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そう、僕達が出会ったのは嘘みたいな偶然の必然だったんだ。

医者「入院ですね」
男「…本当ですか?」
医者「はい、有無を言わさず入院です」
男「そうですか…」

母(ま、ちょっとだけ早い夏休みと思ってのんびりしなさい)

男「簡単に言ってくれるよ…こっちは勉強が遅れるってのに」

そんなわけで、俺は今病室に向かっています。

男「…あれ?」

金髪カールの気の強そうな女の子が壁にもたれかかって苦しそうだ…。

男「大丈夫か?」
ツン「…」
男「…無視ですか」
ツン「…」
男「そりゃ赤の他人だけど、親切心で話かけてるのに…」
ツン「うるさいわね」
男「…え」
ツン「うるさいって言ってるのよ」
男「…」

何ですかコイツは。

ツン「…連れていきなさいよ」
男「はい?」
ツン「目の前で苦しそうにしてる女の子が居て、話かけるような人ならまさかこのまま私を置いていかないわよね?」
男「…」
ツン「だから、私を私の病室に連れていきなさい」
男「何で俺が…」
ツン「早く」
男「…へいへい」

俺、ヘタレ。
解ってた。

ツン「あ…べ、別にアンタじゃなくても誰でも良かったのよ」

さいですか。

男「…で、だ」
ツン「何よ?」
男「何故、居る?」
ツン「…何故?」
男「俺に聞くな」
ツン「何となくよ」
男「何となく…ってお前ただ病室に連れていっただけで、男の病室に来るなよ」
ツン「お前はやめて」
男「はい?」
ツン「お前はやめてって言ったのよ」
男「…何でだよ?」
ツン「嫌だから。そうね…ツンと呼んで」
男「それは良いが…」
ツン「あ、さっきの話だけど」
男「は?」
ツン「何となくっていうのは嘘。たまたま歩いてた、年の近そうな貴方を使ったのよ」
男「…さいですか…あ、俺も男で良いよ」
ツン「…よろしく、男君」
ツン「あ、さっきのは本当よ。たまたまだからね、たまたま」

ツン「(痛い痛い痛い痛い痛い痛い!)」
男「おい」
ツン「な、何」
男「…いや、後ろから見て苦しそうに見えたから」
ツン「大丈夫よ、どうしたのよ」
男「勘違いみたいだったから良いよ。無視するとツンにまたゴチャゴチャ言われるからな…」
ツン「わ、悪かったわね…」
男「別に悪いなんて言ってないぜ?」
ツン「…っ、当たり前でしょ。たまたまでも私に選ばれたんだから気にかけて当然よ!!(気にしてくれてるんだ…)」
男「…そういうと思ったよ」

男「…」
ツン「…」
男「…」
ツン「…」
男「おい」
ツン「なによ?」
男「何故俺の部屋で本を読む?」
ツン「ひ、日当たりが良いからよ」
男「自分の部屋でカーテン開けろよ」
ツン「…こ、こっちの部屋の方が良いの(/////)」
男「そうですかい」

もはや、何も言うまい。

男「んあー」
ツン「…何やってんの?」
男「そりゃ、お前…じゃなかった…ツンさん。こんな天気が良い日は屋上でマッタリひなたぼっこですよ」
ツン「気持ち良い?」
男「そりゃ…何処まで行っても人間は自然の中で生きてるんだからな」
ツン「…そうね」

ボサッ。

男「…汚ねぇぞ?」
ツン「そうね」
男「…まぁ良いけど」
ツン「…ちょっと」
男「ん?」
ツン「ちょっとだけ男が見た景色が見たかったのよ」
男「そっか」
ツン「そうよ」

ツン「ねぇ?」
男「何だよ?」
ツン「本買ってきてくれない?」
男「はぁ?俺も病人だぞ?」
ツン「べ、別にアンタじゃなくても…いいんだけどね」
男「だろ?看護師にでも無理言って頼めよ」
ツン「でも!」
男「…?」
ツン「どうせ無理言うなら、ちょうど近くにいるし男が良いと…思ったのよ…」
男「(…)解ったよ。行きゃ良いんだろ。」
ツン「べ、別に本当に男じゃなくても…」
男「良いよ、ツンのためなら仕方ないってことにしとく」
ツン「(////)」

\♪雪が気持ちを伝えてくれるまで
♪夏を楽しんでいよう
♪きっと想いは叶うから
♪海に願った恋が、雪となって降り注ぐ
♪それを愛と呼びましょう

男「…」
ツン「何この曲?」
男「解んね…けどテレビで歌ってるぐらいだから流行りなんじゃないか?」
ツン「なんか…」
男「なんか綺麗なだけの言葉ばっかりだな…実際こんなに恋愛が上手く行くわけないと思わないか?」
ツン「…………………………そうね」

今日は借りてた本を返しに来ました。

男「入るぞ…」
ツン「まっ…!」
男「え?」
ツン「…」
男「…」

バッタリ。

ツン「…とりあえず出ていきなさい」
男「…はい」

殺される?
死亡ふらぐ?
でも、黒か…。
ガンプクガンプク。
だって黒だぜ?

男「今日はこれで一撃かますか…」
ツン「入っていいわよ」
男「…」
ツン「…」
男「(怖ぇぇぇ…でも本気で謝っておけば何とか許してくれるかも…)」
ツン「ま」男「いや、もう本当に俺が悪かったていうか謝る以外に何も出来ない、ちゃんと見てはないし色を確認する前に出たからマジで今回は許して欲しいなぁなんて思ってみたりするんだけど」

ツン「…」
男「…(駄目か?)」
ツン「ねぇ?」
男「はい!」
ツン「今日はいてたのってちょっとだけ穴が開いてなかった?」
男「は?別に無かっただろ?第一黒のレース付きなんだから自分で確認でき…」

あ。

ツン「ふーん?」
男「あ、あわわわわわわわわ」
男「ほら今のは妄想で言ったわけで…」
ツン「出てけ」
男「…はい」

うぅ…。

バタン。

ツン「…変に謝らなきゃ許してあげたのに…と、いうか見られても良かったのに…(//)」

男「あの…」
ツン「…」
男「ツンさん…」
ツン「…」
男「ドアとか開けてもらえると有難いんですけど」
ツン「…おでん」
男「…はい?」
ツン「…おでんが食べたくなったから、買ってきたら入れてあげる…」
男「そ、それで許してくれるか!」
ツン「え、えぇ…」
男「よし、買ってくる待ってろ!」

ツン「…私って本当に素直じゃないなぁ…」

男「…あれ?でも何で俺本気で許して貰いたがってんだろ?」

コレは始まり。

終りの始まり。

医者「…残念ですが…」
男母「…そんな…!」
医者「…ご本人には伝えますか?」
男母「……あの子はまだ若いですし…あと一年も余命があるなら、残り少なくなるまで何も知らずに生活させてあげたいんです。」
医者「幸い、男くんの病気というのは末期になるまで症状をかなり薬で抑えられるんですよ。本人に気付かれずにいることは容易なのですが…本当によろしいですか?」
男母「私の勝手な判断ですから…あの子には可哀想ですけど、そうしてあげてくれますか?」
医者「はい…解りました」



医者「調子はどう?」
ツン「大丈夫です」
医者「…そう(かなり悪くなっているな…気丈なものだ…)」
ツン「…」
医者「ん?どうかしたかな?」
ツン「…私は…」
医者「ん?」
ツン「あと何ヵ月生きられますか?」
医者「…」
ツン「半年前は一年と数ヵ月程度と聞きました」
医者「…君は強いね」
ツン「…」
医者「…半年だ」
ツン「…!」
医者「若い子に余命の宣告なんか普通しないが…君は自分で気付いて覚悟を持って聞いたからね」

ツン「…そうですか」
ツン「…半年…」
医者「誤差はあれ、このまま症状が進めば、間違いない…ね」
ツン「もっと強い薬を使えば?」
医者「多少は延びる。だが当然代償は大きいよ」
ツン「副作用ですか」
医者「髪が抜け落ちる、体力が落ちる、免疫低下による二次感染」
医者「今のままの薬なら副作用はほとんどないけどね…どうする?」
ツン「…考えてみます」
医者「…あくまで気休めにしかならないってことも覚えておいて。今薬を変えても、数ヵ月生きられるだけだよ」

ツン「…失礼しました…」


医者「…あんなに良い子が…。命の前には医者なんて小さなもんだな…」

ツン「(私が…あと半年…!嫌だ、もっと居たい。やっと…やっと好きな人が出来たのに…!)」
男「おい?」
ツン「(…嫌だ…私はまだ素直になって何も言えてない!)」
男「…うりゃ」
ツン「いやぁ!」
男「のわっ!」
ツン「…!何すんのよ!!」
男「いやボーっとしてるから髪引っ張ってみたんだが」
ツン「…私が悩んでるって時に男ってば…!!」

ひっぱたく!!

男「何を悩んでいたのか知らないが…」
ツン「…」
男「ツンの髪って引っ張ってみたくなるんだよなぁ…綺麗じゃん」
ツン「!」
男「いや、病人なのに金髪カールで艶があって…本当にすごいよなぁ…」
ツン「…な、何をいきなり…」
男「ん?いや、ただ単にツンの髪が好きなだけだが…」
ツン「(好き…)」
ツン「(好き?)」
ツン「(好きですって!!)」
ツン「ば、ば、バカじゃないの!!何をいきなり…」
男「え、いや俺は」
ツン「も、もういいわよ!!馬鹿!!!」

…少しでも男が望む私でいられるなら。

ツン「先生!」
医者「うわぁ!」
ツン「先生、私決めました!」
医者「な、何だい?さっき出ていってから一時間ほどしか…」
ツン「私、このまま薬を変えません!」
医者「…君が決めたことなら、医者として反対はしないけど…またいきなりだね」
ツン「知りたいですか?理由?」
医者「聞きたいかな?」
ツン「そうですね…」
ツン「教えません♪」

男「大丈夫か?」
ツン「ん。大丈夫よ」
男「なら良いが…」
ツン「だ、誰だって良いのをわざわざ貴方を選んであげたんだから!黙って男は肩を貸してくれれば良いの!」
男「…まぁなんかマシュマロ物体が体に当たってるけどな?」
ツン「はぇ?」
男「…C上か…」
ツン「…死ね♪」
男「え…」

足払い。

男「いってぇぇぇぇ!!!病人が足払いするなよ!!!!」
ツン「うっさい!」
男「良いじゃん…減るもんじゃないだろう…ちょっとぐらい役得があっても罰当たらないだろうに…」
ツン「D…」
男「はい?」
ツン「Dあるわよ…」
男「え?」
ツン「男の馬鹿!大嫌い!!」
男「ちょ…!」

ドガン!!!(ドア閉)

男「あれ?俺最低?」

男「ふぅ…」
ツン「へぇ…ここの病院、海がけっこう近いんのね」
男「あぁ…院長が海が好きだから…らしいぞ?」
男「(実際…最期の時を海の近くで過ごしたい…なんて患者が多いからだろうな…)」
ツン「海か…」
男「ツンは海が好きなのか?」
ツン「うん」
男「…そっか」

ミーンミーンミーンミーンミーンミーン

男「ようやく梅雨が明けたと思ったら…」
ツン「空調効いてる病室で、男ったら文句ばっかり…」
男「待てツン。耳を澄ましてセミの声だけ聞いてみろ?」
ツン「?」

ミーンミーンミーンミーンミーンミーン

ツン「…」
男「…」

ミーンミーンミーンミーンミーンミーンミーンミーンミーンミーン

ツン「気持ちがよく解ったわ」
男「解ってくれたなら嬉しいよ」
ツン「でも男に共感したんじゃないわ、ただ私も理解出来ただけ!とっとと宿題とレポート終わらせるのよ!」
男「…うはぁい」
ツン「ちゃんと喋りなさい」
男「はい」

男「七夕か…」
ツン「小学生卒業したあたりから、全く縁がないわね」
男「子供達は、楽しそうな事だな…」
ツン「病院でもイベントはあるからね」
男「なぁ?」
ツン「何よ?」
男「久しぶりに童心に帰ってみないか?」
ツン「…ま、まぁ男がどうしてもって言うなら付き合ってあげるわよ?」
男「どうしても」
ツン「仕方ないわね」

男「ほい、紙」
ツン「願い事か…」
男「何て書く?」
ツン「…言ったら意味が無いでしょ、バカ」
男「…それもそうか」

…。

男・ツン「書けた!」
男「お互い見えないように、別の笹に吊しとくか」
ツン「お互い秘密ね」

キュッ。

願いが叶いますように。

男「暇だ…」
ツン「さすがにね」
男「夏休みの宿題はあらかた終わらせたし、レポートは書いたし」
男「ツンのせいだな」ツン「おかげ」
男「はい、ツンさまのおかげですね」
ツン「病院から出るわけには行かないし」
男「…!」
ツン「?」
男「外出許可貰えないか?」
ツン「両方共病人なんだから無理でしょ…」
男「文句はやってから言うもんだぜ」

10分後

男「取れた…」
ツン「えぇ!」
男「いや、なんか医者が出てきて二、三点口出ししたらあっさりと…まぁ明日だけだけども」
ツン「…(先生)」
男「なぁ?」
ツン「なに?」
男「これって、デートだよな?」
ツン「!!!(////)」
男「あー楽しみだな明日!」

ツン「ば」

男「ば?」

ツン「バカじゃないの!変な事言ってないで明日に向けて早く寝なさいよ!…もう本当に男はバカなことばっかり…!(////////)」
男「ちょ!」
男「いっちまった」
男「罵られたけど、結局自分も来るんだろ…?意味わかんねぇ…」

ツン「あ、飛行機雲」
男「お、真っ直ぐだな」
ツン「ほら、これ見て!綺麗な貝殻!」
男「はしゃぐなはしゃぐな病人」
ツン「何よ…自分だって病人でしょ」
男「…間違い無い」
ツン「濡れなきゃ大丈夫よ!ほらっ」
男「おい!走るなって!」

…こんなはしゃぐならもっと早く連れてくりゃ良かったかな。

ツン「ほら、早く」
男「あい」
ツン「…何よ!来なくていいのよっ!」
男「行きますよ」
ツン「…むぅ」
男「おりゃ」
ツン「キャア!」

こけないように背中を手を出して支えて、こかす。

男「ほらー?はしゃぐと転びますよ?」

ツン「…うぅ…バカっ!」
男「うはは」
ツン「(えい!)」

チュッ

ツン「…隙あり」
男「…」

…え?

…はい?

男「ツンさん?」
ツン「(///////)」
男「…」
ツン「仕返し」
男「(……)」
ツン「し、仕返しよ!別に意味んっ…!」

遮ってみた。

男「俺も仕返し」

ツン「…(///////)」

おぉ…トマトが更に真っ赤に…。

ツン「バカっ!アホッ!死ねぇ!」

そんな笑顔で泣きながら言われても。

男「…」
ツン「…」
男・ツン「あ」
男「ツンから…」
ツン「いや男から」

男・ツン「す」

男・ツン「うぅ…」


屋上から望遠鏡。
実は男の服に盗聴機。

患者A「おい、誰かアイツラどついてこい」
医者「気持ちは解りますよ…」
患者B「何故にキスした後に告白」
患者C「同じ病人の男でもキスしてるのにおまえらと来たら…」

男「ツン聞いてくれ」
ツン「うん…」

ブツッ…。

患者A「うわ!これからが良い所なのに、何するんだよ先生!」
医者「これ以上の干渉はヤボというものですよ?」
看護師「…仕事さぼって、医者が言う台詞ではないですね?」
医者「いっ!」
看護師「…」
医者「か、回診行ってきます」
看護師「あなたたちもくだらないことやってないで、病室に帰って下さい」
患者全「うはぁい…」

そう。

二人の告白は海だけが聞いていた。

ツン「男と恋人♪」

ツン「男と恋人♪」

ツン「男と恋びっ」


ゲホッ。


血。


男「おい、入るぞ」
ツン「ちょ、ちょっと待って!着替えてるから中に入ったら前と同じことするわよ!」
男「なに…それは見たい…じゃなかった、解った」

ツン「手を洗って…と。シーツを見えないようにまくって。」
ツン「よし」

ツン「入りなさいよ」
男「終わった?」
ツン「ん、着替えた」
男「(服変わってないけどな…?)」

ツン「何?」
男「いや?彼女に会いに来るのに、理由なんているか?」
ツン「彼女…♪」
男「なんだ、嬉しいのか?」
ツン「バカじゃないの?う、嬉しいわ…ょ…(////)」
男「でもさ」
ツン「何?」
男「最近痩せすぎてないか?」
ツン「!」
男「病人が病人労るのも変な話だが、もうちょい…」
ツン「男は痩せすぎてると嫌?」
男「別に?」
ツン「病人で痩せすぎてるような子より、健康な子が良いよね」
男「どうした、いきなり?」
ツン「私なんて…」

少しだけ血の臭いのする手。

ツン「ふぇ…うわぁぁぁぁぁぁぁぁん」
男「ちょ、ちょっと待てよ!何か俺が…」

…。

男「よしよし」
ツン「くっ…ひくっ…」
男「(思い出せ…俺に落ち度は無かったか………ってない…よな?…わからねぇ…)」
ツン「ねぇ…っ!」
男「ん?」
ツン「私で良いの?」
男「?」
ツン「本当に、本当に私で良いの?」
男「…」
ツン「ねぇ…」
男「俺さ、最初この女なんて自分勝手な奴なんだろうって思ったんだよ」
ツン「…」
男「お前って言うと怒るし…。基本感謝の言葉は無いし…。」
ツン「…」
男「でもさ、上手く言えないけどさ」
男「きっとこれからも説明できないけどさ」

男「好きだよ、ツン」

ツン「う」

ツン「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

まだ泣くのか…。

男「仕方ねぇ、泣かせてやるか」

男「ふぅ…」

ようやく帰れた。

男「あれから消灯ギリギリまで泣きっぱなしだからなぁ…」
男「ねみぃ…」

(しかし…今日のツンは妙だったな…)

医者「や」
男「せ、先生…どうしたんですか?消灯の時間なのに…」
医者「僕は医者だよ?そしてここは病室だよ?」
男「ま、そりゃそうですが」
医者「…君に話がある…」
男「?」
医者「…人が居る」
男「???」
医者「明日昼の12時に屋上に来て貰えるかな?」
男「?はい」
医者「ある意味…一番君が不幸かもしれないな」
男「…?どういういみです?」
医者「いや、何でもないよ」
男「はぁ…?」
医者「それじゃ、必ず来てね」
男「はい、解りました」

医者「こんにちは男くん」
男「こんにちは」
???「…はじめまして」
そこには金髪の超絶美人が立っていた。
ツン母「ツンの母です…」
男「は、始めまして」
医者「この人が、男くんに是非話しておきたいことがあるって」
医者「僕は席を外すよ」
ツン母「いえ…居ていただけますか?」
医者「…かまいませんが…」

…?

ツン母「自己紹介はかまいませんよ?ツンから毎日のように貴方のことを聞かされていますから」
男「…はぁ」
ツン母「恋人であることも」
男「そ、そんなことまで…」
ツン母「キスまでしたとか」
男「…う」
ツン母「今のは、ひっかけです」
男「(…この人、性格悪ぃぃ)」
ツン母「…失礼な」
男「え?」
ツン母「いえ、何でもありません」
ツン母「今日はツンの恋人である貴方にお話があります」

ツン母「…ツンの病気の事です」
男「なっ…!」
ツン母「…此れだけでも、何が言いたいのか解りますか」
男「…まさか…」
ツン母「そのまさか」
ツン母「気を確かに聞いて下さい」
男「(嘘だろ…)」


ツン母「ツンの病気は治りません…本人には言っていませんが手術で五年ほど延ばせる『かもしれない』」
ツン母「それだけです…余命はあと、五ヶ月ほど」

俺は立てているか?

この足は誰の足だ?

震えてばかりいる。

この心臓はなんだ。

狂ったように…早く脈を打っていやがる。

男「(今八月の頭だぞ…12月には、死ぬ…ツンが…?)」

これは悪い夢じゃないのか?

ツン母「現実です」
ツン母「これが…揺るぎようのない現実なんですよ」

男「…親の貴方がこんな嘘をつくとは思っていません」
男「ただ…何故こんな事を俺に?」
ツン母「知らずにいるよりは、知っておいた方が良いでしょう」
ツン母「たとえそれが貴方が苦しむ選択だとしても、あの子のために」
男「…」
ツン母「…それに、あの子は自分の余命を知っているのですよ」
男「…教えたんですか!?」
ツン母「子の余命を簡単に宣告できる親なんていやしません」
ツン母「あの子は聡いですから、自分で調べて先生に聞いたのでしょう」
男「ツンからは直接…?」
ツン母「親の私が気付かないわけがありませんよ」
ツン母「だが、自分の余命を知っている者はいないとツンは思い、演技している」
男「それを最大限尊重したい…?」
ツン母「はい、決してバレないようにお願いします」

男「なら最初から俺に教えなければ良いでしょう!」
ツン母「それは…アンフェアですよ」
男「…」
ツン母「問います」
男「…はい」

来る問に予想はついていた。

ツン母「貴方は、ツンを愛していますか?」

上手く言えないけど。

男「命の限りに」

ツン母「ならば、知っておくべきです。愛するというのなら、なおのこと」
男「…」
ツン母「…私から申しあげたいことはもうありません」
男「ふ、普通バレないために忘れろとか別れろとか言いませんか…?」
ツン母「若くとも、男性の決断に口を挟むのはヤボでしょう?それとも相手の母親に言われた程度で『命の限りに』は揺るいでしまうのですか?」
男「…いえ」
男「…ツンといい、お母さんといい…強いですね」
ツン母「ツン家の女は強いんですよ?」

…ツン母が帰って。

医者「…辛かったね」
男「当人と親が泣いていないんです…辛がる権利だってない」
男「俺は今までのように、全力で愛するだけです」
医者「若いねぇ…」
男「…先生はこういう恋をしたことありますか?」
医者「無いよ」
男「…」
医者「無い」
男「…」
医者「ほら、待ってるんじゃないか?ツンちゃんの所に行ってあげなよ」
男「あ、はい!」

医者「(彼はこれから無力さを嘆くんだ)」