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②どうせ文化祭の用意だろうから気にしない

一瞬疑問が浮かんだが、すぐに文化祭の準備があるのだろうと納得する。

(準備が遅れてるって言ってたもんね…)
きっと昨日の電話で早く出てその分の遅れを取り戻そうという話になったんだろう。

「文化祭の準備かな、昨日遅れてるって言ってたもんね」
「そうね。愛ちゃんのクラスは大丈夫なの?」
「うん、うちのクラスは平気。放送委員の仕事のほうが忙しいくらい」
「あら、放送委員ってそんなに忙しいの?」
お義母さんが不思議そうに首をかしげる。

「忙しいわ。体育館での催し物の案内でしょ、落し物の放送に、迷子の放送、呼び出し放送…それから」
指折り数えていく私に、お義母さんが苦笑する。

「確かに忙しそうね。でもせっかく早く起きたんですもの、ゆっくりご飯食べたいわよね、ご飯食べながらお話しましょう」
「あ!」
確かにせっかく早く起きたのに、このままではいつもと変わらなくなってしまう。

「準備ができたら降りていらっしゃい」
お義母さんは微笑みながら、部屋を出て行った。
それを確認してから、ベッドから出る。
まだ少しだるいが動けないほどではない。

(さて、と)
心の中で気合いをいれて、何からやろうかと考える。

①チハルを起こす
②着替える
③顔を洗いに行く

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②着替える

(チハルは眠っているし…起こすのもかわいそうかな)

私はなるべく物音を立てないように、制服に着替える。
胸のリボンを結び、ジャケットに袖を通す。

(……行ってくるねチハル)
ゆっくりとドアを閉め、階段を下りるとトーストの焼けるいい匂いがしていた。
顔を洗い、髪をセットしてキッチンへ向かった。

「愛ちゃん、目玉焼きと玉子焼きどっちがいい?」
私の姿を見つけると、お義母さんが尋ねてくる。
「目玉焼きがいいな」
「わかったわ。ちょっと待っててね」
「あれ…お父さんはもう出たの?」
「ええ、今日から出張だから早く出ていったわ」
「月曜日から大変だね。体を壊さなければいいけど」
「そうね。海外出張だからお腹を壊さないか心配だわ」

他にも文化祭の話題など、とりとめの無い話をしながらお義母さんと二人でゆっくり朝食をとった。

ピンポーン。

食べ終わって、席を立ったところで玄関のチャイムが鳴った。
「はーい」
パタパタとお義母さんが玄関へ向かう。
「お迎えに来てくれたの? ちょっと呼んでくるから待ってて」
玄関の方から、そんなお義母さんの声が聞こえてくる。
「どうしたの?」
「ふふ。愛ちゃんにお迎えよ」
「わかった。今、出るね」

鞄を持ち、玄関へ向かう。
私を迎えに来たのは…

①一郎くん
②修二くん
③隆

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②修二くん

「おっはよう、愛菜ちゃん」
私を見るなり修二くんは白い歯を見せて笑った。
朝の新鮮な空気と眩しい日差しは爽やかに笑う修二くんに良く似合う。ぼんやりとそんなことを思いながらお義母さんに挨拶をして玄関を出た。

「おはよう、修二くん。……っていうか、朝からどうしたの?」
「どうしたのって……つれないなあ。一緒に学校に行こうと思って迎えに来たんだよ」
昨日は会えなかったしね、と付け足して修二くんは並んで歩きながらさりげなくウィンクをした。
「……えーと。別に昨日は修二くんと特に何か約束はなかった、と思うんだけど」
「好きな子とはいつだって一緒にいたいもの、でしょ?」
「へえ、知らなかったよー」
「愛菜ちゃーん……」

修二くんおなじみの口説き文句を右から左に軽く聞き流しながら朝の通学路を学校へと向かう。
時折笑顔を見せながら私の歩幅に合わせて隣りを歩く修二くんの外見は、確かに華やかで人の目を惹きつける。好意を抱く女の子の数が両手ではとても足りないという話もまんざら嘘ではないのだろう。
だからこそ、思う。修二くんの言葉は心から出たもののはずはないと。何の取り柄もなく特に美人という訳でもなく、ごくごく普通の私は残念ながら修二くんに思いを寄せられるような覚えはない。

「そんなことばっかり言ってると、ほんとに好きな人が出来た時に信じてもらえなくなっちゃうよ」
「心外だなー、俺はいつでも本気だよ?」
「はいはい。……それで?今日はどうしたの?」
「はー、……愛菜ちゃん、あいかわらずガード固いなー…。」
修二くんは私の質問には答えずに、独り言のようにそう呟いた。

(ほんとに修二くん、何の用で来たんだろう?)

どうしよう?
①重ねて何の用事で来たのか尋ねる
②昨日の事件の話について尋ねる
③一郎くんが教えてくれなかった事をきいてみる

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②昨日の事件の話について尋ねる

「そういえば…」
ふと昨日の一郎くんとの会話を思い出す。

「ん?」
「昨日ショッピングセンターの駅で一郎くんに会って…」
「ああ、聞いたよ。兄貴が行ったほうがメインだったみたいだな」
「一郎くんもそう言ってた。修二くんのほうは大丈夫だったの?」
私の急な話題変更も、修二くんにとっては予想の範囲だったのか軽く頷く。

「俺の行ったほうは本当におとりでさ。俺が調べようとした途端に消えちまったんだよ」
「そうなんだ…、修二くんが怪我しなくてよかったよ」
「あれ?心配してくれるんだ」
「当たり前でしょ?」
もし、修二くんが行ったほうがメインだったとしたら、どうなっていたんだろう?
二手に分かれて行動するのは二人にとってとても危険なことではないのだろうか?

「二人で行動したほうが安全なんじゃないの?」
思ったことをそのまま尋ねると、修二くんは苦笑する。

「そりゃそうなんだけどね…でも今回みたいに二箇所に異変があったら俺たちは二手に分かれるよ」
「どうして?」
私の疑問に修二くんはちょっと考えて続ける。

「たとえば、二人でひとつのほうに行ったとする」
「うん」
「で、そっちはオトリで特に何もなかった。それじゃあと、もうひとつのほうに行ってみる。でも、そのときにはすでにメインの方は目的を達成させてしまった後だった、って事になるかもしれないだろ?」
「それはそうかもしれないけど…」
修二くんの言いたいことは分かる、でも分かれて行動することで危険は増すのだ。割り切れるものじゃない。

私は…
①「でも、二人に何かあったらいやだよ」
②「……二人が決めたことならしかたないか」
③「…………」

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①「でも、二人に何かあったらいやだよ」

「おっ、本気で心配してくれるって事は…脈アリ?」
修二くんは楽しそうに私を覗き込んだ。
「もうっ。茶化さないで」
「そっかー。心配してくれるのはうれしいんだけど…兄貴込みってのが気に入らないなぁ。出来れば、この俺だけ心配してよ」
修二くんは自分自身を指差して、「俺、俺」とアピールしている。
「ダメ。修二くんも一郎くんも大切なお友達だもん」
「空耳かなぁ…。今、友達って聞こえたんだけど」
「空耳じゃありません」
私はキッパリと言い切る。
すると、修二君は軽く舌打ちを漏らしながら、「どーせお友達ですよ」と拗ねてしまった。

学校が近づくにつれて、登校する生徒の数も多くなってきている。
すれ違う女子生徒の視線が突き刺さるのは気のせいだろうか。
そんな事などお構いなしに、修二くんは大きな声で私に話しかける。

「じゃあ、百歩譲ってお友達の俺からお願いがあるんだけど?」
「え、どうしたの」
「友達脱却の為にも、デートしよ♪ そうすれば、きっと俺のこと好きになるって」
「一郎くんと事件の調査はしなくていいの?」
「あんなの、兄貴に付き合って仕方なくしてるだけ。俺的には愛菜ちゃんが最優先だよ」
「でも……」
「そんな堅苦しく考えなくていいから、ね。放課後に待ってるからさ」

私は…
①「わかった、いいよ」
②「今日はやめておくよ」
③「そんな暇があるの?」

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③「そんな暇があるの?」

一郎君と事件の調査はともかく、文化祭が近くて忙しいことは間違いない。私は不思議に思って聞いてみる。

「今週末文化祭だし、準備忙しくない?うちのクラスは順調だけど…」
「あー……」
修二君は、一瞬何かを思い出したように視線をさまよわせたけれどすぐににっこり笑って頷いた。

「平気平気!何とかなるって♪」
「なんかすごく怪しいんだけど…」
修二君の物言いからすると、とても大丈夫とは思えない。
修二君のクラスの人たちに迷惑がかかるなら大変だ。

「ほんとに平気だって今日くらい。だからデートしてよ」
修二君は再度誘ってくる。
でも、さっきの態度から何かクラスですることがあるのではないかと思ってしまう。

どうしよう…
①デートに行く
②修二君のクラスの人に何か予定があるのではないかと聞いてから答える。
③行かない

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②修二君のクラスの人に何か予定があるのではないかと聞いてから答える。

(修二くん、ちっとも大丈夫じゃなさそうだよ…)
そう考えていたところに、修二くんに気軽に挨拶している人を発見する。
たしか、あの男の子は修二くんと同じクラスだったはずだ。

「あの、……おはよう。ちょっといい?」
「僕のこと?」
「うん。えーっと名前は…」
「隣のクラスの大堂さんだっけ。僕は藻部だけど?」
「藻部くん。今、あなたのクラスの文化祭の準備は進んでいるの?」

「藻部! もちろん俺たちのクラスの準備はバッチリだよな?」
修二くんは懸命に目配せをしているみたいだけれど、当の藻部くんはまるで気付いていない。
「それが、スケジュール厳しくて。うちは焼きそば屋をやるつもりなんだけど、機材の調達先も決まってない有様だよ」
藻部くんは真剣に困っているようだ。

「やっぱり……」
私はじろりと修二くんを睨みつける。
「そういうのはクラス全員が動くことないし…一日くらい俺がいなくても…」
「まさか修二。お前、またサボるつもりだったのか?」

(またって……修二くん、前科もちなんだ)

「今日はどうしても都合が悪い。だから藻部、頼んだ」
修二くんは藻部くんの肩をポンと叩き、ニコッと白い歯をみせる。
「あと一週間も無いんだしダメ、無理」
修二くんお得意の爽やか笑顔も、藻部くんの前にあえなく撃沈していた。

①私のクラスは順調だし一日修二君を手伝う。
②やっぱり、断る。
③それでも行く。

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②やっぱり、断る。

藻部君の様子からかなり切羽詰っているように思える。

「修二くんダメよ。ちゃんと文化祭の準備しなきゃ」
「愛菜ちゃ~ん」
「そんな声出してもだめですっ!」
ため息を吐きつつ、しつこくデートしてと連呼する修二くんを置いて歩き出す。

「あ、まってよ愛菜ちゃん!」
足の長さが違うのだから当たり前だけれど、私が早足で歩いてもすぐに追いつかれてしまう。

「お前は…、何をやっているんだ修二」
その時、前を歩いていた人が振り向いた。一郎くんがあきれたような顔で立っている。

「げっ、兄貴…」
「あ、一郎くんおはよう」
「おはよう大堂。修二、クラスに迷惑をかけるんじゃない」
「あー、うー…はい」
一郎くんの静かな、けれど強い言葉に修二くんがバツが悪そうに頷く。
自分に非があることを多少は自覚していたのか、妙に素直だ。

「おーい、愛菜!」
そこへ、後から声をかけられる。

「あ、隆、おはよ…え?」
聞きなじんだ声に振り向きながらあいさつしようとして、ぐいっと腕を引かれた。

「おい、何してるんだ?宗像兄弟…」
修二くんが私をかばうように腕を引く。同じように、一郎くんも隆に立ちふさがるように、一歩前に出た。
隆はそれに不快げに眉をしかめる。

(あ…、そういえば二人とも隆が敵だとおもいこんでるんだっけ)
二人には、まだ隆が敵ではなかった事を話していない。

①すぐに説明する。
②とりあえず大丈夫だといって後で説明する。
③成り行きに任せる。

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③成り行きに任せる。

ピリピリと張り詰める空気に圧倒され、私は何も言えないでいた。
そんな中、最初に口を開いたのは一郎君だった。

「湯野宮に接触させるわけにはいかない」
「愛菜を離せ」
「それは聞けない」
「そうか。じゃあ、俺も言わせてもらう。お前ら何者だ?」
双子を睨みつけ、隆が一歩前に出る。
「なんの話だ?」
「しらばっくれるなよ。お前らも俺と同類だろうが」
「へぇー。湯野宮って俺たちの事、わかるんだ?」
感心するように修二君は口を挟んだ。

(隆にも二人のことを説明してなかったんだ。どうしよう、お互いが敵だと勘違いしているのかな)
なんとか話をしようと、私は前に出た。
けれど一郎君にぐいっと手を引かれ、再び引き戻されてしまう。

「ミストを使って愛菜を操るつもりなのかよ」
「ミスト?」
一郎君が眉をひそめる。
「黒い影のことだ」
「ファントムのことか。それは湯野宮が持っている能力じゃないのか?」
かまをかけるように、一郎君は逆に問いただした。
「確かにそうだよ。だけど、最近になって頻繁に愛菜を狙っているミストの存在。そして……力を感じるのは宗像兄弟、お前らだけだ」

そう言うと同時に、隆は背中からゾワリと黒い影を出す。
「愛菜をどうするつもりだ?」
「それはこっちのセリフだってのに……。言い訳もここまでくれば上等だね。どうする兄貴、ここでやっちゃっていい?」
修二君も一歩前に出て臨戦態勢に入った。

ただならない雰囲気に身が強張る。
私は……

①割って入る
②叫ぶ
③成り行きに任せる

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③成り行きに任せる

ピリピリとした空気に気持ちばかりが急くが、三人の雰囲気に声をかける隙が見つからない。
(どうしよう、誤解を解かないと…)
私がおろおろしていると、ふいに修二くんが眉をしかめた。

「なんだ…?」
それに気づいた一郎くんも視線をさまよわせる。

「これは…昨日大堂の近くにいた…」
「え?」
一郎くんが何か思い出したかのようにつぶやいたとき…。

「愛菜ちゃぁぁぁん」
ばたばたとものすごい勢いで走ってくる小さな影。

「チハル!?」
チハルはそのまま突進してきて、私の腰にしがみつく。一郎くんや修二くんもあっけにとられて、チハルを止める事が出来なかった。

「ひどいよ愛菜ちゃん!ボクが寝てる間に出かけちゃうなんて」
大きな瞳いっぱいに涙を浮かべて、チハルが私を見上げてくる。
そういえば修二くんが突然迎えに来たから、チハルに出かけると言わずに出てきてしまっていた。
目が覚めたら私が居なくて、チハルは慌てたのだろう。

「お、おい、愛菜そいつ誰だよ…」
隆がチハルの勢いに押され気味のまま尋ねてくる。
一郎くんと修二くんも視線だけだったが、同じことを思っているようだ。
隆の声に、チハルが反応して首だけで振り向く。
隆の姿をみとめた途端、チハルは私から離れて今度は隆に抱きついた。

「隆!ボク隆にお礼が言いたかったんだ!」
「うわ!な、なんだよお前っ」
あわてた隆がチハルを引き離そうともがくが、チハルは気にする様子もなくしっかりと抱きついている。
春樹の時とはまったく反応が違う。

「隆がボクにお願いしてくれたから、動けるようになったし、こうやって話せるようにもなったんだよ!」
「は?なに言ってるんだよ」
「だから!隆が大好きな愛菜ちゃんが喜んでくれるように、ボクにお願いしたんじゃないか!忘れちゃったの!?」
「ちょ、おまっ、なに言って……って、お前あのぬいぐるみか!?」
チハルの発言に真っ赤になった隆が、チハルの存在に思い当たったのか、驚きの声を上げる。

「どういうことだよ?」
「この気配は昨日大堂のそばに居た精霊だな?」
すっかり蚊帳の外となってしまった一郎くんと修二くんが私に尋ねてくる。

えーっと…
①「とにかく隆は敵じゃないの」
②「隆は私を助けてくれてたの」
③「チハルは私のぬいぐるみなの」

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