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[[631~640]] 641 ①許す 『いいよ。もう済んだことだもん』 私の書いた文字を見て、武くんは嬉しそうに顔を崩した。 「それじゃ、隆とまた付き合って頂けるんですね。よかった……。僕が破局させてしまったんではないかと、悔やんでいたんです」 『元鞘に戻るわけじゃないよ』 「えっ!? なぜですか」 武くんは納得できないのか、身を乗り出してきた。 『付き合ったときは嬉しかったし、楽しかったけど……。もう少し、真剣に考えてみようかと思ったの。 今回の事で付き合うって、楽しいだけじゃなく、辛い事もあるってわかったから』 「でも……」 『別に嫌になったわけじゃないんだよ。もっと自分自身がしっかりしなきゃいけないと思っただけなんだ』 春樹が出て行ったのも、声が出なくなったのも、私自身の弱さのせいだ。 それが分かっているからこそ、今は誰とも付き合えない。 「そうですか……」 武くんは諦めたように、ドサッとソファーに座り込んだ。 『ごめんね』 「いいえ。……そうですよね、全部分かっているからこそ、隆はあなたの側に居るんでした」 『すごく感謝してるんだ。けど、改めて言う機会も無いしね』 「安心してください。愛菜さんの気持ちは、もう伝わっていますよ」 そう言って、武くんはまた穏やかに笑った。 『あっ、そうだ。せっかく出てきてくれたのに、飲み物も用意してなかったね。ちょっと待ってて』 私は立ち上がると、キッチンでコーヒーを用意する。 リビングに戻って、コーヒーカップをいつものように隆に差し出した。 「ありがとうございます」 武くんが受け取ろうとしたところで、一瞬、私たちの手が触れ合った。 すると、武くんの顔が真っ赤になっていく。 「うわっ。ご、ごめんなさい」 私は首を振って、平気だよと伝える。 だけど、武くんは耳まで赤くさせたまま、何度も謝っていた。 (……本当に女の子が苦手なんだね) 次は何を聞こうかな ①『ところで、本来の姿ではないただの器ってどういう意味だと思う?』 ②『そういえば、武くんは私の力が何か知ってるんだったよね?』 ③『武くんはどうして女の子が苦手なの?』 642 ①『ところで、本来の姿ではないただの器ってどういう意味だと思う?』 「本来の姿ではない、ですか?」 ノートを覗き込んで武君は首を傾げた。 「どういうことでしょう?力に目覚めていないとか、使いこなせていないとか、そういうことでしょうか?  すみません、分からないです」 そういいながらも自信がないのか、武君は私に頭を下げた。 『あ、ちょっと気になっただけだし気にしなくて良いよ』 「いえ、お役に立てずすみません」 『だから気にしなくて良いってば』 隆の姿で、律儀に頭を下げる武君に少し調子が狂う。 『武君が知らない言葉っていうことは、組織にはそういう人がいなかったってことなのかな?』 「あなたがそう言われたのですか?」 武君は私をまっすぐに見て尋ねてきた。 私が頷くと、少し考えるような間をおいて口を開いた。 「それでは、もしかして高村の一族の伝承に関係があるのではないでしょうか?」 『伝承?』 「はい。高村には古い言い伝えがあるようだと、能力者の中には結構知られています。  隆のように精霊や妖精のようなものの声を聞く人もいますから。  そういう能力者が精霊たちの会話を時々教えてくれました。  ただ、精霊たちの言葉は人間には意味の分からないことも多々あるようで、話しの内容すべてを把握できず、伝承があるようだということしかわからないのですが……お役に立てず申し訳ありません」 『謝らないでよ、高村の一族になにか言い伝えがあるって分かっただけでも一歩前進かもしれないしさ』 しきりに恐縮する武君に笑って見せると、途端に真っ赤になる。 (なんか、武くんの反応って新鮮だなあ) 女の子が苦手と言っているけれど、単に免疫がないだけな気がする。 『伝承の話ならもしかしたら周防さんに聞けばもう少し詳しく分かるかもしれない。後で聞いてみるよ』 (教えてくれるかは分からないけど……) 「そうですか。それがいいかもしれません」 ノートをみて武君は頷いた。 なんとなく二人の間に沈黙が落ちる。 そうだ、 ①冬馬先輩、美波さんに連絡するとか言ってたけど……。 ②あした声でなかったら学校どうしよう……。 ③春樹に聞けば、伝承のことが分かるかな? 643 ②あした声でなかったら学校どうしよう……。 声が出なくなってしまった事を、学校でどう説明していいものか分からない。 嘘をつくにしても、良い案が出てこない。 私がジッと考え込んでいると、沈黙に耐えられなくなったのか武君が呼びかけてきた。 「あの……愛菜さん。どうかされたんですか?」 『うん。明日も学校があるのに、このまま声が治らなかったらどうしようかと考えてたんだ』 武君は「そうですね……」と言って、コーヒーを飲んだ。 そして、コーヒーカップをゆっくり置くと、口を開いた。 「そんなの適当に誤魔化しとけばいいんじゃないか?」 私は驚いて、目の前の武君を見る。 「愛菜は心配症なんだって。マスクでもしてりゃ、クラスの奴らだって風邪だと思うはずだろ」 『隆?』と、声も出ないのに話しかけてしまう。 「ん? どうした、愛菜」 目の前に居るのは、どう見ても隆そのものだ。私は急いでペンの蓋を開ける。 『えっ、あれ、武君だよね? それとも、本当に隆?』 私は混乱したまま、ノートを見せた。 「すみません。僕です、武です。隆が言いそうな事を真似してみました。 こんな風に、案外、人って簡単にだませると思うんです。気にしなくていいと思いますよ」 そう言って、にっこりと笑った。 (うー。本当にビックリした) 私のために演技したのだろうけど、なんとなく面白くない気持ちになる。 (なんだか悔しいなぁ) ①『私を騙すなんて……ひどいよ!』と泣きまねをしてみる ②不意打ちで手を握ってみる ③普通に別の質問をする 644 ②不意打ちで手を握ってみる (よしちょっとだけ仕返ししちゃおう) 私は、向かいに座る武くんに届くように身を乗り出す。 「どうしたんですか?」 私の行動に首を傾げた武君の手を、伸ばした両手で握る。 途端、ポンと音がするんじゃないかと思うくらい一気に真っ赤になった。 (うわー、面白いかも?) 思いつつ、にっこり笑って見せると不意にふらりと身体が倒れてきた。 (え?) 慌てて手を離して身体を引くと、武君は勢い良くテーブルに頭をぶつけた。 「いっ!?」 とたん、小さな悲鳴を上げて額を押えつつ身体を起こす。 『大丈夫?』 私は慌ててノートに書くと、武君はきょとんとした顔をしてリビングを見回す。 「あれ?俺寝てたはずだよな?なんでここにいるんだ?」 額をさすりながら、不思議そうに私に尋ねてくる。 (え?隆?でもまたお芝居かも……) 『隆?武君?』 「ん?なんだ、武と話をしてたのか?おれは、隆だぞ」 『本当に?』 「なんだよ、嘘ついてどうすんだ?」 どうやら本当に隆のようだ。 (急に隆にかわるなんて、武君一体どうしたんだろう……?) 不思議に思っていると隆が口を開いた。 「で、武とちゃんと話しは出来たのか?」 『うん、でも一郎くんと修二くんのことは良く知らないって』 「そうか、残念だったな。他に何か言ってたか?」 他に……? ①『器について話したよ』 ②『隆について話したよ』 ③『それより武君はどうしたの?』 645 ②『隆について話したよ』 「ふーん。そうか」 興味なさそうに呟いたつもりだろうけど、その顔には「気になる」と書いてある。 私は隆を覗き込み、二ッと笑う。 『ねぇ、私たちが何を話したか聞きたい?』 「別に」 『本当に聞きたくないの?』 「興味ねぇよ。それより、俺の頼んでおいたこと、ちゃんと言ってくれたのか?」 隆は私から視線を逸らし、不機嫌に言った。 面白がっているのが、よほど気に入らないのだろう。 『言ったよ。だけど、隆の気持ちを知ってたみたい。多分、隆の考えてることが分かるんじゃないかな』 「本当か?」 私は隆の問いに『うん』と、頷いて答えた。 「何だよ。俺は武って奴の考えてることなんて知らないぞ。アイツだけ分かってるなんて不公平だ」 『私に怒ったって知らないよ。もし文句があるなら、今度は自分で言ってよね』 「俺の中に居るんだから無理だ」 『手紙とか、録音とか、伝える方法はいくらでもあるよ』 「面倒だ」 (もう……仕方ないなぁ) 「で、俺のことを何って言ってたんだ? まさか、悪口じゃないだろうな」 やっぱり気になるのか、隆は改めて尋ねてきた。 私は首を振って、否定しながらノートに言葉を書いていく。 『隆のことを褒めてたよ。優しくて思いやりのある人だって。よかったね』 私の言葉を見て、隆の顔が赤くなっていく。 「お、男に褒められても、気持ち悪いだけだ」 (動揺するとすぐに赤面するのは、隆も武くんも一緒だよね) 他に報告することは… ①『器について話したよ』 ②『力について教えてもらったよ』 ③『剣について気になることを言っていたよ』 646 ②『力について教えてもらったよ』 「一体、何を教えられたんだ?」 気を取り直したのか、隆はいつものように尋ねてきた。 『うーん。難しいことを言ってたから、あんまり良くわからなかったんだ』 「なんだぁ? それじゃ意味ないだろう」 呆れ気味に、隆は声を上げた。 隆の態度など気にせずに、私は話を進める。 『でも、少しは分かったよ。力ってね、自分の生命力を使う方法と、エナジーとか、ミストを使って外から力を貰うん方法があるんだって。知ってた?』 「そんなのとっくに知ってるぜ」 『へ? そうなの?』 せっかく身につけたばかりの知識を披露したのに、隆の言葉に拍子抜けしてしまう。 「お前……。俺が水野から生気を奪ってミストを強化してた事、忘れてないか?」 (あっ、そういえば……) 『水野先生が積極的だからって、流されるままキスしてた事だね』 「うぐっ…」 言葉を詰まらせ、隆は固まってしまった。 その態度に、思わず苦笑が漏れる。これ以上いじめても可哀想なので、私は話題を元に戻す事にした。 『ミストって、生気を奪うだけじゃなくて、貰うことも出来たんだね』 「ま、まぁな。そもそも、ミストも力の一つだからさ。得た生気はミストを介して俺の力にもなるんだよ」 幼馴染でずっと一緒だったのに、隆の方が私よりも力に関しての知識は豊富なのが納得できない。 一体、どうやって手に入れていたのだろうか。 『隆って……組織の関係者じゃないのによく知ってるね。そんな知識、どこから手に入れてるの?』 「チハルみたいな奴らからたまに教えてもらったんだよ。何語だよって言葉も多いけどな」 (へぇ、精霊とか妖精に教えてもらってたんだね……) 後は…… ①『器についても教えてもらったたよ』 ②『剣について気になることを言っていたよ』 ③『伝承について話したよ』 647 ③『剣について気になることを言っていたよ』 「剣?」 隆は首を捻って、思い出したように頷いた。 「そういえば飯のときにお前言ってたな、三種の神器がどうのって」 『うん、8年前組織で「鏡が剣を見つけた」って騒ぎがあったんだって』 「鏡が剣を?」 『うん、小さくて言葉の意味は理解できなかったけど、鏡っていうのは一郎くんと修二くんのことだったかもしれないって言ってたよ。  三種の神器と関係あるか分からないけれど、なんとなく気になってるんだよね』 「それじゃあ宗像兄弟が、その『剣』ってヤツを見つけたってことか?  で、お前はそれが気になってるって言うんだな」 私が頷くと、少し俯いて何か考えているようだった。 「それじゃあ、宗像兄弟に聞いてみるのが一番だろうな。あした早速聞いてみようぜ」 『でも、教えてくれるかな?』 「うーん……、宗像兄のほうは難しいかもしれないなあ。  宗像弟ならお前が頼み込めば教えてくれるんじゃないか?  いや、まてよ……、アイツに貸しを作ると後々面倒か?」 『何が面倒なの?』 「いろいろだよ」 説明するのが面倒なのか、ひらひらと手を振りながら隆は言葉を続けた。 「そうだ、組織で騒ぎになったなら、美波さんに聞けば分かるんじゃないか?あの人8年前19くらいだろ?宗像兄弟よりは当時のこと覚えてるんじゃないのか?」 『あ、そうかも?』 「そうしようぜ……。  なぁ、もし組織が三種の神器って呼ばれるものを探してるとすると、宗像兄弟が鏡、そして8年前に剣、二つは揃ってることになる」 『そうなるね』 「じゃあ今組織は最後の一つ勾玉を探してるんじゃないのか?  そして、組織はお前に目をつけた。お前が勾玉ってことはないのか?」 (私が勾玉……?) ①『そんなのありえないよ』 ②『そうなのかな……?』 ③『まだ結論を出すには早すぎるよ』 648 ②『そうなのかな……?』 勾玉かもしれないと言われても、全くピンと来ない。 なんとなく私にも力があることは判ったけれど、どんな力なのかも未だにわからないままだ。 私の態度を見て、隆が眉をひそめる。 「随分、心許ない言い方だな。真剣に考えてるのかよ」 『だって……』 「勾玉だろうとそうじゃなかろうと、組織が愛菜に目をつけてるのは間違いないんだ」 『うん』 「この騒動の中心にお前が居るんだ。ちゃんと自覚してんのか?」 隆が覗き込むように問いただしてくるけど、今の私には答え様が無かった。 ペンを握って、しばらく考えてから書き込みだす。 『中心って言われても……一体、どうすればいいのか分かんないよ』 「まぁ、知らないことが多すぎるからな。だが、最後の選択肢はお前に懸かってるかもしれないぜ」 『そうなの?』 「多分」 『多分って…どうしてそう思うの?』 「カンだ」 (カンって……適当だなぁ) ジト目で隆を見つめると、隆は溜息を漏らしていた。 だが、顔を上げて私を見据えた瞳がいつになく真剣な事に気付く。 隆は声のトーンを低くして、諭すように話し出した。 「……とにかく俺が言いたいのは、もしもの時、愛菜も戦わなくちゃならない覚悟をしろってことだ。お得意の博愛精神が通用しなくなる場合もあるんだぞ」 『博愛精神って……そんなつもりないよ』 「お前は争いや戦いを好まないからな。そのくせ、無謀だから始末に終えない」 『そんな事無いよ』 「実際、声を失ったじゃないか。危機感持てよ。力は無くても、せめて狙われていることを自覚しろ」 『自覚はしてるつもりだよ。だけど、香織ちゃんが倒れていたら放っておけないもん』 「外見は長谷川でも、中身は敵だっただろうが…」 隆は小声で言い捨てると、私を見ようともせず、さっきよりも深く溜息を吐いた。 (何を怒っているの? 意味わかんないよ) 私はペンの蓋を閉め、ノートも閉じる。 コーヒーカップをお盆に載せ、立ち去ろうしたところで、隆に手首を掴まれた。 「待てよ。美波さんに連絡するなら、俺が必要じゃないのか?」 声の出ない私はテーブルにお盆を置き、再びソファーに腰を下ろした。 「真面目に答えてくれ。生身の敵が襲ってきたらどうだ? 人間相手に、血を流し合う覚悟はあるのか?」 ①ある ②ない ③わからない 649 ②ない 『そんなのあるわけ無いじゃない。血を流し合うなんて……』 「敵がお前を殺そうとしてもか?」 『だからって、私が相手を殺していい理由にはならないよ』 「じゃあ、お前はおとなしく敵に殺されるっていうのか!?」 『そんなこと言ってないじゃない!逃げるに決まってるでしょ?  なんでおとなしく殺されなきゃいけないのよ』 「逃げ切れそうに無かったらどうするんだ?」 『……なんでこんなことするのか聞いて、説得するよ』 「その説得に相手が応じなかったら?」 (応じなかったら……) ペンを止めた私を隆はまっすぐに見ている。 (もし説得に応じてくれなかったら?どうするんだろう……) おとなしく殺されるつもりはもちろんない。 けれど、相手を傷つけてまで自分が助かりたいと思うだろうか? 隆から視線を外し、考え込む。 逃げ切れなくて、相手が説得に応じてくれなかったら……。 相手を傷つけなければ私が生きられなかったら? (分からない) 「はぁ……」 考え込む私に、隆は大きなため息をついた。 顔を上げるとあきれたような顔で隆が見ている。 「悪かった。今の質問忘れていい。  だけど、約束しろ。お前が襲われたら俺だけじゃなく春樹もチハルもお前を守ろうとするだろうから、そのときは全力で逃げろよ?  お前が逃げられるように出来る限りのことはするからな。お前が残ってても足手まといなんだからな?」 ひどい言われようだけれど、隆が心配しているのは分かる。 ①『わかったよ』 ②『私だけ逃げるなんて嫌だよ』 ③『そのときになったら考えるよ』 650 ①『わかったよ』 私がノートに書くと、隆は安心したように笑う。 「それでいいんだ。今のお前はなんの能力も無いんだからな」 『うん。そうだね』 (だけど……) 香織ちゃんがケーキ屋の冷たい床に倒れたときの事を思い出す。 ぐったりした香織ちゃんの肩を抱きかかえたとき、体が勝手に動いていた。 もし、隆やチハル、そして春樹が敵に傷つけられていたとして、私は逃げることが出来るのだろうか。 (暴力や争いでは、何の解決にもならないと思う。けど、このモヤモヤは何だろう) 『ねえ、隆』 「ん? なんだよ」 私に向き直った隆は、出来る限り守ってくれると言ってくれた。 守るって……一体、何なのだろう。 『どうして私を守ってくれようとするの?』 「うえぇぇっ!!」 隆はびっくりしたように、目を丸くしている。 そして、その顔がみるみる赤くなっていった。 『隆はどうしてそこまでしてくれるの? 守るって何?』 「おっ、おい……いきなりどうした?」 『香織ちゃんが倒れた時、とにかく助けなきゃって必死だった。それが、守るってことなの?』 「愛菜?」 『私、全然わからない。守るって何? 守られるってどういうこと?』 「ちょっ、少し落ち着けって!」 『もし、私を守るために隆が敵に倒されたら……逃げてしまった自分を許せなくなるよ。敵を憎むよ。守られたくなかったって後悔するよ」 「悪かったから、とにかく落ち着けよ」 『それでも、やっぱり守られなきゃいけないの? 春樹だって、私を守る為に家を出て行ったんだよ。けど、寂しくて辛いばかりで、ちっとも嬉しくなんてなかった』 「……愛菜」 『なのに、隆まで守るって……私はどうすればいいの? ただ、逃げ回るしかできないの?』 「わかったから、な?」 『教えてよ! わからない。全然、わからないんだよ!!』 ペンを持つ手が震えて、書くことが出来なくなる。 胸が痛くて、身体が熱い。 気持ちはどんどん溢れてくるけれど、言葉として吐き出すこともできない。 私は思わず…… [[①混乱してしまい、涙が溢れてきた>http://www22.atwiki.jp/1000ed/pages/85.html]] ②答えを言わない隆の肩を、強く揺すった ③耐え切れず、リビングを出て行った

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