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②呆然とその場に立ち尽くす

「は、るき……」

頭の中が真っ白で何も考えられない。
たださっきの春樹の言葉が何度も私の中で繰り返し繰り返し響くだけ。

『もうこれ以上の厄介事は、ご免なんだ!』

私に笑顔を向けていてくれたときも。
私を気遣ってくれたときも。
私を守ろうとしてくれていたときでさえ。

(春樹は、ずっとそんな風に思って……でも、我慢してきたの?)

負担になっているのかもしれない……どこかそんな予感はしていた。
けれど、それは春樹の優しさと春樹への甘えで確実な答えに変わることは無かったけれど。

だけど今、はっきりと分かった。

(私は春樹にとって迷惑な存在で……私は、春樹の負担になってたんだ)

垣間見えた、春樹の本当の気持ち。
それを知って私は……

①悲しくなった
②安堵した
③許せなかった

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②安堵した

確かにその否定的な言葉はとてもショックで悲しかった。
だけどそれ以上に、安堵してもいた。

それは多分、少しでも春樹の気持ちが見えたからなのかもしれない。

春樹はいつも優しかった。
でも、だから私には春樹の気持ちが分からなくて、それがずっと怖かった。

春樹はすぐに私を優先にするけれど、本当の春樹はどうなんだろうって。
(本当は、もっといっぱい考えてることとかやりたいことがあったんじゃないかな……私にばかり構ってるんじゃなくて)
そしてその気持ちは、いつどんな言葉で告げられるんだろうって。

(もしかしたら、告げられたのが今でよかったのかもしれない)
能力のことや事件のことという異常な状況である今。
やらなきゃいけない明確なことがある今。
それがクッションになって、思ったよりもきちんと春樹のことを受け入れられていた。

もしも平常時に言われていたら、もっと取り乱してどうしたらいいかわからなかっただろう。

(それに、これできっとこれ以上春樹を巻き込まないですむ)
春樹は「これ以上の厄介事はごめんなんだ」と言った。
この事に関わり続ければ、厄介事が増えるだけだって春樹なら分かるはずだ。
なら、今後は無闇に首を突っ込もうとはしないだろう。

(だから、今は心がすれ違っちゃったけど……大丈夫だって信じよう)
しばらくは互いにどうしたらいいかわからないかもしれない。
ギクシャクしてしまうかもしれない。

でも、生きてさえいればきっとどうすることだってできる。
話し合う事だって、本音をぶつけ合う事だって、お互いを本当に分かり合えるようにだって、なるはずだ。

(そのために、すべてを終わらせよう……できるだけ早く)
私は心にそう誓った。

「よし!」
まだ悲しいままの気持ちを断ち切るように、私は両手で自分の頬を勢いよく叩く。

そして私は歩き出した。

①御門君がいるショッピングセンター内の公園へ
②何かの事件が起こったらしい事件現場へ
③御門君と約束した病院の近くの公園へ

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①御門君がいるショッピングセンター内の公園へ

さっきは突然の事につい春樹を追ってきてしまったけれど、御門くんを一人で置いてきたままだ。

(そういえば私ったら、助けてもらったのにお礼も言ってないよ)

こちら側に戻ってきてからいきなり大泣きした挙句、御門くんをほったらかしにして春樹と口論を繰り広げて。
この上なく失礼だし、冷静に考えるとかなり恥ずかしい。どう話をしようかと悶々としながらもといた場所へと向かう。

(……いた、御門くん!)

御門くんはさっきまでと寸分たがわぬ位置に佇んでいた。いつもと同じ、感情の読み取れない瞳をこちらに向けてくる。

私は気持ちの整理をするように一つ大きく息を吸って、御門くんの所まで歩いてゆく。

途中芝生の中をよろめきながら小走りに駆け寄ってくるチハルを抱き上げて、御門くんの前に立った。

「……ええと」

さて、どうしよう?

①まずは助けてもらったお礼をする
②御門くんに公園で起こった事件の概要を聞く
③周防さんの居場所と容態を尋ねる

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①まずは助けてもらったお礼をする

「ありがとう、御門君。なんだか色々助けてくれて。」
「お礼はいらないです。これが僕の役目ですから。」
表情一つ変えず言葉は淡々と義務めいている。
御門君らしい返答。
「うん、でもお礼がいいたかったの。ありがとうね。」
私はもう一度お礼をいうけれど、御門君は何も答えなかった。
私を見ているというよりは私の先を見ている。

「御門君?」
先に何があるというのだろうか振り向くも人がいない。
事件現場の方に人が集まっているのだろう。
ミストがいるわけでもないのに、どうしたんだろう。
そう思っていたら御門君が口を開いた。

「どうして、弟さんを遠ざけたのですか?」
「えっ。」
先ほどのやり取りのことを言っているのだろうか。
遠ざかったのは春樹なんだけれど、御門君にはそうは見えなかったのだろうか。
「遠ざけたわけじゃないよ。これからは春樹の力を借りずに片付けるの。
 そして、全てが終わったら一緒にいるために戻ってきたの。」

春樹には危ない目にあって欲しくない。
御門君が言ってくれたんじゃないの、安全な所にいろって。
「……ということは、僕と一緒にいてくれるということですか?」
「えっ。」
「弟さんの傍にいたら弟さん危ない目にあいます。
 家、帰れますか?」
御門君の言葉にショックを受けた。
淡々とした言葉が胸に刺さっていく。
「でも……。」
「それに遠ざけたということはあなた、一人になるんですよ。
 双子の言葉忘れたわけじゃないでしょう。」

男と女がいて陰陽のバランスがとれる、じゃないと消えてしまう。

そうだ、だから春樹がいないとって一郎君と修二君が……。
「だから弟さんの傍にいないのだったら僕と一緒に来てもらいます。
 あなたを失うわけにはいかない。」
今度は私をまっすぐ見て御門君は私に手を伸ばしてきた。
この手を取れば家に帰ることはなかなかできないだろう。

①手を取る
②一度考えさせて欲しい
③今はそんなことより周防さんだ。

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①手を取る

「いいの、かな」
私はおずおずと御門君に尋ねる。

(私はこの選択をしていいのかな?)
(御門君に迷惑かけてもいいのかな?)
(私は私でいることを望んでもいいのかな?)

それらの思いをただ一言にこめて、私は答えをじっと待った。

やがて、御門くんが口を開く。
「……そのために、僕は存在しています」
それはとても悲しい言葉のようにも思えるけれど、同時に私を必要としてくれている気持ちも伝わってきた。

だから。
私は、ゆっくりと御門君のほうへと手を伸ばし―――その手を取った。

「ありがとう……これから、よろしくね」
「はい」
優しくもしっかりとした握手が交わされる。

「今度こそ終わらせましょう。……例えあなたの出す答えがどんなものであろうとも」
そして、御門くんがそう続ける。
(……?)
瞬間、どこかで何かが引っかかった。

『今度こそ終わらせましょう。……例えあなたの出す答えがどんなものであろうとも』
(今の言葉、何かが引っかかるような……何だろう?)
考えてみたけれど、あと少しのところで出てこない。

「どうかしましたか」
手を繋いだままの御門君に淡々と問われる。

どうしよう?
今の疑問を御門君にぶつけてみようか?

①「あのね、今の言葉に何か引っ掛かりがあるって言うか……」
②「ううん、なんでもないの。それよりこれからどうするの?」
③「そういえば、周防さんはあれからどうしたの?」

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①「あのね、今の言葉に何か引っ掛かりがあるって言うか……」

そう、何かがひっかかる。

(何だろう……。今度、こそ?)

話を振っておきながら一人物思いに沈む私に、御門くんは繋いでいた手をほどくとあいかわらず抑揚の乏しい声で言った。

「僕はあなたに何か変なことを言ったでしょうか」

「え、ううん。そんなことないよ。ただ、『今度こそ』って言ったみたいだから」

ちょっと気になってね、と付け足してどうにか笑顔を作る。

御門くんは黙って私の顔を見つめていたが、ややあって目を伏せると静かにこう言った。

「失言でした。それについては……僕からはまだ、お話できません。いずれ時がくればご自身でもおわかりになるかと思います」

珍しく御門くんが返してくれた答えは、聞く前より私の頭に疑問符を増やすものだった。
ただ、はっきり『話せない』というからにはこれ以上聞いても無駄なのだろう。

「わかったよ。それまで待ってる」

仕方なく、私はそこでその話を切り上げる事にした。
御門くんは小さく頷いて、恭しく私の右手をとった。
事態が良く飲み込めずにそのまま目で追っていると、御門くんは目を伏せたまま流れるような仕草で私の前にひざまずいた。

(み……御門くん?)

惚れ惚れとする優雅な振る舞いに溜息が出そうになったが、次の瞬間に我に帰る。
ここは、日曜日の公園なのだ。

どうしよう?

①人目が気になって恥ずかしいので立つように促す
②突飛な行動を咎める
③契約に関わることかもしれないので御門くんの好きなようにさせる

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③契約に関わることかもしれないので御門くんの好きなようにさせる

私は御門君だけをただじっと見つめる。
一度そう決めたからなのか、不思議と周りの存在や声といったものは全く気にならなかった。

(そういえば、前にも夢で見たっけ……)
あのときのことを思い出して、少し恥ずかしくなる。

「……いまいちど、誓う」
そんな間にも、御門君は私の右手に自分の額を当てて、言葉を紡ぎだした。

(わっ!?)
その突然の行動に驚きながらも、どぎまぎしてしまう。
現実だから当たり前と言えば当たり前なのかもしれないけど、伝わってくるものはあのときよりもずっとはっきりしていた。

「遠き古より、我が主と定めた人。
貴方が望むならば、僕は剣となり盾となり……翼にさえなってみせる」

私の心中なんてお構いなしに言葉は続いていく。
ふと、繋がっている手から何かが流れ込んでくる気がした。

(???)
これは、一体何なんだろう?
懐かしいような、優しいような、暖かいような、不思議な感覚のそれ。

そんな風に感じるのは、一体なんでなんだろう?

「そして貴方の尊き願いの為に、望む道を切り開くために、戦い続ける。
……この身が朽ち果てるまで」
そして、私をまっすぐ見つめてくる。

もしかして、私の言葉を待ってるのかな?
でも、なんていったらいいんだろう?

①「ありがとう。私、がんばるから」
②「……『この身が朽ち果てるまで』なんて言わないで?」
③「そういえば、夢でもこんなことがあったね」

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①「ありがとう。私、がんばるから」

私の言葉に御門君は力強く頷く。

「主たるあなたの望みのままに……」
そして、私の手の甲に唇を寄せた―――

手から流れ込んでくるもので体中が包み込まれる。
その感覚はどこまでも暖かくて、懐かしい。
今までにこんな経験をした事なんてない筈なのに、なぜか心が憶えている。
やっぱり、私はこの感覚を幾度となく繰り返しているみたいだ。

御門君が私の手を取り、ゆっくり立ち上がる。
すると、さっきまで止っているように感じていた時間がまた動き出した。

「……………………」
御門君が私をジッと見つめてきた。
その触れる指先には以前よりもはっきりとしたアザが浮かび上がっている。

(これって……仮契約じゃなくて本契約したって事よね)

私はもう戻れないところまで来てしまった。
こうなったら、もうやるしかない。
だけど、知らない事が多すぎてどうすればいいのか見当もつかない。

(そうだ。以前、夢の中で御門君は私と縁の深い人について話してくれるって言っていたよね。
そして、打つ手があるともいっていたけど……)

私は……
①縁の深い人について尋ねる
②組織について尋ねる
③御門君の素性を尋ねる

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①縁の深い人について尋ねる

「ねえ、御門君……聞いていいかな?」
私が問いかけると、御門君は「はい」と静かに頷いた。

「御門君は、私達と縁の深い人に私を守って…って頼まれたんだよね?」
それって、誰なの?」
「…………」
私の質問に、御門君はすぐには答えなかった。
何かを考えているようだ。
(さっきみたいに聞かないでとは言われなかったから、大丈夫だとは思うんだけど……)
どことなく不安になりながらも、御門君からの返答を待った。

ふいに、御門君はシャツのポケットから何かを取り出す。
(あ……)
私はそれに見覚えがあった。
それは……いつも御門君が持ち歩いているロケット。

御門君は少しの間、そのロケットをじっと見つめる。
そして、目を閉じて包み込むように握った。

それが何かの祈りのように見えて……私はただ、何も言わずにその様子を見守る。

やがて目を開くと、御門君はゆっくりとそのロケットを私に差し出してきた。
私はできるだけそっと、丁寧にそのロケットを受け取る。

「そこに答えがあります」
言われて、そのロケットをそっと開いた。
そこには二人の人物。

一人は、幼い御門君。
大体小学校低学年くらい、だろうか。
表情は今と変わらず無表情のままだったけれど。
そして、その隣に写っている人物。

「お、かあさん……!?」

そう、私のお母さんだった。
……私の前からいなくなったときとほぼ変わらないままの姿で御門君の隣で微笑んでいる。

(どういうことなの?)
御門君に質問すべく、私は顔を上げた。

①「どうして御門君とお母さんが?」
②「御門君はお母さんの行方を知ってるの?」
③「なんで今まで教えてくれなかったの?」

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①「どうして御門君とお母さんが?」

御門くんは私が手に持ったロケットから視線を外して、どこか遠くを見るような目をした。

「……僕はあなたのお母様に育てられました。実母ではありませんが、孤児同然の身になった僕を引き取って育ててくれたのです」

「お母さんが……」

呟く私に御門くんは静かに頷いた。
つまりは私と御門くんはいわゆる乳兄弟みたいなもの、ということになるのだろうか。

漠然とそんな事を考えていると、御門くんは感情の読めない口調で淡々と続けた。

「まずは僕の生い立ちからお話しなくてはなりません。僕の父親はとある研究所の研究員でした。
彼は素養もあり研究熱心で、施設でともに働く職員の中でも極めて優秀な人間だったようです」

まるで調書を読み上げる刑事のように御門くんは言った。到底父親の話をしているとは思えないような、そんな口ぶりだった。

「ただ、優秀な人間が必ずしも社会常識や人間としての倫理観を持ち合わせているとは限りません。
自身の才能を過信した彼は探究心を抑えられなかったのか、同僚達の目を盗み独断で施設の設備を用いて次第に非人道的な実験を行うようになりました」

「非、人道的……?」

口に出してみてもどの程度の規模のどういったものなのか、私には全く見当もつかない。

「はい。あなたにお聞かせするような内容ではありませんので詳細については割愛しますが、周防は
『胸くそが悪くなる』と言っていました。……私の父親は自らが持つ知識欲を満たさんが為に何の躊躇なくそういった類の行為に手を染め、
最終的に彼の行き着いたのは自分の身重の妻を利用した人体実験でした」

私は一瞬我が耳を疑った。
人体実験など、現実にありうるのだろうか。

「……待って。もしかして、その子供って……」

何故か喉が乾いて、私の声はひどくかすれていた。言いながら、思いついた答えが違うものであって欲しいと願っていた。
けれど。御門くんの口から出た言葉は間逆のものだった。

「あなたがお考えの通り、僕がその子供です。母の胎内で彼の実験の被験者になりました」

「……」

言葉が、出てこなかった。目の前の御門くんにかけるべき言葉が見当たらなかった。
御門くんは特に気にかける様子もなく、話をすすめてゆく。

「しかし、事は彼の思惑通りには運びませんでした。生まれてきた子供が成長するにしたがって、
彼は自らの実験の失敗という結果を思い知らされたのです。所詮彼は非凡な秀才で、思い描く天才にはなりえなかったという事なのでしょう」

御門くんから語られる内容に愕然とした。周防さんが言っていた特殊な事情というのはこの事だったのか。
あまりの内容に脳内がショートしそうだ。ここでちょっと質問をしてみる事にした。

何を尋ねよう?

①御門くんの父親の勤めていた研究機関について
②御門くんの父親が実験で得ようとしたものについて
③御門くんの何が『失敗』だったのかについて
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