を寄せ付けないほどの猛威を振るっていた、ということになる。 (※もっとも、この嘲笑は敵方の将軍であるとする説もある。そうすると、逆にオリオンはエレフセウスと行動を共にしていたことになる) :|元ネタになっているのは、おそらくギリシャ神話の勇者オリオンであろう。豪放な若者で、弓の名手であり、幾多の女神と恋に落ち、最後は毒蠍に刺し殺されたとも、愛し合っていた女神アルテミスの銀の矢に誤射(諸説あり)されたとも言われている。 &link_up(上へ) **カ行 ***カッサンドラ :読み|かっさんどら :綴り|Κασσανδρα :意味|人名。『死と嘆きと風の都』冒頭に登場する高級遊女。同じく高級遊女のマリッサと共にイリオンを訪れていた。 彼女らの見習いの一人が、まだ幼い奴隷の娘、アルテミシアである。 女奴隷の末路は概して悲惨なものだが、きわめて希な例として、高級遊女(ヘタイラ)の道がある。彼女らは、神殿娼婦の中でも特に容姿に優れ、音楽、詩歌そして諧謔とあらゆる妓の技に長け、おまけに王侯貴族を相手にしても引けを取らない知性と教養を備えている。絶対的な男尊女卑社会の中で、唯一「男と対等」とされる存在であった。そのはずで、ギリシャの都市によっては、国が彼女らを養成し、文化成長の一翼を担わせたともいう。 カッサンドラやマリッサらにも、苦界にある身ながら、そこらの娼婦とは一線を画していることを誇る心境があるようだ。 ちなみに古代中国でも、名門の妓女は下手な士大夫よりも儒学経倫に優れていたといい、日本でも、高級遊女と呼ばれる位置づけの花魁が、やはり諸芸に優れていた。 :|特にストーリーに絡むシーンはないが、殊更に後輩いじめをするような陰湿な描かれ方はされておらず、誇り高い太夫(?)として振る舞っていると思われる。 しかし、故意なのか油断したのかは不明だが、風神(アネモス)の変態神官のもとへ、まだ幼い見習いであるアルテミシアを差し出している。むろん客を取る年齢に達していないはずだが、アルテミシアは変態神官に襲われ、結局逃亡してしまった。 &link_up(上へ) ***カストル :読み|かすとる :綴り| :意味|人名。アルカディアの部将で、レオンティウス王の側近。『死せる英雄達の戦い』で、イリオン奪還に向かう王に随伴を命じられた。 最初にイリオン陥落の報を伝え、敵将アメテュストスの武勇について王の注意を喚起していたのも彼と思われる。 :|なお、『雷神域の英雄』で、「神託の件で陛下がお呼びです」と兄(ポリュデウケス?)を呼びに現れたのも彼であるらしく、父王の代から兄弟で王家に忠勤する宿将だったようだ。 :|外貌は定かでないが、タワーレコード特典のマウスパッド用イラストで、レオンティウス背後に三人の男が描かれており、そのうちの一人でないかと推測されている。(通常版ジャケットのレオンティウスの傍らにいる三人の男も同じく)。中でも双子の兄(と思われる)ポリュデウケスが髭面であるため、それと似た人物がカストルになると思われる。 :|名前のモデルとなった人物は、「双子座」で知られるギリシャ神話の勇者カストルとポリュデウケス兄弟であろう。カストルは馬の名手であり、ポリュデウケスは剣と格闘の達人だった。 ちなみに神話では、兄がカストルで、弟がポリュデウケスと、逆さまである。 &link_up(上へ) **サ行 ***シリウス :読み|しりうす :綴り| :意味|奴隷部隊の将アメテュストスの部将。ウォルフとともに戦列の一翼を担う。 :|名前は、北極星に次いで有名と思われる、おおいぬ座の恒星。中国では天狼星とも。意味はギリシャ語で「輝く者・焼き尽くす者」と、いかにも大物然とした響きである。 &link_up(上へ) ***スコルピウス :読み|すこるぴうす、すこるぴおす :綴り| :意味|人名。アルカディアの王族で、妾腹であるため王位継承権は現王の王子達より低かったらしい。が、野心家であり、邪魔者を抹殺してでも王位を襲わんと策謀していた。声が若本というだけでも圧倒的な存在感を持つ。名前からして毒蠍がモチーフと思われ、通常版のジャケットにも、赤い長髪がまるで蠍の尾のように反り返った形で描かれている。 『運命の双子』では、平和に暮らしていたポリュデウケス(?)親子の元へ兵を引き連れて現れ、己の部下になれと強要し、容れられないとなるや、兵に襲わせる暴虐を見せた。その際、自ら王国の双璧と謳われた勇者ポリュデウケスと剣闘しており、個人的な戦闘力も相当高かったものと思われる。 このとき「ラコニア軍は既に掌握した」と言い放っているが、隣国ラコニアの軍隊を操るほどの謀主であるという意味なのか、王国を実質支配していたのかは不明。 なおポリュデウケスに「なぜ剣を棄てた」と面詰しているところを見ると、神託の件での「取り替え子」には気づいていなかったかもしれない。 :|『死せる者達の物語』で「妾腹と蔑むならば蔑むがよい」「世界の王となるのはこの私だ」と、蓄積された執念と鬱屈した野心を嘯いている。 「世界の王」に拘るのは、やはり神託「雷を制す者、世界を統べる」を、己の事と信じているのであろう。傍流にあるとはいえ、「雷神の眷属」である矜持は高いようだ。 ちなみに、「嫡子レオンティウス王子の庶兄」とする説、「現国王の庶弟(つまりレオンティウスの叔父)」とする説がある。 :|『死せる乙女その手には水月』で、巫女であったアルテミシアを生贄として殺しているのは、このスコルピオスだといわれる。この時襲撃者は、「水神(ヒュードラ)よ、受け取り賜え」と言っているが、これは「水神眷属の王国」ラコニアとの繋がりを暗示しているのかもしれない。 いずれにせよ、この星女神(アステラ)の神域を穢す行為は女神の憤怒を招き、女神が寵愛する一人の勇者に、「星屑の弓矢」が授けられるのである。 :|この後、登場するエピソードは無いが、「其の(星屑の矢の)射手を制したのは蠍の毒針」とある。解釈は分かれるが、射手がオリオンであるとすれば、なんらかの策を講じてオリオンに王を殺させ、自分はそのオリオンを殺す…などの野心家らしい展開が予想される。 しかし、スコルピオスが天下の権を握ったとしても、それはごく短期間であったはずだ。彼の後には「其の蠍を屠ったのは雷神の獅子」と記される、英雄レオンティウスが控えているからだ。 &link_up(上へ) ***ゾスマ :読み|ぞすま :綴り| :意味|人名。アルカディアの部将で、『死せる英雄達の戦い』においてレオンティウス王から「北狄(アマゾン)に備えろ」と命じられた。 :|カストルの項と同じく、タワーレコード特典のマウスパッド用イラストで、レオンティウス背後に描かれた三人の男、また通常版ジャケットのレオンティウスの傍らにいる三人の男のうちの一人でないかと推測されている。 :|ちなみに獅子座の星のひとつ(しし座δ星)の名前でもある。 &link_up(上へ) **タ行 ***デメトリウス :読み|でめとりうす、でぃめとりおす :綴り| :意味|人名。明言されていないが、レオンティウスの父王の名前と思われ、彼が名乗る際は「勇者デメトリウスが子」と枕に付ける。 その事跡はいっさい描かれていないが、勇者を称される以上、雷神の眷属として武名高かったに違いない。 しかし後に「傀儡と化した王 かつての勇者」という表現が登場し、「星屑の矢」射られたとある。これはオリオンによって射られた事を示していると思われる。 また「傀儡と化した王」とあるので、往年の勇者の姿は既に無く、神託や側近の佞言に誑かされ、操られていたという事だろう。 :|ジャケットに描かれているのは白髭を蓄えた白髪の王で、隣にいる女性は王妃であろう。また、反対側には彼へ狙いを定めている射手がいる。 直接モデルとなる同名の人物は見あたらないが、アレクサンドロス大王の寵臣の息子に、後のマケドニア王デメトリオス1世なる名がある。ポリオルケテス(陥陣営)の異名を取る名将だったようだ。 &link_up(上へ) **ナ行 **ハ行 ***ポリュデウケス :読み|ぽりゅでうけす(おるけすとる、おるてぃうす等諸説あり) :綴り| :意味|人名。『運命の双子』に登場する、主人公双子の父親。かつてはアルカディアの双璧と謳われたほどの勇者だったが、妻子を連れて草深い山奥に隠遁していた。 :|人目に付くこともなく平穏に過ごしていた一家だったが、ある日、彼を部下に引き入れようと現れたアルカディアの王族スコルピオスらによって、無惨にも引き裂かれてしまう。 彼は妻へ双子を連れて逃げるように叫び、自らは剣をとってスコルピオスに挑むが、どうやら敗れてしまった(多勢に無勢か)ようだ。彼は妻ともども殺害され、幼い双子は奴隷として売り飛ばされてしまった。 :|この事件より数年前、ポリュデウケスは王宮に居て、王妃の出産を祝福している。 しかし、弟(カストル?)が「神託の件で陛下がお呼びです」と呼びに現れた途端、王妃が悲嘆にくれてしまう。その王妃を励ますように、ポリュデウケスは何か一計を案じたようである。 :|この「神託」については諸説あるが、王妃の嘆きぶりをみる限り、『雷神域の英雄』にある3つの神託の一つ「日蝕の日に生まれた赤子は破滅を呼ぶ(意訳)」との関連が多々指摘されている。 ※洋の東西を問わず、この種の予言・神託に惑わされた王が、特定の日に生まれた赤子を全員殺害または追放させる、という伝承は多い。 :|通常版パッケージに、スコルピウスと思われる男の側に、髭面の男と若い女が描かれている。オリオンも含め、このブロックは蠍の毒に害された人々のようであるので、必然、この髭の男がポリュデウケスである可能性は高い。 &link_up(上へ) ***変態神官(仮名) :読み|へんたいしんかん、じまんぐ :綴り|Jimang :意味|『死と嘆きと風の都』に登場する今回のじまんぐ枠。正式名称は不明。風神(アネモス)の神官で、日常的に、年端もゆかぬ少年奴隷達をねちっこく虐待(性的な意味も含めて)していたようだ。 多分に嗜虐的・暴力的でもあり、少年たちは「酷い顔」になるほど鞭打たれていたようだ。 :|イリオンを訪れた高級遊女らを買っていたようだが、彼女らに飽きたらず、まだ年端のゆかぬミーシアにまで手を出し、ショタコンにしてロリコンというハイブリッドな面を見せてくれる。 「私の乾きを癒してくれ」などと言いながらミーシアに迫っているところを見ると、案外あれで深刻な何かを抱えていたかもしれないが、突如闖入してきたエレフによって一撃でのされてしまう。 :|手に手を取って逃亡する兄妹を捕らえるよう大声で命じているが、登場はそこまで。一説ではオリオンの「弓(略)撃ち」で射殺された可能性も指摘されている。 どのみち存命していたとしても、後のイリオン陥落の際、この世の地獄を見せらるものと思われる。 **マ行 **ヤ-ワ行 ***「弓(指?)が撓り弾けた焔夜空を凍らせて」撃ち :読み|ゆみがしなりはじけたほのおよぞらをこおらせてうち :綴り| :意味|奴隷少年オリオンの超必。『死と嘆きと風の都』で、逃亡するエレウとミーシャを援護する際に使用された。 「オリオン流弓術」の神髄であるらしく、SEを聴く限り、ものすごい勢いで連射してるようだ。 :|「長ぇよ」と突っ込まれるこの技の名前の元ネタは言わずもがな。過密スケジュールでいっぱいいっぱいのRevo氏のささやかな遊び心である可能性が高そうだが、「恋人を射ち堕とした日」との関連を本気で指摘する説もある。 &link_up(上へ) ***ラコニア :読み|らこにあ、らぐにあ :綴り| :意味|地名。レオンティウス、スコルピオスに関連してしばしば登場する。「水神(ヒュードラ)眷属の王国」で、アルカディアとは敵対関係にあるようだ。 実在のギリシャ地図に準拠するなら、アルカディアの南方に位置する地方で、首都スパルタの方が知名度は高い。 :|『雷神域の英雄』では、一軍をもってアルカディアの神域に侵入し、レオンティウス王子の軍の接近に怯み撤退したというシーンがある。 しかし、このエピソードより以前、アルカディアの王族と思われるスコルピオスが、「ラコニア軍は既に掌握した」と言い放っている。 となると、この時アルカディア侵攻を指示したのは、他ならぬアルカディア王家のスコルピオスだったという可能性がある。 アルカディアに居ながら隣国に自国を攻めさせるという自作自演なのか、既にアルカディアを出てラコニアの国主となっているかは不明だが、随分ねじれた政情を呈しているようだ。 :|ちなみに、雷神の眷属であるはずのスコルピオスだが、星女神の巫女アルテミシアを水神へ捧げている。 この時点で、スコルピオスはむしろラコニアの支配者となっていたきらいもあるのだが、その割には、エレフセウスはアルカディア王国を憎んでおり、どうにもはっきりとしない。 &link_up(上へ) ***レオンティウス :読み|れおんてぃうす :綴り|Λεωντιυς(Leontius) :意味| &link_up(上へ) ***レグルス :読み|れぐるす :綴り| :意味|人名。アルカディアの部将で、『死せる英雄達の戦い』においてレオンティウス王から「東夷(バルバロイ)に備えろ」と命じられた。 :|カストルの項と同じく、タワーレコード特典のマウスパッド用イラストで、レオンティウス背後に描かれた三人の男、また通常版ジャケットのレオンティウスの傍らにいる三人の男のうちの一人でないかと推測されている。 :|ちなみに獅子座の星のひとつ(しし座α星)の名前でもあり、意味はラテン語で「小さな王」。 &link_up(上へ)