とうじご(頭字語)


[関連語]
IT
MKK
KY
3K
トリプルK


<語義>
ある語をローマ字または外来語(英語)の原綴りに直し、頭文字を並べて作るタイプの略語。アルファベット圏でのこうした略語法が日本に入ってきて(U.S.A、EUなど)、それが日本語でも成されるようになった(NHK、JR、JTなど)。

用語は米川(1996,1998)による。上記のような企業・団体名としての使用が、若者言葉としての使用にも現われるようになったのはかなり前(昭和30年代?それ以前?)からであると考えられる。

頭字語の機能としては米川の指摘する緩衝機能、連帯機能という側面が強く現われると思われる。

かつては、欧米的な省略法によるカッコ良さといった機能が強かった(頭字語という省略法そのものが流行の若者言葉であり、時流に乗っていると考えられた)という側面もあったものと想像されるが、手法自体は古くなりカッコ良さといった側面は徐々に無くなっていった。

2007年現在使用される頭字語は、ローマナイズ→イニシャルの抽出という段階を踏むために生じる「分かりにくさ」「原語の辿りにくさ」を機能の根幹に置き、「アイス食べる」を「IT」とするような日常語の頭字語化によって生じる連帯機能、「空気読めない」を「KY」とするような悪口の頭字語化による緩衝機能が発達した。

これらの頭字語の機能は「分かりにくさ」「原語の辿りにくさ」によるものであり、広まると機能を失うという側面がある。従って社会的認知度の低い内にのみ機能し、使用者が広まると共に死語化するという短い使用期間が特徴的であると思う。

おそらくITの使用は渋谷などの極一部(場合によっては極一部の高校)
においてのみの現象であった。これがテレビなどのメディアに触れることで認知度はやや高まったが同時に使用は廃れた。あるいは「分かりにくさ」「原語の辿りにくさ」という特徴のために、広まり具合とは別にもともと短命という宿命を背負った造語法であるとも考えられよう。

実際には極小さなグループ内においてのみ使用される頭字語は多数ある可能性もある。しかしながらその殆どは短命・臨時的で辞書掲載するほどの汎用性は持たないものと思われる。造語法として、例を挙げるのみに留めるのが妥当であろう。例外として、その一部がなんらかのルートで広まった場合のみ若者言葉として汎用性があると判断できる。

IT、トリプルKなどはもともと使用されている頭字語であるだけに「新しい意味の付与」という観点でも見うる。米川の指摘する「遊び」性にも近い。しかしながらKYはあまり一般的な略語としては無く、必ずしも頭字語が既存の頭字語から成るものとは言いがたい。

KYは2007年現在、新語。この語の行く末を観察することで頭字語の性質をより厳密に規定することも可能かもしれない。


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最終更新:2007年07月24日 02:12