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3.感覚がリアルだった気がする

手を取られた。優しく、暖かな手。
ふと自分の右手を見る。
(あれ…?)

右の中指の爪に小さな赤いアザ。
(昨日まではなかったはず…、どこかにぶつけた?)

でも、ぶつけたくらいで爪にアザなんかできるだろうか?
まじまじと見る。三日月型のアザだ。
『守ります』
ふっと、御門くんの姿が脳裏に浮かぶ。
(御門くん……主……夢?)
フラッシュバック。
「夢じゃ、ない……?」
少なくともいつもの予知夢ではない。

「姉さん起きてる?」
そのときノックとともに春樹の声。

「あ、うん。起きてる」
「入るよ」
そう断って、春樹が入ってくる。

「足はどう?」
まだベッドの上に居る私に、春樹が心配そうに尋ねてくる。

「だいぶいいよ」
「そう、良かった……」
一瞬の沈黙。

「……姉さん、今日は休んだら?やっぱり一日安静にしてたほうがいいと思うんだ」
春樹が目を伏せて言う。
その仕草で、春樹が私を心配しているのだとわかる。
(昨日いろいろあったしね……)
心配するなという方が無理なのかもしれない。
私は…

1.学校を休む
2.学校へ行く
3.考える

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1.学校を休む

最近、いろいろありすぎてとても疲れていた。
何よりも今までの出来事を自分なりに考える時間がほしい。

「うん、今日は学校を休むことにするよ」
「俺もその方がいいと思う。た・だ・し」

春樹は私の目の前に指を突き出す。
「必ず安静にしておくように」

(やっぱり、春樹にすごく心配されてる…)
「信用ないなぁ。この足じゃ、無理なんて出来ないよ。ていうか、春樹は心配し過ぎ」
私は春樹の突き出された指を掴んでひねってみた。
「いてて!痛いな……何するんだよ!?」

①「弟のくせに生意気だからよ」
②「心配してくれて、ありがとう」
③「私は平気だから、大丈夫」

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②「心配してくれて、ありがとう」

自分でもだいぶひねくれているなと思うけれど、素直にお礼を言うのも気恥ずかしい。
春樹は一瞬驚いた顔になり、それから少し眉をしかめる。
「……そう思ってるなら………」
「?」
言葉を続けない春樹に、首をかしげる。
少しの間の後、春樹はため息をついていつものような優しい笑みを浮かべる。
「今日は絶対に家から出ないこと!いいね?」
「わかってるってば!」
「そう?それじゃ、俺は学校行くから」
春樹はそういって部屋を出て行った。
その後しばらくして、玄関のほうから春樹の「いってきます」と言う声が聞こえた。

それを聞きながら、なんとなく外に目を向ける。
今日はとてもいい天気だ。昨日の夜のように、雲が無い。
考えたいことは色々ある。
今、一番気になるのは…

1、水野先生の探し物のこと
2、一郎くんや修二くんのいう「力」のこと
3、夢と爪のアザのこと

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1、水野先生の探し物のこと

やはりここ数日の出来事の始まり。
水野先生の探し物が気になる。
修二君はとても見つけにくいものだといった。
ごく一部の人にしかないもので、普通の人には見えない。
それが一郎君と修二君には分かる。
修二君が言うには、私は部外者ではない…。
隆も私の力を狙っている。

そう、隆「も」と修二君はいった。
なら、水野先生がねらっているのは、私の力?
「でも、私に力なんて…」
そこで、どうしても行き詰ってしまう。
もし、予知夢が力だったとしてもそんなものどうして探しているのか?
「ぜんぜん分からない…」
ため息をついて、時計を見る。

いつの間にかお昼近くなっていた。
だいぶ考え込んでいたみたいだ。
そのとき、カツン窓から音がした。
「?」
窓から下を見てみるとそこには…

①一郎君
②修二君
③隆

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②修二君

修二君がいた。
窓から見ている私に気がつくとひらひらと手を振ってくる。

「どうしたの?学校は!?」
窓を開けて修二君に問いかける。
静かな住宅街に私の声は思いのほか大きく響いた。

「愛菜ちゃん、しーっ……」
修二君はあたりを気まずそうに見回しながら、唇に人差し指を当てて「静かに」とジェスチャーをする。
「あ……」
慌てて両手で口を塞ぐ。
幸い、ご近所さんからは何の反応も返っては来なかった。

「学校は、ね……サボってきた♪愛菜ちゃんがいないからさ」
修二君はいたずらっぽく笑いながら言う。
…・・・その言い分に、私の中からは苦笑いしか出てこなかった。
「な、何それ……」

1.「ダメだよ、ちゃんとまじめに授業受けなきゃ」
2.「私がいなかったから……って私に何か用があったの?」
3.「人目につくから、とりあえず上がって」

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3.「人目につくから、とりあえず上がって」

修二くんが私に用事があるのは明らかだ。
でも、こんな状況では落ち着いて話も出来ない。

「玄関に回って。カギ開けるから」
「うん、ごめんね~」
大げさに誤る仕草しながら、修二くんが玄関の方へ行く。
急いで玄関の鍵を開ける。

「ありがとう、愛菜ちゃん」
「ううん、あがって?わたしずっと立ってるのつらいから」
「無理させちゃってごめんね」
修二くんをリビングに通す。
二人分のお茶を用意して戻ってくると、修二くんがソファに座ったまま外を見ていた。

「おまたせ。どうかした?」
「ありがとう。なんでもないよ」
お茶を修二くんの前に置く。と、修二くんの視線が私の手に釘付けになっている。

「あい、な、ちゃん、この爪のアザは…?」
「え?あ…」
言われて唐突に思い出す。

①いつの間にかあったと答える。
②夢での出来事を話す。
③今気づいたと言う。

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①いつの間にかあったと答える。

「いつの間にかあったの。
……たぶん、昨日までは無かったはずなんだけど」
私は少し手を引っ込め、アザを見つめながら答える。
「…ちょっとよく見せてくれる?」
「え?あ、,う、うん」
その言葉に恐る恐る手を差し出した。
修二君は私の手を取り、そこにあるアザを凝視する。

「これは…もしかして、力の?」
ふと真剣な表情のまま呟いた。
どうやら、修二君には何か心当たりがあるみたいだ。

(何か、重要なものなのかな?)
どうしよう。
答えてくれるかはわからないけど、聞いてみようか?
それとも、先に他の事を聞いてみようか?

「あの…」
思い悩んだ末、私は口を開いた。

①「修二君はこれが何なのかわかるの?」
②「ところで修二君の用事は何なの?」
③「さっき外を見ていたけど、気になるものでもあったの?」

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①「修二君はこれが何なのかわかるの?」

修二君はアザを見つめたまま、首をかしげる。
「う~ん、はっきり分からない。俺と兄貴二人そろってれば…もっとちゃんと分かるんだけど」
修二君は私の手を離して言葉を続けた。
「俺と兄貴は、同じ力を持ってるって言うのは前はなしたよね?」
「うん……」
「双子だから相乗効果があるのか、もともと一つの力が二つに分かれたのか分からないけど、二人そろってると力が飛躍的にあがるんだ」
「そう、なんだ?」
力といわれてもピンと来ないが、修二君にとっては身近なものなのだろう。
「そうそう、それで見えすぎちゃってね~、それはそれでアレだからあんまり近づかないようにしてるんだよ」
そういえば、二人そろっているところは余り見ない。
「と、まあ、俺たちの力の話は置いといて…愛菜ちゃん昨日はアザには気づかなかったんだよね?」
「うん…」
「それじゃあ、昨日の夜いつもと変わったことはなかった?」
いつもと変わったこと…御門君と夢のことがふっと浮かぶ

1、「昨日の夜、御門くんって男の子に会ったよ」
2、「不思議な夢を見たの」
3、「………特に、なにもなかったよ」

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3、「………特に、なにもなかったよ」

気がつけば、私はそう答えていた。

確かに昨日御門君に出会ったことや、夢のことはいつもとは違うことだったのかもしれない。
だけど、それをおいそれと話してしまっていいのだろうか?

私一人のことなら、あるいはこのことに関わっていると確信が持てる人ならまだよかったかもしれない。
でも、ここで話すべきかも知れないことには多かれ少なかれ御門君が関わっている。
その御門君に関して、私が知っていることはほとんどない。

仮に話したとして―――もしも、御門君がこのことに何の関係も無い人だったら?
もしも、御門君まで巻き込まれることになったら?
そうなったからでは手遅れだ。

(それに……)
目の前にいる修二君を見る。
彼は私が答えたあとから、未だに沈黙し続けていた。
(今はまだ、修二君も信用していいのかわからない)

だから、今はまだ話せない……それが私の考えだった。

場は静かになり―――二人の視線だけが交わされる。
私は修二君の、修二君は私の……”何か”を探るように。

そのときだった。

プルルルルルッ

唐突に電話が鳴る。
その音で、私は急激に現実に引き戻された気がした。

「……電話みたい。ちょっと待っててね」
修二君に一声かけて私は立ち上がる。

できるだけ急いで電話に駆け寄り、その受話器を取る。
「はい、大堂です」
電話の向こうから聞こえてきた声は……

①春樹
②近藤先生
③一郎君

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②近藤先生

「もしもし、春樹君の担任の近藤ですが……お母さんですか?」
「え?近藤先生?あ、私は春樹の姉の、愛菜です。母は仕事に出ていますが、春樹がなにか…?」
「…ん?愛菜さんは、今日は学校は?」
「あ、私は怪我をしてしまって、今日は大事をとって休みを…」
「そうでしたか、そうそう春樹くんなんですが、体育の時間にボールを頭部にぶつけてしまいまして…」
「え!?大丈夫なんですか!?」
「保健室に運ばれました。軽い脳震盪のようですが、一応大事を取って今日は帰そうと…」
「あ、はい!迎えに行きます!」
「いえ、あなたも怪我をしていると…私が送っていきますので」
「ありがとうございます。すみません…」
「いいえ、担任ですから。そうですね、今から出れば車で10分くらいでつくと思います」
「わかりました。よろしくお願いします」
電話を切ってため息をつく。

(春樹大丈夫かな…)
「愛菜ちゃんどうしたの?」
「あ、修二君。ごめん春樹がちょっと体育の時間にボールぶつかって軽い脳震盪だって…今からもどってくるって」
私はハタと修二君を見る。
このままだと、先生と春樹に鉢合わせしてしまう。
どうしよう…

1、聞きたいことが残っているので、靴を隠して自分の部屋に移動する
2、とりあえず玄関の靴だけ隠す
3、帰ってもらう。

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