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①実際に過去に来ている

(壱与から抜け出して、過去に来てるのかな……)

よくわからない。
でも、今までの夢から現実での謎が解けてきている。
だったら、今回もこの夢に意味があるのかもしれない。

「くっ……ここは…」
どうやら守屋さんが目覚めたみたいだ。
私は守屋さんの傍まで、急いで駆け寄る。

「…一体…どこ…なん…だ…」
「ここは……えっと光輝。ここはどこ?」

光輝は「はぁ?」という顔をして、仕方なさそうに口を開く。

「ここは穴虫峠の外れだ」
「……そうか、俺は……君らに助けられたのか……」
「怪我をしていたので、治療しておきました」
「……すま…ない」

そして、守屋さんはまた目を閉じてしまった。
ジッと睨みつけるように見ていた光輝に、私は顔を向ける。

「どうしたの怖い顔して?」
「……鬼の女、この守屋ってヤツの手を見てみろよ」
光輝に言われて、私は守屋さんの手を見る。

二十五歳過ぎくらいに見える年齢のわりにゴツゴツとしていて、無骨な手をしている。
マメやタコの跡らしきものもあって、お世辞にも綺麗とは言えなかった。

「それ、剣ダコだぜ。きっと、かなりの使い手のはずだ」
「剣ダコ?」
「剣の握りのことに出来るタコだよ。んなことも知らないのか?」
「知らないよ……」

「うぅ……」
守屋さんが微かな唸り声を上げている。
傷口は塞いでも、痛みまで取り除くことは出来ない。

(壱与に比べると鬼の力は弱い……けど、さすがに鬼だ…)

普通の人間だったら、私が治療しても間に合わなかっただろう。
特に失血が酷かったのか顔色は青白く、身体が小刻みに震えている。
きっと、体温が下がっているのだろう。

私は……
①もういちど治療する
②身体を温める方法を探す
③光輝に話しかける

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②身体を温める方法を探す

(とにかく暖めなくちゃ……)
私はとりあえず自分の着ている服を見下ろす。
今まで気にしていなかったけれど、私は制服を着ていた。

(これじゃあ暖められないよ……)
せめてコートとか来ていれば毛布代わりになったと思うが、無い物はしかたない。
火をおこすことも考えたけれど、追っ手がいる今煙なんて見えたらこちらの場所がばれてしまう。

(どうしよう……こういうとき使えそうな術とかなかったかな……)
私は必死に記憶を探る。
火を操る術ばかりが頭をよぎる。

(だから、火じゃ駄目なんだってば……)
結局何も思い浮かばす、私は原始的な方法を取ることにする。

「?」
不思議そうな顔をする光輝を尻目に守屋さんの手を取る。

「うわ、冷たい……」
血が足りないのだろう。すっかり体温が下がっている。
私はあわてて守屋さんの手をさする。
手の皮が厚くごつごつとしていて、ところどころささくれている為、さすっていると私の手も痛くなってきたが気にしていられない。

「……おい」
「なによ」
「放って置けよ。鬼なんだ、そんな簡単に死にやしない」
「分かってるけど、でも何か出来るならしたいじゃないの」
背後からかけられる光輝の声は、不機嫌そうだったがこの状態の守屋さんをただ見ているだけなんて出来ない。

(どうしよう……ぜんぜん暖かくならないし、なんだかさっきよりつらそう?)
「なんでそんなに必死になるんだ? 同じ鬼だからか?」
光輝が私の横に立つ。

なぜって……
①「そうかも?」
②「ケガ人だもの」
③「理由なんて考えなかったよ」

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②「ケガ人だもの」

「手負いの獣は放っておくのが普通だろう。変わってるな」
「そうなの?」
「そうさ。下手に助けたら、今度は自分がやられちまうからな」
「確かに……私も危なかったもんね」

そこでふと思う。
大和の兵に見つかったとき、なぜ光輝は助けてくれたんだろうか。

「じゃあ、光輝は…なぜ私と守屋さんを助けようと思ったの? 普通だったら、助けないんだよね」
「普通だったらな」
「普通じゃなかったってこと??」
「そりゃ……お前を死なせるのが……急に惜しくなったんだよ」

光輝はそう言うと、私の横に静かに座った。

「鬼のくせに……いい匂いだったからさ……」
「えっ…」
「ホワホワするっていうか……」

そして、私の髪の間に指を絡ませる。
裸みたいな隆が、私の髪の匂いを嗅いで目を細めている。

(ななななな、なに!?)

私は混乱して、光輝を思い切り突き飛ばした。
光輝は勢いよく転がり、後ろにあった倒木に頭をぶつけていた。

「いってぇー!!」
「だ、大丈夫?」
「大丈夫なわけあるか! この暴力鬼!!」
「ごめんね。本当にびっくりしただけなんだ」

(ゴンって、すごい音してたし……)

私が何度も謝ると、光輝はようやく許してくれた。
「ちっ、仕方ねェな。二度とすんなよ」
「ほんと、ごめん……」

その後も、私はしつこいくらいに守屋さんを暖め続けた。
けれど、顔色は一向に良くならない。
「おい……」
「何?」
「そんなに、鬼の男を助けたいのか」
「うん」
「まったく、仕方ねぇな……」
光輝は守屋さんを背負うと、ぶっきら棒に言葉を続ける。

「付いて来い。俺のねぐらはここより暖かいからな」

どうしよう?
①付いて行く
②やめる
③守屋さんを見る

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①付いて行く

「ありがとう、光輝」
守屋さんを背負って前を歩いていく光輝にお礼を言う。

「なんで、お前が礼を言うんだよ?」
「だって、この人を助けてくれたもの」
「だから、なんでお前が礼をいうんだ? こいつはお前とまったく関係ない鬼なんだろう?」
「でも、私が助けたいって言ったから助けてくれるんでしょ?」
「……気が向いただけだ」
そういう光輝の顔が赤い。

(なんか、こういう素直じゃない反応もそっくりだよね、本当に隆を相手にしてるみたい……)
光輝のねぐらという場所はさっきの場所からそれほど離れていなかった。
けれど……

「ちょっと、光輝、これがねぐら、なの?」
「おう」
光輝は短く答える。私は呆然とそれを見た。

(おっきい……)
神社でみるような御神木よりもはるかに大きな木だ。
いったい何百年、いやもしかしたら千年以上生きているのかもしれない。
光輝はその木の枝をひょいひょいとジャンプして上へ上へと登っていく。

「ちょ、ちょっと!」
あっという間に姿の見えなくなった光輝に、私は呆然と立ち尽くす。
けれどすぐに光輝が戻ってきた。守屋さんはもう背負っていない。

「なんだ、登れないのか? 仕方ないな」
光輝は立ち尽くす私を見て肩をすくめると、掬うように私を抱き上げる。
いわゆるお姫様抱っこだ。

「ちょ、ちょっと!?」
「登れないんだろ? おとなしくしてろ」
私よりも重い守屋さんを軽々運んでいただけあって、まるでなんでもないことのように再度ひょいひょいと木を登っていく。
思わず下を見てしまった私は、思わず光輝の首にしがみついて目を閉じた。

「た、高い高いっ!」
「うあ、急に首を締めるな! びっくりするだろ!? ……ほら、ついたぞ」
言われてなるべく下を見ないように恐る恐る目を開く。

「わぁ……」
この木は回りの木よりも大きいため、そこから見える景色は緑色のじゅうたんのようだった。
思わず感嘆の声を上げ、ふと思い出す。

①「守屋さんは?」
②「お、おろして」
③「ここに住んでるの?」

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③「ここに住んでるの?」

「さっきから、ねぐらだって言ってるだろ……」

呆れたように言いながら、光輝はゆっくり下ろしてくれた。
喜んでいる私を見つめながら、呆れながらも満足そうに鼻の頭を掻いている。

「柔らかい……踏んでも平気なんだよね」
「ああ」

私は緑色のじゅうたんを踏みしめながら、先に歩いていく。

「ちょっと待て!」
「な、なに……うわぁ!」

緑のじゅうたんの底が抜けて、片足が落ちそうになる。
光輝が咄嗟に私の手を掴んでくれた。

「危ないだろ! よく見て歩けよ」
「あ、ありがとう。気付かなかったよ……」

敷き詰められた緑の中に、ところどころ黄色や、茶色になっている場所がある。
葉が腐って落ちてしまった場所もあるようだった。

「葉っぱ、腐ってたんだね」
「この大木は特に土地の恩恵を受けているんだ。けど、酷い有様だろ」
「どういうこと?」
「最近、ここの土地もすっかり痩せちまってんのさ」

光輝はそれだけ言うと、私を守屋さんのところまで黙って案内してくれた。

(なんのことだろ……)

「ほら、鬼の男だ」
「うわぁ……ここは……」
「ここなら、身体の回復も早いだろう」

(世の中に満ちるエナジー。一郎くんや武くんが言ってたのはこれだったんだ……)

蛍のような光が渦巻く場所に、守屋さんは寝かされていた。
その薄緑色の光は数千、数万という膨大な数だった。
光の塊が渦を巻いたり広がったりしながら、守屋さんの周りを漂っている。

どうしよう……
①光輝に話しかける
②守屋さんに近づく
③考える

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②守屋さんに近づく

守屋さんの横に座って、顔を見ると先ほどより少しは顔色が良く見える。
この場所のおかげなのだろう。

「よかった……」
試しにその手を触ってみる。けれど体温は相変わらず低い。
私はさっきと同様その手をさする。
後から光輝が近づいてきて、私の横に胡坐を掻いて座る。

「……なに?」
その手が伸びてきて私の髪を触ってくる。
守屋さんの手をさすりながら、顔だけ光輝に向ける。

「……気にするな」
「気にするなって……気になるに決まってるじゃない」
「そうか、だけど本当に気にしなくていいぞ。
 お前に触ってると力が回復する気がする。ほわほわして気持ちいいし、不思議な奴だな」
言いながら髪に触ってくる。けれどそれ以上近づいてこないのは、さっきのことを警戒しているのかもしれない。

(そういえば、チハルもそんなこと言ってるよね。やっぱり光輝も精霊だから感じるのかな?)
私の中の何がそんなに精霊に心地いい物なのか分からない。

(でも、隆と同じ姿って言うのがちょっとねぇ……そういえば)
「ねえ、光輝。もしかして子供の姿になれたりする?」
「ん? まあな」
どうしてそんなことを聞くのかと、首を傾げる光輝に私は……

①「聞いて見ただけ」
②「変わってみて?」
③「それじゃ、毛布とかにも変われるよね」

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③「それじゃ、毛布とかにも変われるよね」

「モウフ? それは美味いのか?」
「違うよ。食べ物じゃなくて、寝てる人に掛けたりする物なんだけど」

私が説明に困っていると、光輝が閃いたようにポンと手を叩く。

「わかった。ムシロの事だな」
「ムシロって言うんだね。光輝お願い、それに変わってもらって守屋さんを……」
「ヤダ」
「どうして? いいじゃない」

はっきりと断る光輝に対して、私は言い募る。
でも、光輝は「嫌だ」の一点張りだ。

「寒そうにしてて、可哀想だよ」
「ムシロに変身してても、男と一緒に寝るなんてごめんだ。諦めるんだな」
「変身してくれないの?」
「当たり前だ」

そう言うと、光輝は不機嫌に立ち上がる。

「助けたのはお前がいい匂だったからだ。鬼の男がどうなろうと俺には関係ない」
「じゃあ、守屋さんが辛そうでもいいって事?」
「手負いの獣が死ぬのは天命だしな」
「そんな……」
「同属同士なんだ。お前がこの男を暖めればいいだろ」
「でも……」
「俺がしてやるのはここまでだ。これ以上はお前でどうにかしろ」
「お願い。今頼れるのは、光輝しか居ないんだよ」
「じゃあ、俺の女になれ」

(……へ?)

「鬼だが、お前は気持ちいい。女になるのならこの男を助けてやる」

な、なんだって―!!
①仕方がないので私が暖める
②光輝の女になる
③考える

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③考える

(光輝って以外にプレイボーイ……?)
隆に似た外見のため、つい右手で拳をつくってしまう。

「それ、本気でいってるわけ?」
「な、なんだよ……」
一瞬光輝はひるんだが、すぐにぷいっとそっぽを向く。

「嫌ならいいんだ。さっきも言ったように別に俺はこの鬼がどうなろうと、しったこっちゃないからな」
隆なら私が少し怒った様子を見せれば妥協案を提示してくるけれど、さすがに光輝だとそうはいかない。

「……ちなみに光輝の女になるってどう言う事?」
光輝は精霊だ、女になるっていう意味ももしかしたら人とは違うかもしれない。

「なんだ、その気になったのか? 俺の女になるって言うのはずっとそばに居るってことだ」
「そ、そっか……」
(あいまいすぎて、深い意味があるのかどうかわからないよ……でも……)
今は過去に来ているのかもしれないが、いつ目が覚めるか分からない。
ずっとという約束は出来ないのだ。

「ごめん、ずっと一緒にいる約束はできないや」
「どうしてだ?」
「だって、私ここにずっといられないもの。たぶん急にもとの場所に戻されるだろうし」
「なんだよそれ?」
「うまく説明出来ないけど、元の所に戻らなくちゃいけないの」
「誰かに無理やり、連れて行かれるってことか?」

うーん、なんて説明しよう
①「えっとね、本当の私は眠ってるの」
②「誰かってわけじゃないけど、私の意思じゃどうにもならないよ」
③「違うよ、私は本来ここにいない人だから」

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③「違うよ、私は本来ここにいない人だから」

「じゃあ、本来はどこに居るんだ?」

当然の質問だ。
私だって同じことを尋ねるだろう。

「未来……ずっと未来から来たんだよ」

光輝はキョトンと目を丸くした後、段々不機嫌な顔になっていく。

「嘘にしても、もっと上手い嘘つけよ……」
「本当なんだよ」
「俺のこと、バカにしてるんだな」
「バカになんてしてないってば」
「なら、ふざけてんのか? 鬼だからって、精霊の俺を見下してんだろ」
「質問してきたから答えただけなのに、なんで怒られなくちゃいけないの?」
「くだらねぇ。もうお前だけでどうにかしろ。俺は知らないからな」

光輝はプイと私から背けて歩き出す。
そして、この場所から黙って去ってしまった。

(怒らせちゃった……)

残ったのは、私と青白い顔をした守屋さん。
守屋さんの手をさすりながら、自分のブレザーを身体に掛ける。
だけど私のブレザーでは、大きさが全然足りない。

「どうしよう……」
独り言を呟いていても、助言はない。
自分でどうにかしないと、守屋さんが辛そうだ。

私は……
①添い寝をする
②木の葉をむしる
③守屋さんを触る

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②木の葉をむしる

(火を使ったら、この木が燃えちゃうよね……)

今、ここには私しか居ない。
傷は治したけど、低体温での命の危険も十分あり得る。
私が諦めてしまったら、守屋さんが死んでしまうかもしれない。

(ごめんね。少し摘ませて)

私は黄色や茶色になった木の葉をしゃがみ込んで千切っていく。
あちこちの別の場所に散らばった枯れ葉を拾い集めるのは大変だ。
水分の少ない葉を出来るだけ沢山にしないと、身体が湿ってしまっては逆に体温が奪われてしまう。

(こ、腰が……)

小山が出来るほど貯める頃には、腰が痛くなってしまった。
私は守屋さんの着ている服をなるべく緩める。
そして、大量の枯れ葉を守屋さんの上に掛けていった。

(よし。これでオッケーかな)

守屋さんの身体は枯れ葉にすっぽり覆われた。
毛布とまではいかないけど、まったく無いよりはいいはずだ。

(やっぱり、するしかない。よしっ、決めた)

私はリボンを解いて、ブラウスを脱ぐ。
キャミソールは……最後の防衛線なのでさすがに脱げなかった。
とりあえずブラウスも枯れ葉の上に乗せてみる。

(変態みたいだけど……失礼します)

枯れ葉のベッドにモゾモゾと潜り込む。
そして、素肌がなるべく触れ合うように身体を密着させた。

(こんな格好で男の人にくっついたことなんて、初めてだよ)

泣きたくなるけど、目の前で守屋さんが亡くなってしまうのは絶対に嫌だ。
私はチハルがするみたいに、しっかりと守屋さんに抱きついた。

私は思う……
①守屋さん。はやく元気になってください
②お父さんやお継母さんや春樹が見たらなんて言うだろう
③そういえば、光輝はどこへ行ったんだろう
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