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「………どうせ、私はすぐ死ぬんだから」



~病ツンスレの皆に捧ぐ~





新ジャンル「病ツン」





俺の幼馴染のツンは昔から病弱で、「どうせすぐ死ぬんだから」が口癖のツンツンした奴だけど、本当は可愛い良い子だ。

そんな彼女が今朝、突然倒れたそうだ。詳しい事は分からないがお見舞いに行く事にした。



男「大丈夫か?」

ツン「大丈夫じゃないわ。そこにお見舞いのリンゴがあるから、取って頂戴」

こんなのはいつもの事だ。ツンが入院するのもそう珍しい事ではない。俺はリンゴの皿をツンに渡す。ツンは少し齧って、視線を落とし、手の中の皿を見つめる。しばらく無言の時間が流れる。



男「…しっかりしろよ、きっと大丈夫だ」

ツン「何よ、昔から言ってるじゃない。…私はもうすぐ死ぬの。…だから、諦めてよ…」

男「そんな事言うなよ!何か希望があるかもしれないじゃないか!それに、俺にも何かできる事が……」

ツン「何よ、気休めなんていらないわ。どんどん私の体は壊れてるのよ?!偉そうな事言って、あんたに何が分かるのよ!」

男「………悪い、つい…お前も大変なんだもんな」

ツン「憐れみなんかいらない。でも、私はもうすぐ死ぬ。あんたにできる事なんか何も無い。これだけは覚えといてねッ!」

男「……そうか……何かして欲しい事はあるか?」

ツン「…別に。……用が無いならさっさと出てって。私、寝巻き姿だし、見世物じゃないんだから」



ツンはプイと横を向いた。泣き顔は見せたくないのだろう。俺は花を置いて病室を後にした。



ツンはぶっきらぼうで、いつも後ろ向きだけど、すごく誇り高く生きている。そして本当は他人思いの優しい奴だ。

「私は悲劇のヒロインじゃない。お涙頂戴のドラマみたいに周りの涙を誘ったりしたくないわ」そう言っていたけれど、他に理由があると思う。

皆が自分に期待して、それを裏切って失望させるくらいなら、始めから何も期待しないで欲しい、そう願っているのだ。



ツンは小さい頃から入退院を繰り返している。最近その頻度は増している。

ツンは、もうすぐ死ぬ。俺にできる事は何も無い。それだけだ。



男「それだけ、なんだよな…………ツン………」

俺はその夜、幼馴染を思って泣いた。





一ヵ月後。

ツンは退院してこない。どうやら、今度こそ危ないらしい。俺はあれからやるせない気持ちで過ごしていた。見舞いには行っていない。

しばらくして、ツンの親友から「ツンが治療を拒んでいる」と言う知らせが来た。俺にできる事など無い。だけど、ツンのいる病院へ、行かずにいられなかった。



男「ツン!」

ツン「何よ」

ツンは、昔からチャームポイントだったポニーテールを解いて、ベッドに力なく横たわっていた。もう生きる気力を完全に失っている事は明らかだった。

男「お前……治療を拒否したって本当かよ!」

ツン「だって!手術もしなきゃいけないのよ?お金掛かるし、私なんてそこまでして生きてる価値無いから……」

男「何だよそれ……何でそんな……誰がそんな事言ったんだよ…」

ツン「お父さんは離婚してからずっと会いに来ないし、お母さんも、私の面倒見るのもう嫌だって…あんたなんか産まなきゃ良かったって……それに、男君だってあれから来なかったじゃない!」

男「俺は……行ってもお前の役に立てないんじゃないかって……だから……」

ツン「男君……私、もう辛いの……逝かせてよ……」

男「…………ツン……」

ツン「私ね、ずっとこうやって醜く生きるより、短い間、こうして男君に優しくしてもらう方が良い」

男「ツン……?」

ツン「……好きだったの。小さい頃から……。体の器官が弱くて、寝込んでるときはいつも、男君はお見舞いに来て優しくしてくれた。私は具合が悪い時男君に甘やかしてもらうのが大好きだったの。……だから」

男「いつも、『すぐ死んじゃうんだから』って言ってたのは、だからか……」

ツン「……喧嘩した時も、そう言ったらいつも男君、おろおろして謝ってくれたのよね…ふふ」

男「生きようとか、思わないのか……?」

ツン「もういいの。思い出に囲まれて、男君に見つめられて、足掻いたりせずに逝きたいの」



ツンは今までに見せた事の無いような優しい、それでいて何だか見ている俺が怖ろしくなりそうな、儚げな微笑を浮かべている。

俺はどうしたらいい?どうしたら………



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ここで選択肢が現れました。



 だきしめる

  ひっぱたく



どうする?



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