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「高杉?どうだ?」

「いいのがなさそうだな。外にでて探してくる。」

「俺も行こうか?」

「………いや。」



俺の気に入った酒が旅館の売店になかった。ただそれだけの理由で俺は、近くのコンビニに買いに行こうとする。土方には荷物の整理をしてもらうことにした。酒ぐらい俺一人で買える。


やはり3日なんていうのはあっと言う間だということを改めて思い知らされた。次のテロ活動が始まれば、またしばらく土方に会えなくなるだろう。






だからこそ、最後の夜の酒は自分で選びたい。





部屋に入る前に立ち止まったのは音が聞こえたからだった。




「三味線なんて荷物にあったっけか?」





しかし、いくら音はひどいといえ、あの音色は三味線以外の何者でもない。

それ以上でもそれ以下でもない。(あれ?)



とりあえず俺は部屋に入った。






「あ、お帰り高杉。」


土方は俺に微笑みかけた。








「どうしたんだその三味線。」

「買った。」

「どこでそんなモン売ってたんだ?」

「売店。」




なんで酒がないのに三味線は売ってんだよ。




「高かっただろ?三味線すきなのか?」

「いや、別に。」

「じゃあ、なんで買ったんだよ。」








「高杉に……似てたから……。」







「俺に?三味線が?」

「ああ。」

「どこがだよ?」

「わかんねぇ。においというか…空気というか…。音を聞いてると安心する。」

「そんな下手な音でもか。」

「なっ、しょうがねぇだろっ!楽器の類なんてやったことねぇし……。」









俺に下手と言われてショックだったのか、土方は下を向いて黙り込んでしまった。










「ったく。教えてやるよ。」

「できるのか?」

「テメェよりはずっとな。」




土方は俺に三味線を渡そうとした。

















「まてよ。俺が弾いたんじゃ意味ないだろ?」

「え?ちょ…ちょっと…うわぁ!」



俺は土方を持ち上げ、自分のひざの上に座らせた。



そして俺の手と土方の手を重ね、土方の手を操り三味線を弾き始めた。



風呂のときと同じように、後ろから抱きかかえるような体制で。








「わかるか土方?弾くときにはあんまり力は入れねぇで……」

「………」

「土方?」

「……っ」

「ああ。」




そういうことか。









また俺の悪い癖が出そうだ。
自覚してても直せねぇもんなコレは。
ましてや相手が土方のようなヤツとなると。









畜生。我慢できねぇ。













「土方。」

「ひゃっ……。」





俺は低音で土方の耳元で囁いた。







「やっぱり耳弱いよな、お前。」

「バカ杉っ///てめぇ、分かってたんだろ?」

「何をだ?」

「何って……」



土方の顔がまた赤くなる。



「言わなくたってわかってるくせに……」

「わかんねぇなァ?」

「俺が…、お前の吐息で…」

「吐息で?」










「感じてた…こと………。」










「ああ。」

「やっぱ知ってたんじゃねぇか!!」

「わりぃわりぃ。」






お前の声が聞きたくて







「あんまり綺麗でなぁ。」

「やぁっ、耳に舌を…いれるなぁ…」

「いいじゃねぇか。」

「よくねぇ!!」






「明日で最後なんだから。」














自分の発言に驚いた。

それだけは言うまいとしてきたのに、


なぜか口にしてしまった。







「土方…。俺と……」

「なんだ?」

「いや、もう寝るか。」

「そうだな。…何を言おうとしたんだ?」

「なんでもねぇ。」





言えるわけがない。





俺とお前では、世界が違う。





これから歩む道も正反対だ。



















だから、言えるわけがない。
























一緒に来いだなんて………。








(あとがき)
突如夢に出てきた三味線ネタ。晋作さんのようだね。
あ、管理人は三味線については何にも知りません。そのへんよろしく。

なんか話が暗くなってきたよ。苦味のほうが出てきた。
でもちゃんと甘みも用意するんで。それがcacao72%ですから。