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②何か見えないかともっと目をこらす。

私は二人の視線の先へさらに目をこらす。
だけど、やっぱりいつもの賑やかな公園にしか見えない。

「何か見えたんですか?」

「ちょっと、厄介事がね。あっ、いや――大丈夫だよ。
愛菜ちゃんは何も心配しなくていいから」

そう答えてくれるものの、周防さんの表情は更に険しくなっている。

「愛菜ちゃんは少しここで待っていてくれないか?もし俺がここに戻らなければ、冬馬の指示で動いて欲しい」
「は、はい……」
周防さんの緊張した様子に私はただ頷くしか出来ない。

「冬馬はここで待機。最優先事項は愛菜ちゃんの安全確保。有事の際には一般人に被害が出ない様、穏便に対応してくれ」

周防さんは事務的に言い終えると、すぐに人ごみを縫うようにして走り去ってしまう。
(あ、見失っちゃう……)
視線を彷徨わせてみたけれど、その姿はもう無かった。

「周防さん。待ってください!」

消えた後姿を追おうと大きく踏み出したところで、不意に手首を強く掴まれる。
御門君は私の手首を掴んだまま、小さく横に首を振った。

「離して。早く、追いかけなくちゃ」
「…………その命令は受け付けられません」
無表情のまま御門君は答えた。

①「周防さんは一人でどこに行ったの?」
②「御門君は心配じゃないの?」
③「あなたたちは何者?」

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①「周防さんは一人でどこに行ったの?」

「………言えません」
「厄介事ってまさか、私を狙っている組織が動いたの?」
「…………………」
私を掴む御門くんの手に力がこもった。

(やっぱり、そうなんだ)

「私のために周防さんが……」

(守ってくれると周防さんは言ってくれたけど、私のために傷つくなんて嫌だよ)

私はどうにかして御門くんの手を振り解こうと何度ももがいた。
そんな私の様子に、道行く人たちは一様に何事かと目を向けてくる。
だけど、御門君は相変わらず押し黙ったまま手を離そうとはしてくれなかった。

「お願い、行かせて!」
しびれを切らして私が叫ぶと、力強く掴まれていた手が突然緩んだ。
そして、無機質な瞳で見つめながら御門くんが口を開く。

「…………もし、あなたが現場に駆けつけたとして……

一体、何ができますか……」

私はその言葉に対して、
①言い返せず、黙り込む
②納得して諦める
③意見を言う

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①言い返せず、黙り込む

正論を突きつけられ、私は何も言えなくなった。
(今の私じゃ、確かに何も出来ない)

「認めたくはないけれど、きっと足手纏いになるだけ…」
御門君は私の言葉に納得したように黙って頷いた。

(周防さん、大丈夫かな)
人ごみを避けるように、私達は出口の脇まで移動する。
御門君は大人しくなった私を確認すると、集中するように目を閉じた。
(目を閉じて、何をしているんだろう)

しばらくの間、目を閉じていた御門君は突然顔を上げる。

「どうしたの?」
「………………こちらへ」
御門君は私の手を引いて外へ私を連れ出した。
「ど、どこへ行くの?」

御門君は何も言わず、私の手を引いたまま公園とは逆方向へどんどん歩いていく。
引っ張られるように、私はついて行くしかなかった。
(こっちは駐車場へ行くはずだけど……)

「御門君。どこまで行く気?」
「…………周防が……押されています」
立体駐車場にある中二階の踊り場まで来たところで、ようやく御門君が口を開いた。

「本当?」
「…………はい」
「御門君は私を置いて周防さんのところへ行って」
「………あなたを危険に晒す訳にはいかない」
「じゃあ、どうすればいいの?」

「……手荒な事は……避けたかったのですが………」

そう言うと、御門君は私の手をグイと引き寄せた。
成すすべも無く私は御門君の胸に体ごとぶつかっていく。
ぎゅっと肩を抱きすくめられて、初めて御門君の胸の中に納まっている自分に気付いた。

①「きゃ、な…に……」
②「離して」
③御門君を見上げる

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②「離して」

いきなりのことに慌てて、とっさに両手を突っ張って御門くんから離れる。
そんな私にかまうことなく、御門くんは再度つかんだ腕に力を込める。

「なにするのっ?」
とっさに腕を振り払って、御門君から距離を取る。

「周防さんが危ないんでしょう?助けに行って!私は大丈夫よ!」
(なんでこんなことするの?)
軽く混乱して、強く御門くんに言う。

「あなたを守るのが最優先事項です」
淡々と言う御門くんが、再度私に手を伸ばして腕をつかもうとする。

「おい!なにしてるんだ!?」
そのとき、ぐいっと体を後ろに引っ張られた。
急なことにバランスを崩した私を器用に支えて、前に出た人を呆然と見る。

「なんで…?」
私をかばう背中。
なんてタイミングよく現れるんだろう…?

そこにいたのは…

1.春樹
2.隆
3.修二

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1.春樹

「……春樹」

無意識のうちに呟いた私の声は、ひどくかすれて頼りないとても小さなものだったろう。
それなのに、春樹の耳には届いたのか。
少し間をおいて春樹は見据えた御門くんを視界から外さない程度に首をこちらにめぐらせた。

「姉さん。どこにも怪我は、ない?」

ひとつずつ慎重に言葉を選ぶように、春樹はゆっくりとそう言った。
口調はいつもと変わらないのに、自分をかばう背中にただならぬ気配を感じた気がして
私は春樹の腕をそっと引き寄せた。

「…姉さん?」
「落ち着いて、春樹。大丈夫、私はなんともないから」

春樹を安心させるように、そして御門くんに対して早まった真似をしないように
掴まった腕に力をこめる。
春樹はちょっと驚いた顔をしたが、それでも次に発した言葉の端からは
押し殺した怒りをのぞかせた。

「ついさっき本屋に買い物に行った帰りに偶然クラスメートに会った。
姉さんによく似た人が知らない男とショッピングモールの真ん中でもめている様子だったと聞かされたんだ」

そう言いながら春樹が再び御門くんに投げかける視線はまるで敵意の塊のようだ。
当の御門くんは眉ひとつ動かさずに視線を真正面から受け止めている。

「ひどく胸騒ぎがして探しに来たんだ。モールの出口で姉さんたちがこっちの方に歩いていったと野次馬の一人が教えてくれてね」

淡々と語る春樹の様子は一見いつもとさほど変わりないようで、身にまとう空気は驚くほど鋭い。
言いようのない不安を覚えて、私は思わず春樹の腕を一際強く自分の方に引き寄せていた。

「春樹?」

「……得体の知れない人間に姉さんをこんな所に連れ込まれて、頭に血が上らないほうがどうかしてる」

(…………え)

春樹の発言に、一瞬私の思考は停止した。

その理由は…

1.大人びていつも冷静な春樹が自分(愛菜)の事で激怒しているようだから
2.同じ学校・同じ学年なのに御門くんとまったく面識がないようだから
3.以前見た夢でも聞いたことがあるような気がしたから

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2.同じ学校・同じ学年なのに御門くんとまったく面識がないようだから

前に御門くんについて聞いたときも知らないみたいだったし別に、おかしいことではないはずなんだけど。
(いい意味でも、悪い意味でも目立つと思うんだけどな……御門くんって)
ほんの少しだけ。
ほんの少しだけ、何かがおかしいと思った。

(春樹のクラスメートも『知らない男の人』っていってたみたいだし)
さっきの春樹の話を思い出す。
(でも、保健の先生は知ってたよね……?)
考えれば考えるほど、知れば知るほど謎が増えていく。

(一体、御門くんって何者なの……?)
さらに考え込もうとした、その時。

「……さっきといい、今といい……お前、どういうつもりだ!?」
怒りをこめて発せられた春樹の声で、思考が現実に引き戻される。

「おいっ!何とか言ったらどうなんだよ……っ!」
春樹は目の前の御門君を鋭く睨みつけたまま微動だにしない。

「……」
対する御門くんは、その視線を気にも留めていないかのようにいつもの無表情を崩さない。
……そして春樹に答えを返す様子も無い。

まさに、一触即発の雰囲気だ。
(ど、どうしよう……)

①春樹に話しかける
②御門君に話しかける
③そこで不意に周防さんのことを思い出した

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③そこで不意に周防さんのことを思い出した

(そうだ!周防さんっ!)

今も私を守るために、一人で戦ってくれているその人。
そうだ。今は……こんなことをしている場合じゃない!
(早く二人を何とかしないと!)

そう思った矢先、それは起こった。

「……っ!?」
突然左手に痛みが走る。
何事かと思い、左手を顔の前に寄せてその原因を確かめた。

けれど、そこには何も無い左手の甲。

「なくなってる!?」
そう。
先ほどまで、左の手の甲に確かにあったはずの星型の小さなアザ。
それが跡形も無く消失していた。

「………うそ、どうして………っ?」
慌てて右手も見る。
けれど、そこには三日月のアザがまだ存在していた。

今も存在しているアザと、突然消失してしまったアザ。
ここにいる御門くんと、ここにはいない周防さん。
(嫌な予感がする……)
それはまるで、彼らの存在そのものを私に示しているかのような気がして。
(周防さん……っ)

「姉さん?どうしたの!?」
私が急に騒ぎ出したせいか、春樹が心配そうに振り返る。

私は、
1.周防さんを探しに走り出す
2.御門くんに報告する
3.春樹にこの場を離れるように言う

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2.御門くんに報告する

「今アザが……無くなった…」
御門君は黙って頷いた。

「そんな事より姉さんはその得体の知れないこいつは誰なんだ?」
私は手の甲を見つめる。
春樹は状況が全く飲み込めていないままだ。

「春樹、今はそんな事を言っている場合じゃないのよ!」

御門君は相変わらず黙りこんだままだ。
その態度に春樹の顔が険しくなる。

「おい、何か答えろよ」
春樹の言葉に、御門君はよくやく重い口を開いた。

「………もし、知りたければ弟さんも一緒に…病院の近くの公園へ来て下さい」

「公園? そこに何があるのか」
「すみません、急を要す事態が起きています。今は……眠っていて下さい」

そう言うと、御門君が消えた。
そして、突然私の目の前に現れる。
春樹の後ろに音も無く立つと、その頚椎を手刀で軽く一撃した。

春樹の体が糸が切れたようにガクンと前のめりに倒れていく。
それを御門君は腕で支えた。

「あなたに手を上げるのは不本意ですが……どうかお許しください」

その言葉が耳に入ると同時に、目の前が暗転する。
意識が沈み込む。
(どうして……)
言葉に出来たのかは分からない。
ただ私は…

①周防さんのことが心配だった
②何も出来ず悔しかった。
③疑問しか浮かばなかった。

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①周防さんのことが心配だった

計ったようなタイミングで私の左手を襲った痛み。

そして、まるで最初から存在しなかったかのように消えていた星型のアザ。

(……周防さん…どうか、どうか無事でいて!)

遠のいてゆく意識の中、私は強くそう祈った。




「……ん、………ちゃん、おーい」

遠くから誰かを呼ぶ声が聞こえる。

辺りは霧に包まれたように霞んでいて、周りを見渡してもぼんやりとした影を
うっすらと確認できる程度だ。

(私……どうしたんだっけ……?)

訳が解らないまま、声のする方に歩き出した。
不鮮明な視界の中を不思議と迷いなくすすんでゆく。

「愛菜ちゃーん」

聞こえてくる声の主がしきりに呼んでいるのが自分の名前なのだとそう思った時
何かに導かれるように、その人は私の前に姿を現した。

「周防さん……!」

周防さんの名前を口にしたことで瞬時にこれまでの出来事を思い出す。
私は思わず駆け寄った。

「周防さん、怪我…っ……怪我はない、ですか?!」

動揺するあまり怪しくなった私のろれつに周防さんは目を丸くした後、ふっと表情を崩した。

「悪い悪い、ずいぶん心配かけたみたいだな。心配してくれて、ありがとさん」

そう言うと周防さんはいつものように私の頭をくしゃくしゃと撫でた。

(周防さんてばまったくもう…拍子抜けしちゃったよ)

あんなに心配したのに、と文句のひとつも口から出そうになったけれど。

素直に嬉しそうな周防さんの様子に大人しく為すがままになる事にした。

「冬馬の方はうまくやったみたいだな。愛菜ちゃんは怪我はないね?」

ひとしきり私の頭を撫で終えた周防さんは、質問というよりは確認するように言った。

なんて答えよう?

①「はい。御門くんのおかげでなんともないです」
②「わたし”は“って、周防さんはどうかしたんですか?」
③「まあ、なんとか無事…みたいです」

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①「はい。御門くんのおかげでなんともないです」

「それはよかった。
うん。本当に……よかった」
本当に嬉しそうに笑いながら、私の頭をくしゃくしゃとなでる。

周防さんにされるがままになりながら、ふと御門くんのことを思い出す。
(そういえば、さっきは取り乱しちゃって……)

不意に、先ほどまでの出来事を思い出す。
人前で叫んだり、離してほしくてもがいてしまったりしたこと。
私を助けようとした……その手を拒んでしまったこと。

(よく考えれば、御門くんは私を守ろうとしてくれたんだろうし。
……そこに別の感情とか思惑とかがあったとは思えないよね)
恥ずかしさと自分に対する嫌悪感がない交ぜになったような気持ちになる。

(ただ、伝わりにくいと言うか……何かが足りないと言うか)
御門くんは『自分の意思』というものが足りない……欠けているとすら思える。
ほとんど自分の意見は口にせずに、人の言葉に頷くことが多いし。

そもそも、御門くんが私を守ってくれる理由は『私と御門くんが共によく知る人物』からの願いだった。
それに……カレー屋では、私が笑ってといったら笑った。
さっきも、周防さんに言われたから私を守ることを最優先にしたのかもしれない。

(……どうして、なんだろう?御門くんがあそこまで欠けているのは……)

「愛菜ちゃん?どうした?」
私が考え込んでいることに気がついたのか、周防さんが撫でている手を止めた。
そして優しく問いかけてくる。

聞きたいことはたくさんあるんだけど、まずは……

①「どうして、御門くんにはあそこまで欠けているんですか?」
②「ところで、周防さんの契約の証が消えちゃったんですけど……」
③「そういえば、私たちみんな約束を守れませんでしたね」
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