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①二人ともすごく似合うと言う

修くんは短い前裾から、膝裏下あたりの後裾まで斜めにカットされたモーニングコートを着ていた。
立て襟シャツにサテンのアスコットタイをして乗馬に興じる王子様のようだ。

春樹は金の縁取りが施された裾広がりの白いロングコートをサッシュベルトで締めている。
舞踏会に出席している童話の中の王子様がそのまま抜け出たみたいだ。

「二人ともすごく似合ってる。とってもカッコいいと思うよ」

王子様に扮した二人に対して、褒め言葉しか出てこなかった。
周りの女子の反応を見ても、いい意味で目立っているのは間違いない。

「やっぱり? 俺って何を着ても似合っちゃうんだよな~」
「あ、ありがとう。うれしいよ……」

反応はまちまちだけど、みんなに褒められて二人ともまんざらでもない様だった。

(あっ、そういえばさっき……)

記憶ではこのクラスの催し物に参加していたはずだと、春樹は言っていた。
妙に私の周りにも詳しいし、今回の事もただの記憶違いで済ませるには現実と噛み合い過ぎている。
もしかして、私が望んだ世界という話と深い関係があるのだろうか。

ちゃんと考えたいのに、頭がズシンズシンと重くなっていく。
真っ白な霞がかかってしまったように、頭がぼーっとする。

「……ん……ねぇちゃんってば!」
「あっ、千春」
「また愛菜ったらボーっとして。アンタは隙が多すぎなんだからね」

席に座っている私達に、二人の王子様はメニュー表を差し出した。

「ご注文はお決まりでしょうか、マドモアゼル愛菜」

ノリノリの修くんは、私の手を取って微笑む。

「えっ、修くん……」
「ちょっと待った。いくら隙だらけでも、私の許可無しに愛菜に触れちゃ駄目よ!」
「そうだそうだ。いいぞ長谷川、もっとガツンと言ってやれ」

香織ちゃんと隆は、馴れ馴れしく触ってくる修くんにブーブー文句を言っている。
みんなの掛け合いが面白いのか、千春はニヤニヤと笑っていた。

そしてふと春樹を見ると、見守るような眼差しで私達を眺めていた。

私は……
①注文をする
②春樹くんに話しかける
③修くんに話しかける

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①注文をする

私と目が合うと、春樹はにこっと微笑んで「お決まりですか?」と言う。
私は慌ててメニューを見て、ロールケーキセットを注文する。
他の皆もそれぞれ注文を済ませると、春樹は頷いて注文を伝えに行く。
その行動は飛び入りで参加したにしては全く迷いが無い。
修くんは修くんで別のテーブルに呼ばれて、そちらでもノリノリで注文を受けている。

「なんか変な感じ。二人とも前からウチの学校の生徒みたい」
香織ちゃんの言葉の言葉に、思わず頷く。

「そうだね、なんかあの二人が家の学校に居ないっていうのが想像できないな」
「すげー馴染んでるよな、二人とも」
「まぁ、宗像修については物怖じしないし、どこに行ってもあんな感じだと思うけどね」
「そういえば、修くん編入届をもらいに行くとか言ってたけど本気なのかな……」
着替えの前にそれらしいものを持っていただろうかと思い出そうとするが、持っていたような気もするし、持っていなかったような気もする。

「え?編入?」
「なんか、そう言ってたけど……たぶん冗談だよね」
「……冗談、ならいいけど……これは要注意人物としてチェックしとくべきだわ」
香織ちゃんはそう言いながら修くんを見る。

「おまたせしました……長谷川せんぱ……さんどうしたの?」
じっと修くんを見る香織ちゃんに、持ってきたケーキを並べながら春樹が首をかしげる。

「あー、ちょっとね。害虫が余計な行動しないように見張ってるのよ」
あっさりとそう言って、香織ちゃんはケーキを持ってきた春樹に「ありがとう」といって受け取る。
香織ちゃんの言葉に苦笑して、春樹は口を開く。

「俺、もう着替えてくるよ」
「え?もう?」
「うん、この後もどこか回るんだろ?どうせ長居できないんだし……」
そう言って春樹は修くんに声をかける。修くんも頷いてこちらにヒラヒラと手を振ると、二人で出て行った。

「二人とも楽しんでもらえたようだね」
「あ、近藤先生。誘ってもらって、ありがとうございます」
「いや、気にしなくて良い。文化祭は皆でたのしむものだ。あぁ、あとこれは二人に」
そういって近藤先生は二つの包みをテーブルに置く。

「これは?」
「今回のお礼だ。まあ、中身は菓子だが…。
ほんの少しの間だったが、二人のおかげで呼びこみの必要がなくなるくらい客が入ったからね」
言われて見れば、いつのまにか教室内は満席だ。
近藤先生は、それじゃあと、裏の方へと戻っていく。
そうこうしているうちに、春樹と修くんが戻ってきた。

「ただいまーっと。さて次に行こうか。時間的に最後かな?」
「そうだね……えっと……」

①ぬいぐるみ展示
②お化け屋敷
③科学オモシロ実験

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②お化け屋敷

「うーん、迷うな。お化け屋敷も楽しそうだし……」
「だよねー♪ さ、愛菜ちゃん、行こう行こう」

お化け屋敷と言った途端、修くんが私の手を引き歩き出す。

「えぇ~!?」
「やっぱり愛菜ちゃんは、俺の案を選んでくれると思ってたんだよね」
「ちょっ、まだ決めて……」
「ほらほら、早く。急がないと終わっちゃうよ」

ゆっくり行っても、十分間に合う時間はある。
なのに修くんは気持ちを抑えきれないように、ズンズン歩いていく。

「おい、待てって! そんなに早く歩くなっ」

松葉杖の隆がついて行けず、叫んで修くんを呼び止める。
すると修くんはピタッと止まって、追いついた隆に文句を言い出した。

「アンタ、もうちょっと早く歩けないの?」
「無理に決まってるだろ」
「面倒な奴だね。無理なんて言わずに、もっと早く歩けるようになりなよ」
「うっせ。お前に言われなくてもやってやるよ」
「ふーん。……こういう人って卑屈だと思ってたけど、そうでもないんだね」

そう言うと修くんは私の手を離して、ふらふらと歩き出した。
あちこちの展示物を珍しそうに眺めたり、すれ違う女の子に手を振ったりしている。

私の横に香織ちゃんと千春と春樹がやってきた。

「あの害虫……。ほんと、ムカつくわ」
「そうかな? 僕は修さんの事、けっこう好きだよ」
「千春くん、ちゃんと人を見る目は養わなくちゃだめよ。ああいうのを、サイテーって言うんだから」
「俺も自分勝手な人だとは思いますけど、最低では無いと思います」
「春樹くんまでそんな事言うの? みんな見る目無さすぎよ」

怒る香織ちゃんに、春樹は「見てください」と言う。
その視線の先には、あっちこっち行く修くんの姿があった。

「さっきよりもゆっくり歩いてますよね。それに隆さんの負担にならない速度を保ってます。
本当に隆さんが煩わしいなら、とっくに先に行っているはずですよ」

香織ちゃんはまだ納得できないのか、「害虫は害虫よ」と呟いていた。
そうして歩いているうちに、お化け屋敷の教室に着いたようだ。
看板を見ると、二名ずつ順にお入りくださいと書いてある。

私は……
①じゃんけんで決めよう
②悩む
③指名する

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①じゃんけんで決めよう

「丁度6人だし、ここはじゃんけんよね」
「同じ手を出した奴同士でペアだな」
「うん、そう」
「えー、俺、愛菜ちゃんと一緒じゃなきゃいやだなあ」
「なら、入らなくても良いわよ」
「それもやだ」
「ならおとなしくじゃんけんしなさい」
「しかたないなぁ」
修くんはしぶしぶ頷いて、左手を構える。

「じゃ、いくわよ。じゃんけんぽん」
香織ちゃんの合図に合わせて、いっせいに手を出す。
私はパーを出した。

「あら……4人同じね」
「あ、僕、香織お姉さんとペアだ」
「私は千春くんとね」
チョキを出した香織ちゃんと千春がまずペアになる。
残りは全員パーを出していたため、再じゃんけんだ。

「うわ、これって下手したら、男同士で入らなきゃいけないのか」
「もしそうなったら、俺入るのパスな」
修くんの言葉に、隆が嫌そうに言う。

「まぁ、やってみないとね。いくよー。じゃんけん、ぽん」
今度はきれいに分かれた。
私はまたパーをだす。

私と同じ人は……
①春樹
②隆
③修くん

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②隆

一緒にパーを出したのは隆だった。
のこりの二人はチョキとグーを出している。

「隆と愛菜がペアね」
「お、おう……」
「うん」

香織ちゃんの言葉に、隆と私は頷いた。

「春樹くんは……悪いんだけど害虫で組んでね」
「えぇ!? 俺と愛菜ちゃんがペアじゃないの!?」
「公平なじゃんけんで決めたんだから、文句は無しよ! 」

香織ちゃんはビシッと言い切って、フンと鼻を鳴らした。
リーダーシップのある香織ちゃんに断言されてしまい、さすがの修くんの勢いが無くなった。

「どうして俺が男と一緒じゃなきゃいけないんだよ……」
「仕方がありませんよ。長谷川先輩に従いましょう」

うな垂れる修くんに春樹が声を掛けている。
一方、最初にペアになった香織ちゃんと千春は楽しそうに話している。

「さ、千春くん一緒に入りましょ」
「うん。僕、香織お姉さんみたいな綺麗な人と一緒でうれしいな」
「まぁ、千春くんたら」
「僕、ちょっと怖いよ。ずっと手をつないでて欲しいな……」
「いいわよ。手をつないで一緒に入りましょうね」

(千春……アンタって……)

テレビでやってるホラー映画を笑いながら観る千春が怖がるはずが無い。
そんな千春の将来を脅威を感じつつ、私は隣の隆を見た。

すると、隆が神妙な顔をしながら並んでいる事に気づく。

①「どうしたの?」
②「もしかして怖いとか?」
③「足痛くなった?」

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①「どうしたの?」

「ん? あぁ……」
隆は少し困ったように言葉を濁す。

「なになに、もしかして怖いとか?」
その様子をみた修くんがここぞとばかりに、ちゃかす。

「まさか、そうじゃない」
隆はあっさりとそれを否定して、仕方なさそうに口を開いた。

「愛菜、お前怖がりだろ……ものすごーく」
「え……そ、そんなことないよ」
「嘘言うな。覚えてるぞ、小学3年生の時に入ったお化け屋敷での事」
「う、あー……」
隆が言うその出来事に思い当り、私は言い返せなくなる。
当時出来たばかりのテーマパークに、私と隆の家族合同で出かけた時に入ったお化け屋敷での事だろう。

「お前あの時、ずっと俺の腰にしがみついてて、ほとんど自分で歩かなかったじゃないか」
「そ、そうだったかな……」
「そうだったんだよ。俺がほとんど引きずって行ったようなもんじゃないか」
「………だったかも?」
「ただな、今回同じ事されても、前みたいに連れていけないんだよ。この足だからな」
「だ、大丈夫だよ! もう、小さい子供じゃないし!」
「なら良いけどな」
「そんなに不安なら俺が変わろうか?俺は大歓迎だよ」
「それは却下な」
隆は即座に言うと、私を見た。

「ま、学校のお化け屋敷と、テーマパークのお化け屋敷じゃ規模も怖さも違うだろうから、大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫だよ」
一瞬不安になったが、たぶん大丈夫だ。

「じゃあ入ろうぜ」
「うん」
入口の黒い布をめくって中に入ると、ひんやりとした空気に包まれた。
明るい場所から急に暗い場所に出たため、ほとんど何も見えない。

「た、隆……」
「なんだ?」
やっぱり怖いものは怖い……!

①「や、やっぱりなんでもない」
②「……服、掴んでても良い?」
③「……腕、組んでも良い?」

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①「や、やっぱりなんでもない」

(あの頃のままだと思われたら、悔しいもん)

隆の後ろに隠れるようにして、私は真っ暗な中を進む。
数歩進んだところで、ヌルッとした物が頬に当たった。

「きゃあ!!」
「な、何だ」
「い、今、ヌルッと冷たいものが……」
「それはこんにゃくだろう。さっき俺の顔にも当たってたからな」
「こ、こんにゃく……そうだよね」

中は迷路のようになっているらしく、左に曲がる矢印があった。
左に曲がった直後、生暖かい風が吹く。

「ぐぁあああ!!」

突然、青白い顔の落ち武者が出てきて、私に掴みかかろうとした。

「いやぁああああ!!!」

私はその落ち武者を突き飛ばして、隆にしがみ付く。
隆はバランスを崩しかけたけど、なんとか踏ん張ってくれた。

「危ないな。しがみ付くなら、前もって忠告してくれ」
「む、無理だよ。そんな都合よく……きゃーーーーー!!」

目が腫れた髪の長い女の人が、井戸から出てきて私に触れた。

「も、もう無理!家に帰して!!」
「く、苦しい……」
「た、隆!もうヤダよ!」
「ギブ、ギブ……」

呻く隆を見ると<力の限り腰を掴んで完全にホールドしていた。
絶妙に技が決まって、ダウン寸前だ。

「ご、ごめん。次は気を付け……ギャアアア!!」
「し、死ぬ。ここから出る前に俺が死ぬ……」

暗い中を進み、なんとか日の光を拝める頃にはお互いがクタクタになっていた。
隆はおじいさんのように体を引き擦り、なんとか歩いている。

私は……
①隆に謝る
②先に出ていた千春と香織ちゃんに泣き付く
③先に出ていた修くんと春樹を見つける

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①隆に謝る

外に出てぐったりと壁にもたれてしまった隆に平謝りする。

「た、隆ごめんね」
「あー、こうなる事は予測済みだ。気にするな」
疲れきった顔で、隆が手を振る。

「ねぇちゃんの悲鳴、外まで聞こえてたぞ」
「相変わらず怖がりよね」
「これだけ怖がってもらえたら、お化け役の人も本望だろうね」
「いまどき、珍しいくらいに脅かしがいがあるんだなぁ愛菜ちゃんって」
先に出ていた皆が口々に言った。

「ほんと、昔っから進歩無しだな」
そう言って隆が苦笑する。私は何も言い返せず「ごめん」と呟く。

「あー、それにしても疲れたな。そろそろ時間だし俺はもう帰るわ」
「じゃ、僕も一緒に行くよ。早く新しくかったゲームやりたいし」
隆は私の謝罪に肩を竦めて言った。その言葉に千春が便乗する。
ゲームを理由にしているが、疲れきっている隆を心配しての事だろう。

「俺は時間ギリギリまで見ていこうかな」
修くんは近場の教室を覗きこみながら言う。

「俺も……もう少し学校の中を見て行きたいから」
春樹は少し考えてそう言った。けれど修くんと一緒に行動する気は無いようだ。

「私、一旦体育館の様子見てくるわ」
途中でさぼった片付けの様子が気になるのか、香織ちゃんはそう言って走って行ってしまった。

私は……
①隆と千春を校門まで送る
②修くんについていく
③春樹についていく
④香織ちゃんを追いかける
⑤放送室へ行く

979
①隆と千春を校門まで送る

「じゃあ、私千春たちを校門まで送って行くよ」
「ねぇちゃんじゃないんだから、迷子にならないよ?」
「そんな心配してません!」

千春がふざけて言うのに、私は軽く頭を小突いて二人を促す。

「そっか、じゃあ俺は俺で見て回るよ」
「愛菜ちゃん行っちゃうのかー、残念」
「うん、二人ともまたね」

軽く手を振って、私達は校門へ向かう。
修くんが以外とあっさり納得したのにはびっくりしたが、修くんも隆があまりにもぐったりしているので心配したのかもしれない。

「隆、ホントごめんね」
お化け屋敷に入る前に足の事を言われていたのに、結局前と同じような感じになってしまった。
少し落ち込んでいると、ちらりとこちらを見た隆が少しなにかをたくらむような顔をする。

「まったくだぜ。……あ、そうそう愛菜おまえもう少し食ったほうがいいぞ」
「え? 何?突然」
深くため息をついた隆が、思い出したように言い出す。

「しがみついた時の感触が、小学生の時と変わってないからな」
「……! ちょっと、それどういう意味よ!」
「ん? ちゃんと食って成長しろよって意味だ」
しれっとそう言う隆の隣で千春がニヤニヤ笑う。

「要するに幼児体系で、ぼっきゅぼーんな体型には程遠いってことだよな。
 イマドキ小学生だってもっと発育いいのになー」
「悪かったわね!」
一気に落ち込んだ気分が浮上して、隆にはかなわないなと思う。
そうこうしているうちに、校門の前までやってきた。

「じゃあな、今日は楽しかったぜ。俺もここに入れるように真剣に考えようかな」
「そう? 私は大歓迎だよ」
「そうか、じゃ、受験勉強もがんばらないとなー」
「隆はもともとそんなに成績わるくないから、余裕じゃない?」
「そうだといいけどな」
「じゃあ、ねぇちゃん先に帰ってるよ」
「うん、気をつけてね」
手を振って帰っていく二人を見えなくなるまで見送る。

さて、残り時間もあとわずか。どうしようかな。
①一人でぶらぶらする
②放送室へいく
③体育館へ行ってみる

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①一人でぶらぶらする

(一人でぶらぶらしてみるかな…)

なんとなく、一人で行動してみたい気分になった。
気がつくと、陽は傾いて空は夕焼け色に染まっている。

上履きに履き替え、ぼちぼちと廊下を歩きながら校内の様子を観察する。
後片付けを始めている人、友達と談笑している人、恋人同士で歩く人。
みんな残りわずかな文化祭を惜しむように楽しんでいる。

私はその空気を吸いながら、祭りの後の感傷的な気分に浸る。
少し寂しいけれど、こういうのは嫌いじゃない。
また明日から、代わり映えのしない平凡な日々が始まる。
きっとここに居るほとんどの人は多少の不満を抱えながら、まぁまぁの学生生活を送りはじめるはずだ。
そして今日の出来事をたまに記憶の奥から引っ張り出しては、思い出し笑いをしたり、恥ずかしくなったりするのだろう。

階段を上り、私は重い鉄の扉をゆっくり開いた。
ビュッと一瞬すごい風が吹き、目を開けると広いコンクリートの地面があった。
その風化しかけているコンクリートを踏みしめて、ゆっくり前に進む。

上を見ると、少しだけ近い雲とオレンジ色の空が広がっている。
下を見ると、校庭の出店が次々とテントを畳み始めていた。

私は屋上のフェンスに背中を預ける。
ポケットの中を探って、近藤先生からもらった包みを取り出した。
かわいいリボンの結ばれた手の平ほどの包みを開けると、透明で金色の飴が入っていた。

(懐かしい。これべっこうあめだ)

手作りなのか、気泡が入っていて形も不恰好だった。
透明のセロファンを剥がして、口の中にポンと入れる。
口の中一杯に広がる甘さとほろ苦さを楽しみながら、ふと顔を上げると鉄の扉が開くところだった。

(誰だろう……)

目を凝らすと、男子が扉から出てきた。
向こうも私に気づいたのか、静かに顔を上げた。

その男子とは……
①春樹
②修くん
③一郎くん
④大和先輩

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