看護士「はぁ~い!!みなさぁん新しい患者さんの男君でぇ~す!!みんな仲良くしてあげてくださいねぇ~」

看護士のやけに明るい喋り方に少し唖然としながら俺はまだ踏み入れてはいない病室を見回した。
これまた病室も個性的というか…なんというか…つーか患者とは思えないほど元気な奴らばかりだった。

患者A「看護士さぁんわっかりましたぁ~」
患者B「君、名前何ていうの?何で入院することになったの?」
患者C「………」

初めて会う俺でさえ濃いキャラだということがよくわかった…。

*


俺の病気は手術しなければいけない病気らしいが今のところは命に別状のない病気らしい…。そのためか病室の外へ出ることも許されているようだ…。
なんとも都合のいい設t…いや何もない…。
とりあえずは何ヵ月間かはこの病院にいなければならないらしい。

しかし…

患者A「てめぇ~!!俺のチョコ食っただろう!!」
患者B「人様の物なんか食うわけないだろ!!」
患者A「いやっ!!てめぇならするっ!!絶対する!!」
患者C「………うるさい………」
患者A「あぁっ!?Cてめぇ~スカしてるんじゃねぇぞっ!!この野郎っ!!」

男「…………」

とにかくうるさい…。
俺はこんな濃い病室から脱出するために中庭に出た。

*


この病院が新しいこともあるのだろう、中庭は綺麗でまるで自然公園のようだった。
俺はベンチに座ると空を見上げた…。

男「こんな大事な時に入院なんてマジついてねぇな…まったく…」

ちなみに俺は高校三年生だ。
進路のことも考えなきゃならない大事な時期に入院…やっぱりなんて都合のいい設t…
いや何もない…
そうこうしていると俺はいつもの癖なのか、自然とベンチに寝転がって転寝をしていた。
心地よい日差しが睡魔と化していた。
そんな時俺の顔に日陰差し込んできた。

男「うにゃ?」

俺が目を開けるとそこには俺と同い年くらいの金髪の可愛い娘が俺を見ていた。

男(うわっ…可愛い…)

俺の心臓は高鳴りそうになった…
ありがとう都合のいい設t…いや何もない…
そうは思ったがそう都合がよくなるはずがないとこの時学んだ。

ツン「………なんだけど…」
男「え?」

俺は寝呆けていたからかよく聞こえなかったため聞き返してみた

ツン「だ~か~ら…そこのベンチ、私の特等席なの。だから邪魔なの!」

やっぱり俺ついてねぇ…と感じた。


第二話

季節…春

男「………」

俺はいきなり予想外な台詞を言われたためか唖然とした。

ツン「ねぇっ!!聞いてるの!?」

俺は女の声に俺は現実に帰ってきた気がした。

男「えっ…あっ…お…おう…」

俺は今の体勢から座り直して女に返答した。

ツン「じゃあ早くどきなさいよっ!」

いつもの俺ならすぐに退いただろう…だが…なぜだろう…なんか気に食わない…

つか…

 な ん か 絶 対 退 き た く な い

*


男「な…なんで退かなきゃなんねぇんだよ」

俺は反論することにした。

ツン「な…なんでって…あんたに関係ないでしょっ!!何で言わなきゃならないのよっ!!」

女も反論してきた。
なんか必死感が滲み出てるのがわかる。

男「いいや、関係あるねっ!赤の他人の俺がなぜお前の言うことを聞かなきゃらなん?なぜ座りたいか説明しなさい」

俺は軽く確信を突くことにした
すると女の顔は赤くなってきた。
女の怒りのボルテーz…いや何もない…

ツン「っっっっ~!!なんでもいいでしょっ!!私が座りたいって言えば座るのっ!!」

あなたはどこぞのガキ大将っすか…
つーか…必死すぎるだろ…

男「くくっ…そんなに座りたいなら隣開いてるから座れよ」

俺は少し笑いを堪えながら隣を開けてやった。

ツン「なんであんたなんかと…」

男「じゃあ座らないんだな」

俺は元の体勢に戻ろうとした。

ツン「ぁぅっ!!わ…わかったわよ…あんたが座ってほしぃなら座るわよ!!」
男「俺は別に座ってもらわなくても…」
ツン「あぁ~うるさい!!うるさい!!とにかく座るわよ!!」

そういうと勢い良くベンチに座った。

*


第三話

季節…春

男「……」

ツン「……」

しばらく無言が続いた。
しかし…この女は…
この女は男に慣れていないのだろうか…なぜかそわそわしている。

男「お前…男に慣れてないのか?」

俺は暇だったのもあり女に質問することにした。

ツン「なっ…そんなわけないでしょ!!」

予想外の行動…w

男「じゃあなんでそわそわしているんだ?」
ツン「えっと…ぁ~…そのぉ…」

焦ってる焦ってるwwwww
俺は女の答えに期待しながら女の焦る顔を見ていた。

ツン「ぁの…そのぉ……あっ!!」

おっなんか思いついたみたいだ。俺はどんな反論をするか楽しみにして聞いた。

「…イレ……そうよトイレっ!!トイレに行きたいの!!」


……

………

…………

……………は?

*


何言っているんだこの子は…?
もっとましな嘘つけないのか?

男「おまwwwwwwもっとましな嘘つk―――」
ツン「嘘じゃないもん!!」

だからなんでそんなに必死なんだ…

男「なら早く行けよ」

俺はツンを促してみた。
どうせこいつのことだまた…

ツン「行かないわよっ!!」

やっぱりなww
いい加減あきらめたらいいのにwww

男「何で行かないんだよ?」
ツン「なんでもっ!!あなたに関係ないでしょっ!!」

もうこれは子供の域だ。
どうしたらこんなに負けず嫌いになれるのだろう。

男「…プッ」

俺は思わず吹いてしまった。

*


それを見てツンは顔がだんだんと赤くなりまるでストーブのように真っ赤になっていた

ツン「わっ…笑うなぁぁぁぁぁっ!!!!」
男「wwwすまんすまんwwwでもお前がすごく子供っぽいからwwww」
ツン「お前って言わないでよ!!私の名前にはツンってちゃんとした名前があるんだから!!」
男「はいはい…わかりました。それよりお前人前でトイレとか簡単に言うなよ」

俺は止めを刺した。
するとツンはストーブ並みの赤さがますます赤くなり煙が出そうなほどになっていた。

ツン「うるさい!うるさい!うるぁ~さいぃっ!!あんたっ!!えぇ~と…」
男「男だよ」
ツン「男っ!!覚えてらしゃいっ!!」

そういうとツンはベンチから立ち、全速力で走り去っていった。

男「あっははww(こんなに笑ったのって久々だなぁ………)」

俺は空を見上げた。
飛行機雲が空を縦に裂いていた

*


第四話

季節…春

俺が入院して二週間すぎた。
あいかわらず俺はあの三馬鹿トリオのいる病室は慣れることができない。いやもう慣れないまま退院する気もしてきた…

そんな俺はいつも中庭に出てツンをからかって暇をつぶしていた。
ツンは期間は教えてくれなかったが、この病院は長い間いるらしい。病名について聞くといつも話をはぐらかすためわからない。

なにか重い病気なのだろうか…それとも恥ずかしい病気なのだろうか…

とにかくツンは長い間いるためこの病院の隅々を熟知しているらしい。
そのためこの病院の抜け道を複数知っているようだ。
俺も数ヶ所だが抜け道を教えてもらった。
そんなこんなしているため俺は退屈せずにすんでいる。

*


~病室506号室~

患者A「あぁ~くそっまた負けた!!」
患者B「本当にA君はトランプ弱いですねぇ~見た目どおりだwwwww」
患者A「眼鏡てめぇ俺に喧嘩売ってるのかっ!!」
患者C「…………早く続きするぞ…」
患者A「てめぇ一番勝ってるからって調子のってるんじゃねぇーぞ!!」

ふぅ…この病室はあいかわらずうるさい。

俺はツンをからかった後で売店で勝った雑誌を読を読んでいた。

「この病室は相変わらず賑やかだね」

男「?」

俺はその声のするほうに目を向けた。
俺のベットの横で白衣を着た男が立っていた。

男「先生…健診ですか?」

俺は雑誌を読むのを止めた。

医師「あぁそうだよ。どうだい?病室には慣れたかい?」

そういうと椅子に座り俺の健診をし始めた。

男「正直あまり…」
医師「そうか…彼らとは話しないの?」
男「俺、集団でつるむような人間じゃないし…」

俺は、人と一線置くタイプの人間だ。
だから学校でもあまり友達を作ろうとはしなかった。
そのため友達は少なかった。

*


医師「それにしちゃツンちゃんと仲良くしてるじゃないか?」

先生のその言葉に患者Aが食い付いてきた。

患者A「おっ?男お前に女がいるのかよ?」
男「そんなんじゃないですよ。ただからかいがいがあるだけですよ」

俺は反論した。

患者A「さぁ~本当はどうかなぁ~」

患者Aはにやつきながら俺に言った。
こんなやつ学校に一人はいるキャラだな…

患者C「……………他人を詮索をするなんて変態だな…」
患者A「貴様は俺を二度も怒らせたっ!!」
患者C「うるさい馬鹿が移る………」

患者C…かなり毒舌…
無口で顔はいいし…さすがにここまでくると設t…いや何もない…

患者B「ねぇトランプしないんですかぁ?」

患者B…特に特徴ないがいそうだよな…
やはりじっくり考えても濃い奴らばかりだな…

医師「う~ん…この調子なら手術は予定どおりに行えそうだな…」

先生はカルテを見ながらそう言った。

男「そうですか…学校の勉強追い付けるか心配になってきた」
医師「ははっwwまぁ頑張りなさい時間はたっぷりあるからね。それじゃあ私は次の健診があるから」
男「はい。ありがとうございました」

それじゃ退院は夏休み真っ最中なわけか…

………

でも……なんだろう……なにかが引っ掛かる……

*


第五話
季節…春

~病室707号室~

昼下がりの午後私はいつものように本を読んでいた。この病院は大きな図書室も
あるため私はそこをよく利用している。
と言っても、今はほとんどの本は読み尽くしてしまい、新しく入る本を待つだけ
と言う状態が続いている。

コンコン

扉を叩く音がした。

ツン「はいどうぞ」

私は本を読むのを止めた。

医師「調子はどうだい?」

入ってきたのは先生だった。
いつものように回診をしにきたようだ。

ツン「前よりは大分楽です」
医師「そうか…薬が効いて来たようだね。」

そう言うと私を診察し始めた。

ツン「先生…」
医師「なんだい?」
ツン「私…治療なんて必要なんですか?」

私の質問に先生は困った顔をした。しかしそう驚いているわけでもなかった。
まぁ…何度も言われればなれるよね…。

医師「……そうだね……君の命をやっと繋ぎ止めているからね……」
ツン「………」

そう私はもう長く生きられない…。
今は薬のおかげで生きているが、それももってあと一年らしい…。

ツン「でも長くは生きられないですよね……」
先生「………まぁ…そうだね……」

今日の私はなぜかしつこく突っ掛かってみた。

ツン「じゃあ治療なんて必要じゃないですよね…?生きられない命なんて切り捨
てたほうがいい…。それに親にはもう迷惑はかけたくない…」
医師「………」

先生は少し黙り込んだ。
少しの時間沈黙が続いた。

医師「君は…奇跡を信じるかい?」
ツン「?」
医師「私は奇跡はどんな人間にもあると思っているんだ。」
ツン「何が…言いたいんですか?」
私は話の真相を聞いてみることにした。
医師「つまり……君も奇跡を信じてほしいんだよ…」
ツン「奇跡を…?」
医師「うん、それに君はいい娘だ。そんな娘を神様は見捨てたりしないよ。」

そういうと先生は私の頭を撫でた。
そして私に笑いかけた。
先生は少し天然な所があるけど医師としては一流の腕をもっている。
それに患者さん達にもやさしく、みんなに信頼されている。
わたしはそんな先生が好きだ。

医師「うん、経過としては大分ましになっているね。」

先生は私のカルテを見てそう言った。

医師「でも、これからどうなるかはわからない…でも……奇跡を信じるんだよ」

そう言うと先生は立ち上がり私に笑いかけた。

ツン「はい!先生」

私は先生に元気よく答えてみた。
すると先生は頷き次の回診に行こうとした。しかし先生は何かを思い出したかの
ように足を止め私のほうを向いた。

医師「あっそうそう。言い忘れたことがあった。」
ツン「?」
医師「男君とこれからも仲良くしなさいね」

その言葉に私は顔が少し熱くなるのを感じた。

ツン「あっあんなやつ!!仲良くありませんっ!!」

私は大声で言った。
それを見た先生は笑いながら次の回診に向かった。

ツン「もう…(男君…今何をしているだろう…)」

季節は暖かくなり夏になる準備をしていた。

春編完
夏編に続く…


(未完です。続きは送られてくるまでお待ちください。)
最終更新:2006年11月05日 00:45