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②隆と最終の打ち合せをする

「おはよう、隆」
「おはよう。お、チハル準備万端だな」
「おはよう隆!」
リビングに入ると隆がテレビを見ながらコーヒーを飲んでいた。
かってしったるなんとやら、だ。

「隆、最終打ち合わせなんだけど」
「ああ」
「まず、桐原さんね」
桐原さんは昨日近くに住んでいるようなことを言っていた。
もし桐原さんが春樹を好きなら、きっと偶然を装って同じ時間に登校するはずだ。
本当は彼氏のほうを先に何とかしたかったが、彼氏の情報がまったくないため桐原さんからということになったのだ。

「よし、それじゃあチハル、何年何組って聞かれたらなんて答えるんだ?」
「えっと、同じがっこうじゃないよ。今日はソウリツキネンビで休みだから、愛菜ちゃんにセイフク借りたの。いっかい一緒にトウコウしてみたかったから、お願いしてワガママ言っちゃった」
いえたことに安心したのか、にこっとわらうチハル。
チハルの役どころは他校の彼女。家族公認で春樹の姉の私とも仲が良いというもの。
下手に何年何組か嘘をついて、後で教室に乗り込まれたら困るので考えた設定だ。

「よし!完璧だな!細かいところは春樹がフォローするだろ」
「そうね、後はチハルいつも通りにしてて良いからね」
「うん、わかった!」
「ちゃんと私たちも後ろからついていくし、なんかあったらフォローするから」
私たちがリビングで話をしていると、春樹が顔を覗かせた。

「姉さん、隆さん朝ごはんできましたよ……」
「あ、春樹!ボク…じゃないワタシの分は?」
「…チハル?」
「うん、ボ…ワタシ、チハル!」
ぴょこんと、立ち上がって春樹に突進するチハル。

「ねえねえ、ワタシの分は?」
がしっと腰にしがみついて、チハルが春樹を見上げる。
春樹は疲れたように額に手を当てると頷いた。

「ちゃんとあるよ……」
「わーい、春樹大好き!」
私たちが何をしようとしているか気づいていながら、春樹はとりあえず止めるきはないらしい。
それくらい、桐原さんとその彼氏のことで悩んでいるのかもしれない。

「この調子なら大丈夫だろ」
「そうね」
私と隆は頷きあってテーブルに座る。

さて…
①春樹に設定を説明する。
②隆とフォローの仕方を話し合う。
③チハルともっと打ち合わせをする。

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③チハルともっと打ち合わせをする。

(チハルの打ち合せを春樹にも聞かせれば、計画の説明が省けそうね)

「ねえ、チハル。それじゃあ、春樹の恋人のチハルちゃんの設定を説明をしてくれる?」
私は確認をかねて、チハルに役柄の説明をお願いした。
春樹も朝食の用意が終わったのか、席に座ってチハルに注目する。

「えーっとねぇ…。ボ…ワタシは春樹の恋人のチハルなんだけど……春樹とは違うガッコウに通ってるんだ。
今日はソウリツキネンビでお休みだから、愛菜ちゃんにセイフクを借りて、一緒にトウコウするの。
春樹とは家族同士コウニンのナカで、すっごくラブラブなんだよ。…って、キリハラさんって人に言えばいいんだよね」

「そうだ。チハルお前、賢いな」
隆は自分自身の考えた細かい設定に満足しながら、チハルを褒めた。
チハルは嬉しそうに笑って、それに応えている。

「ずいぶん強引な気もするけれど…」
春樹は朝食のパンにバターを塗りながら、隆に向かって複雑な顔を向けた。

「チハルで対処しきれないときは、お前がフォローすればいいんだよ」
「俺がフォローですか……」

今朝になっても言葉を濁したままの春樹に、煮え切らないものを感じてしまう。
(もしかして、春樹はこの計画に反対なのかな)

「春樹。この計画に反対なの?」
「そういうわけでは無いけど……桐原さんをだますみたいで、やっぱり心苦しいよ」

春樹の放った一言に、隆が眉をひそめる。
「そうやって優しくするから、その桐原さんって子も勘違いしたんじゃないか?
好意に応えることが出来ないのならせめて態度にして伝えないと、逆にその子が可哀想だぜ」

私は…
①隆に賛成する
②春樹に同情する
③時間がないので食事を終える

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②春樹に同情する

「春樹の性格上どうしようもないかもしれないけど、このままっていうわけにもいかないじゃない?」
春樹は面倒見が良くて優しいから、勘違いする女の子だって居るだろう。
今までこういう話がなかったほうが不思議だ。
それにフリーの女の子だったら私たちだってこんなおせっかいはしない。
けれど桐原さんにはちゃんと彼氏が居るということだし、それに…。

「それに桐原さんの彼氏と気まずくなってるのも、嫌なんでしょ?」
「…うん、あいつ、最近笑わなくなってきたから」
春樹がそういって悲しそうにため息をつく。
桐原さんの彼氏と春樹はきっと仲が良かったのだろう。

「それじゃ、早く誤解を解いたほうがいいだろ?」
「そうだね…」
春樹はそう言って迷いを振り切るように頷いた。

「よし、それじゃそろそろ出ようぜ」
「そうね」
時間を見るとそろそろいつもの時間だ。

「じゃ春樹、先に出て。桐原さんを見かけたら合流するから」
「分かった」
最初からチハルと一緒だと、桐原さんが近づいてこない可能性もある。
春樹が出て行った後、外をうかがうと桐原さんが角から歩いてくるのが見えた。

「思ったとおり、春樹の通学時間に合わせてきたわね」
「だな。よし!作戦実行だ!」
桐原さんが家の前を通り過ぎるのを確認して、私と隆、そしてチハルの3人で玄関を出る。
前を歩く桐原さんが、春樹に気付いたのか小走りになった。

「よし!チハル今だ!おもいきり春樹にくっついて来い!」
「わかった!」
隆の言葉にチハルは元気に頷くと、勢い良く春樹に突進する。

「はーるーきーーーーー」
春樹はチハルの声に振り返り、驚いたような顔になる。突進してくるチハルに素で驚いているらしい。
同じく、春樹の後を歩いていた桐原さんもチハルの声に振り返った。
振り返って立ち止まった春樹にすぐにチハルは追いついて、朝のように腰に手を回してしがみつく。
今は通学時間帯。当然まわりの生徒も何事かと春樹とチハルに注目する。

(うわ、ちょっと…てか、かなり恥ずかしいかも…)
「チハル!?」
案の定、春樹も周りの視線を一身に浴び恥ずかしいのか赤くなる。
けれどそれが逆に、他校の彼女が目の前に居ることに驚いている演技(?)に見えないこともない。
あわてる春樹が視線をさまよわせて、ふと桐原さんに気付く。

「あ…、桐原さんおはよう。……こらチハル離れろって」
「お、おはよう、春樹くん…」
赤い顔のままあわててチハルを離そうとする春樹、困惑したような桐原さん。
そのまま、黙り込んでしまった桐原さんは、チハルをチラチラと見ながら春樹に疑問の視線を投げている。
けれど「誰?」とは聞かないため、チハルは言うべきセリフを言わず、春樹にしがみついたままだ。

①フォローに出る
②成り行きを見守る
③チハルに通信を試みる

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②成り行きを見守る

「チハル、頑張れ。」
小さな声でエールを送る。
ここで私が下手にフォローすると変だからチハルを見守ることにした。
想いが通じたのかチハルが動き出す。
「会いたくてきちゃった、はるきだ~いすき。」
甘い声で春樹に擦り寄るチハル。
「春樹君の恋人?」
チハルの態度に春樹の表情が一瞬険しくなってバレルかと焦ったが、
見事に桐原さんは引っかかってくれたようだ。
「うん、ワタシは春樹の恋人のチハルなんだけど……春樹とは違うガッコウに通ってるんだ。
今日はソウリツキネンビでお休みだから、愛菜ちゃんにセイフクを借りて、一緒にトウコウするの。
春樹とは家族同士コウニンのナカで、すっごくラブラブなんだよ。ね、春樹。」
「あ、ああ。」
嘘がつけないのか春樹の方がボロがでそうでハラハラする。
「そうなの。」
桐原さんは二人を見て目を細めてどうでもいいとでもいうように一言呟いた。
「桐原さん、昨日はおかしありがとう。
で、でも俺にもこいついるし誤解されたくないから今後は……ね。」
何とか振り絞った春樹の言葉も桐原さんにとっては効果がないように見えた。
桐原さんはチハルを一瞥すると飛び切りの笑顔を向けた。
「初めまして、チハルさん。」
「う、うん。」
チハルの表情が曇る。先ほどまでとは違って怯えて春樹にしがみついているという感じだ。
「でも、親公認というのは私も一緒なのチハルさん。」
「えっ。」
桐原さんの言葉に私だけでなく春樹も隆も驚きの声を上げた。
「だって春樹君とは親公認の許婚なんですもの、ねぇ高村春樹君。」

高村春樹

その言葉に春樹の表情が一転する。
「俺の親は高村じゃない。あんな男の息子じゃない。」
春樹の今の表情『お前らなんか必要ない!』と言い放ったときと同じ表情だ。
今にも食いかかりそうな春樹の感情を抑えなきゃ!!
その為に私は、

①「春樹、落ち着いて」と春樹にしがみつく
②「ちょっと許婚って何よ、桐原さんには恋人いるんでしょ。」と話題をそらす
③チハルにキスして場の雰囲気を壊す

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①「春樹、落ち着いて」と春樹にしがみつく

「ね、姉さん…」
私の声に、春樹がハッとしたように動きを止める。

「愛菜ちゃん、あのヒト怖いよ…すごくどろどろしてきもちわるい」
同じように春樹にしがみついているチハルが泣きそうな顔で私に言う。
心なしか、顔色も悪い気がする。
私は春樹から離れるとチハルを覗き込む。

「チハル?」
チハルの言葉に、私と春樹は視線を交わす。
力のある精霊のチハルがこんなにも嫌がるなんて普通じゃない。
春樹もそう思ったみたいだ。すっとチハルを桐原さんからかばうように立つ。

「チハル、大丈夫か?どうしたんだ?」
春樹もチハルを覗き込む。そんな春樹の態度に桐原さんはギッと眉を吊り上げた。

「きもちわるい、あのヒト、どろどろする、ボクここにいたくない」
すっかりもとの口調に戻っているチハルが、必死に春樹に言う。

「桐原さんだっけ?昨日はアップルパイありがとさん」
そのとき、隆が気をそらすためか桐原さんに話しかける。桐原さんは、ハッとしたように微笑んだ。
桐原さんの意識がチハルから離れたためか、チハルが少しホッとしたように息をついた。

「………いえ」
桐原さんは春樹とチハルを気にしながらも先輩である隆を無碍にも出来ないのだろう。隆に向き直る。

「ところで、春樹が桐原さんの許婚ってのはどういうこと?」
興味津々といった感じで隆が桐原さんに聞く。こういうことを遠慮なく聞ける隆はすごい。

「そのままの意味です。私の父と、高村のおじ様が決めたと…」
「でも、春樹は知らなかったみたいだぜ?なあ?」
春樹は隆の言葉に頷く。

「ってことはだ、許婚って言っても親が勝手に決めたことであって、本人の意思はまったく反映されてないってことだ。今の時代そんなのに効力があるとも思えないね」
たまには隆もいい事を言う。桐原さんは、隆の言葉に唇をかみ締める。

「それに、今の春樹は高村じゃない。大堂だ。高村春樹って人間はもうどこにも居ない」
隆は春樹が家に来た頃のことを知っている。春樹が荒れていた理由も当然知っていた。

「よしんば高村だったとしても、20になったら親の許可なく結婚できる。
 親の意思なんて関係ないさ。春樹は結婚したいヤツと結婚する。で、それは絶対にアンタじゃない」
隆の言葉がだんだんときつくなっていく。なぜか隆は怒っているみたいだ。

①隆を止める
②とりあえず春樹とチハルをこの場から離す
③成り行きを見守る

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③成り行きを見守る

「おじ様は立派な学者でたいへんな権力者なんです。そのおじ様が決めた事ですもの、絶対だわ」

「高村だか高原だか知らないがな、大堂春樹はここにいるんだ。許婚なんて古いしきたりに縛られるなんてホント馬鹿げてるぜ」

お互い一歩も譲らず、隆と桐原さんは言い争いを続けていた。

(高村…?春樹があの高村だったなんて……)
隆と桐原さんのやりとりを聞きながら、私はずっとそのことばかり考えていた。

出会ったころの春樹は母方の姓を名乗っていて、すでに高村春樹という名前ではなかった。
だから今まで、私は全く知らずに過ごしていたのだ。

春樹は過去の話を極端に嫌っていたから、私から尋ねることも出来ないでいた。
たまに昔話になったとしても、お義母さんに対して暴力を振るっていた父親を今も決して許していなかったし、同じ血がながれていることにすら嫌悪しているほどだった。
そういった経緯で、春樹の父親のことは禁句になっていたのだ。

とはいえ、桐原さんの口から真実を聞くことになってショックも大きい。

隆はあいかわらず、桐原さんに向かって何か話している。
隆自身、まだ高村の存在を知らないみたいだけど、武くんのことに高村が関わっていると知ればどう思うだろう。
春樹の親族から人体実験まがいのことをされたと知っても、今みたいに春樹をかばってくれるのだろうか。

春樹を見ると、チハルを守るようにして隆と桐原さんの様子を見ている。
いつも傍らにいたはずなのに、まるで知らない人を見ているような錯覚に囚われる。

(春樹は…すべて知っていて黙っていたの?)

私は…
①春樹に話しかける
②とりあえず、この場を収める
③考える

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③考える

少し悲しくなって春樹を見ると、春樹は私の視線に気付いたのか心配げな顔をした。
その顔に演技や嘘は感じられない。

(そうよ、春樹が何か知ってるわけない)
春樹が何か知っていたら一郎くんや修二くんのことも、力のことも知っていたはずだ。
知らなかったから、いろいろ驚いたり苛立ったりしてたんだ。
それに、知っていて黙っていたとしても、それは当たり前。
人体実験をしている組織があるといわれても、何も知らなかった頃の私なら映画か何かの話かと思ったかもしれない。
大体、組織に関しては春樹はまったく関係ない。
力もないし、組織に属しているわけでもない。
春樹の父親がどんなに非道なことをしていようと、春樹自身にはまったく関係ないことだ。
自分に言い聞かせるように、いろいろ考えていると隆の声が耳に飛び込んできた。

「大体、アンタ親が言ったからって、すべてを受け入れて生きていくわけかよ?」
「……そうよ」
「バカだな。親が言ったからだって?ハッ、要するに自分で考えられないお人形ちゃんてわけだ?」
隆は心底馬鹿にしたように言う。隆の両親はそのあたりの教育徹底している。
何でも自分で考えて行動させた上、子供が自ら考えて行動した事柄についてはきちんと責任を取る。
だから隆は、自分で考えず言われたまま行動する人を嫌う傾向がある。

「バカにしないで、私だって考えて行動してるわ」
「考えて行動した結果がコレか?春樹たちを不快にさせて、あんたのカレシとやらを悲しませ…」
「そこまで」
隆の言葉をさえぎるように、声が割ってはいる。

声のほうを見ると…
①一郎くんと修二くん
②近藤先生
③水野先生

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①一郎くんと修二くん

「はいはい! お二人さんそこまでね~。ほら、向こうで愛菜ちゃんが困っているよ」
修二君がいつもの軽いノリで割って入ってきた。
隆と桐原さんの間に割り込んで、強引に引き離している。

「なんの騒ぎだ。こんなところで口論していては、通行の邪魔だ」
一郎君は隆と桐原さんを一瞥し、私の前に立った。

「えっと…これは」
一郎君から問いただされ答えに窮していると、春樹がこちら側にやって来る。
「なんでもありません。朝からお騒がせしてすみませんでした」
そう言うと、春樹は私に向き直りながらチハルを私に預けてきた。
私はチハルを受け取りながら、そっと春樹の顔を伺い見る。すると、困っているような、悲しそうな複雑な表情を浮かべていた。
きっと、私が困惑している事もわかっているのだろう。
眼を伏せ、どういった言葉で話せばいいのかわからないといった様子だった。

「姉さん…」
私と目を合わせることなく、春樹は独り言のように小声で呟く。
そして、きびすを返すと今度は桐原さんの前に立った。

「俺には好きな人がいるんだ。父が桐原さんに何て言ったのかは知らない。だけど…
たとえ許婚だったとしても、それに応えることは出来ない」

桐原さんは春樹の言葉を悔しそうに下唇を噛み締めてながら聞いていた。
そしてすべての話を聞き終えると私の方を睨みつけ、そのまま走り去ってしまった。

チハルは桐原さんが居なくなってようやく安心したのか、ギュッとしがみ付いていた手を解いた。
隆は憮然とした表情のまま、桐原さんの走り去った方向を眺めている。

「もしかして、修羅場の最中だったとか?」
修二君はバツが悪そうに、誰ともなしに話しかけてくる。
一郎君はそんな修二君を見ながら、小さく溜息を吐いた。

私は…
①修二君の言葉に頷く
②黙っている
③学校へ急ぐ

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②黙っている

私は言っていいものか悩む。
迷っていると、ふとチハルが私からはなれ春樹に近づいていった。
それから、立ち尽くしたままの春樹にぎゅっと抱きつく。

「チハル、もうお芝居は終わりだ。くっつかなくていいんだぞ」
隆が憮然とした顔のままチハルに言う。
けれどチハルはぶんぶんと首を振って、さらに春樹にしがみつく。

「コイツ昨日の精霊だよな。またずいぶんかわいらしい姿になって」
修二くんが面白そうにチハルを見る。
けれどチハルはそれが聞こえていないのか、それとも他に気になることがあるのか春樹にしがみついたままだ。
チハルの行動にそれぞれが困惑しているとチハルが春樹に言った。

「春樹だめだよ。愛菜ちゃんがかなしむよ」
「…!」
「チハル…?」
チハルの言葉に春樹ははっとしたように、チハルを凝視する。
けれど私にはチハルの言葉の意味が分からない。

「さっきの桐原さんっていう人はすごくこわいけど、愛菜ちゃんがかなしむからボク春樹を守るよ」
「…一郎くん修二くん、さっきの女の子、力のある人なの?」
「いや、いたって普通だったな」
「特別何も感じなかったが…」
チハルが春樹を守るというから、特殊な力の持ち主かとおもったがそうでもないらしい。

「チハルは精霊だからな、人の感情を受信しやすいんだよ」
そういったのは、隆だ。
成功率は低いとはいえ、もともと精霊に影響を及ぼすことの出来る隆はこの中の誰よりも精霊に詳しいのかもしれない。

「どういうこと?」
「ん~、人間の感情を感じてしまう、もしくは読みとるってことさ」
「え…じゃあ…」

①「チハルが桐原さんをきもちわるいって言ったのは?」
②「チハルが春樹から離れないのは…」
③「チハルには私達の考えが筒抜けってこと?」

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①「チハルが桐原さんをきもちわるいって言ったのは?」

「嫉妬だろうな。良くない感情を感じ取って、気持ち悪く見えたんだろ」

隆はチハルの頭をワシャワシャと撫でながら「よくがんばったな」と言った。
チハルは上目遣いで、隆を見つめている。

「弟くんはモテモテだね。まあ、俺には及ばないけどさ」
さりげなく自分の自慢を入れているところが修二君らしい。
一郎君も私と同じように思ったのか、間髪入れず「自慢することじゃない」と言って呆れている。

そんな中、春樹だけはそんな会話に加わることなく桐原さんの去った方向を見つめていた。

チハルではなく、なぜか私の方を睨むようにして走り去っていった桐原さん。
その目には確かに涙が溢れていた。
春樹もそんな桐原さんの様子が気になっているのかもしれない。

「春樹。ごめんね」
私たちが悪戯半分で作戦を立てたばかりに、こんな結果になってしまった。
もっとよく考えていれば、いい解決方法があったはずだ。
桐原さんに睨まれて当然のことをしてしまったと、私は深く反省する。

「どちらにしろはっきりさせなきゃならなかったんだ」
春樹は私を気遣うように言った。
「でも……」
「許婚のことは知らなかったとはいえ、期待を持たせるような態度をとっていた俺のせいだよ。
本当は、俺と桐原さんとで解決しなくちゃいけない事だったのに」
「春樹…」
春樹はゆっくりと空を見上げる。つられて私も視線を空に向けると秋特有の抜けるような青空が広がっていた。
視線を元に戻すと、春樹が私をじっとみていた。
その顔には、さっきまでの迷いは無くなっている。

「桐原さんにはチハルが彼女じゃないことも話をするよ。誠実に話せばきっと伝わると思う。
きちんと謝って、納得してもらうまで俺は逃げない。もう高村春樹だった頃のような子供じゃないんだからね」

私は……
①黙って頷く
②私も桐原さんに謝りたいと言う
③学校へ急ぐ

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