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③なにもいわない

「……」
私は何も言わずに、三人の様子をどこか遠くのもののように見ていた。
理解を深めていく春樹とは対照的に、私は置いてきぼりになったような―――そんな気になる。

もちろん、全然そうじゃないのはわかっていた。
(みんな、私のため……なんだろうけど)
でもどこかが納得しない。

あまりにも非現実的なことが、目の前で当たり前の現実のようにに扱われているせいなのだろうか。
(さっきまで、春樹だって同じだったはずなのに…………どうして?)
力を見たゆえに信じ受け入れた春樹と、曖昧な力と確信ゆえに未だ完全に受け入れられない私。
なぜか、私と春樹……そして、私と三人の間に決定的な溝があるような感じがしてならなかった。

「姉さん?どうしたの?」
春樹が心配そうに覗き込んでくる。

私は……
1.話を切り上げて帰る。
2.誤魔化して話を続ける。
3.言い訳を作ってその場から離れる。

142
1.話を切り上げて帰る。

「なんでもない。春樹の診察終わったならかえろう?」
笑みを作って春樹を促す。
なんとなく話をしていたが、ここは病院だ。
まわりの人たちは変におもわなかっただろうか?
双子は目立つ。いい意味でも悪い意味でも。
いまさらながらに、気になり始める。
「俺たちもついていくよ。確かめたいことがあるから」
「確かめたいこと?」
「兄貴もいることだし、何かの痕跡が残ってたっていっただろ?ちゃんとたしかめておきたい」
修二君の言葉に、そういえば二人の会話でそんな話をしていたと思い出す。
「そうだな、悪意があるようなら、対策を練っておく必要がある」
一郎君も修二君の言葉に頷く。

1.断る
2.一緒に帰る
3.明日にしてもらう

143
1.断る

「あの、今日は遠慮してくれないかな……」
私はおそるおそるそう言った。

今日だけでも新たな話をいろいろ聞いてしまって、頭の中がちゃんと整理できていない。
そのせいかなんだか混乱してしまって……正直な話、肉体的にも精神的にも疲れてしまった。
こんな状態で調べてもらって話をしても、きちんとした考えとか話し合いとかができるとは思えない。

(それに、その痕跡は御門くんのものである可能性が高いかもしれないし)
これ以上調べられて、万が一御門くんに辿りつかれたりしたら困る。

「私も学校を休んでいるし、春樹も早退しているから。
その、ね。なんていうか、体裁が悪いって言うか……」
途切れ途切れになりながら言葉を続ける。

「そうか………ごめん、姉さん。
そうだよね。元々は俺が今日一日安静にしていてって言って、だから休んだわけだし」
歯切れの悪い言葉と私の表情から春樹は察してくれたようだった。
「すみません、先輩方。そういうことですので、今日は………」
そこまで春樹が言うと一郎君が頷いた。
「わかった。少しの間なら、痕跡も残っているだろうし今日は遠慮するよ。
だが、後日に必ず頼む。…………行くぞ、修二」
「へいへい。帰りますかーっと。んじゃね、愛菜ちゃん♪」
修二君がひらひらと手をふってくる。
「う、うん。またね」
私もつられて手をふりかえす。

そして、二人はそのまま帰っていった。

「じゃあ、俺たちも帰ろうか?姉さん」
来たときとはうってかわってどこか穏やかな表情で春樹が言う。

私は、
①素直に家に帰る
②寄り道をして帰る
③一人にさせてほしいと言う

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①素直に家に帰る

春樹に促され、病院を出る。
病院の前のタクシーにのり、家に向かいながらぼんやりと流れる景色をみるともなしにながめていた。
道は少し混雑しているみたいで、景色はゆっくりと流れていく。

だんだんと意識が薄れていく。
車の振動が心地いい。そのまま眠りに落ちていくのをとめられなかった。


気がつくと、学校の前。
(いつの間に……?)
すぐ隣に気配を感じて顔を向けると、御門くんがいた。
御門君は私と目があうと、スッと学校を指差す。
その指につられるように顔を校舎へ向けると、玄関の前に人影があった。
(誰?)
よく見えない。
目を凝らしてみる。

それは…
1、水野先生
2、隆
3、知らない人

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3.知らない人

知らない人だった。
だいたい20代前半くらいの、男の人。

その人は私と目が合うと子供のようににかっと大きく笑った。
「よっ」
そして片手を軽く挙げながら私に近づいてくる。
私は頭の中を「?」マークでいっぱいにしながら、その人が接近してくるのをただ見ていた。

(?私の知り合いにこんな人……)
「私の知り合いにこんな人いたっけ」
目の前にいる人が私の思考を読み取ったかのように、同じ言葉を発する。
私は思わず目の前の人をじっと凝視した。
「………って思っただろ、今?」
いたずらが成功した子供のような笑顔でその人は言った。
(な、何で……)
「何でわかるのか、今度はそう思った」
続けざまに思考を言い当てられて思わず後ずさりしてしまう。
私の反応を見て、その人はうんうん頷いた後に満足そうに再び笑った。

そして、不意に私に近づいて囁く。
「ま、正解はだな。お前さんがとてもわかりやすいカオをしているからだよ。
…………大堂愛菜さん?」
「っ!」
囁かれた耳を押さえて私はその人から距離をとった。
徐々に頬が熱くなっていくのがわかる。

「……っ!……っ!」
何か言ってやりたいのに、口がパクパクと動くだけで言葉が出てこない。

「あーあー、悪かった悪かった。
……にしても初々しいったらないねー。
ま、怯えなくていいぜ?今日のところは挨拶だけだ」
言いながら、その人はひらひらと両手を振る。
……おそらく彼なりの「何もしない」という表現なのだろう。

「そんじゃ、ま、いっちょ自己紹介と行きますか!
俺の名前は高村周防。
これから嫌でも関わりあいになるだろうから、覚えておいてソンはないと思うぜ?」

1、「ここは私の夢なの?あなたは何者なの?」
2、「あなたは私の敵?それとも味方?」
3、「嫌でも関わりあいになるってどういうこと?」

146
1、「ここは私の夢なの?あなたは何者なの?」

「そうそう、ここは夢の中。お前さんは今タクシーの中で居眠りしてる」
かわいいねぇと高村周防と名乗った男の人はクスっとわらう。

「俺の正体はまだナ・イ・ショ」
そういって人差し指を口元に持っていく仕草が妙に子供っぽい。

「ちょーっと夢にお邪魔させてもらったよ。お前さんの夢はとても居心地がいい。とても優しくて綺麗だ」
「た、高村、さんは…」
疑問をぶつけようとした私の言葉を人差し指を左右に振ってさえぎる。

「ノンノン。す・お・う」
「え?」
「俺のことは周防って呼んで。高村さんだなんて他人行儀な~」
(他人だとおもうんだけど…)
「あ、いま他人だし、って思ったでしょ…てー、そんな変人見るみたいな顔すんなよ」
思わず眉をしかめた私に、周防さんは頬を膨らませる。

「周防……」
そのとき黙って立っていた御門君が周防さんに声をかける。

「なんだよ、お前愛菜ちゃんの味方なの?って、当たり前か」
この人は感情のこもらない御門くんの一言からも意思を汲み取れるらしい。

「冬馬を怒らせたくないし、さっさと帰るよ。まぁ、もうリミットだし」
そういう周防さんの姿が薄くなっていく。

「お目覚めの時間ですよ、お姫様」
周防さんの言葉と同時に、意識が現実へ向かって浮上するのがわかる。


「姉さん、起きて」
「…あ」
「ついたよ姉さん」
「春樹?」
「寝ぼけてるの?変な夢でも見た?」
タクシーを折りながら、春樹が聞いてくる。

1.「すごく変な人の夢だった」
2.「面白い人が出てきた夢だった」
3.「おぼえてない…」

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3.「おぼえてない…」

変な人と一緒にいたような気もするけど……。
どんな内容だったかも、何を話したかもまるで覚えていない。

「寝ぼけてないで、家に入るよ」
春樹に手を引かれ、家の中に入る。

(なんだか、まだぼーっとする)
「姉さん、ほらコーヒーでも飲みなよ」
リビングでぼんやり座っている私に、春樹はマグカップを手渡してくれた。

「ありがとう、春樹」
香ばしい液体を口に含むと、ようやく目が覚め始めた。
「こんな風にしていると、本当に普通なのにな……」

じっと私を見つめながら、春樹は呟く。
そうだった。春樹は一郎君と修二君の見ていたものと同じものを見たんだ。

私は……
①春樹の見たものを聞く
②一郎君と修二君の話を振る
③巻き込んでしまった事を謝る

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②一郎君と修二君の話を振る

「ねえ一郎君と修二くんは、どうして私を守ろうとするんだろう?」
(春樹をまき込んでまで…)
病院で話をしているときから疑問だった。

「二人は味方なのかな?」
これもまだ確定はしていない。
何か組織とは別の思惑があって味方のふりをしているだけではないか?

「わからない。ただ、二人とも今は姉さんを守りたいと思っているのは確かだね」
春樹は少し考えて、言った。
確かに、少なくとも今は味方と考えてもいいのだろう。

「そういえば、姉さん」
「…え?なに?」
「姉さんの力ってなんなの?何か力があるのはわかるけど、見ただけじゃ何の力かは俺にはわからなかったよ」
そういえば、双子も私の力がなんなのかはちゃんとわかっていないみたいだった。

私は…
1.夢のことを話す
2.ごまかす
3.わからない

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1.夢のことを話す

協力してくれると言ってくれている以上、春樹には隠しておきたくなかった。
たとえ、予知夢が私の勘違いだったとしても、だ。
巻き込んでしまった春樹に対して、今、唯一私が出来ることでもある。

「私の力は……予知夢かもしれない」

「確信は持てないけどね」と前置きをして、私はたまに予知夢をみることを説明する。
そして、予知夢は現実に起きて初めて気付くものだと補足した。

「……ていう、使えない力を持っているかもしれないんだよね」

ずっと考え込むように身動きひとつしなかった春樹だったけれど、
ようやく話が終わると、手元のぬるいコーヒーを一気に飲み干した。

「姉さんが説明してくれた予知夢……きっと何度かみていると思うんだけど、具体的に起こった事を教えてもらっていいかな。
できれば、俺の分かる範囲の出来事がいいんだけど」

私は…
①隆と水野先生の夢を話す
②手のアザを見せる
③憶えていないと言う

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①隆と水野先生の夢を話す

隆と水野先生のことを話そう。
春樹は『自分の分かる範囲』といっているから、アザや御門くんの夢を説明しても理解できないだろうし。
他の予知夢のことはよく覚えていないし。

「………あのね、昨日屋上前で会ったじゃない?放課後に」
「ああ、姉さんが一郎先輩と一緒だったときか?」
春樹が頷いた。
私はそれを見てから話を続ける。
「うん。実はその時のちょっと前にね……」

私は音楽室での出来事を話し始めた。

隆と水野先生が楽しそうに話していたこと。
水野先生が私に気がついて、隆に何かを囁きながら顔を近づけていったこと。
それに対して隆は特に抵抗しようともしなかったこと。

「それでね、そのときに気がついたの。
……私、一昨日にその光景を夢で見ていたんだって」
そこまで話し終えると、春樹は難しそうな顔で考え込んでいた。

①「やっぱり役に立ってないよね?」
②「春樹はどう思う?」
③「どうしてみんな、こんな力に注目してるのかな?」

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